著者
高橋 人志 黒野 弘靖
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.55, pp.393-396, 2012-07-22

新潟県内の民家を高齢者福祉施設に転用した3事例について、2005年から2011年までの建物や運営内容の変化を明らかにした。うちの実家では、高齢者だけでなく幅広い世代の利用ができるよう、運営内容や家具配置を変化させている。かじまちの家では、大規模な改修により、デイサービスの利便性向上と地域利用の促進がはかられている。村上市コミュニティ・デイホームでは、町家の構成や運営内容に変化は見られない。
著者
小澤 健太郎 平山 育男
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.53, pp.367-368, 2010-07-18

小澤家主屋の建築年代は棟札の記載から嘉永5(1852)年と考えることができ、当初のオオチャノマは土座と考えることができた。土座は古くからの下越地方特有の伝統的な造りであり、チャノマに梁組と簀子天井を有する名主クラスの住宅に共通した形式を持つと考えるに至った。
著者
宮越 敦史 中野 将人 櫻井 佑
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.50, pp.505-506, 2007-07-15

本作品は新潟市の中心街に位置するバーの改修計画である。基本設計、実施設計、施工を行った。壁を取り除きカウンターを新設し、高い天井を塗装し、店内に均一な開放感を与えた。客席側とカウンター側で色彩やものの配置、棚のレイアウトによる対比をはかった。
著者
馬場 麻衣 桜井 康宏
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.50, pp.427-430, 2007-07-15

住宅が供給過多となり、人々の志向が持ち家に向かっている現代の日本社会において、民間の賃貸住宅経営者の経営状況は悪化する一方である。個人の経営者が多数所属する全国的な組織の組織概要や活動内容を把握し、現在彼らが置かれている状況を整理する。全体として、「空室対策」の活動が最も多く、古くからある小さな支部において、その状況を改善しようとする意識が強いことが把握できた。
著者
片岡 篤史 坂牛 卓
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.493-496, 2006-07-09

本設計は、市町村合併を社会的背景として、増築建築の建築意匠論的考察として増築ヴォリュームに関する分析・タイポロジーに基づいた設計である。ヴォリューム配列・外部空間・機能・視覚印象のそれぞれに関しタイポロジーを示し、それをもとに愛知県清須市(旧新川町、清洲町、西枇杷島町の合併による新市)を対象として具体的な市庁舎の増築設計を行った。
著者
田守 伸一郎 平野 貴識
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.75-78, 2006-07-09

本研究では、3次元差分法を用いて諏訪盆地における震動シミュレーションをおこない、1次元波動論による速度振幅の最大値と3次元差分法による速度振幅の最大値を比較することにより、諏訪盆地の不整形性が与える影響についての検討をおこなうことを目的としている。3次元差分法により、盆地端部においてエッジ効果がみられることや、波の到来方向による異常震域が地盤の不整形性により説明できた。
著者
山本 光良 黒野 弘靖
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.55, pp.373-376, 2012-07-22

信濃川下流域の<万年>においてその空間構成を把握した。<万年>は寛永20年(1643)までに開発された万年新田八か村のひとつに数えられる。明治27年(1894)の地籍図をみると生産域が分散していたとわかる。居住域と生産域は水路によって繋がっていた。本家・分家関係をみると居住域がムラミチの両側から始まり広がってきたとわかった。屋敷をみるとオモテからウラへ通り抜けることのできる通路があり、それと対応して農舎やシモグチなどが配置されている。
著者
浅間 英樹 赤林 伸一 山岸 明浩 坂口 淳 渋谷 典宏 石山 洋平
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.47, pp.196-199, 2004-07-17

本報では,前報に引き続き北陸地域における住宅の用途別エネルギー消費量の調査結果から,各種家電機器のエネルギー消費量の検討結果について報告する。照明機器は,夏季に比べ冬季は使用時間が長く,また電力消費量も多い。厨房機器は使用時のピークファクターが高い。冷蔵庫の電力消費量と室温には高い正の相関が見られる。娯楽情報機器は使用時に安定した電力消費量を示す。家事衛生機器も使用時のピークファクターが高い。また,温水便座の電力消費量と水温には高い負の相関が見られる。
著者
細貝 翔太 清水 秀則 加藤 大介
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.55, pp.11-14, 2012-07-22

東方地方太平洋沖地震で被害を受けたM中学校は,南校舎と北校舎の2棟あったが,被害は異なっていた。その1では,M中学校の概要と被害を説明した。その2では,両校舎の性質を詳しく探るため地震応答解析結果を報告し,その結果を用いて南校舎の壁抜け柱の挙動を説明する。その結果,本建物の1階の壁抜け柱の被害は,地震応答解析の2階の応答変位から推定した柱の作用軸力と,すでに筆者らが提案している柱の軸力負担能力喪失時の部材角計算値,より説明できた。
著者
李 柱振 八塚 卓哉 加藤 大介
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.53-56, 2006-07-09

本研究は鉄筋コンクリート造柱の軸力保持性能に及ぼすコンクリートの強度の影響を実験的に解明することを目的としている。試験体は4シリーズあり、実験パラメータはコンクリート強度(32.2N/mm^2と19.1N/mm^2)と配筋詳細(溶接帯筋フックと90°フック余長を通常の半分4d)である。比較のためこれ以外のパラメータは全く同じにした。各シリーズ3体ずつ,計12体で実験を行った。そのうち1体は中心軸圧縮実験を行い,残り2体で高低軸力に分けて曲げせん断加力を行った。
著者
市川 秀和
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.46, pp.411-414, 2003-07-19

西洋における「ウィトルウィウス主義Vitruvianism」とは、古代ローマの建築家ウィトルウィウスが著した『建築十書』の受容・展開による広範な古典主義建築思潮の変遷史を指しており、おおよそ十五世紀ルネサンス期から十九世紀歴史主義・世紀末期までの時代がこれに相当する。本研究は、十八世紀ドイツ啓蒙都市デッサウの宮廷建築家エルドマンスドルフがウィトルウィウス建築書の独訳に着手し、古典学者ローデによって完訳・出版(1796)されたことに注目して、その歴史的経緯を明らかにするとともに、建築思潮史的意義についても考察するものである。本稿(1)では、啓蒙都市デッサウの古典主義動向と古典学者ローデの生涯について論究する。
著者
大熊 克和 河内 浩志
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.47, pp.304-307, 2004-07-17

This study aims to clarify architectural ideas of Sutemi Horiguchi, analysing carefully his statements. He was a leading architect of the BUNRIHA KENCHIKUKAI. This paper focuses on his architectural expressions in terms of materials, structures and practicality, and also his mental expressions.
著者
梅干野 成央 土本 俊和
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.47, pp.296-299, 2004-07-17

近世の封建制から中央集権国家を目指した明治維新という近代化の初期装置は、領主であった藩や寺院の解体を図るために神仏分離,版籍奉還,廃藩置県を行った。これらを前提として地租改正が行われた。本論は長野県飯山市小菅に鎮座する小菅神社を事例として、もっぱら神仏分離令を契機とした転換を扱い、これを規定した地域個別の背景を所有の観点から明らかにした。近世後期に小菅神社の支配していた境内地や建物は、村落総体ともいうべき所有のもと置き換えられた。近世の建築遺構の多く残る小菅において、所有権の転換は近世の封建制から中央集権国家に移項した時代の変容を乗り切る一つの建築維持手段であった。
著者
張 建保 深澤 大輔
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.47, pp.268-271, 2004-07-17

栃尾大名行列は、諏訪神社の春の大祭として毎年4月29日に行われ、総勢500人、行列の長さは300mに達する。厄年の25歳と42歳の男性が白丁と呼ばれる白装束姿で参加し、神輿や太鼓・鏡などの担ぎ手となる。この行われる意味は、度重なる洪水で多数の死者が出た葬列を先頭に、雁木通りの市街地に水害をもたらす悪霊を神輿に載せ、諏訪神社に運んで境内を左回り3回を繰り返し、封じ込めて、街の家内安全と商売繁盛、五穀豊穣などを祈願するものである。その開始時期は、牧野侯から恩賞を賜った寛政年間(1789-1801)頃と考えられる。
著者
本田 沙耶香 高山 誠 後藤 正美
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.53, pp.87-90, 2010-07-18

発泡ポリスチレンを構造材とした球形シェルが開発されたが、その力学的性状は不明確な点がある。また、軽量構造では積雪荷重による影響が大きくなることが予想される。そこで、発泡ポリスチレン製球形シェルが積雪荷重を受けた場合の力学的性状の把握を目的とし、数値解析と模型実験を行った。その結果、変形性状では、シェル頂部が沈み込み、その反動でシェル側面が押出される変形をみせることや、主応力では経線方向に圧縮応力が働き、周方向に引張応力が働くことなどが明らかになった。また、シェルの力学性状に与える開口の影響が大きいことがわかった。
著者
田邊 健人 岩佐 明彦
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.55, pp.581-584, 2012-07-22

全国に広く分布している『小京都』と呼ばれている都市には、町並み景観を整える目的で行われた修景によって建てられた、蔵を模した建物や張りぼて建築が見受けられる。本研究では、新潟県の小京都である加茂市をケーススタディに、蔵とそこに付加された付加物に着目し、加茂市に現存する蔵の現状を明らかにし、魅力的な景観創出について考察した。
著者
笠原 英明
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.45, pp.411-414, 2002-06-23

フランスは、十六世紀前半にイタリアから建築の知を得たが、十七世紀に入ると、自国内での適応が進み、独自の翻案が発展した。しかし、スュブレのグループによって、そうした状況への不満が明らかにされ、古典主義的意匠が、当時のフランス建築の意匠との対比を生みながらも導入される。対比は、1650年に古代の参照の復活を掲げて登場するフレアールの『比較論』と、それ以前の十七世紀の建築書の間にも明確に現れることになる。また、彼らの不満は、建築の意匠に留まらず、企業家としての建築家のあり方に対しても向けられていた。しかし、建築アカデミー設立の頃には、王権の強まるなか、古典主義は完全に優勢となり、多くの建築家は統制の元に置かれることになる。