- 著者
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石見 佳子
- 出版者
- 公益財団法人 日本醸造協会
- 雑誌
- 日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
- 巻号頁・発行日
- vol.103, no.12, pp.927-933, 2008-12-15 (Released:2011-09-20)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
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大豆に含まれるイソフラボン (ダイゼイン, ゲニステイン, グリシテイン) はエストロゲンに類似した構造をもつため, イソフラボンの摂取量が多いほど骨粗懸症, 更年期障害や乳がんに対する予防効果があると言われている。更に, ダイゼインの代謝産物であるエクオールは乳がん, 前立腺がんの発症率を抑えるほか, 骨量減少抑制効果についての報告もある。最近, イソフラボンはサプリメントとして市販されているが, 必ずしも大量摂取すればよいと言うわけではない。厚生労働省はサプリメントによるイソフラボンの過剰な摂取に対して注意を呼びかけている。著者らの研究によると, 閉経後の女性に対しては大豆イソフラボン投与と適度な運動の併用が大腿骨骨密度の維持に効果があった。またエクオールを産生する腸内乳酸菌にはラクトコッカスのほか数種類が関与していることが判明したが, 今後はこれらを含む乳製品の開発が期待される。本稿では著者らのデータを含め, 大豆イソフラボンに関する最新情報を解説していただいた。