著者
Satomi Maruyama Aoi Kurokawa
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.Supplement, pp.S12-S22, 2018-07-01 (Released:2018-08-28)
参考文献数
25
被引用文献数
4

Objective: This study aimed to outline the operation of the Japanese school lunch system with reference to the cooking delivery system, operation organization, finances, and management resources, in addition to discussing the development of a sustainable school lunch system.Method: Laws and public notices, and general statistical surveys of the relevant government bodies and municipalities published on the Internet have been cited to enable foreign countries to utilize the discussed contents in the implementation of such programs in their country.Results: Japanese school lunches are systematized and operated under the guidance of the Board of Education of the Prefecture or designated city and the Board of Education of the municipality based on the laws established by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. The operation system has been developed to ensure continuous safety management to avoid health hazards owing to school lunch consumption.Conclusions: The School Lunch Act and many other laws and regulations related to the school lunch enabled the establishment of a sustainable system for the provision of school lunch in Japan. Japan employs a cooking delivery system in which designated personnel decide and establish an organized system according to specific guidelines. These factors helped construct this sustainable system.
著者
小林 奈穂 村山 伸子 石田 裕美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.41-50, 2015 (Released:2015-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】料理別と主食副食別の2種類の目測による摂取量把握を行い,これら2つの目測方法の妥当性の比較および料理区分別の目測値の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】サンプル献立として3日間の料理を作り,架空の喫食者モデル10名分の喫食状況を基に研究協力者が残菜トレーを作成した。管理栄養士養成課程4年生が判定者となり,判定者10名全員が全ての残菜を目測した。目測は料理別と主食副食別の2種類を実施し,実測として秤量を行った。目測方法は,提供前の料理と食事後の残菜を比較し,残菜量から摂取量を推定し10段階で評価した。【結果】目測値と実測値の相関は,ほとんどの料理区分で高い相関を示す判定者が多かったが,副食では他の料理区分と比べ低い相関結果となる判定者が多かった。目測値と実測値の差の検定では,主食や半固形状の主菜では目測値が有意に高い判定者が多く,乳製品や間食では目測値が有意に低い判定者が多かった。副食については,誤差の平均値は小さいものの,判定者によって誤差の有無や高低が違い,評価結果にばらつきがあった。また多くの料理区分で,食べ方が半分くらいあるいは少しの場合に目測誤差が大きかった。【結論】2つの目測方法の妥当性の比較結果およびその特徴が示された。主食副食別目測は,料理別目測と比べて実測との相関が小さく,判定者によって評価が異なることから,料理別目測よりも妥当性が低いことが示された。
著者
長谷川 いずみ 井上 喜久子 石井 恵子 樋口 満
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.59-66, 2000-04-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

高校スピードスケート部に所属する男子選手8人のビタミンB1及びビタミンB2の栄養状態を評価するために, ビタミンB1及びビタミンB2の摂取量調査と, 血液によるビタミンB1及びビタミンB2の栄養状態の指標を, 1年半の間に4回 (シーズンオフ, シーズンにそれぞれ2回ずつ) 分析した。いずれの調査においても, 1日当たりの平均ビタミンB1摂取量 (1.6~2.5mg) はビタミンB1の所要量 (生活活動強度III: やや重い) を上回っていたが, 数人の男子選手はその所要量レベル (1.3mg/日) よりも低かった。何人かの選手はTDP添加効果でみると不十分なビタミンB1栄養状態であり, スピードスケートのシーズン中はその割合が増加してくる傾向がみられた。平均のビタミンB2摂取量 (1.9~2.3mg) は, どの調査でもその所要量レベル (1.8mg/日) を上回っていたが, 何人かの選手の摂取量は所要量より低かった。シーズン中は2人の選手がFAD添加効果でみると, 不適切なビタミンB2を栄養状態であった。これらの結果は, 若いスポーツ選手が良好な血中ビタミンB1及びビタミンB2栄養状態を保持するためには, ビタミンB1及びビタミンB2をそれぞれの所要量よりも多く摂取する必要があることを示唆している。また, 若い選手のビタミンB1及びビタミンB2栄養状態を改善するためには, 個人対応の食事指導が重要であると考えられた。
著者
関根 豊子 高橋 裕子 井上 喜久子 樋口 満
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.79-86, 2001-04-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
32
被引用文献数
1

本研究では, 大学女子テニス選手及び一般学生を対象に, 水溶性ビタミン (VB1, VB2, VC) の摂取状況調査と栄養状態の評価を行った。テニス選手サプリメント摂取者は, 非摂取者, 一般学生よりも有意に多くエネルギーを摂取していた。サプリメントを摂取していないテニス選手, 一般学生ともに, VB1を「第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-」の基準量以上摂取していたが, TDP (チアミン2リン酸) 添加効果は境界域の値を示した。テニス選手サプリメント非摂取者の摂取量(mg/1,000kcal) とTDP添加効果の間には, 有意な負の相関がみられた。得られた回帰直線から, TDP添加効果が正常基準範囲の上限値 (18%) に相当する摂取量を求めると0.60mgであった。テニス選手サプリメント非摂取者, 一般学生ともに, VB2を「第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-」の基準量以上摂取しており, FAD (フラビンアデニン2ヌクレオチド) 添加効果は正常基準範囲の値を示した。また, テニス選手サプリメント摂取者は, VB1, VB2ともに基準量を大きく上回った摂取量で, それらの栄養状態も良好であった。VCの摂取量は, テニス選手サプリメント摂取者, 非摂取者とも「第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-」の基準量以上であったが, 一般学生は基準量をやや下回っていた。全対象者ともに血漿VC濃度は基準範囲であった。
著者
栁川 由布子 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.57-64, 2018-06-01 (Released:2018-07-11)
参考文献数
24

【目的】中学生の体格に関連する生活習慣を検討すること。【方法】2015年6月福島県教育委員会が県内公立中学校16校の中学2年生1,980人を対象に実施した「食生活に関するアンケ-ト」のデータを用いた。体格の判定は,肥満度≦-10%を低体重,-10%<かつ<10%を標準,≧10%を過体重とした。男女別に生活習慣を独立変数,従属変数を体格とし,χ2 検定と多項ロジスティック回帰分析を用いて検討した。【結果】1,904人(有効回答率96.1%)を対象とした結果,男子では食べる速さが速い者に低体重が少なく[オッズ比=0.57(95%信頼区間=0.33~0.97)],おやつの頻度が週4日以上の者に低体重が多かった[1.68(1.12~2.52)]。運動を体育以外しない者[2.48(1.47~4.18)],食べる速さが速い者に過体重は多く[1.59(1.02~2.47)],おやつの頻度が週4日以上の者に過体重が少なかった[0.42(0.26~0.67)]。女子ではおやつの頻度が高い者に低体重,テレビ等の時間が2時間以上の者に過体重が多かった。【結論】中学生の男子では食べる速さが普通・遅い,おやつの頻度が高いことは低体重,食べる速さが速い,おやつの頻度が低い,運動習慣がないことは過体重に関連していた。女子ではおやつの頻度が高いことと低体重,テレビ等の時間が長いことと過体重が関連していた。
著者
川端 晶子 澤山 茂 Palomar Lutgarda S.
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.289-299, 1985

フィリピンのメニュー・カレンダー (Your Regional Menu Guide) を資料とし, 要素技術連関解析の手法を用いて, 献立における調理素材と調理法の相互関係の解析を行い, 以下のような結果を得た。<br>1) メニュー・カレンダーに記載されている料理数は3,414件であった。食品の出現頻度の合計は7,732回であったが, 大別して, エネルギー食品群29.1%, 身体構成食品群24.1%, 機能調整食品群41.1%, その他5.7%であった。出現頻度の最も高い食品は玉ねぎで, っづいて, トマト, 植物油, 生鮮魚, にんにく, うるち米の順であった。<br>2) 調理素材の共出現頻度は, 玉ねぎとトマトが470回であり, 連関度は0.6752が求められた。つづいて, 玉ねぎとにんにく, 玉ねぎと植物油, にんにくと植物油, トマトと植物油, トマトとにんにく, 砂糖とココナッツ, 玉ねぎと生鮮魚の組み合わせの順であった。<br>3) 調理法の出現頻度では"煮る"が最も高く, つづいて"生","炒める","揚げる","焼く","蒸す"の順であった。"煮る"と連関度の最も高い食品はうるち米で, つづいて, 玉ねぎ, 生鮮魚, トマト, 砂糖, ココナッツの順であった。"生"ではバナナ,"炒める"では植物油,"揚げる"では生鮮魚,"焼く"でも生鮮魚, "蒸す"ではもち米が最も高い連関度を示した。<br>4) 総括してみるならば, 食料栄養研究所 (FNRI) は, フィリピンの食生活の背景となっている自然, 社会, 文化の諸条件もふまえ, 国民栄養調査の結果をきめ細かく分析したうえで, おすすめメニュー集をカレンダーにまとめ, 誰にでも解りやすく, すぐ役立つ栄養改善の効果をねらったものであるということができる。
著者
石田 裕美 菊池 正一
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.139-145, 1991
被引用文献数
1

成人女子8人 (21~25歳) を対象に, 強制選択3滴法と一対比較強制選択全口腔法を用いて, 塩化ナトリウム水溶液の検知閾値と認知閾値の測定を行い, 測定方法間の比較及び閾値の時刻による変動を検討した。<br>1) 滴下法による測定の幾何平均値 (標準偏差) は, 検知閾値10.3(2.8)mmol/l, 認知閾値28.6(1.9)mmol/l, 全口腔法によるものは, 検知閾値4.9(2.5)mmol/l, 認知閾値16.0(1.7)mmol/lとなり, 両閾値とも全口腔法のほうが有意に低値を示した。<br>2) 滴下法, 全口腔法ともに閾値の時刻による変動は認められなかった。<br>3) 閾値の個人差が認められ, 測定方法間の Spearman の順位相関係数は, 検知閾値<i>r<sub>s</sub></i>=0.92(<i>p</i><0.01), 認知閾値<i>r<sub>s</sub></i>=0.90(<i>p</i><0.01)と有意であった。また測定方法間に, 検知閾値, 認知閾値共通の回帰式<i>y</i>=1.0<i>x</i>-0.3が得られた (<i>x</i>, 滴下法; <i>y</i>, 全口腔法, ともに対数変換値)。<br>4) 方法別にみた両閾値の変動係数に有意差は認められなかった。
著者
赤堀 摩弥 藤浪 正子 川田 典子 佐藤 圭子 小嶋 由美 中村 美詠子 尾島 俊之
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.34-43, 2018 (Released:2018-05-12)
参考文献数
9

【目的】静岡県は他自治体と比較して脳血管疾患死亡率が高く,食塩摂取量も多い。そこで,脳血管疾患対策の1つとして,5年で5%の減塩を目指す「減塩55プログラム」に取り組むこととし,県民の食塩摂取状況の把握ができるチェック票を開発,減塩推進活動に活用することを目指した。【方法】静岡県保健所栄養士のヒアリングによる質的データ,静岡県民102人を対象とした24時間蓄尿データより推定した食塩排泄量及び食物摂取頻度調査票(短縮版)データ等に基づいて,チェック票を開発,さらに,特に減塩をすすめたい働き盛り世代を対象としたリーフレット「ふじのくに お塩のとりかたチェック」を作成した。【結果】チェック票合計点と推定食塩排泄量の間には,有意な正の相関(Pearson相関係数0.402)がみられた。チェック票より3段階にランク付けした場合,各群の平均推定食塩排泄量はおのおの 6.8 g,8.7 g,12.2 gであった。リーフレットは70,000部以上が希望のあった県内の健康保険組合,事業所,医療機関,県栄養士会,薬局,教育機関,保育所等に配布され,県内全ての市町,健康福祉センターで活用されている。【結論】本チェック票は食塩摂取の簡易なスクリーニング・ツールとして使いやすいものとなったため,現在静岡県内の健康教室,イベント等さまざまな場面で活用されている。今後も本チェック票を活用し,静岡県における減塩対策を進めていく予定である。
著者
岡村 吉隆 下井 亜希 藤田 和代 日沼 州司
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.27-33, 2018 (Released:2018-05-12)
参考文献数
16

【目的】本研究は新調理システムの加熱工程において,V.Cの変化が従来の調理法と比較すると,どの程度であるかを明らかにすることを目的とした。【方法】試料はいも及び野菜類7食品とした。フードプロセッサーで粉砕後,分取し水さらし及び冷凍,加熱によるV.Cを測定し残存率を求めた。加熱方法は蒸しと水煮とした。水煮は煮汁も含めて測定した。分析は2,4—ジニトロフェニールヒドラジン誘導体化法を用い,高速液体クロマトグラフで行った。【結果】生のV.C量を100とすると水さらしの残存率は全体で平均23.7±6.0%であった。生を一週間冷凍保存すると残存率の平均は94.7±3.5%であった。蒸し加熱の工程ごとの平均残存率は,加熱69.7±17.8%,加熱後冷凍62.9±15.8%,再加熱53.7±18.0%であった。水煮の平均残存率は加熱56.7±17.7%,加熱後冷凍52.2±17.2%,再加熱45.7±20.8%であった。スライスしたさつまいもは蒸し加熱99.9±1.6%,水煮加熱は84.5±1.8%であった。【結論】フードプロセッサーを用いて粉砕すると,水さらしの残存率は加熱より低かった。生の冷凍は損失が少なかった。加熱と再加熱では再加熱の損失は少なかったものの,新調理システムの加熱工程は,従来の調理法と比較するとV.Cの損失が大きかった。また,水煮加熱は煮汁中のV.Cを含めても残存率は低いことが示唆された。
著者
渡辺 シゲ
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.80-85, 1972

Surveys on relation of dining habit to General health condition were carried out by staffs of Kawasaki Health Center at three different times in 1970. Subjects of the enquêtes were workers of a department-store in Kawasaki City. This report showed a result of 794 women working in the department-store.<br>Over half of the women were under 25 years old. It was considered that the nutritional intake of the subjects in a day was not good according to the content of diet, especially in the group of taking no breakfast. One third of all subjects had habits of two meals a day without breakfast. It was found that 2-meal-group had more complaints of subjective symptoms and fatigue after standing work as sellers than 3-meal-group. And 2-meal-group took rather small kinds of diet although they answered that they took diet with sufficient consideration about health. Therefore it was not thought that they had a sufficient knowledge of nutrition.
著者
邱 昱 中山 玲子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.6-19, 2018 (Released:2018-03-12)
参考文献数
49

【目的】本研究は,中国都市部児童の身体状況と食習慣,食意識・食行動等及び,保護者の食知識・食意識等との関係を,主として肥満について明らかにすることを目的とする。【方法】中国広州市立小学校全学年の児童の保護者1,020人を対象に無記名自己記入式でアンケート調査し,有効回答814人のデータを用い,解析を行った。【結果】児童の身体状況について,肥満・過体重は約20%,軽度やせ・高度やせは約17%であり,女子はやせ傾向児,男子は肥満傾向児が有意に高かった。保護者は子どもの身体状況を適正に認識していなかった。また,身体状況と食生活との関連を検討した結果,児童の肥満と朝食欠食,夕食の不規則性,間食・清涼飲料水・ファストフードの摂取頻度の多さと有意な関連が見られた。身体状況と共食状況との関連を検討した結果,夕食孤食の児童は肥満の割合が有意に高かった。望ましくない食行動を持つ児童は肥満の割合が有意に高かった。また,排便習慣,運動習慣が良くない児童は,肥満の割合が有意に高かった。一方,保護者の食知識について,認知度は20%未満であり,父親より母親は有意に知識が高かった。保護者の食知識と食意識(料理中の注意点)とは有意な関連が見られた。食意識が低い母親より,食意識が高い母親の子どもは肥満の割合が有意に低かった。【結論】中国児童の肥満を予防するため,児童及び保護者に対する飲食・栄養教育を行う必要性が示唆された。
著者
力石 サダ 志賀 康造 金子 精一
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.377-382, 1996

自然農法と慣行農法によって栽培した米の品質について, 官能検査と機器分析によって検討し, 次の結果を得た。<BR>1) 官能検査結果は, 自然農法米は香りを除き, 外観, 味, 粘りの評点が慣行農法米を上回り, おいしい米と立証できた。<BR>2) 機器分析結果では, 自然農法米はアミロース, たんぱく質の値が小さく, このことは粘りのある食味のよい米であることを示していた。
著者
會退 友美 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.174-181, 2016

【目的】保育士と管理栄養士が連携し,スプーン・フォークと箸の正しい持ち方,食事中の正しい姿勢を身につけることをねらいとしたプログラムを実施し,その結果と課題を検討すること。<br>【方法】2014年4~9月,都内A保育所(0~5歳児:59人)にて,3~5歳児(32人)を対象に,食事のマナーに関するプログラムを実施した。プログラムでは,5歳クラスのみ,自分自身で振り返りを行うセルフモニタリングを行った。プログラムの評価方法として,対象児の保護者アンケート,保育士による観察記録,保育士へのインタビュー中のコメントからプログラムの課題を整理した。<br>【結果】プログラムに参加した子どもは,3歳クラス11人,4歳クラス11人,5歳クラス10人で,合計32人(参加率100%)であった。プログラムを実施した結果,食事中の姿勢,スプーン・フォークや箸の持ち方について,保育士から「まったくできない」と評価される子どもの数が少なくなった。また,保護者も子どもの前向きな変化を感じていた。保育士対象のインタビューにおいて,「子どもが楽しんで参加する様子がみられた」という肯定的な回答がみられた一方で,「子どもが飽きずに参加できるように教室の内容に変化をつける必要がある」など,いくつかの改善点があげられた。<br>【結論】プログラムに対する肯定的な意見が得られた一方で,プログラム内容でいくつかの改善点がまとめられた。
著者
坂本 達昭 細田 耕平
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.141-149, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
29

【目的】朝食の共食機会がほとんどない中学生の中で,QOL(Quality of Life)が良好な者の家族との食事のあり方の特徴を明らかにすること。【方法】2015年9月に福井県内中学校7校の中学2年生797名を対象に調査を実施し,762名より有効回答を得た。質問項目は,属性,家族との食事のあり方,家の食事の楽しさならびにQOLとした。家族との食事のあり方については,朝食および夕食の共食頻度,平日および休日の夕食の食事時間,食事中に家族が話を聞く程度,食事中に注意される頻度等をたずねた。QOLの測定には中学生用のQOL尺度(Kiddo-KINDLR)を用いた。朝食の共食機会が「ほとんどない」者を,対象者全員のQOL総得点の中央値でQOL高得点群およびQOL低得点群に2分し,両群の家族との食事のあり方を男女別に比較した。【結果】朝食の共食頻度がほとんどない者は300名であり,そのうちQOL高得点群は男子63名,女子56名であった。男女共にQOL高得点群はQOL低得点群と比べ,夕食の共食頻度が高く,食事中に家族がよく話を聞き,家族から注意される頻度が低く,家の食事を楽しいと感じている者が多かった。【結論】朝食の共食機会がほとんどない中学生において,夕食の共食頻度が高いこと,食事中に家族が話をよく聞くこと,家の食事を楽しいと感じていることは,QOLが良好な者の特徴であることが示唆された。
著者
松岡 友美 和木 千尋 重村 智栄子 市川 寛 浅野 弘明 東 あかね
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.126-134, 2011 (Released:2011-07-12)
参考文献数
22
被引用文献数
2

【目的】本研究は,地域の小学校区を介入地域と比較地域に割り付け,小学生の母親を対象に食事と運動の健康教育を実施し,介入の効果を評価することを目的とした。【方法】介入群に対しては12週間に食事指導,運動指導,グループワークを中心とした8回の健康教室を実施し,両群ともに教育前と9週間後に身体計測,体力測定,血液検査,食習慣,食品摂取頻度,運動習慣などの自記式アンケートを行った。22名(24.7%)の脱落者を除外した67名の参加者を解析対象とした(介入群32名,平均年齢±標準偏差(SD):39.6±3.8歳;比較群35名,平均年齢±SD:38.3±3.5歳)。【結果】ベースラインでは,介入群と比較群において30秒間椅子立ち上がり回数を除いて,身体特性や生活習慣に差はみられなかった。介入群では比較群と比べて,運動頻度(p=0.002),果物摂取頻度(p=0.002),野菜料理摂取頻度(p=0.002)が有意に増加した。体力テストにおいて30秒間椅子立ち上がり回数が有意に上昇した。【結論】地域における小学生の母親を対象とした健康教育が食習慣と運動習慣の改善に有効である可能性が示唆された。