著者
内田 陽子 梨木 恵実子 小玉 幸佳 河端 裕美 鈴木 早智子 高橋 陽子 斉藤 喜恵子 滝原 典子
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.25-31, 2009-02-01
被引用文献数
1

【背景・目的】病院スタッフからみた老人看護専門看護師臨地実習の評価を明らかにすることである.【対象と方法】調査協力に同意が得られた病院スタッフ74名に対して,自記式質問紙法を行った.【結果】実習生の関わりとCNSの6つの役割に対する評価は「学生のケアプランは良かった」「スタッフに対する意見,アドバイスは良かった」等について高得点を示した.その他,「根気よく関わる大切さがわかった」等のスタッフ自身への良い変化の回答もみられた.しかし,これらの得点は,看護師とそれ以外のスタッフでは差がみられた.【結語】学生はスタッフに実習や役割を理解してもらうことが必要であり,そのためには,他職種に対する積極的な関わりが必要である.
著者
辻村 弘美 森 淑江 高田 恵子 宮越 幸代
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.51-58, 2009-02-01 (Released:2009-03-13)
参考文献数
13

【背景・目的】 看護は各国の様々な背景や状態により異なると考えられる. 中国で活動した青年海外協力隊員の面接調査と国際協力機構への報告書を分析し, その差異を明らかにすることで, 国際看護協力における示唆を得る. 【対象と方法】 看護師隊員4名の報告書計20冊と本人への面接結果を対象とし, 日本の看護と異なる点を抽出した. 【結 果】 「臨地実習において学生が行う基本的な看護技術」の80項目中, 日本と異なる看護に関する記述は41項目で, 対象者全員が差異があると述べた看護は, 「創傷管理技術」, 「与薬の技術」, 「身の回りの援助は家族が行う」, 「看護記録」であった. 4名中3名が差異があると述べた看護は, 「膀胱内留置カテーテル法」, 「点滴静脈内注射・中心静脈栄養管理」, 「手洗い」などであった. 【結 論】 日本と中国の違いが示唆されたので, 中国での看護技術の教育や臨床での状況について把握していく.
著者
山崎 恒夫
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.177-178, 2013-05-01 (Released:2013-06-13)
著者
齊田 綾子 飯田 苗恵 鈴木 美雪 大澤 幸枝 牛久保 美津子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.109-117, 2013-05-01 (Released:2013-06-13)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

【目 的】 標準的な二次医療圏の回復期病院における急性期病院からの転入患者の特性と退院先を明確にし, 地域完結型医療を推進するための示唆を得る. 【対象と方法】 2007年度の転入患者265人の診療記録の遡及調査を行い, 記述統計および退院先により比較検討した. 【結 果】 対象者は平均76.5歳, 脳血管疾患47.1%で, 41.6%が入院後に介護保険を申請, 91.3%に退院調整がされた. 退院先は40.0%が施設, うち18.9%は介護老人保健施設であった. 退院先施設が居住地の二次医療圏内である者は77.4%で, 介護老人福祉施設では50.0%であった. 退院先が自宅か否かの比較では, 回復期病棟への入院, 紹介元病院での入院期間, 入院期間, 医療処置の有無, ADL, 認知機能, 家族員数に有意差が見られた. 【結 語】 加療に加え, ADL改善, 認知症進行防止, 介護保険の申請支援, 退院調整の情報共有等とともに在宅・生活重視型施設の医療体制整備の必要性が示唆された.
著者
神田 清子 飯田 苗恵 狩野 太郎
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.379-387, 2001-11-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

【背景・目的】がん化学療法に伴う味覚変化に対して, 看護者が行っているセルフケア教育の内容を明らかにすることである.【対象と方法】全国の500病院で働く病棟の副婦長1000名であり, 郵送法による質問紙調査を施行した.回収は634名 (回収率63.0%) であり, 該当なし, 記入不備を除く568名について分析を行った.セルフケア教育内容は自由記述により回答を求め, 内容分析を行った.【結果】看護者の約59%が患者・家族を対象として, がん化学療法に伴う味覚変化に関するセルフケア教育を行っていた.セルフケア教育内容で一番多い項目は, 「味覚変化時の食事」, 次いで「症状・徴候の観察」, 「味覚回復のための含嗽液」であった.教育内容としては, 味覚変化の原因と出現時期, 観察, 食事, 含嗽, 味覚刺激方法など一連のセルフケア教育を行っていることが明らかになった.味覚を回復するための含嗽液として, イソジン, レモン水, 氷水が高頻度に指導されていた.【結論】セルフケア教育内容として, 味覚変化時の食事指導は定着しつつある.しかし, 薬剤投与中の金属味への対処方法の教育は行われておらず教育内容に含める必要があることが明らかになった.さらに味覚を回復するために実践されているレモン水については, その効果が曖昧のまま指導されており介入研究が必要であることが示唆された.
著者
岡田 慶一
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO Medical Journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.9-14, 2009
被引用文献数
1

<B>【背 景】</B> 介護老人保健施設で認知症高齢者が急増. <B>【目 的】</B> その摂食・嚥下障害の対策と結果を報告する. <B>【対象と方法】</B> 当施設の摂食・嚥下障害は56例. 平均年齢84.2歳. 医師, STの所見の対策と効果を検討. 効果を4段階評価した. <B>【結 果】</B> (1)食思の問題(2)嗜好の問題(3)食物認知の問題(4)拙劣な摂食動作の問題(5)咀嚼から嚥下運動の問題5項目に分類. 更に14中項目, 23小項目で対策を立て, 実施評価した. 食思の発動性の低下, 異常な確信, 固執は効果があり. うつ状態や食事健忘, 食欲の異常な亢進・盗食は効果は小. 甘い物, 飲み物, 汁物のみ口にするは効果あり. とろみ, ミキサー食の拒否は効果は少ない. 食物認知で注意の問題は効果あり. 摂食スピードの異常は効果あり. 拙劣な摂食動作は一部効果あり. 咀嚼から嚥下への移動困難は効果少であった. <B>【結 語】</B> 認知症高齢者摂食・嚥下障害の対策は約50%が有効であった.
著者
井上 映子 峯 馨 齋藤 やよい
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.225-234, 2005-08-01
被引用文献数
1

【目的】臨地実習による学習活動の効果を評価するために, 学生が意味化した実習経験の特徴を明らかにする.【方法】看護系短期大学3年次に在学する学生5名が記録した, リハビリテーション看護実習課題レポートを分析対象とし, 質的帰納的研究技法によって抽出した390の経験を内容分析した.【結果】学生が意味化した実習経験は44のサブカテゴリに分類され, 意味内容の類似性によって, [患者に対する生活者としての好奇心][患者理解への志向とその混乱][混乱の沈静化とひらめき援助][未熟な分析的思考によるお試し援助と意味の模索][分析的思考による援助と自己の振り返り]の5つのコアカテゴリに統合された.【結語】意味化した経験は, 学習活動への意識を軸とした, 生活者から学習者, さらに援助者への自己意識の発展を示すものであった.
著者
渡辺 秀臣 大沢 敏久 饗場 佐知子 鈴木 秀喜 長谷川 仁 黒沢 一也 高岸 憲二
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.137-142, 2004-05-01
被引用文献数
1

【背景】少年期から青年期のスポーツには成長期の傷害が発生する.【目的】高校球児の障害発生予測因子の解明を目的とした.【対象と方法】群馬県高校野球連盟に登録された投手122名を対象にメディカルチェックを行い,疼痛の発生に関係する因子を解析した.【結果】肩関節の可動域は投球側で有意に内旋角度が減り,外旋角度が拡大していた.疼痛を訴えた球児は28名,23.0%であった.疼痛の発生に有意に関連を有したものは,球速,烏口突起の圧痛,肩インピンジメント徴候,肩上方関節唇損傷検査項目であり,肩関節不安定症の検査には影響を受けなかった.X線検査には痛みに関連した異常は見られなかった.【結語】高校球児の投手の疼痛には肩インピンジメント症候群とSLAP損傷が大きな誘因となっていることが示唆され,これらを示唆する検査の陽性生徒には理学療法の指導が必要であることが示唆された.
著者
内田 陽子 上山 真美 富沢 順 石川 徹
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.207-212, 2006-08-01

【背景・目的】現在,寝たきり患者などの移動の際にバスタオルを使用している所が多い.本研究の目的は,バスタオルにかわる患者仰向け体位からの移動兼療養用ウールボアマットを開発し,その評価を行うこととした.【対象と方法】10人の健康学生を対象にバスタオルとウールボアマットの強度・耐性と体圧,主観的評価を行った.【結果】ウールボアのほうがバスタオルよりも長さ・幅方向で高い強度を示し,伸び率も高かった.また,何も敷かない場合とウールボアマットを敷いた場合では,右踵部と左肘関節部において後者の方が体圧は低かった(p<0.05〜0.01).また,バスタオルとウールボアマットの比較でも後者のほうが左肘関節で低い値が得られた(p<0.05).被験者はウールボアのほうが肌さわり,寝心地,暖かさの面でよいと評価し,首の安定感,身体の痛み等もよいという者が多かった.また,看護者側も持ちやすいという評価をしていた.反面,ウールボアのほうが滑りやすいという意見もあった.【結語】移動用兼療養においてはバスタオルよりウールボアマットのほうが適している.
著者
大竹 弘哲 長嶋 和明 田中 聡一
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.49-52, 2007-02-01

症例は73歳女性.左上肢の筋力低下にて発症.歩行障害が現れ,筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断後に構音障害と嚥下障害が現れ,進行した.患者本人とその家族共に延命治療を希望されなかった.左上肢を中心に疼痛を訴えるようになり,緩和ケアとしてリン酸コデインを開始して45日目に永眠された.日米の神経学会治療ガイドラインで,ALS末期の疼痛緩和にオピオイドの使用を勧めている.筋萎縮に伴って体重が減少するALS末期で,欧米に比べ体格の小さい本邦の患者において,強オピオイドではなくリン酸コデインから緩和ケアを開始することを検討すべきである.
著者
齋藤 智子 佐藤 由美
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.319-328, 2006 (Released:2006-12-26)
参考文献数
13
被引用文献数
4 2

【目 的】 介護支援専門員が認識する対応困難事例の特徴を明らかにすることを目的とした. 【対象と方法】 N県内の居宅介護支援事業所に所属し, ケアマネジメントを行っている介護支援専門員16名を対象に, グループインタビューを実施した. 今までのケアマネジメントの中で, 対応困難を感じた状況・場面と具体的な困難内容について聴取し, 質的帰納的に分析した. 【結 果】 介護支援専門員の対応困難は, ケアマネジメントプロセスの「計画立案」「実施」の段階で多く認識されており, 困難内容は, 家族内の調整, サービス利用の説得, 専門的対応を必要とする課題に対する対応等, ケアマネジメントに十分な時間をかけることを必要とし, また専門的知識や適切な支援者との連携を必要とする内容であった. 【結 論】 介護保険制度下におけるケアマネジメントの質の向上のために, 介護支援専門員が認識する対応困難の特徴をふまえた支援を行っていく必要がある.
著者
中村 光伸 井原 則之 荻野 隆史 浜田 邦弘 飯野 佑一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.113-117, 2006 (Released:2006-09-27)
参考文献数
11

【背 景】 近年, 自殺企図患者が増加している. 群馬大学医学部附属病院救急外来における自殺企図症例について分析した. 【対象・方法】 平成16年1月から12月に当院救急部に搬送, 受診された自殺企図患者の診療録を調査した. 【結 果】 当該期間に受診した全救急患者数は4068例であり, そのうち自殺企図症例は47例で, 複数回受診した患者は4名であった. 年齢別では男女共に20代が最も多く, ついで男性は50代, 女性は30代であった. 自殺企図に用いられた手段として薬物・毒物が27例, 刃物を用いての自傷15例, 縊頸が4例, 高所からの投身未遂が1例であった. 外来診察にて帰宅可能であった症例は23例であり, 入院が必要な症例は20例, 救急外来での死亡は4例であった. 【結 語】 自殺企図患者の診察には精神科医との連携が重要である. また, 中高年の自殺企図も多く, 社会的な問題も懸念される.
著者
堀越 政孝 杉本 厚子 齋藤 やよい
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.115-122, 2005-05-01
被引用文献数
1

【背景と目的】電子カルテ導入による看護情報への影響を明らかにするために, 電子カルテ導入前後に用いられた看護記録をもとに, 情報量と内容を評価した.【対象と方法】全面的に電子カルテシステムを導入した病院で調査を行った.分析対象は属性をマッチングさせた術後患者のSOAP形式の看護記録とし, 電子カルテ導入前後それぞれ13名の術後患者のデータを比較した.【結果】電子カルテ導入前後の看護診断・関連因子・看護計画・経時的問題の量的比較において, 有意差はなかった.NANDA13領域の分類では, 導入前のデータは4領域に有意に集中した.関連因子は, 導入前に統一された表現であったが, 導入後では様々な表現が用いられていた.【結語】導入による診断のワンパターン化が懸念されたが, 候補リストの表示や, 判断を伴う選択は, むしろ論理的な思考を広げ, データベースを重視した計画の立案に有用であると考えられた.