著者
小暮 真奈 遠又 靖丈 周 婉婷 佐々木 公子 佐藤 佳子 青栁 友美 辻 一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.84-90, 2014 (Released:2014-05-30)
参考文献数
7

【目的】東日本大震災後における非常食対応マニュアルの実行状況と給食提供の早期再開との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】仙台市内の全認可保育所123施設を対象として,質問票を配布し,全施設から回答を得た。非常食対応マニュアルの実行状況について,概ね実行できたと回答した施設をマニュアルが「実行あり」と定義し,それ以外を「作成・実行なし」と定義した。アウトカム指標は震災発生(金曜日)後の翌平日である3月14日(震災発生後3日)までに給食提供を再開した施設を「給食早期再開」と定義し,マニュアルが実行ありの施設の給食早期再開のオッズ比を推定した。【結果】マニュアルが実行ありの施設は29施設(23.6%)であった。マニュアルが作成・実行なしの施設に比べ,実行ありの施設の給食早期再開の多変量調整オッズ比(95%信頼区間)は6.99(1.28~38.29)であり,マニュアルが実行ありの施設は震災後3日以内に給食提供をした施設の割合が多かった。なお,3日以内に保育所を再開した施設に限定しても結果は同様であった。【結論】非常食対応マニュアルが実行ありの施設では,震災後に給食提供を早期に再開した施設が多かった。以上より非常食対応マニュアルの給食早期再開に対する有用性が示唆された。
著者
宮崎 由子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.65-77, 2010 (Released:2010-09-10)
参考文献数
28
被引用文献数
1

摂食行動障害者の早期発見を行うために,393人の女子高校生および382人の女子大学生を対象に,健康状態,心理的特性および食習慣状況について調査した。その結果,(1)高校生より大学生の方が,摂食行動障害傾向者が多かった。(2)大学生より高校生の方がやせている者(BMI<18.5)および月経異常者が多かった。(3)心理的特性と食習慣状況では同じ傾向を示した。食習慣状況では,20%の学生は朝食を欠食し,そのうちの60%の学生は朝食を摂らずに間食で補っていることが判明した。また,女子学生の多くは計画的な食生活をしていないので,食教育を受ける必要性がある。次に,思春期女性を食事行動様式に従って,4グループ(健常者を含む)に分類した。大学生の摂食行動障害傾向者の割合は,44.5%(過食傾向者37.9%,拒食傾向者0.3%,両方の傾向者6.3%)で,高校生の摂食行動障害傾向者の割合は27.0%(21.9%,0.1%,5.0%)であった。拒食傾向者を除く3グループのBMI値は同じ傾向を示した(BMI=19~20)ので,外観や体型からでは健常者グループと摂食行動障害傾向者グループを判別することは出来ないことが分かった。また,幼児期の食物アレルギーが拒食傾向者に関与していることも分かった。4グループにおける心理的特性について因子分析した結果を,次のようにまとめた。(1)拒食傾向タイプ;やせ願望・体型不満・良い子意識,(2)過食傾向タイプ;やせ願望・自己否定・過食,(3)拒過食傾向タイプ;やせ願望・自己否定,体型不満,過食。摂食行動障害傾向者では,自尊心とうつ状態に強い正の相関関係を示した(r=0.7)。過食傾向者と拒過食両傾向者の約60%の者が月経異常者であった。反対に拒食傾向者は無月経症状を示した。さらに,自己否定者数と月経正常者数に負の相関関係を示した(r=-0.8)。(オンラインのみ掲載)
著者
原田 まつ子 加藤 栄子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.41-47, 1995

糖, Ca, Pの含有量の多いと思われる食品の摂取頻度と身体的・精神的健康状態の関連を明らかにするため, 中学生264人を対象に調査研究をし, 次の結果を得た。<br>1) チョコレート及びチョコレート菓子やコーヒー・紅茶などの摂取頻度から糖の摂取傾向が高いことが, 特に女子において認められた。牛乳, チーズなどのCa含有量の多い食品の摂取頻度は全体では低く, 女子は男子よりも低い。インスタントラーメン類は女子よりも男子の摂取頻度が高い。<br>2) 全体的傾向として, 身体的自覚症状は, 眠い, 授業中あくびがでる, 頭がおもいなど疲労感を中心にした訴えが多く, また, 精神的自覚症状は, 感情的になりやすい, いらいらするなどの訴えが多い。<br>3) 睡眠を8時間以上とっている女子は, コーヒー・紅茶 (33.3%) の摂取頻度が高く,"全身がだるい"(66.7%),"足がだるい"(55.6%),"かぜをひくと寝込む"(77.8%) 訴えが多い。朝食の欠食者は, 男子でインスタントラーメン類の摂取頻度が高く (42.1%),"気が散る"(73.7%) 訴えが多い。<br>4) 摂取頻度が高い食品と自覚症状との関係をみると,"ジュース"と"物事に熱心になれない"(男子),"清涼飲料"と"気が散る"(男子),"コーヒー・紅茶を飲む時の砂糖を入れる量"(男子) あるいは"チョコレートまたはチョコレート菓子"(女子) と"冬になるとよくかぜをひく","ハンバーガー"と"かぜをひくとせきが続いて治りにくい"(男子),"インスタントラーメン類"と"物事に熱心になれない"(男子),"ちくわ・かまぼこ・はんぺん類"と"頭がおもい"(女子) または"頭がぼんやりする"(男子) などの訴えがみられ, 一方,"小魚・ひじき・わかめ"の摂取頻度の高い生徒は"息苦しい"(男子) などの訴えが少ない。
著者
小川 久恵 松本 仲子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.183-189, 1982

ポテトサラダ料理などのためのゆで, 蒸し調理における馬鈴薯の水さらしの効果をみるために, さらし時間を0, 10, 30, 60, 150分に設定し, 馬鈴薯の品種, 調理法をかえて試験した。さらし水中のK, Naの測定, 加熱後の馬鈴薯のテクスチュロメーターによるテクスチャーの測定および官能検査を行って相異を分散分析により検討し次の結果を得た。<br>1) さらし水中の馬鈴薯から溶出するK, Na量は, さらし時間の経過に伴い増加する傾向を示すが, さらし時間の長短による有意な差は認められなかった。<br>2) テクスチュロメーターによる硬さ, 凝集性, もろさの測定結果は, さらし時間の長短による有意な差は認められなかった。<br>3) 官能検査における外観, 香り, あくっぽい味, ごりごり, ほくほく, べたつきといったテクスチャーおよび総合評価のいずれの項目についても水さらし時間の長短による有意な差は認められなかった。以上のことから, ポテトサラダ料理などのためのゆで, 蒸し調理においては, 馬鈴薯を水さらしする必要はないということができる。
著者
岡崎 光子 柳沼 裕子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.61-69, 2001
被引用文献数
3

食物の噛みごたえ量や食べ方, 保護者の食事づくりに対する態度などが, 幼児の咀嚼能力や歯の擦り減りとどのように関連しているかについて検討した。<br>1) 歯の擦り減りが観察された幼児は22.8%であり, むし歯や不正咬合が観察された幼児の割合より多かった。<br>2) 歯の擦り減りは4歳児より5歳児, そして1~2歳の頃にタオルしゃぶり癖のあった幼児に多かった。<br>3) 擦り減りは, 口腔機能の発達を考慮して離乳食を与えられたり, 現在, 手づくりの食事を心がけられている幼児に多かった。<br>4) 擦り減りは, 外食の多い幼児に少なかった。<br>5) 歯の擦り減りあり群の幼児の咬合力は, 擦り減りなし群に比較し, 大きかった。<br>6) 外食の少ない幼児, 市販食品の使用頻度の少ない幼児の咬合力は, そのような状況にない幼児に比較し大きかった。<br>7) 咬合力に影響を及ぼす食品として, いか (煮), 豚ヒレ肉, 油揚げ, ほうれん草が選出された。<br>8) 咬合力は, 食物繊維摂取量と有意な相関関係がみられた。<br>9) 母親の離乳食の与え方や食事づくり, 食事の食べさせ方に関する態度と食物繊維摂取量に関連がみられた。
著者
竹内 弘幸 岩﨑 あゆ実 大森 聡
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.76-83, 2014 (Released:2014-05-30)
参考文献数
29
被引用文献数
2

【目的】トランス脂肪酸(トランス酸)の摂取は,血清LDL-コレステロール濃度を増加させ,動脈硬化性疾患のリスクを高める。日本人を対象にしたトランス酸の摂取量調査および目標量(上限)に関する研究は,限られている。本研究では日本人成人女性におけるトランス酸摂取量の調査を行い,血清コレステロール濃度との関連について検討した。【方法】30~60歳代の日本人女性54名を対象に,3日間の食事調査を実施した。空腹時に採血を行い,血清脂質濃度を測定した。【結果】対象者のトランス酸摂取量の中央値は0.36%エネルギー(%E)であり,平均値は 0.40%Eであった。トランス酸摂取量の最大値は1.47%Eであり,1%Eを超えた被験者は1名だけであった。脂質摂取量とトランス酸摂取量との間に,有意な正の相関が認められた。血清LDL-およびHDL-コレステロール濃度とトランス酸摂取量との間には,有意な相関はなかった。【結論】本研究では,本研究対象者の日本人成人女性が摂取しているトランス酸量は1%E以下であり,この低レベル(%E)のトランス酸摂取では,健常人において血清コレステロール濃度に対して大きな影響を及ぼさない可能性のあることが示唆された。
著者
橋本 洋子 佐藤 陽子 中西 朋子 横谷 馨倫 梅垣 敬三
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.39-47, 2011 (Released:2011-03-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

【目的】健康食品やサプリメントの利用が普及する中,その利用は幼児にまで広がっている。幼児のサプリメント利用の判断は主に母親に委ねられている。そこで,本研究は,幼児を持つ母親の食や栄養,サプリメントに関する知識の実態とその情報源を把握することとした。【方法】2008年10月11日-2009年1月26日に6都県(青森,山形,茨城,埼玉,東京,千葉)の幼稚園および保育所に通う幼児の親1,844名を対象とし,自記式質問紙法によるアンケート調査を行った。回答者のうち母親1,050名を解析対象者とした(有効回収率55.7%)。【結果】幼児にサプリメント(錠剤やカプセル状)を利用させたことのある母親は9.5%であった。幼児を持つ母親は,5大栄養素の基礎的知識はよく理解していたが,特定成分の摂取量と生体影響の関係を踏まえた有効性や安全性に誤解が見られた。また,国が実施している健康食品に関する制度や栄養調査結果に関する知識が乏しかった。さらに,母親が栄養や食に関する判断を行う際,最も参考にしている情報源は,テレビ・インターネットであり,政府機関の発行物はほとんど参考にされていなかった。【結論】幼児を持つ母親は,栄養や食に関する基礎的な知識は持っていたが,公的な情報が充分に伝わっていない現状が明らかとなった。公的もしくは専門機関からの正しい情報の積極的な提供が必要と考えられた。
著者
新保 みさ 赤松 利恵 山本 久美子 玉浦 有紀 武見 ゆかり
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.244-252, 2012
被引用文献数
2

【目的】成人を対象とした体重管理の誘惑場面における対策について,ゲームを通して学習できるカード教材「ベストアドバイザーFORダイエット」を開発した。本稿では,カード教材の解説を行うとともに,保健医療従事者によるカード教材の評価を報告する。<br>【方法】2011年7月~10月に開催された市町村の保健医療従事者向けの研修会に参加した66名を対象にカード教材のゲーム式の使い方を実施した。ゲーム終了後に,質問紙を用いてゲームの感想や遊び方,体重管理の教材としての評価,属性をたずねた。また,質問紙の最後に意見や感想を自由記述で記載する欄を設けた。<br>【結果】解析対象者は62名(女性:57名,91.9%)だった。「ゲームは楽しかったですか」,「体重管理の教材として役立つと思いますか」という問いに対してそれぞれ57名(91.9%),49名(79.0%)が「とてもそう思う/そう思う」と回答した。自由記述では,指導者向け</TS><TS NAME="抄録">の教材として利用したいという意見があがった。一方で,教材や遊び方について,ルールや内容が難しいなどの改善すべき点もあがった。<br>【結論】体重管理の誘惑場面における対策に関する学習教材として,肯定的な意見が得られた。あげられた改善点をもとに,教材の見直しを行い,今後は一般成人を対象に実行可能性および教育効果について,検討をする必要がある。
著者
君羅 満 赤羽 正之 岸田 典子 沖増 哲
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.295-312, 1983

我々と生活環境を著しく異にする海外移住者の食生活を調査することによって, 食生活の変容プロセスを明らかにしようとする目的で, ブラジルに居住する日系人についての調査を計画し, 第1回目を1978年に南部の Rio Grande de Soul 州で実施した。<br>今回は, 1981年 São Paulo 州ジャカレイ地域の日系移住地である, サクラタカモリ, イタペチ, パラティ・ド・メイオに居住する167世帯を対象として実施した。<br>生活環境, 身体状況および食生活状況調査のうち, 使用食品数および, 入手方法などに視点をあて, 主として世代別・地区別の立場から分析, 検討し, その実態について考察した結果を要約すると次のとおりである。<br>1) 各世帯における1日の使用食品数は, 30~39が最も高い比率を示した。<br>2) 世代間による使用食品数の有意差はみられなかった。<br>3) 各地区間の朝・昼・夕食相互の使用食品数には有意差は認められなかった。<br>4) 昼・夕食の食品数は朝食に比べて, 著しく多く, 食事のウェートが昼・夕食におかれていることを示した。<br>5) 朝食で使用率の高い食品は, 砂糖・コーヒー・パンで, これはブラジルでの朝食の特徴を示す。<br>6) 昼・夕食で使用率の高い食品, また, 低い食品には, ほぼ類似の食品が出現している。このことは, 各世帯間に共通の食パターンの存在しているものと思われた。<br>7) 地区別・朝昼夕食別の食品使用率からみた出現順位間には, いずれも高い正相関関係が認められた。<br>8)"毎日消費する"食品で, I世では主として日本的食品に, II世ではブラジル的食品において有意に高かった。<br>9) 食品の入手状況については, 農業地域でありながら, 一般に購入食品が多く, しかも, 一部の食品を除いて購入率の高い傾向がみられた。これは, 各移住地がジャカレイ市に隣接し, 大市場をもつサンパウロ市の衛星都市圏内に位置していること, 換金作物を中心とした経営, そして, 農業経営がある程度安定し, 経済的にゆとりのある世帯が多いためと思われた。<br>10) 日本の農業地域に比べて, パン・砂糖・油脂・その他の野菜・肉類において摂取量が高く, 味噌・豆類・魚介類において低かった。
著者
韓 立坤 浅見 悦子 齋藤 雅人
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.77-81, 2008-04-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13

We investigated the effect of an aqueous extract of onion skin on pancreatic lipase activity in vitro. The aqueous extract from onion skin significantly inhibited the pancreatic lipase activity in vitro. Based on this result, we examined the effect of the aqueous extract from onion skin on the blood triacylglycerol level after the oral administration of a lipid emulsion to rats. The aqueous extract from onion skin at a dose of 125, 500mg/kg inhibited the elevation of blood triacylglycerol level compared with the control. In a longer-term experiment (25 days), we examined the effect of the aqueous extract from onion skin on the fat storage induced in mice by feeding a high-fat diet for 25 days. Intake of the aqueous extract from onion skin (125mg/ml) reduced the blood triacylglycerol level compared with the control. To identify the active substance in the aqueous extract from onion skin, we examined the effects of protocatechuic acid and quercetin on the pancreatic lipase activity in vitro. Protocatechuic acid inhibited the pancreatic lipase activity in vitro, but quercetin did not. Based on these results, we examined the effect of protocatechuic acid on the blood triacylglycerol elevation in rats orally administered with an oral lipid emulsion. Protocatechuic acid at a dose of 25, 250mg/kg inhibited the elevation of blood triacylglycerol compared with the control. These findings suggest that the intake of an aqueous extract of onion skin would be helpful to prevent postprandial triacylglycerol elevation.
著者
鈴木 洋子 星野 純子 堀 容子 長澤 伸江 前川 厚子 近藤 高明 榊原 久孝 岡本 和士
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.168-177, 2009 (Released:2011-05-26)
参考文献数
22

We investigated the relationship between the caregiver's meal and their fatigue by an analysis with a semi-quantitative food frequency questionnaire completed by the main caregiver. The 90 caregivers were 25 men and 65 women aged 20–80 years. They took care of patients at home who required more than level 3 care or who suffered from cognitive dysfunction. Adjusted for sex and age, neither the intake of grain nor of fish and meat, which were the main food groups in respective grain meals and fish and meat meals, was significantly correlated with the caregiver's perception of fatigue. On the other hand, the correlation between caregiver's fatigue and the intake of bean and seaweed food groups was significant (p < 0.05) or non-significant (p < 0.1). Elucidation of the most appropriate type of food for the principal meal will be necessary to minimize the perception of fatigue by the caregiver.
著者
鈴木 亜紀子 吹越 悠子 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.282-289, 2013 (Released:2013-11-08)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3

【目的】非肥満者の生活習慣病予防のために,長期的な体重増加があると回答した非肥満者の食習慣を検討する。【方法】2009年度,特定健康診査を実施し,自記式の標準的な質問票に回答したA健康保険組合員の被保険者または被扶養者3,342人(男性1,614人,女性1,728人)の横断的データを用いた。性別,年齢の他,標準的な質問票に含まれている食習慣(6項目),長期的な体重増加(1項目)を用いた。Body mass index(BMI)25 kg/m2 を基準に肥満群と非肥満群の2群に分け,肥満群と非肥満群のそれぞれで,体重増加の有無を従属変数とした単変量と多変量解析によるロジスティック回帰分析を行い,食習慣との関連を検討した。【結果】全体の肥満群は694人(20.8%),非肥満群は2,648人(79.2%)であり,20歳時からの体重増加がある者は,2,228人(66.7%),ない者は1,114人(33.3%)であった。体重増加がある者の48.9%が非肥満であった。体重増加に関連する食習慣は,非肥満群の男性では,夜食(オッズ比(OR)=2.18,95%信頼区間(95%CI)=1.37~3.46)であり,女性では遅い夕食(OR=1.69,95%CI=1.12~2.58)であった。肥満群は男女とも,遅い夕食(男性:OR=2.24,95%CI=1.24~4.08;女性:OR=3.26,95%CI=1.51~7.05)であった。【結論】現在,非肥満者であっても,長期的な体重増加があると回答した者は,現在の食習慣が望ましくない者であった。具体的には,非肥満者の男性では夜食,女性では遅い夕食が,長期的な体重増加に関連していた。
著者
小柳津 周
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.307-315, 1986 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17
被引用文献数
2932 4930

グルコサミン塩酸塩を遊離形にし, 37℃インキュベーターで0日から30日間放置褐変した褐変グルコサミン (BGA) の抗酸化性, 還元力, 褐変度, アミノ糖の残存量, pH, 水分量, 全窒素量を, 放置0日から5日間は毎日, 以後5日間の間隔で30日間測定した。一方, 0, 15, 30日間放置褐変したBGAをセファデックスG-15で分画し, 抗酸化性, 還元力, 褐変度, pHについて測定して, 次のような結果を得た。1) 遊離グルコサミンは, 3日間放置後より白色粉末状から褐色ペースト状に急激な変化を示した。2) 最も強い抗酸化性は, 25日間と30日間放置褐変したBGAで認められた。3) BGAのリノール酸に対する抗酸化性は, 褐変度と深い関係を示した。4) 長く放置褐変したBGAは, 分子量が比較的高い領域の褐変生成物質と, 比較的低い領域の褐変生成物質に分画された。5) 長く放置褐変したBGAでは, 高分子の褐変生成物質のフラクションと, 低分子の褐変生成物質のフラクションの中間フラクションに抗酸化性を認めた。
著者
新宅 賀洋 千須和 直美 小橋 麻衣 田中 都子 木村 美佳 春木 敏
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.145-154, 2013 (Released:2013-07-09)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

【目的】A府B市C校区では,2010年度より開始された国土交通省の「高齢者等居住安定化推進事業」の支援を受け,運営されている地域レストランがある。レストラン調製弁当の喫食ならびに食と運動の健康講座参加と会食を通じて,食生活状況および高齢者の精神的・身体的健康の状況を把握し,地域レストランと連携した高齢者の食生活支援プログラムにおける介護予防の有用性を検討した。【方法】事前に研究趣旨を説明し同意の得られた男性19名・女性30名の高齢者(65歳~92歳)49名が,会食群22名(3食喫食/週,講座への参加と会食),配食群14名(弁当の配食,3食/週),対照群13名に分かれて10週間のプログラムに参加した。各群とも参加前・参加後・終了1ヵ月後に,老研式活動能力指標,主観的幸福感などの自記式による質問紙調査を行い,食事バランス管理・運動の自己管理にはTAKE10!を用いた。【結果】会食群ではプログラム参加後,主観的幸福感が有意に高くなり,食品の多様性を心がけている者は,主観的幸福感が高いことおよび食生活満足度に正の相関がみられた。【結論】高齢者に対する10週間の地域レストランを活用した食と運動の健康講座は,他者との交流や会食によって主観的幸福感が高くなるという精神的健康の改善を促し,高齢者の介護予防の一助となることが示唆された。
著者
坂本 達昭 春木 敏 吉本 優子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.67-75, 2013 (Released:2013-05-23)
参考文献数
22

【目的】教科学習における食に関する指導の進め方について解説したWeb教材「先生のための食育教室」を開発し,その利用可能性を検討した。【方法】大阪府下の小学校でチームティーチング形式により実施された教科学習における食に関する指導について解説したWeb教材を開発し,教諭・栄養教諭および栄養教諭免許取得をめざす学生の視聴により評価を試みた。評価アンケートは,①画面レイアウト,操作性等の技術面,②学習意欲を高めるためのARCSモデルによる注意,関連性,自信,満足感の4項目,③教材としての有用性の側面についてたずねた。併せて自由記述による意見を求めた。【結果】教諭19人,栄養教諭12人,学生84人がアンケートに回答した。技術面およびARCSモデルの4項目に関する問いに,教諭・栄養教諭および学生は,それぞれ80%以上が肯定的に回答した。教材の有用性に関して「教科学習における食に関する指導を実施するために役立つ」という問いに教諭・栄養教諭の77.4%が「そう思う」と回答した。「教科学習における食に関する指導の進め方について知ることができた」という問いに学生の96.4%が肯定的に評価した。他方,自由記述による意見からスライド送りやナレーションの速さ等の改善点が挙げられた。【結論】評価結果から当教材は,教諭・栄養教諭ならびに栄養教諭をめざす学生向けの教材として利用可能であることが示唆された。
著者
小島 唯 阿部 彩音 安部 景奈 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.86-93, 2013 (Released:2013-05-23)
参考文献数
13
被引用文献数
8 4

【目的】学校給食の食べ残しと児童の栄養摂取状況との関連を検討すること。【方法】2009年5~6月,東京都公立小学校に通う5・6年生の児童112名を対象に,給食の食べ残しに関する自記式質問紙調査と残菜調査を実施した。残菜調査は,対象者一人につき2回ずつ行い,延べ人数のデータを用いた。残菜調査の結果から,食べ残しの有無により,残菜率0%の児童を完食群,それ以外の児童を残菜群とした。この2群の栄養摂取量の中央値の差について,一般化推定方程式(generalized estimating equation: GEE)を用いて検討した。解析対象の栄養素等は,エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物,ミネラル5種,ビタミン4種,食物繊維とした。【結果】延べ人数で,218名分の残菜データを得た。そのうち,男子104名(47.7%),女子114名(52.3%)であった。全体で,残菜群が80名(36.7%),完食群が138名(63.3%)であった。残菜率は0.2%~84.3%の間に分布していた。残菜群と完食群のエネルギーの中央値(25,75パーセンタイル値)は,各々 562(435,658)kcal,715(699,715)kcalであった(p<0.001)。また,ビタミンCの中央値(25,75パーセンタイル値)は,残菜群で 26(16,35)mg,完食群で 41(41,47)mgであった。同様に,その他すべての栄養素等で差がみられた(すべてp<0.001)。【結論】残菜群のビタミンCを除く栄養摂取量は,完食群に比べて2~3割少なかった。残菜群のビタミンC摂取量は,完食群に対して4割程度少なかった。
著者
坂本 達昭 八竹 美輝 春木 敏
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.76-85, 2013 (Released:2013-05-23)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

【目的】担任教諭を主体とした4学年社会科および総合的な学習の時間における食に関する指導を実施し,その実施可能性と学習成果を検討した。【方法】2012年6月から7月に,大阪府下の公立小学校4学年児童106名を対象として,社会科「くらしとごみ」および総合的な学習の時間「環境について考えよう」における食に関する指導を実施した。社会科および総合的な学習の時間のねらいに加え,食べ物を大切にする態度を形成し,残さず食べる自己効力感を高め,給食を残さず食べる行動形成をねらいとした。前後比較デザインにて実施し,授業時の児童のワークシート記述内容および学習前(5月),学習直後(7月),学習終了2ヵ月後(9月)に実施したアンケート,残さず食べる行動形成の指標とした給食の月間残食率から学習成果を検討した。【結果】ワークシート記述には,残さず食べようとする意欲や,給食を残さず食べる行動形成に至った記述が多くみられた。アンケート結果より,嫌いな食べ物がある時でも残さず食べる自己効力感は,学習直後,学習終了2ヵ月後に有意に向上した。学習前の残食率に比べ,学習期間(6・7月),学習終了2ヵ月後(9月)の残食率は低値を示した。【結論】栄養教諭配置校において本研究の授業は実施可能であり,学習により児童は残さず食べる自己効力感を高め,残さず食べる行動形成を経て,学習後も給食を残さず食べる行動を維持した。