著者
小川 浩平
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 = The Japanese journal of ergonomics (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.90-95, 2011-06-15

縦横比に関する美的な安心感の程度(=美的安心度)を安定性の尺度と正規性の尺度の積で表されると仮定して情報エントロピーを導入して定義した.自然や芸術の分野で美しく完璧な縦横比と言われる黄金比,白金比,白銀比のいずれもこの美的安心度が比較的高い値をとることを明らかにするとともに,この美的安心度が最大となる縦横比0.705は大和比とも言われる白銀比0.707とほぼ一致することから,白銀比に明確な一つの論理的裏付けを与えることができた.また,三原色のうちの2色あるいは黒色と白色をこの最大美的安心度となる比率で混ぜた新たな混色を提案した.これらの新たに提案した混色は人間に優れた美的な安心感を与えると推測可能であるが,その根拠については今後の定量的・論理的研究に委ねた.これらの新たに示した縦横比およびそれに基づく混色は,さまざまなデザインを行う上で有用な情報を与えると考えられる.
著者
千原 義男
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.349-355, 1969-10-15 (Released:2010-03-11)
被引用文献数
1
著者
大塚 有希子 高野 研一
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.179-186, 2012-08-15 (Released:2012-10-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1

ITプロジェクトの成功に寄与するプロジェクトマネージャー(以下PM)のマネジメント・コンピテンシー(高業績者の行動特性)について,日本国内の情報通信・IT開発プロジェクトのPM約200名に対し,プロジェクトマネジメント知識体系による42のプロセスを自己評価する質問紙により調査した.得られた結果を因子分析し「リスクマネジメント」「進捗マネジメント」等の9因子を抽出した.これらの因子指数を直近プロジェクトの成果の成功群と不成功群で比較した後,パス解析により成功・不成功に対する因果関係を調べた.その結果,プロジェクトの時間的な成功に「引渡成果物マネジメント」の,コストの成功に「要求事項マネジメント」のコンピテンシーが影響することがわかったが,2つのコンピテンシーには「進捗マネジメント」のコンピテンシーが間接的に影響していることも確認できた.以上よりこの3つのマネジメント・コンピテンシーのITプロジェクトに対する重要性が示された.
著者
村田 厚生 越智 啓太 森若 誠
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.190-197, 2011-10-15 (Released:2011-12-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

視線データからディスプレイ上の視線位置を表示する手法として, 適応的移動平均法を提案して,移動平均法(10点),注視点直接表示とパフォーマンスを比較し,さらにカーソルを非表示にした場合のパフォーマンスへの影響を明らかにした.コマンド名の表示領域から隣接する選択領域に直接視線が入ることで選択したと見なすI-QGSM(Improved-Quick Glance Selection Method)法をメニュー選択法として用い,メニュー選択作業を被験者に実施させた.作業完了時間,エラー率,作業しやすさ・眼の疲労度の主観評価の観点から,提案した適応的移動平均法が望ましいことが示された.カーソル表示と非表示条件での作業完了時間とエラー率には,ほとんど差がなかった.また,主観評価を通して,カーソルを表示する場合よりカーソルを表示しない場合の方が,操作性の評価が高くなり,眼への疲労度も低いことがわかった.
著者
村田 厚生 林 和也 森若 誠
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.127-138, 2011-08-15 (Released:2011-10-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

視線入力インターフェースの研究が行われているが,実用化には,視線入力における優れたスクロール操作方法の提案が必要不可欠になる.スクロール位置とスクロール速度の関係を非線形化したスクロール方法の提案がなされていない,ブラウザでのスクロール領域の位置の影響が明らかにされていないといった課題がある.本研究では,ウェブページでの情報検索を想定した課題を用いて,スクロール方法(スクロールアイコン法,オートスクロール法,オートスクロール改良法)のパフォーマンス,使いやすさの主観評価を比較し,最適なスクロール方法を明らかにした.その結果,スクロール領域でのカーソル位置とスクロール速度の関係を非線形にしたオートスクロール改良法(2次式組み合わせ),オートスクロール改良法(2次式)の作業完了時間が短く,エラー率が低く,操作性の主観評価も高いことが示された.
著者
村田 厚生 三宅 貴士 森若 誠
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.226-235, 2009-08-15 (Released:2010-11-19)
参考文献数
19
被引用文献数
4 10

本研究では視線入力装置を利用し,視線入力で快適にパソコンを扱えるブラウザを開発するための基礎的な研究として,高いポイント精度,速いポイント速度を保証する条件を同定する実験と視線移動方向の影響を明らかにする実験を実施した.その結果,ターゲットの横方向配置のほうが縦方向配置よりもポイント精度が高かった.両配置ともに,ポイント精度を高めるには,20ピクセル以上のターゲット間隔,40ピクセル以上のターゲットサイズにすべきであることが示された.また,両配置ともにポイント速度を速くするためには,ターゲットサイズをできるだけ大きくすべきで,ターゲット間隔はポイント速度にほとんど影響しないことが示された.また,マウスと視線入力のポイント速度の差は,若年者よりも高齢者のほうが大きくなり,視線入力システムは手指の運動機能の低下した高齢者には有効であることが示唆された.視線移動方向の影響に関しては,下方向のターゲットに対するポイント時間が他方向よりも長くなった.
著者
村田 厚生 三宅 貴士 森若 誠
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 = The Japanese journal of ergonomics (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.20-30, 2011-02-15
被引用文献数
2 4

本研究では,使いやすい視線入力ブラウザを開発するための基礎として,視線入力を用いたメニュー選択方法(I-QGSM法)を提案し,従来法(垂直表示,水平表示,サークル表示,QGSM法)との比較実験を実施し,若年者と高齢者に対してユーザビリティの優れたメニュー選択方法を明らかにした.高齢者に関しては,いずれの方法もマウスと同程度の作業時間でメニュー選択が可能であることが明らかになった.若年者については、視線入力を用いたサークル表示は避けなければならないことが示唆された.また,I-QGSMを用いると,エラー率が減少することが分かった.主観評価については,高齢者では,I-QGSMの評価値が高かった.以上より,I-QGSMを用いてメニュー選択を実施する場合には,マウスと比較して,高齢者は同等以上,若年者についてはほぼ同等の作業スピードでメニュー選択ができることが分かり,I-QGSMの有効性が示された.