著者
米地 文夫 姜 奉植 ビスタ ベット.B
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.297-309, 2000-12-31

地名は音声と文字との二つの形で伝えられる地理的情報で、それぞれの人類集団が用いる言語と文字とで表現されるが、地名の読みないし発音と文字による表記との間に"ずれ"があって、他国を訪れた旅行者にとっては、表音文字の通りに読んでも通じない、というような不便さに直面することが少なくない。かなり多くの地名の表記にこのような問題点のあることは、これまでほとんど指摘されたことはなかったが、本稿はそのような綴りと発音との不一致の例として、英国のウスター、日本の東京、ネパールのカトマンドゥ、韓国の金海などを取り上げ、そのような事例が諸言語にみられること、また、その類いの"ずれ"が生じたのには、さまざまな原因があり、また、そのような"ずれ"による分かりにくさへの対応としては、発音に合わせたローマナイズ表記やかな表記の併用が望ましいことを論じた。
著者
根本 理 本田 智明 高橋 誠 竹内 正人 杉山 喜則
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.35-47, 2007-12

巣外育雛期初期(巣立ち後1ヶ月間)のイヌワシAquila chrysaetosの幼鳥の生存にとって重要な親鳥からの餌の受渡状況を解明するため、2000年と2002年に福島県の同じ営巣地から巣立った幼鳥各1羽を対象に目視調査による巣外育雛期初期の餌受渡状況調査結果とビデオ撮影による巣内育雛期後期(巣立ち前10日間)の餌搬入状況調査結果との比較を行った。その結果、餌受渡回数で評価した場合、幼鳥は巣内育雛期後期と同様に巣外育雛期初期もその生存に必要な餌を親鳥からの受渡に依存していることが明らかになった。餌受渡および同じ幼鳥を対象に分析した幼鳥の飛翔能力の発達状況のそれぞれの解析結果から総合的に考察すると、ハンティング能力が未発達な巣外育雛期初期の幼鳥の生存を確保するためには、親子関係が維持できるように、この時期に幼鳥の中心的利用エリア(営巣地から半径1.2kmの範囲)で工事などを行う場合には、巣内育雛期の親鳥に対する保護対策に準じた保護対策を講じることが必要であると考えられた。
著者
根本 理 本田 智明 高橋 誠 竹内 正人 杉山 喜則
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.35-47, 2007-12-01

巣外育雛期初期(巣立ち後1ヶ月間)のイヌワシAquila chrysaetosの幼鳥の生存にとって重要な親鳥からの餌の受渡状況を解明するため、2000年と2002年に福島県の同じ営巣地から巣立った幼鳥各1羽を対象に目視調査による巣外育雛期初期の餌受渡状況調査結果とビデオ撮影による巣内育雛期後期(巣立ち前10日間)の餌搬入状況調査結果との比較を行った。その結果、餌受渡回数で評価した場合、幼鳥は巣内育雛期後期と同様に巣外育雛期初期もその生存に必要な餌を親鳥からの受渡に依存していることが明らかになった。餌受渡および同じ幼鳥を対象に分析した幼鳥の飛翔能力の発達状況のそれぞれの解析結果から総合的に考察すると、ハンティング能力が未発達な巣外育雛期初期の幼鳥の生存を確保するためには、親子関係が維持できるように、この時期に幼鳥の中心的利用エリア(営巣地から半径1.2kmの範囲)で工事などを行う場合には、巣内育雛期の親鳥に対する保護対策に準じた保護対策を講じることが必要であると考えられた。
著者
米地 文夫一 一ノ倉 俊一 神田 雅章
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.49-63, 2013-11-01

筆者等は「北上平野にとって、南部北上山地西縁は東方の異界との境界として生き続けてきたという時空間認識」を賢治が持っていた、という仮説を立て検証を行なった。賢治が北上平野に対する南部北上山地を、中国の平野に対するチベット高原(賢治のトランスヒマラヤ高原)に見立てたその背景には、この地域がかつて大和朝廷勢力軍事首長下の西の平野、奥六郡に、東のエミシの地、閉伊が対峙した時代があり、アテルイや安倍貞任などの伝説や、様々な郷土芸能、祭礼などにその歴史が変容し伝承されてきたことがある。たとえば、南部北上山地西縁部に位置する兜跋毘沙門天像を祀る寺社の配列は東方に対する結界であり、その西方は谷権現(丹内社)信仰などを持つ異界となる。しかし西側が設けたこの結界はむしろ、後々東側の西に対する結界となった。賢治もその結界は中立的な境界線というより、むしろ異界の始まりであると感じていた。
著者
リヒタ ウヴェ 渡部 貞昭
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.255-261, 2003-09-30

2001年1月31日、ドイツ連邦政府は急進右翼のドイツ国民民主党(NPD)の禁止を連邦憲法裁判所に申し立てた。その理由は、外国人への暴行及びユダヤ人施設への冒涜・破壊行為の件数が増大したからであった。本稿はホロコーストと同胞のユダヤ人にたいする西ドイツ戦後社会の態度の考察である。
著者
中村 充博 鈴木 祥悟
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.49-58, 2007-12-01

マツ材線虫病の媒介者であるマツノマダラカミキリの有力な天敵であるアカゲラによる防除効果を高めるためには、防除対象林分でのアカゲラの生息密度を高くすることが重要である。しかし、マツ材線虫病が蔓延しているマツの単純林のような林では、アカゲラが繁殖やねぐらとするための巣穴を掘ることのできる木が少ないことから、生息密度は低い傾向にある。そのため、アカゲラを誘致する目的で人工巣丸太の架設実験を行った。その結果、中空式穴開け型巣丸太が軽量でアカゲラによって繁殖に利用されるまでの期間が短いため最も有効であることが明らかになった。
著者
由井 正敏 工藤 琢磨 藤岡 浩 柳谷 新一
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-9, 2001-07-01

わが国のイヌワシの繁殖成功率は近年低下しており、その原因としてうっぺいした森林の増加が推測される。イヌワシは疎開地や森林内のギャップで狩りを行うため、うっぺいした森林は不適である。このため、秋田県田沢湖町のイヌワシ営巣地を囲む二次林地帯に1-2haの小規模疎開地6ヵ所を伐採造成し、非営巣期のイヌワシの採餌行動の変化を調査した。その結果、造成疎開地における採餌行動頻度は対照区に比べ有意に増加し、その有効性が確かめられた。
著者
黒岩 幸子
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.179-196, 1999-07-31

1992年4月、ビザ無し渡航が始まり、根室花咲港がロシア船に対し解禁になると、根室と四島の交流は急速に進んだ。相互訪問の中で、四島の現状が明らかになり、現島民であるロシア人との親交も生まれた。根室に上陸するロシア人船員の数は年間延べ2万人に達し、海産物の水揚げとともに根室経済の活性化の新しい要因となっている。1997年11月、クラスノヤルスクで行われた日露非公式首脳会談で、2000年までの日露平和条約締結を目指し、双方が全力を尽くすとの合意が達成された。根室住民は、四島との自由往来や一体化した経済圏としての繁栄など、現実的な利益をもたらす領土問題の解決を望んでいる。領土問題の解決に不可欠と考えられている、信頼醸成、経済関係の強化、さまざまな協力関係の促進などの要因は、根室と四島の間で、日露国家間に先行して進んでいる。
著者
窪 幸治
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.223-236, 2015-03-01

本稿は、拡大を続ける電子商取引のプラットフォームである、インターネットショッピングモールサイトの運営者が、同サイトに出店するショップの顧客に対していかなる義務を負うかについて、若干の検討を加えることを目的とする。すなわち、従来、モール運営者はショップと顧客の取引がなされる「場」を提供する者であると理解され、あまり認識されてこなかった顧客との利用契約上の義務について検討する。結論としては、ショップ-顧客の取引がモール運営者の構築・提供するシステム利用を前提とすること、非対面であるインターネット取引の特性の考慮から、モール運営者には顧客とのシステム利用契約上の義務として、一定の技術水準確保及びショップへの監督を通じ、安全な取引環境を整備する義務を観念しうると考える。具体的には、契約の相手方選択の自由を損なわないよう契約過程を管理し、情報の正確性等に疑義が生じている場合に、ショップに対して監督する義務などが指摘できる。
著者
島田 直明 米地 文夫
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.119-131, 2006-03-01

カラマツは宮沢賢治作品への登場頻度の高い樹木である。そのカラマツ林やその周辺の景観について賢治の描写を分析するとともに、同時代の代表的詩人北原白秋の作品と比較検討を行った。本論文では特に心象スケッチ『春と修羅』のなかの作品群に描かれたカラマツに着目した。それらの多くは岩手山麓の牧草地や放牧地の防風林としてのカラマツ林であった。賢治の作品から1920年代の岩手山麓は、草地や草地から遷移が進んだ森林、カシワ林などさまざまな植生タイプがみられ、また草地を囲むようにカラマツ林が列状に連なる景観であったと読み取れた。旧版地形図や岩手県統計書などの資料から判読した当時の景観も同様であり、賢治が『春と修羅』の作品群において正確に景観を描写していたことが検証できた。一方、北原白秋の有名な詩「落葉松」は、カラマツ林の中に歩み入り、また歩み去る己れを抒情的に詠いあげた。この詩人の絶唱ともいうべき作品ではあるが、カラマツ林の景観そのものについては全く描写していない。これに対して、賢治はカラマツ林の景観をナチュラリストの眼で観察し、心象スケッチという形で具体的に描写・記録した。彼はのち,カラマツを用いて景観を造る「装景」をも考えていたのであった。
著者
伊東 栄志郎 Eishiro Ito Liberal Arts Center Education and Research Iwate Prefectural University
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.147-159, 2014-03-01

本稿は、アイリッシュ・オリエンタリズムがどのようにジェイムズ・ジョイスと彼の同時代人達に影響を与えたかを探求する。M. マンスーアは『アイリッシュ・オリエンタリズム物語』で、アイルランドのオリエンタリストたちは「大英帝国の統治と意地に大いに貢献してきた」と語る(13 頁)。ジョイスは、英語とは異なりアイルランド語は東方起源で、多くの言語学者たちから古代フェニキア人の言葉と同一視されてきたと主張した(CW 156)。彼は、多くのアイルランド人たちが東方の傑作を翻訳し、紹介することで、英国芸術と思想に大きく貢献してきたと記した(CW 171)。なぜ多くのアイルランド人がオリエント学に興味を抱いてきたのであろうか?若きジョイスは、ジェイムズ・クラレンス・マンガン、ジョージ・ラッセル、W. B.イェイツといったアイリッシュ・オリエンタリストに影響を受け、神智学やオリエント学をダブリンで学んだ。ジョイスの時代のアイリッシュ・オリエンタリストは、しばしばアイルランド文化を英国文化から区別する必要があった愛国者たちであった。アイルランドのオリエンタリズムは大英帝国に対するナショナリズムと強い関係をもって発展してきた。例外は、ギリシャ系アイルランド人ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)で、日本人妻を娶り、日本について多くの論考を書いた。ジョイスを中心としてオリエント学を考察すると、東洋と西洋の文化交流が双方向に行われてきたことを証明することが出来るのである。This paper aims to explore how Irish Orientalism influenced James Joyce and his contemporaries. M. Mansoor mentions in The Story of Irish Orientalism that Irish Orientalists "contributed so much to the administration and maintenance of the Commonwealth" (13). Joyce claimed that the Irish language, unlike English, "is oriental in origin, and has been identified by many philologists with the ancient language of the Phoenicians"(CW 156). He also noted that many Irish men have greatly contributed to English art and thought by translating and introducing some Oriental masterpieces(CW 171). Why have many Irish people been interested in Oriental studies? Young Joyce was known to have been influenced by Irish Orientalists like James Clarence Mangan, George Russell and W. B. Yeats and learned Theosophy and Oriental studies in Dublin. Irish Orientalists in Joyce's time were often the nationalists who needed to differentiate Irish culture from Anglicized culture. Orientalism in Ireland had developed with a strong connection with their nationalism against the British Empire. One exception is Lafcadio Hearn, a Greek-Irish, who married a Japanese wife and wrote many articles about Japan. Oriental studies focusing on Joyce can prove that the cultural exchanges between East and West have been carried out interactively.
著者
金子 与止男 Yoshio Kaneko 岩手県立大学総合政策学部
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.127-132, 2015-11-01

イソヒヨドリは、日本ではもともと海岸沿いに生息していたが、近年、海から離れた内陸部にも進出し、繁殖するようになってきた。内陸部ではとくに、鉄道の駅やマンションなど高層建築物のある都市でよく目撃されている。筆者は岩手県の内陸部でイソヒヨドリを複数回にわたり観察することができた。盛岡市、遠野市、花巻市、北上市、一関市である。海からもっとも遠い地点は盛岡駅の71km であった。イソヒヨドリの行動から、これら内陸の都市部で繁殖していると結論づけられた。The blue rock thrush Monticola solitarius originally inhabits the coastline in Japan, but the species has recently been observed far inland. In particular, blue rock thrushes are often found in large cities with high buildings including railway stations. I observed blue rock thrushes several times in the interior of Iwate Prefecture, i.e.,Morioka, Tohno, Hanamaki, Kitakami, and Ichinoseki. The farthest inland site was Morioka, which is 71 km from the coast. Based on the birds' behavior, I concluded that blue rock thrushes breed in these inland cities.
著者
渋谷 晃太郎 小野寺 智也
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.29-38, 2016-11

岩手県内の市町村環境担当部局にアンケート調査を実施し、県内に侵入した特定外来生物の分布状況、駆除及び広報の実施状況を把握した。ウシガエル、オオクチバス、ブルーギル、アレチウリ、オオキンケイギク、オオハンゴンソウの6種について分布を確認した。また7種については駆除の実績があり、6種について市民への広報が行われていたことが明らかとなった。
著者
黒岩 幸子
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.185-197, 0000

岩手県久慈市とリトアニアのクライペダ市は、琥珀を産出する小規模な沿岸都市という共通点から1989年に姉妹都市提携した。当時、ソ連邦離脱による独立回復を目指すリトアニアは、ソ連政府と対立して制裁を受けていた。久慈市は、日本政府に先んじてクライペダ市の支援活動に踏み切り、大胆な自治体外交を展開する。その結果、両市民間に友情と連帯が生まれ、両市は距離や体制の差異を超えてユニークな交流を育んでいる。
著者
細谷 昂 米地 文夫 平塚 明 佐野 嘉彦 小林 一穂 佐藤 利明 劉 文静 山田 佳奈 吉野 英岐 徳川 直人
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-73, 2004-01-16

中国河北省〓台市〓台県の前南峪村は、1995年以来「前南峪経済試験区」となって、模範村として全国的にも注目されるにいたっている。その理由は、(1)「生態農業」を、(2)集体経営で実施し、成功を収めたからである。つまり、(1)村を取り囲む山地に、栗やりんごなどを植林して緑化し、洪水を防ぎながら、果樹作によって経済的にも村を豊かにしたのである。しかも(2)これらの事業を、村全体の集体経営としておこなっている。人民公社時代の集体農業の非効率性を解決するために、中国では生産請負制を導入した。その具体的なやり方はさまざまであったが、一般的には、土地を個人に分配して請け負わせるという、個別化の道であった。しかし前南峪では、村民のきびしい議論を経て集体経営の道を選び、成功したのである。現在では、この集体経営のなかに工業をも導入し、その収入が畑作や果樹作を上回るにいたっている。しかし、(1)環境保全と生活の向上との両方を追求してきた「生態農業」が、経済発展のいっそうの追求のなかで環境破壊に至るのではないかという問題、そしてまた(2)集体経営におけるる「個と集団」の問題が、生活水準の向上、とくに学歴水準の向上によって「個の」自己主張という形で顕在化するのではないかという問題を抱えていることを見逃すわけにはいかない。
著者
芝田 耕太郎 岩田 智
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.17-26, 2004-09-30

長期的地価動向によれば、バブル経済崩壊以降13年間、大都市(政令指定都市以上の都市)と地方都市(人口50万人以下、中でも人口20万人以下の都市)との地価は、力格差 ^<(1)>を反映し、住宅地、商業地ともその格差が拡大している。また、東京と地方都市を比較すると、東京では、中心部ほど商業地地価が回復しているのに対し、地方都市ではむしろ中心部の方が地価下落が激しい。地方都市は東京に比較して、景気回復が遅れているだけでなく、中心部の空洞化という共通の構造的問題を抱えている。バブル経済崩壊後の大幅な地価下落を経て、現在の不動産市場は、投機需要から実需^<(2)>中心の市場へ構造的に変化した。この結果、利便生や収益性の差により、地価形成され、商業地では特に土地利用による収益力を反映し地価形成される。したがって、今日、不動産投資の主体であるREIT^<(3)>やグローバル化による外国資本は、まさにキャッシュフローによる収益性、利回りで投資判断する。東京などの大都市圏の収益性の高い物件中心に投資が行われ今後、東京とその他の大都市、さらに地方都市との地価格差は、ますます拡大しよう。 規制緩和をより促進する方向と地方への権限移譲の方向性は大いに歓迎すべきであるが、一方・経済効果のある大都市、中でも東京中心の政府の都市施策は、今一度再検討すべきであるといえる。
著者
窪 幸治
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.213-222, 2014-03

本稿は、復興過程における土地の利用調整のための制度の今後の発展可能性を探るため、現行法制上の限界がどこにあるかを導き、立法上の指針を示すため、憲法上の制約、現行各法制とのバランス、東日本大震災における都市法制の刷新について概観した。まず、憲法29条は公共の福祉への適合という制約の下、財産権の形成の自由を立法府に与え、それを具体化した土地基本法は、土地の特性を踏まえた適正・計画的利用、開発利益の社会還元や受益者負担を土地に関する原則として掲げており、未だ抽象的ではあるが、土地利用調整の可能性は相当広いものと言える。さらなる具体化には、従来の法制における規制の目的、程度、手続保障等との均衡をとる必要があり、各法制から今後の検討素材を抽出した。都市法制の刷新としては、復興特区法により都市計画がない地域、農業利用が中心となる農業振興地域も含め、復興ニーズを起点とした復興整備計画の下、土地の計画的利用の途を開いた点が評価されよう。もっとも、復興まちづくりを住民主導で果たすための集団的な自己決定や、個人への直接的な支援をもたらすための生存権の論理(憲法25条)の強調など、残された課題が浮かび上がった。
著者
米地 文夫
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.289-302, 1999-07-31

「東海」は多義的な地名である。現在では,東海道,東海地方,東海工業地帯など,本州中部の地名として用いられることが多い。いうまでもなく本来の「東海」は,日本列島の東側の海域の名である。歴史的には,日本をとりまく海を東海,南海,西海,北海とした4区分が明治維新まで用いられていた。「東海」の範囲は伊勢湾沖から津軽海峡まで,もしくは北海道南西岸沖までであった。現在の「東海」の用例は,本来の「東海」の西半に偏っている。筆者は本来の「東海」の東半,北東日本の海岸や沖合を環境重視型の「新東海国土軸」とすることを提唱したい。