著者
重松 成二
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.83-90, 1978-04-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
6

一般的な織物および難燃性織物の燃焼性について検討した.1) 難燃加工を施した天然繊維織物の防災性は, 合繊混用の難燃加工交織物より優れている.2) 合繊および天然繊維を混用した交織物の難燃加工では, 加工液濃度を標準濃度より低減することができる.3) 交織物の燃焼性は, 燃焼角度や燃焼方向により異なる場合がある.4) 難燃ポリエステルはフエノール繊維と燃焼挙動が異なるため, 防災性も著しく異なる.5) 衣服の防災性は接炎, 可燃物の付着, 熱伝達など総合的見地から判断されなければならない.
著者
渡辺 はま 川口 潤 中井 雄介 塚田 哲也 彦野 賢 中村 肇
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.237-243, 2005-08-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
14
被引用文献数
6 4

本研究では, プラントにおける作業を模擬した二つの実験を通して, 行為意図の遂行における事前動作の効果を検討した. 各実験にはそれぞれ40名, 20名の学部学生が参加した. 両方の実験で, 被験者は指示 (例えば“112A 開”) を与えられ, それらを覚えるよう教示された. 干渉課題に続いて, 被験者はキーボードキーを押すことで指示を遂行することが求められた. 六つの指差呼称条件 (統制条件・動作付き指差呼称条件・動作付き指差条件・呼称条件・指差呼称条件・位置確認条件) を比較した結果, 動作付き指差呼称もしくは指差呼称を伴って指示書を確認した被験者において, 優れた遂行成績が示された. これらの結果は, 作業前に作業遂行時と同様の動作を行うことが, 通常の指差呼称と同程度に, 意図した行為の優れた遂行を導くことを示唆している.
著者
前澤 知輝 宮崎 由樹 松長 芳織 若杉 慶 柴田 彰 河原 純一郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.29-33, 2020-02-15 (Released:2021-02-18)
参考文献数
7

本研究では,花粉症対策に衛生マスクを持続的に着用する日常生活場面において,鼻の不快感に対するマスクへの着香効果を経時的に測定した.花粉症をもつ40名の被験者が2種の衛生マスク(ミント着香,または統制として無香マスク)をそれぞれ6時間着用し,携帯機器を通じて鼻の不快感について定期的に回答した.実験の結果,着香マスクは無香マスクに比べて装着直後に鼻の不快感の低減が強く生じた.しかし,香りの有無にかかわらず,マスク着用後,30分程度で不快感の低減効果は飽和状態となった.このことは,着香マスクの着用が鼻の不快感を低減させる効果は,着用を始めてから30分までの香りの印象が大きく影響することを示している.
著者
岩田 一明 森脇 俊道 川野 常夫
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.239-247, 1981
被引用文献数
1 1

椅子から起立し再び着席する動作について動力学的観点から解析を行い, 動作に及ぼす加齢の影響について検討を加えた. 動作の撮影には16ミリシネカメラを用い, グラフィック・タブレットにより運動情報をミニコンピュータ内に取り込み, 人体の2次元数学モデルに基づいて身体各関節に作用する力やトルクを計算した.<br>実験は22歳から80歳までの男性被験者19名について行い, 解析の結果, 加齢と共に身体各関節運動における協調性の欠如から動作に滑らかさがなくなることが定量的に求められた. 動作中腰に作用するトルクの最大値は加齢と共に若干減少するが, 特に目前のテーブルに手をつくことにより平均20%低下することなどが得られた.
著者
松崎 一平 榎原 毅
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.259-263, 2020-12-15 (Released:2021-12-11)
参考文献数
6

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症対策として,山下病院では患者に関わる全スタッフに対して,勤務中はフェイスシールド着用が義務化された.フェイスシールド着用義務化以降,スタッフより頭痛やめまいの訴えがよく聞かれるようになった.そこで,医師・看護師全員に対してアンケートを実施し,フェイスシールド装着義務化前後での頭痛・めまいの頻度および症状の程度を比較検討した.当病院に従事する全ての医師12名および看護師89名にオンラインアンケートを実施した結果,フェイスシールド着用前に比べ,義務化されて以降,医療従事者の頭痛の頻度が増加している傾向(p=0.056)が示された.フェイスシールドを装着することでめまいを訴える頻度も有意に増加していた(p<0.01).フェイスシールドの長時間着用により,頭痛・めまいが誘発されている可能性が示唆された.人間工学的なフェイスシールド・デザイン,連続装着時間の指針など,人間工学研究の展開が望まれる.
著者
斎藤 真 中務 隆弘 池浦 良淳 水谷 一樹
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.212-218, 2007-08-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
6

本研究は, マルチディスプレイ型VDTの作業特性を明らかにし, ガイドラインや推奨事項を確立するための基礎資料を得ることを目的としている. 実験は10人の被験者を対象に編集作業とマウスポインティング作業をおのおの5分間, ディスプレイはシングル (1台), デュアル (2台) および大型の3条件について行われた. 評価は, 作業能率, 操作性, 頭部運動および頸部筋負担の四つの視点から行った.デュアルディスプレイおよびラージディスプレイは, シングルディスプレイよりも得られる情報量が多く, 操作がしやすいため作業能率が優れていることが示された. また頸部の筋負担はすべての実験条件で有意差が認められなかった. 特にデュアルディスプレイは, 画面が水平方向に広がるためラージディスプレイに比べて頭部運動が多く, 静的な筋負担を軽減する可能性が示唆された.
著者
北村 音壱
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.235-240, 1970

大阪国際空港周辺の航空機騒音の実態調査結果にもとづき, 航空機騒音の周波数特性, 航空機騒音の分布図, NNIの分布図, パワーレベル等を求め, これから飛行場周辺の騒音問題を考察した. 航空機騒音は, 離陸直後の航路直下の帯状地帯内で特に大きく, この地帯内では人間が生活するのに耐え難い程度の騒音被害が生じていると考えられる. これの根本的解決策は飛行場の移転しかないと考えられるが, 差当り技術的に可能な範囲での航空機騒音のパワーレベルの低減による基準の設定, 航路の適切な選定, 飛行回数の制限等が考えられる.
著者
堀尾 強 河村 洋二郎
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.423-430, 1994-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9

箸の性質や持ち方と箸を扱う諸動作の動作時間との関係を明らかにするため, 男女大学生11名を対象に箸を用いた諸動作を解析した. 実験には14cm, 21cm, 33cmの長さの箸を用い, ダイズ, ニンジン, トウフをはさんで, あるいはつまんで運ぶ動作, ソーセージを切る動作, ハンペンをさく動作について, 作業時間, 動作中の手腕の筋電図, 指と箸の間の圧力を測定した. 作業時間は, ダイズ, ニンジンを運ぶときには箸の長さによる違いはみられなかったが, トウフを運ぶときには長い箸が, 切る, さく動作のときには短い箸ほど動作時間が短かった. また, 箸と接触する手の各部位の圧は, 持ち方により違いがあった. つまんだり, はさんで運ぶ場合, 伝統的な持ち方では各部位の圧の違いは箸の長さ, 食品の大小や性状によらず同じパターンであったが, 他の持ち方では各指の圧パターンのばらつきが大きかった. さらに手腕各筋の筋電図では, 短母指屈筋の振幅が大きいことが特徴で, ニンジンを運ぶ動作, ソーセージを切る動作, ハンペンをさく動作の場合, 長い箸のときは短い箸よりも短母指屈筋の筋電図振幅が大きかった. 箸の長さに関しては, 長い箸では, トウフを運ぶとき以外は, 作業動作が終ったときに箸を持つ位置が先端方向に移動していた. 中等度の長さの箸ではソーセージを切る動作でのみ先端方向へ, 短い箸ではトウフを運ぶ動作でのみ逆に後端方向へ移動していた. なお, 箸を用いた各動作の動作時間と身体計測値との相関はほとんど認められなかった.この動作時間, 圧の比較, 筋電図振幅の比較, および作業後の箸を持つ位置の比較から, 大きい食品を運ぶときは長い箸, 食品を切る, さくという動作では短い箸がよく, 動作に適した箸の長さが異なることが明らかになった. また, 箸に接触した指の各部位の圧の比較から, 伝統的な持ち方ではつまんだり, はさんで運んだ場合, 箸の長さ, 食品の大小や性状に関係なく, 各指にかかる圧のパターンは同じであり, 他の持ち方に比べて安定していることが示唆された.
著者
木平 真 小菅 律 岡村 和子 中野 友香子 藤田 悟郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.212-221, 2016

<p>パトカーは,警察活動における特殊な使われ方のため弁別されやすい外観をしているが,他の交通参加者との衝突を防ぐためにはパトカーの視認性は重要である.本論文では車両後部デザインの変更が車間距離の評価にどのように影響するか,コンピューター画面による実験で基礎的な検討を行った.結果,「POLICE」表記を付加すると車間距離の評価に影響を及ぼす可能性があること,および「POLICE」表記に下線を追加することによりこの実験環境では距離の評価が改善し,改善案になり得ることが判明した.</p>
著者
木平 真 小菅 律 岡村 和子 中野 友香子 藤田 悟郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.212-221, 2016-10-20 (Released:2017-11-28)
参考文献数
11

パトカーは,警察活動における特殊な使われ方のため弁別されやすい外観をしているが,他の交通参加者との衝突を防ぐためにはパトカーの視認性は重要である.本論文では車両後部デザインの変更が車間距離の評価にどのように影響するか,コンピューター画面による実験で基礎的な検討を行った.結果,「POLICE」表記を付加すると車間距離の評価に影響を及ぼす可能性があること,および「POLICE」表記に下線を追加することによりこの実験環境では距離の評価が改善し,改善案になり得ることが判明した.
著者
藤田 祐志
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-4, 2019-02-15 (Released:2020-08-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

人間工学を世界的に推進する観点から,重要なリサーチ・イシューを要約した.リサーチの姿勢に関わる5つの主要なイシューを議論しており,これらは(1)科学的研究と実践の相補的実行,(2)ステークホルダーの関与,(3)システミックなアプローチ,(4)人間工学の新たな役割,および(5)先見的姿勢である.また,将来に向けて,教育者が重要な役割を果たさなければならないと論じている.本稿は,国際人間工学連合で得られた10年近くにおよぶ筆者の経験にもとづいている.
著者
榎原 毅 鳥居塚 崇 小谷 賢太郎 藤田 祐志
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.155-164, 2021-08-15 (Released:2021-08-20)
参考文献数
19
被引用文献数
9

国際人間工学連合は人間工学(HFE;Human Factors and Ergonomics)のコア・コンピテンシーを改訂した.HFEの改訂コア・コンピテンシーの単位は7領域に集約・再整理され,システムズアプローチ視点がより強調される形となっている.改訂コア・コンピテンシーに基づき,今,社会の要請に応えるHFE専門家を育成するために必要と考えられるリサーチ・イシューとして,1)ステークホルダ関与に基づく解決策の提案,2)システムズアプローチに基づくシステム要素の調和,そして3)HFE主導による,あるべき近未来労働・生活様式ビジョンの策定,の3つのポイントを提案した.これらはHFEの世界的な動向を鑑み,国内のHFE研究者,実務者,専門家が今,学び,実践すべき重要なリサーチ・イシューである.
著者
嶌田 久美 増山 英太郎
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.311-318, 2000-12-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13

デザイン活動において, デザイナーの視覚イメージ能力は大きな役割を果たしている. 本研究では視覚イメージの個人差として直観像素質を取り上げ, デザイン活動における直観像の機能についての基礎的研究を行った. まず, 工業デザインを専攻する大学生114名に質問紙調査を実施し, 主成分分析などによって日常生活における視覚イメージの使用傾向について概観した. 次に質問紙結果をもとに選出した15名を対象に直観像検査を実施し, 直観像素質者の検出を行った. その結果, 4名が直観像素質者であると判明した. 彼らは普段から視覚イメージをよく使用しており, 非素質者よりも頻繁に空想や想像を行っていることが示された. また, デザイン活動において不可欠と思われる, 視覚イメージの鮮明な保持や心的操作といった行為に対しても得意である傾向がみられ, 直観像素質とデザイン能力との関連性が推察された.