著者
横山 勉
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.343-346, 2006-07-09

自然環境を取り入れた園庭をもつ保育園のなかで、園庭規模・園庭周辺環境の異なるものを比較考察した結果、滞在遊び・移動遊び、遊びの展開、遊びのグループ規模で違いはあるが、園庭の自然環境を巧みに取り入れながら、幼児自ら遊びや遊びの場を創出している点で共通しており、自然環境型の園庭は、地形、形態、素材等の環境構成要素により遊びを誘発しながら、幼児が自発的な遊びを展開できる遊び環境と多様な遊びの場を提供している。
著者
中村 健太 塩野 透 北郷 崇広 黒野 弘靖
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.52, pp.335-338, 2009-07-12

機械除雪の導入によって通りの雪の一掃が行われるようになる昭和40年(1965)頃までは、大雪の際に雁木と雁木をつなぐ役割を果たしたユキロウカや、共同作業によって除雪を行った雪引きなど、雁木通りにおける雪処理を介した共同利用があった。敷地内における雪処理では、町家の空間構成や敷地の利用状況に合わせた雪処理が各住戸で行われる。また、間口の狭い町家や角地の町家では雪処理における敷地裏の共用がみられる。
著者
小川 賢太郎 平山 育男
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.53, pp.541-542, 2010-07-18

柏崎市は「風のまち柏崎」と呼ばれるほど年間を通して風が強い。強風のため海沿いに砂丘が発達し、この上に成立したのが柏崎の町なみである。県内に同様の立地条件を持つ町なみは確認されなかった。高台となる町なみ全体に年間を通して強い潮風が吹き付け、これが金属製のゴミ箱を錆びさせる。そのため、柏崎の特に海沿いのゴミ箱は昔から使われてきた木製のゴミ箱である。柏崎の木製ゴミ箱は、歴史的に見ても古くから存在し、形や色、作りなどは柏崎の風土を色濃く反映している。即ち、柏崎にとって木製ゴミ箱とは柏崎の歴史と風土を映し出す、環境文化と言っても過言ではない。
著者
梅干野 成央 土本 俊和
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.45, pp.271-274, 2002-06-23

本論は、持続可能な社会を目指す思想の基盤ができつつある現在、その思想の原点である中間技術の思想を再び見つめ直すものである。中間技術の思想は「小さいこと」、すなわち人間的な規模の取り組みを重視するものであり、『永続性』という生活目標のもとに構成される。中間技術の思想が仏教に影響を受け提唱された事実から、その生活目標である『永続性』を"朽ち果て、循環していく<循環-永続性>"という仏教の観念のもとに捉える。それをもとに、中間技術の開発を行い、人間的規模である地区において展開していくことで、持続可能な社会を形成する。
著者
安中 哲夫 大場 正昭 飯野 秋成 飯野 由香利 下地 恒英 小寺 定典
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.225-228, 2006-07-09

本研究では、通風、空調風および扇風機風下における2人の被験者の温熱環境評価の特性を明らかにするとともに、新標準有効温度SET^*を通風などの非定常な環境下で使用するための修正指針を示すことを目的とする。温熱環境評価を検討した結果、以下の知見を得た。1)通風時における各温熱環境評価の変化範囲は広く変化回数も多いのに対して、空調風と扇風機風の場合には、評価尺度の変化範囲はほぼ変わらず変化回数も1回以下である。2)平均風速が各温熱環境評価に及ぼす影響は大きく、空調風時の温冷感は通風よりも涼しい側の評価を示す。平均風速0.5m/s未満と以上で快適感と気流感が大きく異なり、風速が速いほど快適側や気流を感じる側評価になる。空調風と扇風機風の風向が変動する場合には、不快側評価や気流を感じない側評価を示す傾向がある。3)平均風速が0.5m/s以上の通風における気流環境でのSET^*は修正する必要性があることや、SET^*が温冷感や快適感の変化と良く対応していないことを明らかにした。
著者
塩野 透 黒野 弘靖 井苅 大和
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.51, pp.289-292, 2008-07-27

上越市高田の町家の空間構成と接客時の室の利用から、町家内部における接客空間の特徴を明らかにすることを目的とする。町家の用途や来客の種類によらずチャノマは接客に使用される。トオリニワが主屋裏まで通り抜けており客をチャノマまで迎え入れる。そこを玄関として家にあげている。また、チャノマは吹抜けの空間で梁組をみせ、ワタリロウカや差鴨居、ザシキとの間の板戸は漆が塗られている。これらの意匠を上部に設けられた高窓からの採光で照らしている。このようにチャノマは接客の場にふさわしい構えとなっている。
著者
深澤 大輔
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.48, pp.57-60, 2005-07-10

本報では、半蔵金について概観した。今後、被災後の生活と空間の実態調査を行いたいと考えているが、内容を要約すると以下の3点となる。(1)半蔵金は豪雪・過疎・超少子高齢集落である。(2)マキ集団が発達し、その相互扶助により生活機能が維持されてきたと言えるが、現在は殆ど機能していない。(3)新しい地域生活維持機構の創設が求められる。以上のことを踏まえ、今後、この栃尾市半蔵金をはじめとする山古志村・川口町などの中越地震被災地における中山間地農村の復興に当たる必要がある。
著者
平野 貴識 田守 伸一郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.48, pp.161-164, 2005-07-10

本研究では、長野盆地において、S波速度構造を推定し、3D地盤モデルを構築することを目的としている。地下構造を推定する方法として、1点移動観測による方法を用いて、36地点でおこなった。地震基盤(S波速度=4.3km/s)までの深さは、長袖方向では、篠ノ井から豊野に向かって深くなっており、250mほどの差があることが分かり、最大450mほどの差があることが分かる。短軸方向においては盆地端部から中央部にかけて深くなっていることが分かった。
著者
武智 靖博 坂牛 卓
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.50, pp.511-514, 2007-07-15

本計画は都市における地下空間について再考し、下記の3点に留意し、仙台駅の隣接地に地上10階、地下9階のオフィスと商業施設の複合施設を設計する。1)地下空間のネガティブな問題を、ヴォイドを活用させ、地下と地上の連動性を向上させることで改善する。2)地下空間特有のイメージを全て排除するのではなく、設計の際に迷路性や暗がりといった地下空間のイメージを転用していく。3)本計画において形成された地上構造物は、あくまで地下空間生成のルールに則って生産されたものである。
著者
梅嶋 修 山崎 完一
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.51, pp.49-52, 2008-07-27

喬柏園(きょうはくえん)新潟県柏崎市西本町に存在する公共施設で、高橋忠平(ちゅうへい)・サワ夫妻による公会堂建設費と建設地(自邸の宅地・建物・庭園)の寄付によって成立したものである。敷地は柏崎の海岸に並列する砂丘列上に3層の石垣を築き建造されたもので、下層には旧柏崎公会堂と庭園、中層には高橋夫妻が離れ座敷として用いた中段の間が現存したが、平成19(2007)年7月16日に発生した新潟県中越沖地震によって被災し、石垣・庭園・中段の間は解体撤去された。
著者
飯野 秋成 大場 正昭 飯野 由香利 安中 哲夫 下地 恒英 小寺 定典
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.221-224, 2006-07-09

2005年の夏季に実験棟内で2人の被験者に、通風(平均風速0.5m/s未満と以上)、空調風(風向一定と変動)および扇風機風(風向一定と変動)の気流下において、温冷感、快適感および気流感に関して評価してもらった。本研究の目的は、これらの気流下における温熱環境評価の特性を明らかにすることである。本報では、これらの気流性状の特性について検討し、以下の知見を得た。1)通風は不規則に変動し風速も比較的速く、低周波成分が多く大きな渦が多い。2)空調風は規則的で低風速であり、高周波成分が多く、比較的小さい渦が多い。3)扇風機風は0.1〜1Hz周波数領域のパワースペクトルを最も多く含む気流で、3種類の気流の中で最も小さい渦を多く含む。風向が変動すると、エアコンや扇風機のスイングの周期に相当する周波数領域のパワースペクトルの割合が卓越する。
著者
藤村 知春 垂水 弘夫
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.47, pp.180-183, 2004-07-17

本研究は異なった熱性能をもつ戸建住宅の、温熱環境と暖冷房エネルギー消費の現状把握を目的としている。富山県高岡市に立地する次世代省エネルギー基準適合住宅、地域に多く残る無断熱木造住宅、伝統的民家(蔵造り)の3邸を取り上げ、温熱環境と、暖冷房エネルギー消費の実態を1年間にわたって実測調査を行った。年、月、日平均温湿度を示し、異なる熱性能、暖冷房運転方法による温熱環境の差を確認した。また、暖冷房エネルギー消費にCOPを考慮して求めた温冷熱供給量と室内外温熱環境の関係性の検討を試みた。
著者
山福 若菜 五十田 博 加藤 辰彦 勝間田 辰也
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.107-110, 2006-07-09

木質断熱複合パネルを一般の軸組構法の耐力壁と床に用いた構造について、壁、床、そして軸組との接合部の構造性能を確認する実験を実施した。それぞれの実験により、合板の種類、実材の有無、断熱材の種類などの違いによる性能を把握することができた。また、壁の性能を部分実験の結果より概ね捉えることができた。
著者
増田 達男
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.45, pp.339-342, 2002-06-23

金沢における伝統的茶屋街のひとつである主計町の歴史地区指定に向けて行った調査結果である。平面型はほぼ一列三段の空間構成であり、一階は前から店の間、茶の間、奥の間が並んでいる。客座敷は二階であり前部と後部に設けられ、中の間で踊りが演じられた。正面意匠装置として最も古いものは繊細なキムスコであり、しかも弁殻が塗られている。白木のものは大正初期の残存建物に認められる。明治以降、ガラスの普及につれて粗格子が採用されるようになった。2階正面を代表する意匠装置は雨戸であるが、古い形式はほとんど残っていない。
著者
潮見 昭信 櫻井 康宏 増田 達男
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.47, pp.320-323, 2004-07-17

金沢市の中心市街地における近年の戸建建替住宅について、主として駐車スペースとファサードの特徴および平面構成との関係を明らかにしたものである。用いた資料は、採取平面を中心にファサード撮影写真および採取立面図である。結果として駐車スペースの必要性から、建物は総2階建てで、ファサードはデザイン性の乏しいものになり、建物側面にもゆとりはなく、平入の単純な屋根形態を余儀なくされる。また1階プランでは座敷が前部に配置され、その他の居室はせいぜいLDKである関係などが明らかとなった。
著者
ペトラ ルイック
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.47, pp.364-367, 2004-07-17

The Bauhaus was an institution, which gave its students education in the arts as well as in crafts. The students should become able to create the so-called GESAMTKUNSTWERK (all including artwork). Although it only existed for 14 years (1919-1933), it had a big influence on architects and artists all over the world. After the shut down of the Bauhaus, different institutions were born, which tried to take over the "Bauhaus ideology". Based on the example of the Bauhaus Foundation Dessau, this paper describes how this ideology can he transformed in the 21st century.