著者
土肥 麻佐子 持丸 正明 河内 まき子
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.228-237, 2001
被引用文献数
6

高齢者への靴の適合性の向上には, 高齢者独自の足部形態特性を把握することが重要と考え, 形態特性と靴の履き心地との関連を検討した. 高齢者女子50名 (60~81歳) を対象にアンケート調査を実施し, 靴に対する意識および靴の不適合部位を調べた. 次に, 高齢者90名 (60~81歳) と若年者148名 (18~27歳) の足長・足囲分布の世代差を検討した. さらに, 高齢者50名 (60~81歳) と若年者166名 (18~27歳) の足長サイズ別形態特性の世代差について, 寸法・角度等20項目の計測値と2示数および3次元形態特徴の推定得点より検討した. この結果, 高齢者の足は同一足長の若年者より足囲が大きく (JIS足囲サイズのEEEを中心に分布), つま先形状が第1指がまっすぐ伸び第5指が内反した先広の傾向である. 足部前方は分厚く, 足首より後方が長いことがわかった. これらは, 第1指や外果下方に不適合が多いことと関連があり, 履き心地の不満を裏付けるものである. 靴設計に高齢者の形態特性を反映することで適合性の向上が期待できる.

1 0 0 0 OA 情緒の心理学

著者
増山 英太郎
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.316-318, 1986-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
6
被引用文献数
4 3
著者
江守 陽子 青木 和夫 吉田 義之
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.369-377, 1995-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
28
被引用文献数
3 2

揺りかごによる振動刺激が新生児にどのような影響を与えるかを, 新生児の啼泣と生理学的指標に着目して検討した. 健康新生児54名を対象に, 振動周波数1Hz, 振幅55mm, 加速度1m/s2, Z軸方向, 正弦波振動を5分間負荷した. その結果を要約すると次のとおりである.(1) 揺りかごの振動刺激は新生児の啼泣を速やかに停止させる効果が認められた. (2) 揺りかごの振動刺激は啼泣中の新生児の心拍数, 末梢体表面温度, CVR-Rを減少させ, 呼吸数を増加させた. (3) 揺りかごの振動刺激は睡眠中の新生児の末梢体表面温度, CVR-Rを減少させ, 呼吸数を増加させた. (4) 今回使用した振動刺激は, 啼泣している児については鎮静化する効果が認められた. しかし, 睡眠中の児には覚醒へと導く強い刺激となった. 今回の実験で用いた加速度は, 新生児の啼泣を停止させるためには十分な加速度であると考えられたが, 睡眠中の児に対しては覚醒を引き起こすため, もっと弱い加速度の振動が望ましいと考えられた.
著者
北村 奨悟 村木 里志 大江田 知子 澤田 秀幸 田原 将行 植田 能茂 渡久地 政志
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.265-270, 2014-10-15 (Released:2015-07-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

本研究は,パーキンソン病患者の起立動作を補助する椅子の設計を目的に,健常者との比較から,パーキンソン病患者の起立動作における関節角度および筋活動の特徴について検討した.被験者はパーキンソン病患者12名および健常者12名である.被験者に肘かけの着いた椅子から起立動作を行わせ,動作中の関節角度(股,膝,足関節),下肢筋活動(大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋)および床反力を測定した.その結果,各関節の伸展開始タイミングならびに最大屈曲角度には病気の影響は見られなかった.一方,下肢の筋活動では,パーキンソン病患者は前脛骨筋の活動開始から大腿直筋の活動開始までの時間が短くなり同時に活動を開始していた.以上のことから,パーキンソン病患者は特に筋活動の開始の順序に特徴が現れることが示唆された.
著者
竹田 晴見 畑 四郎 倉矢 悦治 高瀬 直寿
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.229-233, 1982-08-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
4

先の報告では脳波の特徴情報の実時間抽出システムについて述べた. 本論文ではそのシステムの応答を速めるための2つの改良を提案している. 第一に, PLL回路中のループフィルタに位相補償を施すものであり, 第二の改良点は方形波変換回路の出力パルス数を, 付加回路により従来の4倍に増加することである. 実験的に新しいシステムのステップ応答は, 旧システムの応答よりはるかに速くなることが確かめられ, そのシステムの性能が改良された.
著者
渋谷 恒司 菅野 重樹 加藤 一郎
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.395-403, 1994-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3

人間は指と腕を協調させることによって巧みな作業を行うことができる. 本研究の目的は, この指-腕協調による巧みさ (スキル) を, 人間の動作を分析することによって明らかにすることである. 本研究では巧みな動作の一例としてバイオリン演奏をとりあげ, その演奏動作を分析した. 被験者は, 職業演奏家, 音楽大学学生, 未経験者各2名の計6名とした. 実験では, バイオリン演奏において最も基本的な演奏法である全弓下げ弓を用いることとし, 被験者に弓圧および弓速を3段階に変化させて演奏してもらった. 上肢およびバイオリンの動作は三次元動態計測装置を用いて計測し, 弓圧は弓に貼ったひずみゲージを用いて計測した. 分析の結果, 未経験者は指, 腕を効果的に使えないこと, また職業演奏家のほうが音楽大学学生より, ボーイングの変化に対する動作の変化が大きいことが明らかとなった.
著者
吉田 辰夫
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.155-164, 1982-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
7
被引用文献数
4 4

視野の中心部あるいは周辺部を被った状態を実現する装置を構成し, 中心視か周辺視のいずれか一方で図形を観察する実験を行った. 中心視の範囲は視線を中心とする直径が3°の円形の領域と定め, 15°の大きさの図形を自由に眼を動かして観察した.中心視および周辺視のそれぞれの場合について, 視野の制限のない通常の観察条件での見え方とは, 異なった見え方をする図形が存在することを見出した. これらの結果は, 人間の図形認識機構の特徴抽出の部分に, 多層のニューロン回路網を想定したモデルにより一貫した説明の可能であることを示した. このモデルに基づいて, 図形知覚における中心視と周辺視の役割を検討した.