著者
岡崎 清市 砂村 継夫
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.160-166, 2001-09-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

九十九里浜平野において, 完新世における砂質微高地列 (strandplain ridges) の形成過程が議論されて来たが, これら微高地列の区分を明治中期 (1883年頃) の迅速測図の土地利用区分を手懸かりに再検討した。その結果, 従来の区分と異なる6区分をすることができた。海岸寄りの2群は従来通り, 内陸側は4群に区分することができた。
著者
横尾 実
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.201-219, 2002-12-26 (Released:2010-04-30)
参考文献数
50

江戸期城下町を起源とする東北地方の11都市を取り上げ, 今日の都市内部の地域構造はかつての城下町構造とどのような形で関係して形成されたかを明らかにする。第2次世界大戦時までの対象都市の形成過程に関してはすでに論じたところであり (横尾, 2000), 戦後約半世紀が本稿で取り扱われる期間である。11都市における都市地域の形成過程を追跡した後, 各都市における今日の地域構造と城下町構造との関係を記述モデル化した。各都市に内在する具体的条件を還元するなら, 現在の都市は旧城下町における城郭縁辺の商業中心を都心形成の根源として継承し, さらにその周囲に, 城下町構造と一定の関係を保ちながら, 新しい圏状構造を発達させたことになる。このような都市地域の形成様式は欧米の古典的な都市成長理論が提起する様式と符合しない一面を持っている。
著者
米地 文夫
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.257-261, 2001-12-21 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8
著者
佐藤 慎吾
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 = Quarterly journal of geography (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-39, 2008-03-28

本研究は, 衆議院富山県第三区を対象に, 当該議員の集票組織の分析から, 後援会の空間組織の地域的差異を導出し, その上で後援会の空間組織とその編成要因について検討した。<br>A議員の集票組織には, 職域別の政治団体が20, 地場企業やその関連組織の自民党職域支部が7, A議員が私的に組織した後援会が44存在した。このうち, 政治団体役員の居住地と自民党職域支部の所在地, および後援会の設置地域は高岡市に偏在していた。また, A議員の事務所と秘書も同様に高岡市に設置されていた。<br>とくに, 後援会は高岡市内に26あり, 小学校区を単位として編成され, 支持者への日常世話活動が強化されていた。この背景には, 高岡市が富山三区内最大の票田地域であるにもかかわらず, 都市的地域特有の流動層と同じ党派のライバル議員によって, A議員の相対得票率が比較的低い値で推移してきたことがある。<br>一方, 高岡市外の18の後援会は市町村を単位に配置されていた。これは, 市町村が住民意識に強い影響を及ぼしているだけでなく, 有力な集票組織である農協の管轄地域や系列県議の選挙区地域, さらには公共事業の執行地域とその見返りとしての票の集計地域である点とも深く関係していた。
著者
甲斐 智大
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.95-111, 2023 (Released:2023-10-03)
参考文献数
22

2022年度から新学習指導要領に基づき,高等学校において必修科目「地理総合」の実践が始まっている。これまで高等学校で実施されてきた教科「地理」では知識理解に重点がおかれてきた。それに対して「地理総合」では地図などを活用した「知識活用・課題解決」的な学習が強く要求されている。そこで,地理教員の不足を鑑み,地理関連学会では高等学校の教員に向けた支援コンテンツ拡充の試みが展開されている。しかし,一連の支援コンテンツは一部の教員と研究者によって拡充されており,必ずしも高校生や「地理総合」を担当しうる教員の地理に対する理解・認識や実態を踏まえたものではない。そこで,本稿では高校生および高等学校教員の地理や地図に対する認識について検討した。その結果,中学生時代に地図帳を活用した経験を持つ者は限定的であり,地図を用いた考察に対して苦手意識を持つ者が目立つことを示した。そのうえで,こうした状況にある生徒に対して「地理」を指導することになる教員の実態について検討すると,彼らの理解度も低く,なかでも現代的課題に関する理解度はとりわけ低いことが示された。こうした実態を踏まえると,新学習指導要領が要求する目標を達成するためには,一部の教員による地理専門教員に向けた支援コンテンツの拡充に加えて,地理の基本事項や,地図を用いた考察を前提とした主題や問の設定のための支援が求められることが明らかとなった。
著者
佐藤 慎吾
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-39, 2008-03-28 (Released:2010-06-22)
参考文献数
38

本研究は, 衆議院富山県第三区を対象に, 当該議員の集票組織の分析から, 後援会の空間組織の地域的差異を導出し, その上で後援会の空間組織とその編成要因について検討した。A議員の集票組織には, 職域別の政治団体が20, 地場企業やその関連組織の自民党職域支部が7, A議員が私的に組織した後援会が44存在した。このうち, 政治団体役員の居住地と自民党職域支部の所在地, および後援会の設置地域は高岡市に偏在していた。また, A議員の事務所と秘書も同様に高岡市に設置されていた。とくに, 後援会は高岡市内に26あり, 小学校区を単位として編成され, 支持者への日常世話活動が強化されていた。この背景には, 高岡市が富山三区内最大の票田地域であるにもかかわらず, 都市的地域特有の流動層と同じ党派のライバル議員によって, A議員の相対得票率が比較的低い値で推移してきたことがある。一方, 高岡市外の18の後援会は市町村を単位に配置されていた。これは, 市町村が住民意識に強い影響を及ぼしているだけでなく, 有力な集票組織である農協の管轄地域や系列県議の選挙区地域, さらには公共事業の執行地域とその見返りとしての票の集計地域である点とも深く関係していた。
著者
伊藤 修一
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.107-121, 2003-06-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1

本研究では, 千葉県の都市名とその位置の認知要因の解明を試みた。調査は千葉市の中学生に実施し, 309人から有効回答を得た。千葉県内の31都市の名称とその認知理由, その位置について調査した。その結果, 名称と位置の認知はともに, 基本的に居住地からの距離減衰傾向を示すことが明らかとなった。さらに, 名称と位置の認知率をそれぞれ被説明変数とした重回帰分析結果は, 名称と位置の認知ともに, 経路距離が最大の影響力を示している。実際に, 生徒は生活圏外の都市名を身近な人から都市名を認知しており, 身近な人からの情報が少ない県の北西部の都市はあまり認知されていない。また, 南房総などの観光地を抱える都市は, 居住地からの距離の割に訪問を通じて認知されており, これらの例外的な都市がその距離減衰傾向を弱めている。位置認知では, 県域の末端的位置による視覚的効果が大きく影響しているが, 面積や市界線の形状といった他の視覚的効果の影響は弱い。これは, 生徒が地図を利用する際に市界線を意識していないことに関係している可能性が高い。この結果は, 都市の名称と位置がそれぞれ異なる影響を受け, 異なる過程を経て認知されていることを表している。
著者
米地 文夫
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.191-194, 2000-08-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
福岡 義隆
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.196-199, 2015 (Released:2016-01-14)
参考文献数
6
著者
高橋 信人 岩船 昌起
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.22-38, 2015 (Released:2015-08-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1 2

東日本大震災後に建設された岩手県宮古市の仮設住宅の室内で2012年3月以降の約2年間,温湿度の観測をおこなった。この観測結果に基づき,主に夏季と冬季の晴天日における温湿度の平均的な日変化に注目して,仮設住宅の室内気候の建築タイプによる違いと,高齢者が生活する仮設住宅内での室内気候の特徴を調べた。建築タイプによって仮設住宅の室温の日変化は異なり,軽量鉄骨造りで室内にむき出しの鉄柱がある仮設住宅は,木造の仮設住宅に比べて冬季には1.7~3.4°C程度低温に,夏季日中は1°C程度高温になり,冬季,夏季ともに室温の日変化が大きかった。この仮設住宅内では,冬季,夏季ともに室温に比べて日中は鉄柱が高温,床面が低温になっており,夜間は鉄柱が低温になっている様子も認められた。この仮設住宅は相対湿度が他に比べて高く,夏季には熱中症危険度「厳重警戒」以上になる機会が,他の仮設住宅に比べて5割以上高かった。この仮設住宅に高齢者が生活する場合,冬季には室温に暖房の影響が大きく現れ,日最低気温が低い日ほど,室温の日較差や場所(高さ,部屋)による気温差が大きくなり,それらの値は平均的には7°C以上に及んでいることなどが明らかになった。
著者
由井 義通
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 = Quarterly journal of geography (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.143-161, 2003-09-18
参考文献数
10
被引用文献数
3 7

本研究の目的は, 大都市圏における女性就業者の増加と彼女たちを取り巻く住宅問題から, 地域的背景や社会経済的背景に焦点を当てて都市空間のジェンダー化についてアプローチを試みることである。研究の方法として, 女性向け住宅情報誌に掲載されたマンション購入者の体験談の特徴からシングル女性の住宅購入の実態を解明することにした。<br>マンション購入体験談に掲載された女性たちの特徴は, 30歳代が約3分の2を占めており, 彼女たちの居住地は東京都心部の港区や西部や南部内の最寄り駅からの利便性の高い地域内で購入した人が過半数を占めている。シングル女性による住宅購入は, 女性の社会進出に伴う就業構造の変化などが関連しているとみられ, 大都市特有の現象であるといえる。しかし, マンション購入者が必ずしも高収入を得ているキャリア女性に限られていないのは, その背景に民間の賃貸住宅市場における家賃の割高感, 転居や契約更新の際に感じる契約更新料や敷金・礼金などに対する不満や, 単身者が共通して感じる老後の不安などが影響をもたらしている。また, 豊かな生活を求める傾向の中で, その生活行動の充実を求める場として住居を購入すると思われる。
著者
黒木 貴一 磯 望 後藤 健介 張 麻衣子
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 = Quarterly journal of geography (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.63-78, 2005-08-25
参考文献数
23
被引用文献数
1

2003年九州豪雨により, 福岡市の御笠川沿いの平野部は広く浸水した。JR博多駅周辺も, 1999年に続き再び浸水した。本研究では, JR博多駅周辺の浸水深の分布, 洪水堆積物の層厚分布, 洪水堆積物の粒度の分析結果から, 氾濫水の流下方向やその速さを推定し, 都市内の詳細な土地条件について論じた。<br>浸水範囲は, 地盤高におおむね支配され, 周囲より低い後背湿地にある。しかし, 都市の構造物にも強く影響を受けて, 氾濫水の流下方向, 浸水深, 洪水堆積物の層厚は多様である。御笠川から溢流した氾濫水は, JR博多駅および鹿児島本線に流れを阻まれ, その東 (上流) 側で広く湛水した。次に峡窄部となる鹿児島本線と交差する道路2箇所から西 (下流) 側へ流出した。浸水範囲には, 細粒土砂が堆積する湛水しやすい地域, 粗粒土砂が堆積する土砂の堆積しやすい地域, 土砂はあまり堆積しない氾濫水の流れやすい地域が区分できる。さらに土砂の堆積しやすい地域には, 自然堤防, 三角州, サンドスプレイ, 後背湿地の形成場に類似した土地条件地域を見出すことができた。このように, 都市化による人工的な地形改変により, 洪水特性を決める新しい土地条件が生み出されたことを本研究では示した。
著者
片岡 健
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-16, 2013 (Released:2013-07-18)
参考文献数
41

本研究では,土佐国黒岩城下町とその給人の名請地の構造を,名請高による属性別,国人領内の小村別に分析した。その結果,市町の構造は,商農分離および商農未分離の市町名請人の屋敷地が,部分的にまとまりを有しつつ混在していた。1町以上の耕地を名請する市町名請人は,商業活動の充実から耕地を集積した可能性もある。給人屋敷地の構造は,最上位層の給人屋敷地が土居に近接していた。この要因は,豊臣政権に臣従して以降,分国規模での検地および城割りの実施にみられるように長宗我部氏の大名権力が向上し,これに伴い国人領主片岡氏が国人領内で権力を上昇させたためとも考えられる。黒岩城下町の給人の名請地構造は,名請地が小村黒岩を中心に展開しており,生産物の輸送負担および耕作の移動負担が効率化されていた。黒岩城下町の給人屋敷地および名請地には,国人領主のプランである,前者への階層性の明示,後者への生産性の上昇という志向が一律には貫徹していなかった。給人屋敷地の構造は,黒岩城下町の給人の名請地が黒岩城下町に比較的近い国人領の一部に限定されていた国人領主片岡氏の地域権力としての実態に規定されていた。
著者
高木 亨
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 = Quarterly journal of geography (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.121-136, 2005-10-31
被引用文献数
1 1

本研究は, 醤油醸造業者の存立要因の一つとして消費者の醤油嗜好の地域性を想定し, 醤油の生産統計をもとに, 醤油生産の地域的な特徴について考察した。醤油の二大産地は千葉県と兵庫県であり, 千葉県産が関東地方で, 兵庫県産が関西地方で圧倒的なシェアを占めている。しかし, それらの周辺地域ではあまり高いシェアを占めてはいない。全国で広く生産されている醤油は,「濃口」,「本醸造」,「特級」であるが, その生産方式は一様ではなく, 同じ「濃口」でも東北, 北陸, 中国, 九州の各地方では「新式醸造」と「アミノ酸液混合」が多いなどの地域差がみとめられる。これは, 消費者の醤油嗜好の地域的差異の表れと考えられる。醤油の生産と流通の特徴を整理すると, 各都道府県は (1) 県内産醤油の割合が高い「県内産醤油優位型」, (2) 県内産醤油と県外産醤油との割合がほぼ等しい「県内・県外均衡型」, (3) 県外産醤油の割合が高い「県外産醤油依存型」の3つに大別できる。以上の検討から, 醤油嗜好の地域性の一端を明らかにすることができた。
著者
阿部 和俊
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.155-175, 2015 (Released:2016-01-14)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

本稿の目的は,経済的中枢管理機能を指標として日本の主要都市を位置づけ,その都市システムを検討することにある。対象とする年次は2010年である。経済的中枢管理機能とは,通常,民間大企業の本社と支所のことであり,本稿では2010年の上場企業2,442社を民間大企業とする。まず,本社から主要都市をみると,東京は1,072(全企業の43.9%)の本社を持ち,大阪がこれに次ぎ,309(12.7%)の本社を持つ。しかし,複数本社制を考慮し,第2本社の方を実質的な本社とみなすと,東京の本社数は1,189(48.9%),大阪のそれは259(10.6%)となり,両都市の差は大きくなる。支所数においても,最多都市は東京であり,大阪,名古屋がこれに続く。その差は本社数ほど大きくはない。また,業種・上下関係・テリトリーを分析すると,支所数多数都市ほど「鉄鋼諸機械」部門が多いことが指摘できた。上下関係からは,東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・広島・札幌・高松の各都市が上位にあること,そしてこれらの都市が広域のテリトリーを持っていることが指摘できた。さらに,本社と支所の従業者数を考慮して,各都市の経済的中枢管理機能量を算出した。これと企業の支所配置から日本の主要都市の都市システムを提示した。
著者
安倉 良二
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.146-162, 2004-09-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
32
被引用文献数
2 1

本研究は, 京都府南部地域を事例として, 大規模小売店舗法 (大店法) の運用が強化された1980年代と, 運用が緩和された1990年代の2つの時期に注目し, 大型店の出店過程を比較考察した。1983年に大型店が出店した八幡市では, 急速な人口増加を背景に, 1974年頃から大型店出店の動きがみられた。しかし, スーパーを核店舗とする大型店の出店には, 地元小売業者からの反対が根強かった。彼らはテナントへの優先的な入居や核店舗との出店協定を結ぶ形で出店調整に介入し, 大型店の出店過程で強い影響力をもった。他方, 久御山町では, 1990年代以降の道路交通網の整備を背景に, 広域集客を前提とする複数の大型店が立地した。当該店舗のテナント入居に際しては, 周辺に古くからの商業集積がないために, 大手小売業者の自由度が高い。しかし, 店舗規模から既存大型店も含む周辺市町の小売活動に与える影響も大きく, 大型店の開店までには出店調整が不可欠であった。1980年代と1990年代における大店法の運用の相違は, 大型店のテナント入居を含む出店調整の段階で地元小売業関係者がもつ影響力の強弱によって示された。このことは, 大型店の出店動向の違いと関わりをもちながら八幡市と久御山町で異なる商業集積の形成をもたらした。
著者
米地 文夫
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.37-41, 1994-03-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10
著者
成瀬 厚
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.180-190, 2000-08-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本稿は, 主に単身女性を読者として想定した雑誌における賃貸住宅情報を検討することを通じて, 雑誌記事の表象に潜む様々な問題を探求するものである。『Hanako』は首都圏限定発売の女性週刊誌で, ここで分析の対象とした賃貸住宅の記事は, 創刊当時の1988年から1990年にかけての5回の特集である。『Hanako』の創刊当時の編集方針は仕事だけでも結婚だけでもない女性のライフスタイルの提案であり, 創刊当時の賃貸住宅の特集はそれを特徴づけている。一般的な住宅情報誌と異なり,『Hanako』は様々なタイプの部屋での住み方を, 美的価値に従って提案していると同時に, 賃貸住宅を通じてある種の「東京」地誌を描いている。そのことを通じて, 読者は嗜好の差異を認識するのみならず,「階級」を意識させられる。また, 紙面の性差表現は他の女性誌が描き出すような男性との関係性ではないが, この雑誌は女性の生活様式をある方向に規定することによって女性性を維持しているとも解釈できる。