著者
住田 幹男
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.282-291, 2000-05-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
41
被引用文献数
1

Recent advances in rehabilitation process have resulted in shorter length of hospital stay and better functional ability for the spinal cord injured patients. The incidence of spinal cord injury in the elderly population is much higher in Japan when compared with other western countries. The mortality rate of the spinal cord injured patients aged 60 years and over is six times as high as that of the general elderly population. The leading causes of death in post injury period are pulmonary disorders and sepsis instead of urinary disorders that were prevalent in former decades. There have been many reports that the elderly patients have poorer prognosis than their younger counterparts. In order to reduce the mortality rate and to improve poor prognosis, we have to pay more attention to pulmonary disorders in the same way as we have done to urinary disorders. The discharge rate to nursing homes is several times as high for the elderly as compared with younger patients. We have to organize a comprehensive long life care system for the elderly group in the community.
著者
伊東 元 橋詰 謙 齋藤 宏 中村 隆一
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.164-165, 1985-05-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
7
被引用文献数
11 3

健常男性20名に最大速度で歩行を行わせ,速度,歩幅,歩行率と大腿四頭筋の最大等尺性収縮トルク(MVC)およびMotor time(MT,急速膝伸展時の筋活動開始から運動開始までの潜時)との連関を検討した.速度の有意な決定因は体重,MVCで,体重が軽くMVCが大きいと速度が速かった.速度は歩幅,歩行率と正の相関を示すが,歩幅と歩行率との間には負の相関があった.この歩幅と歩行率の両者にとって有意な決定因はMTで,MTが短いと歩幅は大きくなり,MTが長いと歩行率は大きくなった.
著者
猪飼 哲夫 米本 恭三 宮野 佐年 小林 一成 福田 千晶 杉本 淳 安保 雅博
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.569-575, 1992-07-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
32
被引用文献数
10 9

脳卒中片麻痺患者にともなう肩関節亜脱臼の座位におけるX線学的評価を行い,経時的変化について検討した.骨頭下降率とAHI(肩峰骨頭間距離)比の間には有意の相関を認めた.胸椎部の側弯は亜脱臼群の約4割に認められ大多数は麻痺側凸を呈していたが,肩甲骨の下方回旋はわずか1例のみであった.肩関節痛とROM制限は亜脱臼群に多く,6ヵ月以上経過した症例に特に多く観察された.初診時にBrunnstrom stageがIII以上の症例に,また片麻痺の回復によりstageが上がってくる症例に亜脱臼が改善する傾向が認められた.亜脱臼が改善する症例が存在することは,早期の亜脱臼に対して,ポジショニングや筋促通の必要性が示唆された.
著者
山永 裕明 中西 亮二 今村 重洋 出田 透 浅山 滉
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.79-85, 1985-03-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
22

被殻出血患者33例についてCT所見を中心として上肢,歩行機能,失語症,ADLについて予後の検討を行った.その結果,(1)実用手に15.1%しかならず上肢機能の予後は悪かった.(2)57.6%が独歩となり,観血群で38.5%,保存群70%と後者が有意に独歩になりやすかった.(3)独歩群の年齢は52.5±12.4歳,非独歩群は60.6±6.7歳で前者が有意に年齢が低かった.(4)観血群では,独歩群39.6±12.7歳,非独歩群59.9±6.2歳で前者が有意に年齢が低かった.(5)尿失禁があると有意に独歩率が低かった.(6)27.2%に失語症を認めた.(7)ADLと移動能力の間に有意の相関を認めた.(8)CT上,内包後脚に影響ない例の予後は良好だが,他はCTのみで予後判定は困難であった.
著者
千野 直一 園田 茂 道免 和久 才藤 栄一 木村 彰男
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.119-125, 1994-02-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
13
被引用文献数
81 171

脳血管障害による機能障害は多岐にわたっているために,多面的かつ簡便な機能評価法は少ない.ここに提唱するStroke Impairment Assessment Set (SIAS)は日常臨床で用いる理学・神経学的診断法を主体として,機能項目別に単一手技(single-task assessment)にて評価し,機能段階は0点から3,あるいは5点法とするものである.評価項目には運動機能,筋緊張,感覚,ROM,痛み,体幹,視空間認知,言語機能,健側肢機能を含む.また,レーダ・チャートにて脳卒中患者の各機能障害の程度を一瞥でとらえることもできる.統計学的に検者間の信頼性にも問題がなく,リハビリテーション医療での応用は広いものと考える.
著者
前田 真治 岡崎 健
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.231-236, 1982-07-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
12

従来,慢性関節リウマチ(RA)患者のsystemic index (Lansburyの方法)のgrip strengthを測定する際に成人用水銀血圧計の圧迫帯(cuff)のゴム袋を正確に2回折りたたんだ大きさ8.5×14.0cmのカフを用いて,あらかじめ20mmHgになるように脹らませたものを力一杯握りしめ左右の手で3回試み,その最高値平均をもって握力記載値としていたが,日常外来診察時のような場合は,やや小さめの6.5×14.0cmのカフのような日本人の小さな手に合った大きさを用い,測定間隔を30秒以上あけ,リウマチによる変化を認める手について左右を2回ずつ測定し,その左右各々の最高値,あるいは全体の最高値を測定値とするのが良いと思われた.
著者
鳴海 章人 川手 信行 水間 正澄 北川 寛直 丸加 由紀子 森 義明
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.467-470, 2000-07-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
10

We report rehabilitation of a 73-year-old male who was living alone, and had bilateral legs palsy due to rhabdomyolysis caused by falling asleep with his legs in a crossed leg sitting posture. He was found to be in a complex position of a crossed leg sitting posture and in a prone position; he was transported to an emergency center. He had bilateral legs palsy, muscles atrophy and sensory disturbance. His laboratory data showed increase in serum creatine kinase, creatinine, blood urea nitrogen. A diagnosis of acute renal failure caused by rhabdomyolysis was made, and haemodialysis was instituted. At the beginning of his rehabilitation, he could not sit up and stand up from the bed due to bilateral legs palsy. We attempt to increase his legs muscle strength by physical therapy: siting up exercise, standing up exercise. Three months later, he could sit up, stand up from the bed, and walk in the parallel assist-bars. We considered that rhabdomyolysis caused by compression to his lower limb as crossed leg sitting for a long time (compartmental syndrome), due to difficulty in shifting his posture. And we have to care the patients who have been difficulty in shifting posture due to hemiplegia, dementia, sensory disturbance, living alone, as they might be rhabdomyolysis caused by compartmental syndrome with improper body posture for a long time.
著者
田村 耕成 久保田 一雄 倉林 均
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.34-37, 2001-01-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
10

水治療の対象者は血栓性疾患の危険因子を有する場合が多い.水浴と血栓性疾患との関連性を研究する目的で,入浴負荷可能な健常成人男性10例を対象として40℃20分浴と42℃10分浴の血小板および凝固線溶系に及ぼす影響を検討した.40℃20分浴では組織プラスミノーゲン活性化因子抗原(tPA)が増加し,プラスミノーゲン活性化因子インヒビターI抗原(PAI-I)が減少する傾向が,42℃10分浴ではHt,tPA,PAI-Iが増加する傾向が見られたが有意な差ではなかった.血小板に対する影響はなかった.以上の成績から40~42℃の水温による水治療は血小板および凝固線溶系には影響を与えないと考えられた.
著者
長谷川 寿美玲 橋本 郁子
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, 2003-03-18

脳血管障害後に運転したい患者は多いが,身体的,高次脳機能,社会的な問題がある.AT車,左へのアクセルの変更に不慣れで事故をおこしやすい.問題のあった5症例を紹介し,通院に自分で運転している患者12名のアンケートで問題点を検討した.2002年6月から道交法の改正で適性検査や診断書の提出などが求められるようになったが,左側失認,痴呆など高次脳機能障害について医療からの情報が公安委員会や教習所に必要と考える.
著者
前田 真治 長澤 弘 平賀 よしみ 頼住 孝二 古橋 紀久
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテ-ション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.p191-200, 1993-03
被引用文献数
10

脳内出血・脳梗塞の発症当日の治療として従来から安静臥床がなされているが,安静臥床による筋力低下・起立性低血圧などは,リハビリテ-ションを遅らせる要因となる.そこで,発症当日から座位・立位・歩行訓練などを試みた結果,体幹機能は対照群と比較して有意に維持でき,その後の機能予後も比較的良好なことを認めた.一方,自覚症状が訴えられない患者やII桁以上の意識障害で従命ができない患者は,安全管理の面から訓練不能であった.また,発症後数日間以上安静臥床させた群との比較でも再発・進行率には有意差はなかった.さらに最終到達運動機能については,不可逆的な廃用症候群が生じる前に訓練が始まれば差はないと考えられた.したがって,自覚症状を訴えることができ,II桁以上の意識障害と重篤な他の合併症がない限り,健側と体幹筋力維持,廃用症候群防止を目的に脳内出血・脳梗塞は発症当日から可及的立位・歩行訓練を開始することは可能と思われた.
著者
久保田 一雄 町田 泉 田村 耕成 倉林 均 白倉 卓夫
出版者
リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.40-45, 1997-01-18
参考文献数
23
被引用文献数
2

平成2年6月からの5年間に46例のアトピー性皮膚炎患者(男性31例, 女性15例, 25±11歳)に対して, 草津温泉療法(40~42℃, 1回10分, 1日1~2回)を3~28週行った。その泉質は酸性(pH2.0)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉である。32例(70%)で皮層症状が改善し, さらにそのうち18例で掻痒も改善した。皮膚症状の改善は血清LDHの有意な低下でも裏付けられた。皮膚症状改善例のうち, 温泉療法前に皮層表面に多数の黄色ぶどう球菌が検出された15例では, 温泉療法後に13例で消失, 2例で減少した。この草津温泉療法による皮層症状の改善機序として, 皮膚病変の増悪因子である黄色ぶどう球菌に対する酸性温泉水の殺菌作用が推定される。
著者
土田 昌一 武田 祐子
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.108-114, 1996-02-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
23

WISC-Rの迷路課題の解決時の眼球運動をもとに線条体損傷者の注意障害の評価を行った.対象は,全例右利きの慢性期の単一病巣の患者である.左線条体損傷者群27例,右線条体損傷者群28例であり,罹病期間・年齢に有意差はなかった.課題解決パターンを4型に分類した.右側損傷者群には解決動作を中断してその直前しか確認しない解決パターンが認められた.左側損傷者群には,解決中落ち着きなく注意が分散する解決パターンが少数ではあるが認められた.線条体損傷の注意障害として,右側障害は動きの滞ったタイプ(frozen inattention),左側障害では落ち着きのないタイプ(restless inattention)という特徴的な所見を認めた.
著者
三田 勝己 石田 直章 赤滝 久美 伊藤 晋彦 小野 芳裕 沖 高司
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.563-566, 1993-08-18

二分脊椎患者の立位姿勢における身体動揺を床反力作用点の軌跡として記録し,これを手掛りに彼らの姿勢調節能力に検討を加えた.対象はL_3〜_5麻痺レベルをもち,屋外歩行が可能な二分脊椎患者(9〜18歳)とした.患児の前後方向の身体動揺は装具を装着した開眼の状態がおおむね健常者の閉眼時に相当し,閉眼するとその2倍に増大した.装具の有無は身体動揺と密接な関連を示したが,その影響は開眼,閉眼時の違いほど大きくはなかった.左右方向の身体動揺量は前後方向より幾分か少なかったが,類似した特徴を示した.しかし,装具の有無との関連は前後方向より低かった1