著者
芝本 武夫 栗山 旭
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.43-46, 1950

The authors carried this study with woods of Quercus serrata Thunb.<br>containing various quantities of water, using iron retort of about 7 L. capacity. To obtain samples of various moisture contents, the woods were treated in three different ways, as follows;<br>(A) Woods were cut down and air-dried ud to such moisture contents as 40%, 30%, 25%, 10%, and less than 10% respectively.<br>(B) Air-dried wood of lower than 10% moisture content were dipped in water to absorb it fully and then air-dried again up to such moisture content as 40%, 30%, and 25%, respectively.<br>(C) Woods freschly cut down were soon dipped in water to absorb it fully.<br>The authors obtained the foollowing results in this study:<br>(1) In yields of the products of the destructive distillation on weight of the samples, charcoal, acids in distilled liquor (mostly acetic acid) and wood-gas (including loss) increased, and distilled liquor (including settled tar) decreased, according as moisture content of the samples decreased.<br>(2) But moisture content of the samples had not any effect on the yields of these products per weight of the absolutely dry samples.<br>(3) According as moisture content of the samples decreased, concentration of acids in distilled liquor increased.<br>(4) Volumetric gravity of charcoal was largest in the case of wood not air-dried after being cut down.(5) In the destructive distillation, water was distilled almost at 100&sim;150&deg;C in the retort, the wood was decomposed gradually at 150-250&deg;C and then temp-erature rised rapidly, much distilled liquor was run out, and much wood-gas was exhausted at 250-350&deg;C. The wood-gas was composed of CO<sub>2</sub> and CO for the most part at 150-300&deg;C, namely of about 60% CO<sub>2</sub> and 20-30 CO.
著者
芝本 武夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.261-269, 1943

(1) 河北省の臨楡縣北戴河に於ける花崗岩土壤・昌黍縣西關外新居に於ける〓岩土壤・〓縣馮家坎荘に於ける珪岩土壤・盧龍縣第一區第保五郷第49東菜園脇に於ける砂岩及び頁岩土壤の理化學的性質を明らかにし,夫等各土壤に生育せる造林木につき樹幹解析を行ひ其の生長状態を調べ,此の地方に於ける樹木の生長と土壤性質との關係を明らかにせんとした。<br> (2) 之等土壤の機械的組成は基岩の種類及び侵蝕等の關係により若干の差異が認められるが,多くは石礫及び粗砂並に細砂に比較的富み,微砂及び粘土の量は比較的少ない。(3) 腐植は著しく少く,從つて窒素も亦極端に缺乏してゐる。<br> (4) 粘土及び腐植の含量小なる爲,土壤は膠質性小にして,吸濕水分の量及び容水量共に小である。比重は腐植に乏しき爲比較的大である。<br> (5) 加里の含量は一般に大であるが,燐酸の含量は小なるものがある。即ち臨楡縣北戴河に於ける土壤は燐酸に乏しく,〓縣馮家坎荘に於ける土壤も亦比較的少ない。昌黎縣西關外新居に於ける土壤及燐酸含量最も大である。溶脱の程度の差によると考へられる。<br> (6) 土壤の反應は弱酸性乃至微アルカリ性である。<br> (7) 石灰含量は比較的小にして,一般に炭酸鹽としては存在しない。<br> (8) 之等土壤は非石灰質土壤で,アルカリ及びアルカリ土類溶脱せられ,殊に臨楡縣北戴河及び〓縣馮家坎荘の土壤に於て著しい。又土壤層全般に亙り燐酸が溶脱せられてゐる。即ち之等土壤は山東褐色土に屬するものと考へられる。<br> (9) 樹木の生育に對する關係から考察すれば,樹木の生長に對し制限因子として作用するものは水と窒素であると考へられ,窒素含量及び土壤の機械的組成が樹木の生長と最も密接な關係を示してゐる。尚時に燐酸が著しく過小なる場合がある様に考へられる。<br> (10) 之等土壤の肥培法としては先づ以て腐植の増加を圖り,土壤の膠質性を増大せしめることが肝要である。施肥の關係は其の後の問題である。<br> (11) 之等土壤が黄土に比し其の性質を異にする主要なる點は次の如くである。即ち機械的組成に於て之等は石礫・粗砂・細砂多く,微砂及ひ粘土少きに對し黄土では其の關係が逆であり,從て黄土に比し一層膠質性小である。燐酸及び加里の含量も比較的小である。更に又之等土壤の石灰含量は小で且つ炭酸鹽としては殆んど存在しないにも拘はらず,黄土では石灰含量著しく大で且つ炭酸鹽としても含有せられる。黄土は其の反應多くは微アルカリ性であるが,之等土壤には弱酸性を呈するものがある。
著者
芝本 武夫 南 享二 田島 俊雄
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.390-392, 1952

From the alcoholic extract of the fruit-body of Fomes pinicola Fr. fungus cere.brin, trehalosey, ergosterin were isolated.
著者
杉浦 孝蔵
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.106-109, 1961

1)本実験に用いた広葉樹については,樹種によつてさし木の発根,萌芽状態に著しい違いはあるが,概して広葉樹のさし木には春さしが適する5)6)7)9)。<br> 2)各季節を通して発根した樹種は,ノイバラ,コゴメウツギ,ウツギ,アオキ,ガママズミの5種である。このうちアオキ以外は一般に発根,崩芽の数量はほかの樹種に比較して優れている。<br> 3)発根の認められなかつた樹種のうち,コウヤボウキ,ヤマツツジ,ニガイチゴ,キブシ,アブラチヤン,ウコンバナ,ヤマコウバシの7種はそれぞれさし穂に着葉するものがあつた。
著者
徳重 陽山 清原 友也
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.193-195, 1969-07
被引用文献数
7
著者
越智 鬼志夫 片桐 一正
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.399-403, 1974
被引用文献数
2

幼齢林である高知県須崎市灰方と浦の内,和歌山県西牟婁郡串本町潮岬と老齢林である香川県高松市屋島の任意に選んだ枯損木から脱出した成虫の体の大きさ等を調査したところ,次のような結果を得た。1) 各測定値(頭幅,前ばね長,後ばね長,後たい節長,後けい節長,体重)の大きさは,平均値で幼齢林のものが小さく,老齢林のものが大きくなっているが,形状比(後たい節長/頭幅,後ばね長/後たい節長)は,ほとんど変わらない。2) 前ばね(さやばね)長は,モードでは老齢林のものが右に移行しているが,全体的にみた場合,右傾歪偏の型となっている。3) 体重は測定値の中で一番バラツキが大きかったが,老齢林のものほど重い個体が多くなっている。4) 後ばね長と乾体重の関係は,飽和型曲線となっていて,老齢林のものは体重の重い個体が多いので,幼齢林の延長線上にプロットされる個体が多くなっている。したがって,両者の比も老齢林のものが大きい。
著者
楢崎 康二 渡辺 敦史 冨田 啓治 佐々木 義則 白石 進
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.157-161, 1996-05-16
参考文献数
19
被引用文献数
3

ヒノキとサワラの自然雑種であるヒノキ精英樹の富士2号と, ヒノキおよびサワラの園芸品種を対象として, 核ゲノムのRAPD分析と葉緑体ゲノムのSSCP分析を行った。富士2号のRAPD分析の結果, ヒノキおよびサワラに種特異的なPCR産物(バンド)がともに検出され, このクローンは両樹種間の雑種であることがDNAレベルでも確認された。さらに, 葉緑体ゲノムのSSCP分析の結果, 富士2号の葉緑体ゲノムはヒノキ型を示し, この自然雑種は花粉親をヒノキ, 母親をサワラとする交配組合せによってできたことが明らかとなり, 両樹種間の交雑育種における新しい知見が得られた。また, ヒノキとサワラの園芸品種(5品種)の分析の結果, それぞれの種に特異的なバンドが出現し, これらがヒノキもしくはサワラの突然変異体であることが確認された。以上の結果から, RAPD分析やSSCP分析によって得られるDNA分子マーカーは, 種間雑種における親の交配組合せの決定および突然変異体の由来を調べる上で有用であることが明らかとなった。
著者
陳野 好之
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.369-374, 1975-11-25 (Released:2008-12-18)
参考文献数
22

1972年秋,カラスザンショウに発生した葉さび病菌Coleosporium xanthoxyli DIET. et P. SYD.の小生子を用いて数種のマツ属に人工接種を試み,クワマツ針葉で陽性の結果をえた。これによって従来不明であった本菌の異種寄生性が実験的に証明された。本菌の小生子はクロマツ針葉に感染後約2か月の潜伏期を経て幼若な柄子器を形成し,翌春3月下旬ごろ成熟して柄子を, 4月下旬~5月上旬銹に胞子をそれぞれ形成する。本菌の銹.夏胞子を用いた数種の中間寄主植物に対する人工接種によると,カラスザンショウにのみ陽性でサンショウ,フユザンショウおよびイヌザンショウでは陰性であった。カラスザンショウでは銹,夏胞子接種後約14日を経て夏胞子が約1か月を経て冬胞子が形成された。本菌は従来夏胞子および冬胞子のみが記載されていたが,本実験によって未記載の柄子と銹胞子の両世代を含めた全世代の生活史と銹胞子寄主範囲が明らかとなった。
著者
千葉 茂
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.286-289, 1953-09-25 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8

The changes in colouration of needles, green to reddish-brown, in the fall in Cryptorneria japonica are associated with decreases in chlorophyll, with occurrence of yellowish- or reddishbrown pigments in chloroplastens. From the results of chemical investigations, these pigments were determined as α-carotin, β-carotin and xanthphyll.In general, almost all the trees of Cryptomeria turn the dour of needles to reddish-brown (Red cloured type), but sometimes appear such individuals that needles are still green during the winter as the chlorophyll in chloroplastens remained unbroken (Green dour type).Crossing experiments were done between these two types and following results were obtained: (1) The colouring of needles was effected by genetical control. (2) The FI progenies, arisen from Red×Red and reciprocal crossing between Red×Green were all red coloured type. Green type progenies arose only from the crossing whithin Greens. (3) These results suggested that the gene which causes the changing the colour of needles is dominant (R) and that of green colour is recessive (r); (R) probably be complete dominance as shown in Fig. 1 and Table 1. (4) Dominant gene (R) probably causes the destruction of chlorophyll in chloroplastens and as this result the colouration of needles will appear by the occurrence of carotinoid pigments, recessive gene (r) did not not causes the destruction of chlorophyll during the wininter.
著者
黒田 吉雄 大沢 正嗣 勝屋 敬三
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.232-237, 1991-05-01
被引用文献数
2

Butt-rot fungi and decay patterns were investigated on 118 Japanese larch trees (Larix leptolepis (SIEB. et ZUCC.) GORD.), 74〜75 years old, located at the foot of Mt.Yatsugatake, Nagano Pref. Phaeolus schweinitzii (FR.) PAT., Sprassis crispa (WULF.) FR., and an unidentified basidiomycetous fungus (frequencies of isolation : 41,12,and 9%, respectively) were isolated from the trees, but no decay fungi were isolated from 38% of them. The decayed parts in the trunks were 0.9〜23.5cm (average 9.5cm) in diameters at the bases of the trees and were 6.7〜450.0cm (average 115.1cm) above the ground. The diameters and heights differed with the different butt-rot fungi. There was a correlation between the heights of the decay and the volumes of the decayed portions.
著者
大澤 正嗣 勝屋 敬三 竹井 博行
出版者
日本林學會
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.309-314, 1987 (Released:2011-03-05)
著者
大澤 正嗣 黒田 吉雄 勝屋 敬三
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.24-29, 1994

カラマツ高齢林における根株心腐病について富士山麓にて調査した。初めに84本の根株心腐病罹病木を用い,根元腐朽直径,腐朽高および腐朽体積の関係について調査し,次の関係式を得た。腐朽高=0.388+6.90×根元腐朽直径,腐朽体積=-1.90×10<sup>-3</sup>+0.848×根元腐朽断面積。被害実態について23カ所のカラマツ高齢林伐倒跡地を調査した。その結果,罹病率は平均23.4% (範囲3.6~61.0%) であった。上述した関係式を用い,計測した根元腐朽直径から根株腐朽体積を計算した。根株腐朽体積は調査木100本の合計で,平均0.898m<sup>3</sup> (範囲0.135~2.294m<sup>3</sup>) であった。病原菌分離の結果,この地域ではカイメンタケが主に被害を与えていることが明らかとなった。環境要因では,梅齢と傾斜度が根株心腐病の被害に影響を与えていた(腐朽体積=-1.02+0.0292×樹齢,腐朽体積=2.12-0.169×傾斜度)。土壌条件もまた被害に影響すると思われた。これらは長伐期施業を行ったカラマツ高齢林の被害の把握に役立つと思われる。
著者
大澤 正嗣 勝屋 敬三 竹井 博行
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.309-314, 1987
被引用文献数
2

長野県南佐久郡,筑波大学八ケ岳演習林,川上村有母樹林および国有林のカラマツ造林地よリカラマツ根株心腐病菌の分離をおこなった。供試149木本から病原菌を分離し,カイメンタケ (17%), レンゲタケ (7%), ハナビラタケ (7%) および新病原菌(未同定, 27%) を得た。本供試木61本からは病原菌が分離できなかった。新病原菌はこの地域のカラマツに大きな被害を与えている。本菌はレンゲタケによる腐朽と類似した立方体状褐色朽から一貫して分離されるが,立方体は小型で規則的に配列し,中期から末期腐朽部位には本菌の黒色の菌糸束がみられる。麦芽エキス寒天培地上で本菌は白色,のち淡黄褐色を帯びるコロニーを形成する。菌糸は多重クランプを有し,幅16μmまで,菌糸3~数十本からなる菌糸束を彩成する。カラマツ林内土壌にカラマツの杭を打つことにより土壌中の新病原菌を捕捉した。杭設置後6カ月目に本菌の黒色菌糸束が杭表面に付着しているのが観察され,本菌の土壌中の存在が確認された。本菌は土壌中に不均一に分布していた。