著者
豊倉 穣 本田 哲三 石田 暉 村上 恵一
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.153-158, 1992-02-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
11
被引用文献数
7 5

注意障害に対する訓練として,SohlbergらのAttention process trainingを日本語訳し,原版よりその手技を簡便化したうえで外来患者の家庭訓練に用いた.注意障害を有する脳障害患者の慢性期2症例で施行した結果,注意障害評価法としての机上テストで改善が認められ,日常生活上,社会生活上にもその効果が示唆された.以上よりAPTは認知リハビリテーションの一手技として有効である可能性が示された.
著者
岩田 学 近藤 和泉 細川 賀乃子
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.880-887, 2005 (Released:2006-09-22)
参考文献数
35
被引用文献数
1

It has been generally considered that physical fitness is represented by exercise performance under aerobic conditions. However, we are often required to exert highly powerful movements momentarily or within a few seconds in daily life. Therefore, when we evaluate physical fitness, it appears important to evaluate physical fitness not only under aerobic conditions, but also under anaerobic conditions, with the latter being represented by maximal muscle power. In the daily living of people with physical disabilities, whether or not they can achieve a specific activity (for example, standing up, getting up from the floor and sitting down, etc.) is considered to depend on their performance under anaerobic conditions rather than under aerobic conditions. The Wingate anaerobic test (WAnT) has been developed as one of the most precise tests to evaluate anaerobic exercise performance. The WAnT, established at the Wingate Institute in Israel in 1970s, is a test incorporating bicycle riding with a maximal effort for 30 seconds. An ergometer with equipment to load an examinee with a constant resistance from a suspended weight is used in this test. The WAnT is measured as the changes in mechanical power that are yielded by multiplying the resistance produced from a suspended weight by the rotation speed of pedaling during a period of 30 seconds. The WAnT has not been usually applied so far to disabled people due to some technical problems. However, we have been improving the test to overcome those problems so that we can adopt the WAnT in the field of rehabilitation. We expect that this modified WAnT would contribute to a comprehensive evaluation of physical fitness in people with disabilities.
著者
岡本 隆嗣 橋本 圭司 大橋 正洋 中地 照子 石井 明美 宮野 佐年
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.678-685, 2004-10-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
16
被引用文献数
5 6

当院で入院の多数を占める脊髄損傷,脳外傷,変形性股関節症患者のHRQOLおよび費用対効果を,EuroQOLを用い調査した.対象は2003年7月~12月に30日以上入院し,質問が理解可能で,重度の合併症がない111名である.調査内容は(1)入退院時FIM,(2)入退院時EuroQOL,(1)5項目法(5 Dimension,以下5D),(2)視覚評価法(Visual Analogue Scale,以下VAS),(3)5Dで問題がある人の割合,(3)費用効用分析,とした.結果は,脳外傷・脊髄損傷はFIMが有意に改善し,5D・VASは,3疾患とも有意に改善した.5D各項目では,脳外傷・脊髄損傷は各項目とも全体的に問題を感じている人の割合が減少し,変形性股関節症では,特に痛み・不安の項目で減少がみられた.診療報酬より算出した入院中の医療費は,脳外傷146.2±50.4万円,脊髄損傷182.2±79.0万円,変形性股関節症138.9±40.7(手術料含むと285.6±71.1)万円であった.患者の状態が退院後も変化しないと仮定した場合の1質調整生存年(Quality adjusted Life Year;QALY)獲得のための医療費は,脳外傷43.1±12.4万円,脊髄損傷42.5±55.1万円,変形性股関節症47.8±48.7(手術料含むと93.2±84.7万円)であった.本調査で,リハビリテーション前後での効用値の有意な増加を確認することができ,3群とも費用効果ありと考えられた.
著者
園田 茂 椿原 彰夫 田尻 寿子 猪狩 もとみ 沢 俊二 斎藤 正也 道免 和久 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテ-ション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.p217-222, 1992-03
被引用文献数
8

入院リハビリテーションを施行した脳血管障害患者(入院時61名,退院時49名)を対象に,FIMおよびBarthe1 Index (BI)によるADL評価を行った、FIMの合計点とBIの合計点の間の回帰係数は0.95であり,FIMはBIと同程度に妥当な評価表である可能性が示唆された.BIの満点に対応する回帰直線上のFIM合計点は満点には至らず,FIMはADLが自立に近い患者におけるリハビリテーションの余地を示しやすいと考えられた.さらにFIMの各項目ごとに,それぞれを従属変数として重回帰分析を行った.独立変数にはFIMのコミュニケーションと社会的認知の項目の合計点(認知合計),Brunnstrom stage等を用いた.入院時のADLには認知合計の寄与が大きく,退院時には麻揮の寄与が大きかった.
著者
長尾竜郎 姫野 信吉
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハ医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-42, 1983
被引用文献数
1

今回筆者らは, ADLテストのより高次の尺度化を目的とし, 一般人52人のADLおよびAPDL11項目についての価値序例の調査・分析を行った.その結果, 1)一般人の中に, ADL, APDL各項目を一元的に序列化しうる総合的な価値観があることが証明された.2)序例の内容については, ほとんどの回答者でトイレ, 食事など生命維持的動作, 意志伝達が上位;入浴, 整容など家庭内動作, 仕事が中間順位;APDLが下位を占めるパターンであった.全回答者の平均値でも, 大局的には同様であるが, 中間順位において多少の性差, 年齢差があった.即ち, 男子では仕事, 女子では入浴の価値が相対的に高かった.3)以上の結果を用いて, ADLおよび APDL11項目の妥当な重みづけと距離尺度的な総合評価点, 等について検討した.
著者
佐藤 貴子 町田 隆一 大塚 功 原 寛美
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.620-624, 2006 (Released:2006-10-26)
参考文献数
12

急性期脳卒中リハビリテーションでのラクナ梗塞の治療成績について調査した.対象は2004 年1 月から2005 年5 月までに当院へ入院し,リハビリテーション科へ入院あるいは経過で転科し,急性期リハビリテーションを実施した急性期ラクナ梗塞患者51例で,電子カルテより後方視的に調査した.その結果,患者全体の平均在院日数は31.9±15.6日であった.入院時のmotor FIM平均は41.0±18.4 点で退院時のmotor FIMの平均は68.7±19.9 点,motor FIM gainの平均は,27.7±15.3 点で,motor FIM gain/dayは1.3±0.9であった.ADLは,入院時は82%がmodified Rankin Scale(mRS)4以上の症例であったが,退院時はmRS3以下86%の歩行獲得率であった.退院時の転帰は51 例中43 例(84%)が自宅退院,残り8 例が回復期リハ病棟へ転院という結果であった.今回の調査から,ラクナ梗塞では早期にリハビリを処方し離床開始を実施することで約1 カ月の入院期間で歩行獲得および自宅復帰までが十分可能であると推察された.
著者
山内 秀樹 米本 恭三
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.212-217, 1997-03-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
15
被引用文献数
4 3

廃用後の適切なリハビリテーションに関する基礎的資料を得ることを目的とし,活動制限解除後の筋機能の回復に及ぼす等尺性運動の効果を若齢期と老齢期において検討した.若齢,老齢期ともに活動制限に伴いヒラメ筋重量,最大張力,単収縮の収縮・弛緩時間の減少が認められた.活動制限解除後の最大張力の回復は若齢期と老齢期で差がみられず,また最大張力の回復に及ぼす運動の効果も認められなかった.一方,収縮・弛緩時間の回復は若齢期に比べ老齢期で遅延し,運動により促進される傾向が認められた.以上の結果は老齢期における廃用後の筋機能の回復に対するリハ訓練の重要性を示唆する.
著者
石田 暉 加藤 俊一 林 克郎 神内 擴行 及川 由香
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-19, 1991-01-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

骨髄移植は,従来の薬物療法で効果がないとされる重症の白血病等に対して選択される治療法である.しかしながら,その治療結果として,心臓,肺,筋骨格,神経系等の多臓器にわたる身体的問題点や,ICU症候群等の心理的問題点を生ずることとなる.これらの諸問題に対し著者らは1983年より41例の骨髄移植後の患者に対し,impairment,disabilityに留まらず,handicapも考慮した幅広いリハビリテーションアプローチを導入し,良好な結果を得た.今後は他の臓器移植後の患者に対しても総合的なリハビリテーションアプローチは広く応用されるものと考える.
著者
山崎 裕功
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.29-33, 2005-01-18

脊髄損傷者は,受傷後,症状が固定化すると,公的に身体障害者として認定され,障害年金受給者として社会生活することになる.しかし,働くという視点でみると,受傷前の職業に復帰できるものは,軽症か,特別待遇にあるもの,雇用基盤の良好な労災事故被害者など,ごく一部に限られ,自然の流れで就労できる人は,殆どない状態である.また,職場復帰できた場合でも,そこには,職場環境や勤務形態を変えてもらったり,雇用サイドや周囲の人達の理解や善意があって初めて可能となっている.このように,脊髄損傷者の場合,受傷後は大半が失職してお
著者
市川 徳和 江口 寿栄夫
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.163-167, 1987-05-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
12

広い意味での脳損傷児という概念に立って水頭症を合併せる二分脊椎児と脳性麻痺痙直型両麻痺児に対して,認知・知覚-運動障害を心理学的検査にて調査した.二分脊椎児9例,脳性麻痺児19例で年齢は6~15歳である.検査は田研・田中Binet知能検査,WISC-R知能検査,Frostig視知覚発達検査,Bender-Gestalt検査の4種類を全例に施行した.精神発達遅滞を思わす症例を除いても高頻度に認知・知覚-運動障害を両者に合併していたが,脳損傷児の小児リハビリテーションを進める上で重要な点と考える.