著者
番原 睦則 田村 直之 井上 克已
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.3_75-3_86, 2007 (Released:2007-09-30)

本論文では,PrologからJavaへのトランスレータ処理系Prolog Cafeについて述べる.本システムでは,Prologプログラムは,WAMを介して,Javaプログラムに変換され,既存のJava処理系を用いてコンパイル・実行される.つまりProlog Cafeでは,項,述語などPrologの構成要素のすべてがJavaに変換される.このため,Prolog CafeはJavaとの連携,拡張性に優れたProlog処理系となっている.Prolog Cafeはマルチスレッドによる並列実行をサポートしており,スレッド間の通信は共有Javaオブジェクトにより実現される.また任意のJavaオブジェクトをPrologの項として取り扱う機能を有しており,Prologからメソッド呼び出し,フィールドへのアクセスも行える.最後にProlog Cafeの応用として,複数SATソルバの並列実行システムMultisatについて述べる.
著者
小川 秀人
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.3_2-3_11, 2011-07-26 (Released:2011-09-26)
被引用文献数
1

ソフトウェア工学は,ソフトウェア開発を対象とする工学である.しかし,ソフトウェア工学とソフトウェア開発との間に,ギャップを感じることがあるのも事実である.筆者らは,企業内研究所にて,企業におけるソフトウェア開発を対象としたソフトウェア工学研究(本稿では「ソフトウェア開発技術研究」)と,そのソフトウェア開発への適用を進めている.本稿では,企業論文誌の分析を通して企業でのソフトウェア開発技術研究の傾向を示し,ビジネスとしてのソフトウェア開発と学術としてのソフトウェア工学との間にあるギャップの理解を試みる.
著者
竹野 創平 渡部 卓雄
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1_167-1_180, 2016-01-26 (Released:2016-02-06)

本研究で我々は並行文脈指向プログラミングの概念とその実現手法を提案する.アクターモデルのような非同期通信に基づくシステムで文脈指向プログラミングを実現する際,文脈の変化と他の計算の間の同期に注意する必要がある.提案する手法は,文脈をまたがるメッセージに関する問題を自己反映計算を用いることで解決するものである.本論文ではErlangを用いた実装とその予備評価について述べ,提案手法の有効性を示す.
著者
深津 佳智 箱田 博之 野口 杏奈 志築 文太郎 田中 二郎
出版者
Japan Society for Software Science and Technology
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.3_325-3_335, 2014

本研究では,スマートフォンをアイズフリーに片手操作する際のタッチ精度向上を目的として,凹凸を付けたスマートフォンケースを作成した.我々は,ユーザがケースの凹凸を触り,タッチの際の手がかりにすることができると考えた.それぞれのケースを装着したスマートフォンを用いて被験者実験を行い,タッチの精度を評価した.
著者
山中 祥太 宮下 芳明
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.4_116-4_121, 2016-10-25 (Released:2017-01-14)

The steering law is a robust model for expressing the relationship between movement time and task difficulty. Recently, a corrected model to calculate the steering time difference between narrowing and widening tunnels was proposed. However, the previous work only conducted a user study with straight paths. This paper presents an investigation of steering performance in narrowing and widening circular tunnels to confirm the corrected model as being either adequate or a limitation. The results show that the steering law achieves a good fit (R2>.98) without the corrected model, thereby indicating the limited benefit of employing the corrected model.
著者
冨岡 大悟 池田 立野 西崎 真也
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.3_66-3_84, 2006 (Released:2006-09-30)

通信プロトコルの安全性,特に認証プロトコルにおける認証の正当性に関する研究は,AbadiやGordonによるspi計算(secure pi-calculus)などをはじめとして,近年さかんに行なわれている.プロトコルにおける安全性は,認証の正当性や機密性などの他に,最近では,サービス不能攻撃(Denial-of-Service attack)耐性が重要視される.もっとも典型的な攻撃例としては,TCPの3ウェイハンドシェイクにおけるSYNあふれ攻撃(SYN-flooding attack)が知られている.プロトコルのサービス不能攻撃耐性を形式的に扱う枠組みとしては,メドーズらにより提唱された,コスト情報を付記したアリス・ボブ記法があった.この他に,最近,冨岡らにより提唱されたspice計算[13]がある.spice計算は,spi計算を拡張したもので,プロセスの計算における計算コストが,サーバーやクライアントの計算機において,どのように費されるかを明示的に表現できるように,システムにおける計算機構成を型として形式化した.そして,書き換えスタイルの操作的意味論があたえられており,プロセスに対する型付けの情報を利用することにより,計算の進行における計算コストを区別するようになっている.記憶コストは,サービス不能攻撃耐性を測る場合,各種の計算コストのうちで最も重要となるのだが,spice計算では,記憶領域の解放を明示的に行なうようにした.本研究では,従来のspice計算における型体系と操作的意味論を,計算機ごとの記憶コストの見積りに併せて,記憶領域の解放に関する正当性を保証するように,改良した.また,SYNあふれ攻撃とその防御策であるSYNクッキーが形式化できることを適用例として紹介する.
著者
水谷 后宏 井上 武 間野 暢 明石 修 松浦 知史 藤川 和利
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_101-3_110, 2015-07-24 (Released:2015-09-04)

Structured overlay networks that support range queries cannot hash data IDs for load balancing, in order to preserve the total order on the IDs. Since data and queries are not equally distributed on the ID-space without hashing in range-based overlay networks, uneven loads are imposed on the overlay nodes. Existing load balancing techniques for range-based overlay networks distribute the loads by using data reallocation or node migration, which makes the networks very unstable due to heavy data reallocation or frequent churn.This paper proposes a novel scheme that distributes, fairly, the loads without node migration and with little data reallocation, by sharing some ID-space regions between neighboring nodes. Our “overlapping” ID-space management scheme derives the optimal overlap based on kernel density estimations; the query loads based on the statistical theory are used to calculate the best overlap regions. This calculation is executed in a distributed manner with no central coordinator. We conduct thorough computer simulations, and show that our scheme alleviates the worst node load by 20–90 % against existing techniques without node migration and with least data reallocation.
著者
高橋 英和 井田 哲雄
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.2_2-2_13, 2010-04-27 (Released:2010-06-27)

本論文は,折り紙を折るという操作のグラフ書換を用いた数理的なモデル化の試みである.折り紙による図形の構成は,折り紙の集合OとO上で定義された折るという二項関係↬からなる抽象書換系(O, ↬)と捉えることができる.また,折り紙自身は,面の集合ΠとΠ上で定義された面の隣接関係∽,重なり関係≻の3つの要素の組(Π, ∽, ≻)として抽象化することができる.更に,抽象化された折り紙をハイパーグラフを用いて表現し,折り操作をグラフ書換変換により実現する.実際に,紙を折るという操作を計算機に実装するには,面の分割や重なりを判定するといった実平面を定義域とした幾何的な数値計算と,面のつながり探索や重なり順序の構成といった純粋に離散的な記号計算の両方が要求される.この2種類の計算が時に複雑に絡み合い,折り操作のアルゴリズムを難しくしている.本論文で提案するグラフ書換変換の方法は,これら2つの計算を分離し,折り操作のアルゴリズムを分かりやすく記述できるという利点を持ち,今後,折り紙の更に高度な問題の解決へ導くものである.
著者
角田 雅照 戸田 航史 伏田 享平 亀井 靖高 ナガッパン メイヤッパン 鵜林 尚靖
出版者
Japan Society for Software Science and Technology
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_129-2_143, 2014

本研究では,上流工程の活動実績に基づく工数見積もりに着目し,その見積もり精度を定量的に評価する.具体的には,上流工程での実績工数を説明変数とする開発総工数見積もりモデルを作成し,ソフトウェア規模に基づく工数見積もりモデルと精度を比較する.さらに,実績工数とソフトウェア規模の両方を説明変数とした場合のモデルとも比較する.実験ではISBSGデータセットを用い,計画工程と要求分析工程を上流工程とみなしてモデルを構築した.実験の結果,計画・要求分析の合計工数とソフトウェア規模の両方を説明変数として用いることにより,見積もり精度が最も改善する(<I>BRE</I>(Balanced Relative Error)平均値が148.4%から75.4%に改善する)ことがわかった.
著者
角谷 良彦
出版者
Japan Society for Software Science and Technology
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.167-179, 2008

本論文では,直観主義様相論理IKにCurry-Howard対応する名前呼び及び値呼びの計算系を提案する.名前呼び計算は,圏論的意味論に基づいており,単純型付き名前呼びλ-計算の拡張となっている.本論文は,名前呼び計算の簡約系が強正規化可能性及び合流性を持つことを証明する.また,値呼び計算は,値呼びのλ-計算として定評のあるλ<sub>c</sub>-計算の拡張として定義される.名前呼びの場合と同様,値呼び計算に対しても簡約系を与え,その強正規化可能性及び合流性を証明する.加えて,本論文では,値呼び計算の部分体系が名前呼び計算へのCPS変換によって特徴付けられることを示す.最後に,様相論理IS4への計算系の拡張についても考察する.
著者
金子 伸幸 桑原 寛明 山本 晋一郎 阿草 清滋
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.3_34-3_43, 2009-07-28 (Released:2009-10-05)
被引用文献数
1

我々は,Strutsを利用して構築されるWebアプリケーションに対するコーディングチェッカとして,StrutsLintを開発した.StrutsLintは,Strutsの設定ファイルおよびJSP,Javaのソースコードを解析し,言語を跨いだ制御依存グラフ,データ依存グラフを生成する.これらのグラフを基に,制約の一貫性などを検査することで対象アプリケーションの整合性検査を行う.本稿では,StrutsLintで実現した機能を基にStrutsアプリケーションに対するコンポーネントウェアとしての整合性検査について述べる.
著者
石田 利永子 本田 晋也 高田 広章 福井 昭也 小川 敏行 田原 康宏
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.4_219-4_243, 2012-10-25 (Released:2012-11-25)
被引用文献数
2

近年,組込みシステムの分野においてもマルチプロセッサシステムの利用が進んでいる.組込みシステムはシステム毎に求められる性質が異なり,リアルタイム性が要求されるシステムや,スループットが求められるシステム,両方の要件を同時に要求されるシステムも存在する.既存の組込みシステム向けマルチプロセッサ用RTOSは,いずれか一方の要求を満たす実装がされている.そこで,TOPPERS/FMPカーネルは,両方の要求を満たすよう設計実装を行った.リアルタイム性を確保するため,RTOSが自動的にロードバランスを行うことはしない.しかし,スループット向上と,システムに最適なロードバランス方式をサポートできるように,アプリケーションからの要求(APIによる要求)によりタスクを実行するプロセッサを変更するマイグレーション機能を提供する.本稿では,TOPPERS/FMPカーネルのマイグレーション機能の設計と実装について述べる.設計・実装したマイグレーション機能を使用して,アプリケーションレベルで複数のロードバランス方式を実現できることを確認した.