著者
三輪 哲 佐藤 香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.489-494, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

欧米諸国では多くの社会科学データアーカイブが1960年代に設立されたが,日本ではその設立が20年近く遅れた。日本の最初の組織的なデータアーカイブであるSSJデータアーカイブは,現在,2,000を超えるデータを公開・提供しており,社会調査データの散逸を防ぐとともに二次分析の普及を図り,社会科学教育にも貢献している。ただしSSJDAは,現在,いくつかの課題に直面している。寄託され公開するデータをより増加させることや,セルフアーカイブを実現すること,調査時点でのインフォームドコンセントに二次利用まで含めるよう啓発すること,多様化する利用者へと対応すること,などである。
著者
小林 潤平
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.525-530, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)

文章を読み進める目の動きを効率化すべく,非効率な目の動きを改善する様々な仕組みを検討し,効果の検証を重ねた。その結果,文節にもとづく改行位置の調整や,文節単位で文字ベースラインを階段状にずらす表示方式,文節単位で左右に微振動させる表示方式によって,日本語文章を読み進める際の非効率な視点移動を改善できることがわかった。そして,それらの仕組みを電子リーダーに組み込むことで,理解度や読み心地を維持したまま,読み速度を向上できることがわかった。
著者
江上 敏哲
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.284-289, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)

本稿では,海外における日本研究と図書館について概説する。前半では,海外における日本研究,図書館とその周辺について,それらがどのような意味を持つかを概観する。後半では,特に近年の動向と事例・文献を追いながら,現状と課題,今後の展望を考える。そのキーワードは,在外資料,デジタルアーカイブ,ポータル,ウェブ・スケール・ディスカバリー,デジタルヒューマニティーズ,和本,コラボレーション,研修,アジア,英語/ローマ字であり,それらは「日本研究とは何か」という問いにつながる。
著者
難波 英嗣
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.277-281, 2016-06-01 (Released:2016-06-01)

近年,人工知能はコンピュータ囲碁や将棋,自動車の自動運転など,様々な分野で目覚ましい発展を遂げており,その成果をインターネット,新聞,テレビなどで目にする機会も少なくない。自然言語処理(NLP)は人工知能の一分野であり,人間が日常的に使っている言葉(自然言語)をコンピュータに処理させる技術のことを指す。人間が文書を分類する作業を,コンピュータで自動化することは,自然言語処理における代表的な研究課題のひとつである。本稿では,コンピュータによる文書分類に焦点を当て,様々な研究事例やその仕組みを紹介する。
著者
伊藤 倫子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.401-409, 2011-10-01

図書購入予算が減少を続ける現在,米国図書館はインターライブラリー・ローン(ILL)を利用し図書館間のリソース・シェアリングを効果的に行うことで対応している。世界的な減少傾向に反し,米国のILL活動は以前活発であるが,その要因として,図書館がITを積極的に活用し,図書館のサービスやマネジメント技術の向上を図ってきた点が指摘できる。一方で,新しいサービスの導入や電子リソースの急激な増加に伴い,図書館は新たな問題に直面している。本稿は,米国におけるILL活動について概観し,ILLサービスの変化,発展,あるいは課題について述べる。
著者
高久 雅生
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.48-53, 2014-02

15 年間にわたるオープンソース運動を振り返りながら,図書館サービスとの接点,オープンソースソフトウェアの利用事例を紹介する。図書館サービスにおけるオープンソースソフトウェアの例として,図書館管理システム,機関リポジトリ,次世代OPAC といった分野を取り上げ,国内及び海外の事例を紹介する。近年の図書館サービスの文脈におけるオープンソースソフトウェアの課題として,クラウドコンピューティングの進展やオープンデータ,人材育成などの観点から考察し,今後の課題を述べる。
著者
三根 慎二
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.156-161, 2010-04-01

オープンアクセスに対する社会的関心の高まりや,その促進を後押しする欧米政府・研究機関による政策・制度の策定が続いている。オープンアクセス関連の情報は大量に流通し続けており,一人ですべてを発見し読むことはもはや不可能である。よって,情報収集の負担を軽減しより効率的にするためには,何らかの方策が必要となる。本稿では,オープンアクセス関連の情報を収集するための重要な10大ツール(人,イベント・学会・各種委員会,Twitter,メーリングリスト・メールマガジン,ブログ,Webサイト,ソーシャルブックマーク,ニュースレター,雑誌,図書)を紹介する。
著者
山口 直比古
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.467-472, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)

病院には医療関係者のための図書室と,患者のための図書室の二種類の図書室がある。前者は医学図書館であり,主に医学情報を提供している。地域医療支援病院などの3割程度に設置されており,相互協力(ILLでの文献複写依頼)を中心に司書が一人で仕事をしている。後者は,患者・家族・市民のために医療・健康情報サービスを行っている。患者の立場に立ってインフォームドコンセントを支援する,という役割を担っている。全国に100以上の患者図書室が開設されている。それらの現状と問題点などを紹介する。さらに,一般市民に対する健康情報サービスが,公共図書館を中心に広がっているため,病院の図書室ばかりではなく,大学医学部図書館との連携・協力が求められている。
著者
赤木 かん子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.555-558, 2018-11-01 (Released:2018-11-01)

文字がまだ読めない子どもも含めた利用者を対象とした学校・公共図書館の改装を長年続けてきた。ランガナータンがいう通り「お客さまの時間を節約せよ」そして「図書館は有機体」であり,時代が変わるにつれ,新しいジャンルを作るなど小さい図書館の分類は動き,変わり続ける。子どもの暮らしが変われば,役立つ場所であり続けるために子どものための図書館も変わり続ける必要がある。図書館作りにおけるこどもとの対話の中で得た気づきから棚づくり,本の分類方法を考え,図書館づくりを行ってきた。そこで得た考え方やノウハウを紹介する。
著者
米澤 誠
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.305-309, 2005-07-01
参考文献数
6

図書館で行う展示会は, 図書館資料の利用を促進する活動の一環であり, 図書館の存在を社会に示す広報活動としても意義づけ, 図書館展示の持つ積極的意義を見直す。また, 東北大学で実施した「企画展」を事例として, 展示・解説の効果的実践方法を示す。
著者
ティムソン ジョウナス
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.207-212, 2014-06-01

2010年に文部科学省から出された『大学図書館の整備について(審議のまとめ)-変革する大学にあって求められる図書館像-』では,大学の教育機能に対する社会的要請が急速に高まっている中で,図書館員による教育支援がこれまで以上に期待されていること,そして効果的な教育支援を実現するための専門性が図書館員に求められていることが記されている。本稿では,これから大学図書館員として働こうとしている人を対象として,大学図書館の実際の業務の内容と,それらの業務を最大限に展開するための要素を踏まえながら,教育に関わる図書館員として活躍していくために必要な知識や専門性について述べた。
著者
大向 一輝
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.595-601, 2008-12-01
被引用文献数
2

近年,学術情報サービスには専門家だけではなく一般の人々に対する情報の提供という役割が求められるようになっている。国立情報学研究所では,論文情報ナビゲータCiNiiについて,ファインダビリティ向上を目的とした大規模なリニューアルを行った。リニューアルに際しては,新たなユーザである一般のウェブ利用者のユーザモデルに関する検討を行い,オープン化ならびにウェブ検索エンジンとの連携が必要であるとの結論を得た。これをふまえて2006年から2007年にかけてシステムの改良を行った結果,サービスの利用回数が従来と比較して3〜10倍程度に増加し,CiNiiの知名度を高めることができた。本論文では,学術情報サービスにおけるユーザモデルについて議論するとともに,CiNiiリニューアルで実施したファインダビリティ向上のための具体策とその効果,ならびに今後の展望について述べる。
著者
飯野 勝則
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.355-360, 2011-09-01

佛教大学図書館は,2011年4月に「ディスカバリーサービス」であるSummonを日本で初めて導入した。だが,その能力を十分に発揮するためには,図書館で従来から利用されてきたOPACやリンクリゾルバとの連携が欠かせない。とはいえ,OPAC連携においては,削除レコードや通信プロトコルの問題など,日本の図書館システム特有の課題も存在する。一方,リンクリゾルバは,Summon上の論文メタデータから図書館の紙媒体の雑誌への誘導をシームレスに行うことを可能にし,またハーベストを行えない非連携サイトへの誘導すら可能にすることから,再度着目すべきツールとなった。今後はSummonの日本語コンテンツの強化とともに,リンクリゾルバの機能強化が課題になるだろう。
著者
杉山 智章 森内 文 高橋 里江 森部 圭亮
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.478-483, 2012
参考文献数
13

クラウドコンピューティングの普及とともに,クラウドを使用した図書館向けサービスや,機関単位でのクラウド化の事例がみられるようになった。静岡大学では,プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を活用した情報基盤の更新が行われ,附属図書館でも機関リポジトリや図書館業務システムなど,システムの全面パブリッククラウド化を達成した。その際,データの保全性を高めるためのバックアップや事業継続のためのリストア手順の確認を行った。クラウドによる効果はこれまでの機器・設備管理からの解放などがあげられる。一方,停電時の対応など,実際の運用を通して危機管理意識の重要性を再認識した。