著者
山田 敏元 大桃 スワニ・マスミ ペレイラ パトリシア 猪越 重久 田上 順次
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.15, no.27, pp.170-171, 1996-03-28

リン酸を歯面処理剤として用いるレジンボンディングシステムとセルフエッチングプライマーを歯面処理剤として用いるレジンボンディングシステムのエナメル質-レジンの接合界面のSEM観察を詳細に行ったところ、リン酸を用いるものでは、エナメル質の脱灰が大きく、表層下約20μmに亘ってエナメル小柱中のハイドロキシアパタイト結晶が著しく溶解され、疎な構造を示していた。一方、セルフエッチングプライマーを用いたものでは、エナメル質の脱灰の程度は弱く、アパタイト結晶の溶解も低かった。
著者
今井 弘一 竹田 眞人 北坂 弘行 中村 正明
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.14, no.25, pp.32-33, 1995-03-31
被引用文献数
1

粘膜モデルによる細胞回復度試験法を開発する目的で、粉末状の接着性モノマー4種ならびに液状のMMAとTEGDMAについて、2種の市販モデルを用いて細胞回復させた.また7種の溶媒に各モノマーを溶解させた従来の細胞回復度試験も行った.その結果、市販モデルを用いた方法による細胞回復度試験は可能で、試験したモノマーの細胞回復度を得ることができた.一方、溶媒を用いた従来の細胞回復度試験では変動の大きい細胞回復度であり、培養液に難溶性もしくは不溶性の細胞毒性試験について検討を要することがわかった.
著者
梅村 長生
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.15, no.28, 1996-09-05

21世紀は高度情報社会と言われ、コンピュータネットワークが世界を覆い、急速な変化の時代である。医療界にあっては1970年から始まったMEを中心とする第2次医療技術革新の時代を経て現在は生命科学の革新による第3次技術革新の時代に入っている。こう言った変化の波は、医療のあり方を大きく変えようとしている。その大きな変化は、ネットワーク医療が拡大するのに伴い、情報の共有による医療の質の評価の時代が到来しつつある。医療情報の特殊性を考慮に入れても、高度情報社会の進展は、歯科医学教育をはじめとして歯科医療の新たなワク組の構築とシステム化を推進すると予測される。現在、医療、保健、福祉、または健康の各分野において情報ネットワーク網の整備が各地で図られている。厚生省は、平成6年に厚生省情報化推進本部を、平成7年には医療技術情報推進室を設置し、本格的な情報化推進対策を開始している。情報化に伴う課題については「医療保健福祉サービスの情報化に関する懇談会」の報告書で、システム等での標準化、関連制度の点検費用負担と公約助成、個人情報の保護、情報の活用の促進、研究開発体制の整備充実の6つを挙げている。それに基づいて「情報化実施指針」を策定し、具体的な情報化対策を平成7年より実施に移している。情報ネットワークの分野では、国立病院情報ネットワーク、福祉・保健総合情報ネットワーク、医療情報電子検索システム、健康情報ネットワーク(情報ハイウェイ)が推進されている。医療保健の分野では、電子カルテの開発、レントゲン画像等電子保存の共通規格、介護カードの研究、医療保険証のICカード化の実験等がある。こういった情報化対策は、G7、G11における保険医療情報に関する標準化の動きと呼応して、国際的な情報化実現に向けて着々と準備されている。情報化は、医療機関の機能分担が進む中で、より一層の医療の効率化を図られると予測される。また、情報化は、情報の開示を含め医療の質と患者サービスの向上を国民から求められることになる。従って、我々歯科医師は、インフォームド・コンセントの実践による患者への治療内容の十分な説明が大切である。また、歯科医療の分野にあってもコスト意識を持ち、システムの効率化を図らねばならない。このことを理工学分野の視点からみるならば治療に用いる歯科材料の性質や品質管理等の情報を歯科医師がアクセスできるようなシステム作りを行う必要がある。また、新材料の臨床応用へのデータ集積のためのネットワークを作り、新技術を患者ニーズに合わせ早急に普及させるシステムを作るべきである。
著者
宮川 修 渡辺 孝一 大川 成剛 中野 周二 塩川 延洋 田村 久司
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.645-656, 1985-11-25

一定速度で被削材を送り, 与えた工具の切り込みにたいしてくりかえし研削で得られる実研削量によって研削工具の性能を評価する試験装置を試作した.これにより13%Cr-Ni合金を被削材として研削試験を行ない, CBN電着ホィールの研削性能を市販のビトリファイド系アルミナホィール2種と比較した.ホィールの振れまわりが影響して, 22, 000rpmの高速回転と18, 000rpm以下の低速回転とで異なった研削挙動が現われた.高速回転では, 研削面のうねりが激しく, 最終研削量も設定した切り込み量を越えた.低速回転では, 研削面のうねりは比較的小さかったが, 設定した切り込み量が完全に削りきれなくなる傾向がみられた.その上, 送り速度を大きくすると一定量を削るまでに何回も何回も研削をくりかえすことが必要になり, 削り残しも大きくなった.振れまわりの影響を考慮して, CBN電着ホィールは低速回転についてのみ実験した.それでもなおこれは, 送り速度が大きい場合でも優れた研削性能を示した.
著者
宮原 征人
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.12, no.22, pp.104-105, 1993-08-20

今回、紹介するユニット スペースラインフィール21は、人間の持つ固有感覚に基づき開発されたもので、開発コンセプトは、(1)Top Level Patient Relation Ship (2)Top Level SKill For Treatment (3)Top Level Infection Controlである。その結果、最もシンプルで容易な診療行為を行える新ユニットを開発したので紹介する。
著者
畦森 雅子
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.274-279, 1985-05-25
被引用文献数
8

Na_3PO_4, Na_2SO_4が石こうの水和反応に及ぼす影響について, X線回折, 走査型電子顕微鏡観察, 硬化時間の測定を行い検討した.石こう練和水へのNa_3PO_4の少量の添加は, 石こうの水和反応を抑制し, 生成した二水塩結晶の形態を変化させた.このNa_3PO_4の石こう水和反応に与える影響は, Na_2SO_4に比べ著しく大きかった.Na_3PO_4水溶液で練和した石こう泥を, 滲出液中にリン酸分を含まない, アルジネート印象材と同様に親水性である寒天印象材上で硬化させると, Na_3PO_4の添加量が増加するに従い表面あれは大きくなった.以上の結果から, アルジネート印象材による石こう表面のあれの原因の一つは, 印象材滲出液中のリン酸分であると推断することができる.
著者
小島 克則 門磨 義則 今井 庸二
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.702-707, 1987-09-25
被引用文献数
23

含イオウ機能性モノマーの研究の一環として, 6-(4-ビニルベンジル-n-プロピル)アミノ-1, 3, 5-トリアジン-2, 4-ジチオン(VBATDT)を合成し, 歯科用貴金属合金との接着性を検討した.VBATDTで貴金属表面を処理した後, MMA-PMMA/TBBO系レジンで金属同士を接着させて, その接着強さの耐久性を調べた.表面処理を行わなかった場合, 熱サイクル試験2, 000回後では, 歯科用合金は実用に耐えられない程の接着強さとなり, また純金属ではいずれも接着強さは0となった.しかしながら, VBATDTを使用した場合は熱サイクル試験2, 000回後でもいずれの歯科用貴金属合金についても耐久性のある46〜54MPaの接着強さが得られた.この値は, 先に報告したMPMA(23〜29MPa)や4-META(7〜35MPa), 4-MET(0〜11MPa)の接着強さに比べてはるかに大きかった.
著者
中村 元弘
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.551-567, 1985-09-25
被引用文献数
1

前報において, 白金箔によって仕切られた同一鋳型内に同時に異種合金を鋳造, 接合させるテクニックを紹介し, 20K金合金, 白金加金および金銀パラジウム合金における接合部付近の組織構造について報告した.今回は, 陶材焼付用金合金, 金銀パラジウム合金およびNi-Cr合金での接合領域を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察するとともに, X線マイクロアナライザーにて分析した.陶材焼付用金合金では, 前報で観察した20K金合金, 白金加金に近く, ほとんど拡散していないような像を呈していた.拡散の見られた元素はAuで, その深度は1μm程であった.金銀パラジウム合金では, 前報同様白金箔に対し偏析を示した.拡散していた元素はCuであり, その深度は6μm程度であった.Crown-Bridge用Ni-Cr合金も白金箔に対し著明な偏析を示し, Mnを中心にCuやNiが最大18μmの拡散を示した.また白金箔側からの拡散も見られ, その値は最大で100μm程に及ぶものもあった.
著者
楽木 正実 小村 隆志 大土 努 祖父江 鎮雄
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.100-105, 1988-01-25
被引用文献数
7

本研究では, リン酸カルシウム系の4CPセメントおよびα-TCPセメントの物理化学的性質について, 硬化液を45%クエン酸水溶液, 粉液比を1.5の条件で比較検討し, 以下のような結果を得た.セメントの酸性度を調べるために, セメント表面に滴下した蒸留水0.5mlのpHを測定した.4CPセメント, α-TCPセメント, リン酸セメントおよびカルボキシレートセメントの中で, セメント練和泥表面のpHは, 4CPセメントが最も高かった(pH4.75〜5.23).α-TCPのpH(pH4.02〜4.22)は, 最もpHの低かったリン酸セメント(pH3.29〜3.62)より高く, カルボキシレートセメント(pH4.14〜4.62)よりやや低かった.このことから, 4CPセメントは歯髄をほとんど刺激しないことが推察された.4CPおよびα-TCPセメントの破砕抗力は, 各々50.0と74.9MPaであり, カルボキシレートセメントのADA規格No.61を満たしたが, 崩壊率は, 1.8と4.0%であり規格を満たさなかった.生体内でのセメントの経時的変化を推察するために, リン酸緩衝塩類溶液中にセメント硬化体を浸漬した場合, 崩壊率は蒸留水中よりやや大きかったが, 浸漬期間中破砕抗力の低下はなかった.
著者
工藤 貴也
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.525-544, 1988-07-25
被引用文献数
5 2

歯科材料により細胞増殖に影響を受けた細胞の回復の観点から細胞毒性をしらべるべく, 歯科用非貴金属合金の6組成金属元素(Co, Cr, Ni, Ti, Cu, Fe)について4種類の細胞を培養した.細胞増殖度, 浸漬液のpH値および溶出金属量をしらべると共に, SEMによる細胞形態観察もあわせて行い, 以下の結論を得た.1)Eagle MEMならびにDulbecco's modified Eagle mediumでは, 最も多量にCuの溶出が認められた(100ppm以上).ついで溶出量はCo, Ni, Fe, Crの順に少なくなり, Tiは検出できなかった.2)L-929細胞, HeLa S3細胞, HEp-2細胞, Gin-1細胞の細胞増殖度実験の結果から, Cu, Co, Niの順に細胞毒性は低減し, Cr, Fe, Tiではほとんど細胞毒性が認められなかった.3)L-929細胞, HeLa S3細胞, HEp-2細胞の細胞回復度実験の結果から, 6種類の金属とも細胞増殖度実験と同様の結果を示したが, これに反してGin-1細胞ではCoならびにNiで強い細胞毒性が認められた.4)SEM観察では, Cu, Co, Niは細胞に対して強い障害像を示した.これに反して, Cr, Fe, Tiでは細胞形態観察でもほとんど障害は認められなかった.以上の実験結果から, 細胞回復度からみたデータが歯科材料を含むバイオマテリアルの細胞毒性に関して多面的な情報提供の可能性が示唆された.
著者
西村 文夫 岡崎 邦夫 中村 英雄 野本 直
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.71-77, 1986-01-25
被引用文献数
16

10歳台の女子から抜去した新鮮な第3大臼歯から, 直径0.8〜1.0mm, 高さ0.8〜2.2mmのエナメル質と象牙質の円柱状試片を作製した.純銅製中空ドリルとアルミナペーストを併用し, 回転速度2, 000rpm, 負荷1N(100gf)で切削する方法を開発し, 圧縮試験によって比例限, 耐力, 破断強さ, 弾性係数, 歪などを測定した.試験片は, エナメル小柱や象牙細管などの方向や部位に留意して作製し, 圧縮試験は毎分0.1mmのクロスヘッドスピードで行った.次のような結果がえられた.1.エナメル質の圧縮特性は, 小柱の方向に強く影響を受けるが, 象牙質は影響を受けない.2.エナメル小柱の長軸方向と平行に圧縮した場合の圧縮特性は最小となり, 小柱の鍵穴型の頭から尾を通る軸と平行に圧縮した場合は中間の値となり, 鍵穴型を真横から圧縮した場合が最大の値を示した.3.エナメル質の圧縮耐力は測定できなかったが, 破断強さは270〜440MPaであり, 象牙質の圧縮耐力は210〜220MPaであった.
著者
齋藤 仁弘 金子 和幸 堀江 康夫 小泉 寛恭 大谷 一紀 五十嵐 孝義 塩田 陽二 吉橋 和江 廣瀬 英晴 西山 實
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.124-130, 2001-03-25
被引用文献数
12

フィラー含有量の多い歯冠用硬質レジン(高フィラー型硬質レジン)の4製品, エステニア(EE, ED), アートグラス(AE, AD), ベルグラスHP(BE, BD), グラディア(GE, GD)のそれぞれ2種類(エナメル用, デンチン用)について, それらの曲げ強さ, 曲げ弾性率, ヌープ硬さ, 吸水量および溶解量を測定した. 試験体の作製は, 製造者指示に従い, 測定結果はt-検定(危険率5%)で統計処理を行った. 曲げ強さは96.2〜210.6MPaを示し, エナメル用ではEE>BE>AE>GE, デンチン用では, BD,ED>AD>GDの順に大きな値であった. 曲げ弾性率は6,8〜24.6GPaを示し, エナメル用ではEE>AE, BE>GE, デンチン用ではBD>ED>AD>GDの順に大きな値であった. ヌープ硬さは42.7〜163.8を示し, エナメル用ではEE>BE>AE, GE, デンチン用ではBD>ED>AD, GDの順に大きな値であった. 吸水量は9.7〜28.1μg/mm3を示し, エナメル用ではGE>AE, BE>EE, デンチン用ではGD>AD>BD>EDの順に大きな値であった. 溶解量は0.2〜0.6μg/mm^3を示し, エナメル用およびデンチン用の両者で有意差は認められなかった. 以上の結果から, 高フィラー型硬質レジンは製品ごとの性質を理解した上で, 適切な症例や応用部位に用いるべきであることが示唆された.
著者
赤尾剛 中村 隆志 丸山 剛郎 高橋 純造 荘村 泰治 木村 博
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯材器 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.685-691, 1992
被引用文献数
4

ラミネートベニア修復物の仕上りは, 一連の複雑な工程や技工士の熟練度によって影響を受ける.この問題点の解決法のひとつとして, コンピュータ技術を応用したラミネートベニア修復用CAD/CAMシステムの開発を試みた.その第一段階として, レーザ変位計とコンピュータ制御3軸走査モデリングマシンCAMM-3を組合せた歯牙模型形状自動計測システムを開発し, その計測精度を検討した.その結果, 模型の色調を灰色に決定にし, レーザ変位計と模型表面の距離を常に一定に保ちながら走査する追随式計測法をとることによって, 最も精度良く計測することができようになった.このシステムを使用して, 上顎前歯模型表面の形状を計測し, 精度の高い三次元形状データを得ることができた.
著者
渡津 章 井汲 憲治 野浪 亨
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.243-248, 2001-07-25
被引用文献数
2

人間の口腔内で破損したBranemark人工歯根を調べ, 破断プロセスを検討した.この試料は歯根として機能していたが, 歯槽骨の吸収が起こった後, 破折したものである.破断部ではフィクスチャーの内側のネジ山の谷部に沿った形で外側の谷部が形成されており, 大きい荷重を受ける機械的強度の低い部分から破壊したことが分かった.また, フィクスチャーの破断面では, 破断時に生じる細かい起伏形状がなくなっていた.一方, 中央のネジには細かい波状の構造があった.つまり, このネジが繰り返し応力を受けて破断したことが分かった.これらのことから, まずフィクスチャー部のネジ山谷部に沿って亀裂が生じた後, 破断面が塑性変形を起こし, 最後に中央のネジが繰り返し応力により破断したことが分かった.
著者
菊井 徹哉 島野 偉礎轄 岡崎 美穂 泉 俊郎 長山 克也
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.14, no.25, pp.110-111, 1995-03-31

試作光重合型硬質レジンの物性ついて、市販の光重合型硬質レジンを対照とし比較検討した。圧縮強さは、6時間37度程度に加温すると圧縮強さが向上し、抗折強さでは、初期値においても試作硬質レジンが上回っていた。接着強さおよび耐久性は、対照に比べやや劣っていたがズズ電析を行わなくても対照に近い値がえられ、技工操作を一段階省略できる可能性が示唆された。また、サーマルサイクルによる接着強さの低下は少なく、一般的に前歯部咀嚼による咬合力を考えると、十分臨床応用が可能であると考えられる。
著者
[タカ]橋 俊幸 菊地 聖史 [タカ]田 雄京 奥野 攻
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.126-139, 1998-03-25
被引用文献数
3

近年, 生体材料の安全性が重要視されるようになり, 歯科用金合金にもより高い安全性が求められるようになってきた.金に少量のチタンを添加するとわずかに固溶するため, 生体安全性が高く, 審美性や機械的性質に優れた新しいタイプの金合金を開発できる可能性がある.そこで, チタン添加量を0.5〜2.0%とした金-チタン合金を作製し, 熱処理条件, 機械的性質, 組織, 色調を調べ, 歯科鋳造用金合金としての可能性を検討した.その結果, 歯科用合金として, 溶体化処理条件は1, 000℃, 10分間, 時効処理条件は600℃, 10分間が適当と考えられた.また, チタン添加量は1.0〜1.8%が適切と考えられた.金-チタン合金は, チタン添加あるいは熱処理を行うことで, 軟質から超硬質までの機械的性質が得られることが分かり, 歯科鋳造用金合金として多目的な応用の可能性が考えられた.
著者
宮崎 隆 玉置 幸道 鈴木 暎 宮治 俊幸
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.450-456, 1988-05-25
被引用文献数
2

ポーセレン(リブデント, ビタVMK), キャスタブルセラミックス(ダイコア)及びマシナブルセラミックス(マコール)を用いて光沢のある仕上げ面を得る目的で超音波ラップ研磨を行ない, 研磨能率と研磨面性状を検討した.超音波ランプ研磨は市販の超音波研磨機(周波数28.5KHz, 10W)を用いて, 木材のラップ棒と試料の間にアルミナ, セラニア, ジルコニア, 酸化クロム, ダイヤモンドなどの遊離砥粒を介在させて行なった.ポーセレンはダイヤモンド以外の砥粒では能率が悪かったが, ダイヤモンドを用いるとグレーズ面のような良好な仕上げ面が得られた.マコールやダイコアはポーセレンよりも研磨性が良く, ダイヤモンドは勿論, アルミナやセラニアでも良好な仕上げ面が得られた.
著者
塙 隆夫 大川 昭治 近藤 清一郎 小林 紘孝 菅原 敏 太田 守
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.39-44, 1985-01-25

歯科遠心鋳造法によって得られた等軸晶組織を示すNi-Cr合金の凝固機構を定性的に考察した.鋳造物の凝固を調べるために幾つかの実験を行ったところ, 次の結果が得られた.すなわち, 鋳造組織内の結晶粒は遠心力方向にあるものほど, また, スプルー直下の結晶粒はスプルー直径が大きいほど, 微細であり, 鋳型内に棚を付けると棚より下では結晶粒は比較的粗大であった.これらの結果は, 結晶が溶湯の流入による機械的対流と温度差による熱的対流とによって鋳壁から離れ, 遠心力によって溶湯内を移動して鋳型底部に堆積するという理論で説明できる.特に, スプルー部分の凝固は結晶粒がスプルー上部に堆積して詰まることによるものであると推察した.