- 著者
-
釜野 さおり
- 出版者
- 日本家族社会学会
- 雑誌
- 家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.2, pp.200-215, 2017-10-31 (Released:2018-11-08)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
2
本稿では,「性的マイノリティについての意識:2015年全国調査」のデータを用いて「同性愛・両性愛フォビア度尺度」と「家族・ジェンダー保守度尺度」を生成し,各尺度得点を被説明変数とした重回帰分析を行った(n=1074).男性である,高齢である,同棲の経験がない,政治意識が保守的である,セクシュアル・マイノリティが周りにいないと認識していると,家族・ジェンダー保守度と同性愛・両性愛フォビア度が高いことがわかった.婚姻地位,都市規模,信仰・信心の有無は,いずれの尺度においても関連性が確認できなかった.学歴,就業の有無,主な仕事の種類,宗教心の重要性,居住地域については,2つの尺度間で,また,統制する変数によって結果が異なった.検討した変数すべてを含むモデルの標準化係数を見ると,同性愛・両性愛フォビア度に対する説明力が高いのは,年齢,セクシュアル・マイノリティが周りにいるか否か,性別の順であった.