著者
坂東 慶太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.189-195, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

研究者SNSは,誕生当初は他研究者とのネットワーキングや自身のオンラインプロファイルとして活用されることが主流であったが,近年は論文共有の場として使われていることが幾つかの調査より明らかとなっている。これに伴い,新たな問題-研究者SNSで共有されている論文には,本来公開してはならない出版社版が多数アップされていること-が顕著化しており,学術出版業界が牽引して学術コミュニケーションの改善に取り組んでいる。図書館員は,研究ワークフローの各フェーズを支えている研究者SNSの機能・使われ方・問題などを理解し,研究者SNSが適切に利用されるよう支援活動に組み込む必要がある。本稿では,研究者SNSの概要と機能を確認した後,様々な調査報告に基づいて研究者SNSの利用実態・問題点を整理する。その上で,図書館は,研究者SNSに対してどのような取り組みが出来るのか・期待されるのかを考察する。
著者
関谷 直也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.372-377, 2012
参考文献数
18

東日本大震災において,人々は物理的な被害を受けていなくとも,直接的な地震・余震,津波の映像の視聴,放射性物質の飛散に関する情報などを原因として不安を強く感じた。また被災者への支援について不安を感じ,そのような状況にも関わらず情報が手に入らないことに不安を感じた。そしてそれらの不安を解消するために,情報を過剰に発信・受信しようとしたり,支援・団結を求めたり,他者への攻撃へと転嫁したりした。ある程度,時間が経過してからはさまざまな活動を自粛し,時間が経つにつれ,不安や震災について考えることなどは忘却され,平時の心理に戻っていった。
著者
和田 玲子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.16-21, 2019-01-01 (Released:2019-01-01)

経営層からの要望やビッグデータ解析ツールの高度化により,知財業界で「IPランドスケープ」が盛り上がりを見せている。IPランドスケープは,知財解析を経営判断に活かすものであり,知財解析を実行する人材としての知財アナリストの育成は急務である。本稿では,IPランドスケープ実施に際し,知財アナリストの育成に直面した筆者が,特許サーチャーのキャリアパスを参考にしながら検討した,知財アナリストのキャリアパスについて述べる。具体的には,見習い,一人前,熟達者の3段階にわけ,各レベルで必要となるスキル,その獲得時期や方法について言及する。
著者
孫 媛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.179-184, 2017-04-01 (Released:2017-04-03)
被引用文献数
1

研究開発や資金獲得における世界的な競争激化を背景に,国,研究機関,研究者個人等さまざまなレベルで,研究成果の定量的な評価が行われている。そのためにインパクトファクター,h-index,分野標準化した指標など多様なビブリオメトリックス指標が開発され,世界中で広く利用されている。一方,ICTの著しい発展により情報流通形態が大きく変化し,論文のダウンロード数やソーシャルメディアでの取り上げられ方等によって研究の影響度を指標化するオルトメトリックスへの注目と期待が高まっている。本稿では,いくつかのビブリオメトリックス指標と利用時の注意点を紹介した後,オルトメトリックスとその問題点について考察する。
著者
赤木 かん子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.555-558, 2018-11-01 (Released:2018-11-01)

文字がまだ読めない子どもも含めた利用者を対象とした学校・公共図書館の改装を長年続けてきた。ランガナータンがいう通り「お客さまの時間を節約せよ」そして「図書館は有機体」であり,時代が変わるにつれ,新しいジャンルを作るなど小さい図書館の分類は動き,変わり続ける。子どもの暮らしが変われば,役立つ場所であり続けるために子どものための図書館も変わり続ける必要がある。図書館作りにおけるこどもとの対話の中で得た気づきから棚づくり,本の分類方法を考え,図書館づくりを行ってきた。そこで得た考え方やノウハウを紹介する。
著者
三輪 哲 佐藤 香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.489-494, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

欧米諸国では多くの社会科学データアーカイブが1960年代に設立されたが,日本ではその設立が20年近く遅れた。日本の最初の組織的なデータアーカイブであるSSJデータアーカイブは,現在,2,000を超えるデータを公開・提供しており,社会調査データの散逸を防ぐとともに二次分析の普及を図り,社会科学教育にも貢献している。ただしSSJDAは,現在,いくつかの課題に直面している。寄託され公開するデータをより増加させることや,セルフアーカイブを実現すること,調査時点でのインフォームドコンセントに二次利用まで含めるよう啓発すること,多様化する利用者へと対応すること,などである。
著者
江上 敏哲
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.284-289, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)

本稿では,海外における日本研究と図書館について概説する。前半では,海外における日本研究,図書館とその周辺について,それらがどのような意味を持つかを概観する。後半では,特に近年の動向と事例・文献を追いながら,現状と課題,今後の展望を考える。そのキーワードは,在外資料,デジタルアーカイブ,ポータル,ウェブ・スケール・ディスカバリー,デジタルヒューマニティーズ,和本,コラボレーション,研修,アジア,英語/ローマ字であり,それらは「日本研究とは何か」という問いにつながる。
著者
難波 英嗣
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.277-281, 2016-06-01 (Released:2016-06-01)

近年,人工知能はコンピュータ囲碁や将棋,自動車の自動運転など,様々な分野で目覚ましい発展を遂げており,その成果をインターネット,新聞,テレビなどで目にする機会も少なくない。自然言語処理(NLP)は人工知能の一分野であり,人間が日常的に使っている言葉(自然言語)をコンピュータに処理させる技術のことを指す。人間が文書を分類する作業を,コンピュータで自動化することは,自然言語処理における代表的な研究課題のひとつである。本稿では,コンピュータによる文書分類に焦点を当て,様々な研究事例やその仕組みを紹介する。
著者
時実 象一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.426-434, 2014-10-01

この記事は,ここ数年のオープンアクセスの動向について詳述するもので,前後編に分かれる。この前編では,はじめにオープンアクセスの定義と歴史について,特にゴールド・オープンアクセスとグリーン・オープンアクセスについて簡単に説明した。近年研究助成機関と各国政府のオープンアクセス志向が強まり,米国・英国など主要国で助成研究成果論文の無料公開が義務付けられている。なかでも,2013年2月の米国OSTPのメモ,2012年6月の英国のFinch Reportとその影響,ECの動向などについて解説した。さらに,米国では,この義務化に対応するための出版社の取り組みCHORUS,図書館の取り組みSHAREなどの動きがある。 CHORUSはCrossRefのFundRefに支えられている。こうした,義務化を支えるインフラストラクチャーについて述べた。
著者
伊藤 倫子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.401-409, 2011-10-01

図書購入予算が減少を続ける現在,米国図書館はインターライブラリー・ローン(ILL)を利用し図書館間のリソース・シェアリングを効果的に行うことで対応している。世界的な減少傾向に反し,米国のILL活動は以前活発であるが,その要因として,図書館がITを積極的に活用し,図書館のサービスやマネジメント技術の向上を図ってきた点が指摘できる。一方で,新しいサービスの導入や電子リソースの急激な増加に伴い,図書館は新たな問題に直面している。本稿は,米国におけるILL活動について概観し,ILLサービスの変化,発展,あるいは課題について述べる。
著者
高久 雅生
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.48-53, 2014-02

15 年間にわたるオープンソース運動を振り返りながら,図書館サービスとの接点,オープンソースソフトウェアの利用事例を紹介する。図書館サービスにおけるオープンソースソフトウェアの例として,図書館管理システム,機関リポジトリ,次世代OPAC といった分野を取り上げ,国内及び海外の事例を紹介する。近年の図書館サービスの文脈におけるオープンソースソフトウェアの課題として,クラウドコンピューティングの進展やオープンデータ,人材育成などの観点から考察し,今後の課題を述べる。
著者
三根 慎二
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.156-161, 2010-04-01

オープンアクセスに対する社会的関心の高まりや,その促進を後押しする欧米政府・研究機関による政策・制度の策定が続いている。オープンアクセス関連の情報は大量に流通し続けており,一人ですべてを発見し読むことはもはや不可能である。よって,情報収集の負担を軽減しより効率的にするためには,何らかの方策が必要となる。本稿では,オープンアクセス関連の情報を収集するための重要な10大ツール(人,イベント・学会・各種委員会,Twitter,メーリングリスト・メールマガジン,ブログ,Webサイト,ソーシャルブックマーク,ニュースレター,雑誌,図書)を紹介する。

7 0 0 0 OA ウェブの功罪

著者
笹原 和俊
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.309-314, 2020-06-01 (Released:2020-06-01)

多様な情報と人々をつなぐはずのソーシャルメディアが,社会的分断や情報のタコツボ化を助長しているという問題が顕在化している。特に,エコーチェンバーやフィルターバブルといった閉じた情報環境は,自分の好みに合致した情報のみが来やすく,自分とは異なる観点からの情報が来にくいため,フェイク(偽)ニュースやヘイト(憎悪)の温床となる危険性を孕んでいる。本稿では,計算社会科学の観点から,偽ニュースが拡散する仕組みについて解説し,ウェブの負の側面について論じる。また,今後のウェブの技術が克服すべき問題について議論する。
著者
関 乃里子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.22-27, 2019-01-01 (Released:2019-01-01)

図書館システムの専門メーカーである株式会社ブレインテックでは,社員の4割が司書有資格者であり,30年以上にわたりシステム・ライブラリアンのいない多くの小規模図書館に対して「外付けシステム・ライブライアン」のような役割を果たしてきた。しかしそこに求められる専門性は,図書館を取り巻く情勢の変化に伴い変わってきている。我々が,「外付けシステム・ライブラリアン」としてこれからも図書館を支援し続けていくために必要とされるスキルや知識は,以前より多様で広範なものである。そうした力をもった人材を育成するための,当社における組織や役職制度,働き方,研修制度の改革を紹介する。
著者
矢野 正隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.160-165, 2016-04-01 (Released:2016-04-01)

本稿では,デジタル・メディアの保存に関する課題を踏まえて,メディア一般を対象とする保存の在り方を再検討する。まず,一般にメディアは,それが伝える意味内容(メッセージ)とこれを載せるモノ(キャリヤー)の二つの側面からなること,また,そのメッセージには,その内容に当たる側面だけでなく,発信・受信という伝達行為そのものに関わる側面も含まれることを指摘する。次に,メッセージをメディアのどこに見出すかは,受信者によって異なるが,その相異が,博物館・図書館・文書館が収集の対象とするメディアにおいてそれぞれどのように現れるかを考察する。これを通じて,メディア保存の現状に一石を投ずることを目的とする。
著者
鈴木 健治 髙橋 啓治 芳賀 みのり 久保田 美央
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.266-272, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)

優れた知的資産を持つ日本企業が,世界に新たな市場を創り出すイノベーションを起こすために,何ができるだろうか。本研究では,イノベーションを持続的に生み出す海外企業の市場情報と同社の知的財産の因果関係が分析的に調べられた。その結果,まず,市場シェアに知財情報を関連づけて,5つの図に描く市場情報駆動型の新しい分析方法が確立された。この5つの図は,企業の市場シェア構築への知的財産の影響を明確にするため,経営デザインシート作成の補助ツールとしても有用である。続いて,この市場情報駆動型の分析方法により,日本企業がイノベーティブな組織に変わるための6つの質問が提案された。