著者
名倉 正剛 高田 眞吾 土居 範久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.588-603, 2007-02-15

近年,ユーザに意識させずにソフトウェアの動作する機器を自動的に連携させるために,"シームレスコンピューティング" という概念が注目されている.分散コンポーネント技術をシームレスコンピューティングに適応させるためには,コンポーネントが動作する機器をネットワークに接続するだけで,ネットワーク上のその他の機器と自動的に連携するという,いわゆる"Plug and Play" ができる必要がある.そのためには,満たさなければならない要件がいくつかある.本研究ではそれらのうち,コンポーネントを発見するための方法と,発見したコンポーネントを利用する際にコンポーネントの異種性を吸収するための方法に着目する.それらの要件を満たし,異種分散コンポーネントの存在するサーバやそれを利用するクライアントをネットワークに接続することによって,Plug and Play で動作させる環境を提案し,この環境を実現するシステムを実装する.Recently, "Seamless Computing", which is a concept for automated integration of appliances executing many software, has attracted a great deal of attention. To accommodate technologies for distributed components to Seamless Computing, it is necessary to be able to "Plug and Play" appliances that execute component software through integrating automatically with other appliances attached to the network. Many requirements need to be satisfied to make this possible. In this work, we focus on the discovery of components and the integration of heterogeneous components. We propose an environment where servers with heterogeneous distributed components and clients using those components can be executed through Plug and Play. We implement a system to realize this environment.
著者
安村 通晃 高田 綾子 青島 利久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.1169-1176, 1987-11-15

汎用大型機上で動く Common Lisp の最適化コンパイラを設計・試作した. Common Lisp は 人工知能等の分野における実用的な応用に必要な機能を十分に備え かつ関数性を従来 Lisp 以上に取り込むことを目的とした近代的な Lisp 言語である.一方 従来の Lisp 処理系のユーザは 実行性能の点などで必ずしも満足していなかった.このため 我々は Common Lisp に準拠した高速の処理系 HiLISPとそのコンパイラを設計・試作した.ここでは HiLISP コンパイラの設計と最適化の方式を中心に述べる.HiLISPコンパイラは 高速性と移植性を考慮して 仮想 Lisp マシン語である Lcode を中間語として生成する.最適化の方式として 関数呼出しの最適化 型判定の最適化 局所最適化の各々の課題に対して それぞれ 自己再帰展開 コンパイル時の型判定・型推定 パイプラインを意識した命令列の並べ替えなどの方式を設計し 試作した.試作した HiLISP コンパイラに対して Lisp コンテスト代表12題ベンチマークにより 各最適化項目の性能を評価した.この結果 組込み関数展開の効果が最も大きく 次いで型判定・型推定の効果が大きいことがわかった.再帰関数展開 命令列の並べ替えなどの効果も確認できた.ここで提案する最適化方式は Lisp コンパイラ 特に Common Lisp コンパイラに有効な方式である.
著者
若林 真一 小泉 慎哉 小出 哲士 井村 紀道 藤原 一成
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.340-343, 2003-02-15

本論文では,遺伝的アルゴリズム(GA)の実行における計算時間の短縮を目的として,任意のGAを高速に実行可能なRISCプロセッサDLX-GAを提案する.提案プロセッサDLX-GAはDLXアーキテクチャをベースとしたRISCプロセッサであり,GAの実行において多用されるビット演算命令や乱数発生命令,SIMD型命令等をサポートし,これらを6段のパイプラインで処理することによりGA実行の高速化を実現する.提案RISCプロセッサをHDL設計し,CMOS 0.35umスタンダードセルテクノロジを用いて4.93mm角のLSIチップとして実現し,評価ボード上で性能評価を行った.その結果,開発したプロセッサチップが仕様どおりに動作することを確認した.This paper proposes a new RISC processor for high speed execution of genetic algorithms (GAs).The proposed RISC processor was designed based on the DLX architecture,and a new instruction set,which was effective for high-speed execution of GAs, was implemented.The proposed RISC processor was designed with the hardware description language,and it was fabricated as an LSI chip with the CMOS 0.35um standard cell technology.From the evaluation of the fabricated LSI chip using the evaluation board,we have shown that all the functions specified by the specifications of the chip were correctly realized.
著者
中野 良平 斉藤 和巳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.12, pp.1246-1254, 1987-12-15

代表的な関係データベース言語は関係論理に基づくが データベースマシンのサポート言語は多くの場合関係代数である.したがって 関係論理で表現した検索を データベースマシンでの実行を想定して 最適な関係代数表現に変換する研究が重要になる.関係論理表現に集約関数が入って来ると 閉じないアルファが現れるので 関係代数への変換は容易でない.本論文は関係論理表現に現れる集約関数を Klug の補正も考慮に入れた最適な関係代数表現に変換する体系を述べたものである.Klug の補正に効率良く対処するため 関係代数演算に新しいタイプの集約演算を導入する.新変換法の基本的アイデアは 代数表現への変換が容易な標準集約形を中継地点とし それの生成と解決という2フェーズの変換体系にある.同法は3漣の基本変換則と3種の発見的変換則から構成される.新変換法の目的は 集約関数を含んだ関係論理表現を人間が考え出すような最適な関係代数表現に変換することにある.変換プログラムを作成し 考えられる様々な複雑な検索に適用して 極めて満足すべき結果が得られることを確認した.
著者
石川 冬樹 田原 康之 吉岡 信和 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.1614-1629, 2004-06-15

連携プロセスを手軽に,プラットフォームに依存しない形で記述するBPEL(Business Process Execution Language for Web Services)のように,分散コンポーネントの動的な連携のためのWebサービス技術への取り組みがさかんに行われている.Webサービス連携は今後,無線接続されたモバイルデバイスで構成されるようなパーベイシブネットワーク等様々な環境に適用されていくと考えられる.しかしそのような環境においては,比較的低速で不安定な無線通信路等の資源制約の問題に対処する必要がある.本研究ではこの問題に対しモバイルエージェント技術を適用し,Webサービス連携を行うモバイルエージェントの動作記述のための枠組みを提案する.この枠組みでは,連携ロジックをBPELを用いて記述し,それに対し移動およびクローニングというモバイルエージェントの物理的なビヘイビアをルール記述として付加する.この分離により,BPEL記述を変更することなしに環境条件に応じて物理的な振舞いを追加したり変更したりすることができる.本論文では特に,形式言語Mobile Ambientsを用いてこの枠組みの意味定義を行い,またBPELの意味論が保存されていることを示す.Research on the Web Service technologies for dynamic integration of distributed components has recently commenced, including BPEL (Business Process Execution Language for Web Services) for specifying an integration process easily and platform-independently. Web Services integration is to be applied in various environments, for example, pervasive networks with wireless mobile devices. However, in such environments it is necessary to deal with constraints in resources, such as the relative narrowness and instability of wireless connections. This work adopts the mobile agent technology in response to this problem and presents a framework for description of agents' behaviors for integration. In this framework, the integration logic is described using BPEL, and physical behaviors of mobile agents, including migration and cloning, are added to the BPEL description as simple rules. This separation makes it possible to add or change physical behaviors according to environmental conditions without modification of the BPEL description. This paper especially concentrates on formal definition of the semantics of our framework using a formal language, Mobile Ambients, and proves preservation of the BPEL semantics.
著者
竹元 義美 福島 俊一 山田 洋志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1580-1591, 2001-06-15
被引用文献数
5

日本語テキストからの情報抽出の基盤技術として,組織名・人名・地名・固有物名・日付・時刻・金額・割合表現を高精度で分類抽出する,固有表現抽出システムを開発した.本システムは,形態素解析を利用して入力文を単語分割し,固有表現辞書とパターンマッチルールとを適用することでテキスト中の固有表現を判定するというベーシックなアプローチをとっている.辞書の充実とルールの整備を基本方針として抽出精度の改善を進め,辞書の増強と辞書情報の詳細化,人手によるルール作成を行った.また,辞書を充実させても生じる課題として,複合語の一部となる固有名詞判定と未知語・多義語の固有名詞判定とに工夫を加えた.前者は,複合語を分割して複合語中の固有名詞を判定することにより,固有名詞の抽出洩れを救済する.後者は,ルールで判定した固有名詞で信頼度の高いものをもとに,未知語・多義語となった固有名詞の省略表現を判定する.IREX-NEコーパス(トピックを限定しない一般的な内容の記事)を用いた精度評価を実施し,F値で83.86という精度を得た.また,導入したルール・処理の効果も分析し,有効性を確認した.We have developed a Named Entity extraction system from Japanese text.``Named Entities'', i.e.,proper names and temporal/numerical expressions are considered as the essential elements for extracting information.The system employs a conventional method that it divides input Japanese text into words and parts of speech by morphological analysis and extracts each Named Entity by referencing dictionaries and applying pattern-matching rules.In order to improve the system's accuracy,we aim to build a large-scale and high-quality dictionary and rules.Both the dictionary and rules have been produced manually,because we believe that a hand-made dictionary or rules have better quality than those that are made automatically.We also focused our attention on two points for cases that cannot be covered by the dictionary.One is to extract proper names from compound words,and the other is to designate unknown or vague words as proper names.For the first point, our system divides compound words and determines proper names within them.Thus, omissions of proper names in compound words can be eliminated.For the second point, our system recognizes abbreviations of proper names,which tend to be unknown or vague, using reliable proper names.For the IREX-NE corpus, our system has accomplished 83.86 as F-measure score.
著者
乃村 能成 花田 泰紀 牛島 和夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.2518-2525, 2001-10-15
被引用文献数
2

複数の人間がネットワークを通じて自分達の予定情報を交換する機会は,日増しに増大している.そのような場合,通常グループウェアと呼ばれるソフトウェアを利用する.しかし,インターネットを通じて複数組織にまたがる複数人の間で日程調整や予定情報の交換をする場合は,各個人の環境や利用するツールを強要することは事実上できない.そこで,電子メールやWebを使い,調整や通知を行うことが通例である.本研究では,周囲の人間が電子メールとWebしか使えない場合でも,周囲が自分と同じグループウェアを使用しているのと変わらない利便性を得る手法について考察し,それを実現するためのシステムとして,MHC(Message Harmonized Calendaring system)を設計・実装した.Recently, computer networks such as the Internet become more popular.We have more opportunities of exchanging schedule information or arranging schedules on a network. In the past, we were able to use ``groupware'' for this purpose.But nowadays, computer network is not as like the groupware demands for.This makes the situation more difficult.In this paper,we describe what kind of problems would happen when we use schedule information on a network.Then we describe their solutions.And finally, we describe how the schedule management system,MHC (Message Harmonized Calendaring system) which we are developing,works to solve their problems.
著者
梅田 勇一 沢村 一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.1518-1527, 2002-05-15
被引用文献数
4

エージェント指向コンピューティングの世界では,それぞれのエージェントが各自の持つ情報を生かしながら協調・合意して問題解決にあたることが求められている.本論文では,議論の導入がこの問題に有効であるとの考えのもとで,次のような機能を持つエージェントシステムを提案し,実際にネットワーク上で現実の問題に適用して有効性を示す.(1)複数のエージェントが各自の知識ベースをもとに議論・反論を行う.(2)反論に行き詰まったら,相手の議論への補強を考えることによって協調を試みる.(3)この2つを行っても結果が定まらないとき,弁証法的な合意形成を行う.In the upcomming networked society, it is desired that several computers on network can resolve conflicting problems or make better solutions through argumentation. In this paper, we propose a novel approach to agent systems where several agents communicate, argue with each other, reinforce other arguments for cooperation and finally make a dialectical agreement through argumentation from distributed knowledge bases. By applying it to a variety of application, we show the potential and practical usefulness of the system.
著者
松浦 健一郎 村井 均 末広 謙二 妹尾 義樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.1420-1429, 2000-05-15
被引用文献数
3

データ分割は分散メモリ型並列計算機向けにプログラムを並列化する際の重要課題である.本稿では,Fortranプログラムにおいて自動的にデータ分割を行う手法を提案する.本手法の利用によりユーザは容易にFortranプログラムを並列化できる.本手法の特徴は,配列アクセス情報を基にループを効率的に並列化するデータ分割の候補を作成し,コントロールフローグラフを基に通信オーバヘッドを抑制するデータ分割を選択することによって,プログラム全体として良好な並列実行性能を達成するためのデータ分割を高速に決定することである.本手法は短時間で複数手続き間にわたるデータ分割を行えるので,高速性を活かした対話的なチューニング作業が可能である.今回本手法を実装し,Fortranプログラムを並列化して,実行時間を計測した.その結果,自動データ分割に要する時間が短いにもかかわらず,同等のMPIプログラムに近い実行速度と台数効果が得られた.Determining optimal data layout is very important for parallelizing programs on distributed-memory parallel computers.This paper describes a new algorithm of automatic data layout of Fortran programs.The algorithm enables users to parallelize Fortran programs without difficulty.It generates candidates of data layout for efficient parallelization of loops from access patterns, selects data layout to reduce communication overheads, and determines data layout all over the program to achieve good parallel execution performance.It can quickly determine data layout over multiple subroutines, thus it enables interactive tuning cooperating with users.It has been implemented, and evaluated by parallelizing several Fortran benchmark programs.Execution time and scalability of the benchmarks has been close to those of MPI alternatives.
著者
横尾 真 ビンセントコニッツァー トゥオマスサンドホルム 大田 直樹 岩崎 敦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1451-1462, 2006-05-15

提携を結ぶということは,自動化された利己的な主体(エージェント)の持つ重要な性質である.エージェント間の提携が成立した場合,我々は提携を結んだエージェントの集合が得た利得をどのように分配するかを考える必要がある.協力ゲーム理論はこの利得の分配法について研究してきており,(シャープレイ値やコア,最小コアや仁といった)様々な解概念が提案されてきた.本論文ではこれら既存の解概念が,インターネットのような匿名の開環境の下でエージェントが行える操作に対し,脆弱であることを示す.匿名の開環境ではエージェントは架空名義の利用,共謀,能力の隠蔽といった操作が可能となる.我々はこれらの操作に頑健な新しい解概念である匿名操作不可能コアを提案し,この解概念を特徴づけるいくつかの公理的な条件を示す.また匿名操作不可能コアの条件を緩和した解概念として匿名操作最小コアを提案し,この解概念がつねに非空であることを示す.Coalition formation is a key aspect of automated negotiation among self-interested agents. In order for coalition to be stable, a key question that must be answered is how the gains from cooperation are to be distributed. Various solution concepts (such as the Shapley value, core, least core, and nucleolus) have been proposed. In this paper, we demonstrate how these concepts are vulnerable to various kinds of manipulations in open anonymous environments such as the Internet. These manipulations include submitting false names (one acting as many), collusion (many acting as one), and the hiding of skills. To address these threats, we introduce a new solution concept called the anonymity-proof core, which is robust to these manipulations. We show that the anonymity-proof core is characterized by certain simple axiomatic conditions. Furthermore, we show that by relaxing these conditions, we obtain a concept called the least anonymity-proof core, which is guaranteed to be non-empty.
著者
赤木 康宏 佐波晶 北嶋 克寛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.1797-1809, 2005-07-15
被引用文献数
3

本研究は,景観シミュレーションなどで用いられる樹木のCGモデルを用い,樹形や葉の大きさの違いによる気流の変化を考慮した風に揺れる樹木のアニメーションを生成するための手法を提案している.複雑な形状を持つ樹木周辺の風のシミュレーションを行うためには,枝や葉などの風を遮る物体が風に及ぼす影響を考慮する必要がある.風の物理シミュレーションモデルにおいて非圧縮性流体におけるNavier-Stokesの方程式を用いると,一般に次のような問題が生じる.樹木形状の詳細な形状までを考慮すると,計算量が増大しリアルタイムのアニメーション生成が困難になる,という問題である.そこで,本論文では,枝や葉のように類似した形状を持ちかつ樹木全体に数多く存在するパーツを風速を減少させる単純な抵抗体としてモデル化し,抵抗体の空間分布を表す境界条件マップを樹木モデルから自動生成することにより,計算量を減らしリアルタイム性のあるアニメーション生成を可能にする新たな手法を提案している.また,本手法は,空間全体の風の動きに階層的な計算手法を適用することにより,樹木周囲の自然な風の流れや樹木どうしの影響などについても高速に計算することができるという特長を持つ.これらの特長に関する各種実験結果を示し,複雑なパーツ形状からなる樹木が風に揺れる様子のアニメーションを力学的な根拠に基づきかつ高速に自動生成できことを実証した.This paper presents a series of techniques for generating animations of trees swaying in the wind, in consideration of the influences that the tree shapes and leaf sizes give to the air current. To do the simulation of the wind around a tree having a complicated shape, it is necessary to consider the influence that some objects obstructing the wind such as leaves or branches give. Generally, the following problem occurs when we use the incompressible Navier-Stokes equations in a physical simulation model of the wind. Computational complexity increases because of considering the details of tree shapes, so it is difficult to generate the animations in real-time. Therefore, this paper proposes a novel method that reduces the computational complexity and realizes an animation in real-time, by means of a boundary condition map expressing space distribution of resistances from tree models automatically. In this case, we make a model as simple resistances decreasing the wind velocity from the parts that have similar shapes like leaves and branches. And also, it has another advantage that the influences between a tree and others can be rapidly calculated by using a hierarchical calculation method. Finally, through many experiments using these methods, it is shown that real-time animations of swaying trees in the wind can be realized.
著者
筒口 拳 末永 康仁 渡部 保日児 下原 勝憲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.787-796, 1997-04-15
被引用文献数
5

本論文では,3次元仮想空間内に設定された任意のパスに沿った人物像の歩行動作を自動的に生成するアニメーションシステムWorld Wide Walk (WWWalk)と,そこで用いられる動作生成手法について述べる.WWWalkでは歩行動作をグローバルおよびローカルな歩行動作より構成し,グローバルな歩行動作生成において歩行パスに適応した動作表現を実現し,ローカルな歩行動作生成において一歩の歩行動作を直進歩行動作と回転動作に分解してそれぞれを動力学と運動学とを融合した手法で生成している.WWWalkにより,自動生成によるユーザの負担減とユーザ制御による映像表現の拡大との両立が可能となり,3次元環境モデルと人物像歩行動作とが融合されたリアリティあふれる映像表現が可能となった.This paper introduces an animation system,World Wide Walk(WWWalk),that generates the human locomotion automatically on an arbitrary path in the three dimentional(3D) modeled scene,and describes the motion generation method used in WWWalk.The walking motion is divided into two submotions,global and local.The global submotion connects consecutive steps harmoniously,while the local submotion produces straight forward and rotational motion,using dynamics and kinematics.WWWalk has achieved the consistent user control with the variety of animation,and reduced the annoying operations.The generated walking motion can be combined with the 3D virtual scene,and the users of WWWalk can create realisticcomputer animation scenes.
著者
名取 万里 加賀谷 聡 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.634-656, 1997-03-15
被引用文献数
8

本稿では,オブジェクト指向フレームワークを構築するための手法を提案する.本手法は,現行のアプリケーションシステム群の分析とドメインの静的な特徴を抽出するためにデータ中心アプローチを取り入れる.また,ドメインのあるべき姿の分析と動的な特徴を抽出し,静的な特徴と合わせて一般化するために,ユースケースとそれに基づくオブジェクト間のインタラクションに着目する.さらに,これらの2つの観点を統合し,オブジェクト指向フレームワークを構築するプロセスを明らかにする.This paper presents a method for developing Object-oriented frameworks.Our framework development method includes three major ideas.The first is to extract static features of a domain by Data-oriented Approach.The second is to extract dynamic ones based on use cases and interactions among objects.The last is to integrate the above two ideas in order to cross-check features of the domain and to construct Object-oriented frameworks.
著者
井上 正行 小池 英樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.537-546, 1999-02-15
被引用文献数
1

仮想現実感システムや情報視覚化システムに代表される対話的3次元グラフィックスシステムにおいては大量のポリゴンを表示しつつも 対話性を確保することが重要な問題である. 本論文ではdistortion-oriented技術を用いることによって3次元シーンを自動的に簡略化する手法について述べた. 具体的には ユーザイベントがない場合 十分な描画時間があるのですべてのオブジェクトを表示する. しかし ユーザイベントが生じた際には 着目しているオブジェクトとその近傍のオブジェクトのみを表示し 他は描画しない. 我々は この近傍を決定するためにdistortion-orientedアルゴリズムの1つであるFractal Viewsを用いた. 本手法は仮想空間ウォークスルー 3次元CADデータ 分子モデル視覚化に適用され その効果を確認した.In interactive 3-D graphics systems, such as virtual reality systems, information visualization systems, etc., it is important to manipulate a large number of polygons and to maintain high interactivity. This paper proposed a technique to simplify the 3-D scene automatically by using distortion-oriented algorithm. While no user event occurs, the system renders all objects in the scene graph since there is enough time to do so. When a user event is detected, the system renders a current focused object and its neighborhood (in the scene graph). To decide the neighborhood, Fractal Views, which is variation of distortion-oriented algorithms, is used. The technique was applied to virtual-walkthrough, 3-D CAD data, and molecular visualization.
著者
細部博史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1424-1434, 2001-06-15
被引用文献数
1

ユーザインタフェース(UI)分野において,制約は古くから重要な役割を演じてきた.UI分野における制約の主要な用途は,グラフィカルオブジェクト群の幾何的な配置であり,これによってUIの構築が容易化される.しかしながら,現在,制約の技術を導入したシステムやアプリケーションは少ないといわざるをえない.主要な障害の1つとして,連立された非線形な幾何制約を解くことができる,信頼性と利便性の十分に高い制約解消系がほとんど存在しない点があげられる.このような問題に対応するために,本論文では,グラフ配置など,表現力の高い幾何制約を扱う新しい制約解消の枠組みを提案する.本枠組みは,制約解消法とその実装方式の2つの部分からなる.制約解消法は,数値的な最適化手法と遺伝的アルゴリズムを組み合わせたものである.一方,実装方式は,オブジェクト指向プログラミングにより,制約解消系においてモジュール機構を実現する点を特徴としており,これによって新たな種類の制約を導入したり,数値最適化手法を交換したりすることが可能である.本枠組みはすでにChorus制約解消系として実装されており,本論文ではその性能に関する実験結果も与える.Constraints have been playing an important role in the user interface field since its infancy.The primary usage of constraints in this field is to obtain geometric layouts of graphical objects,which facilitates the construction of user interfaces.However, most researchers and developers do not incorporate constraint technology into their systems and applications.A major obstacle is that there are few sufficiently robust and usable constraint solvers capable of solving simultaneous nonlinear geometric constraints.To tackle this problem,this paper proposes a novel constraint solving framework,which handles expressive geometric constraints, e.g., for graph layout.It consists of the methods of constraint satisfaction and its implementation.The constraint satisfaction method is the combination of a numerical optimization technique with a genetic algorithm.The characteristic of the implementation method is to realize the module mechanism of resulting constraint solvers by object-oriented programming,which allows users to introduce new kinds of constraints and also to replace its numerical technique with another.This framework has been implemented as the Chorus constraint solver.This paper also provides the results of the experiments on its performance.
著者
石川 憲洋 木下 真吾 高橋 修
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.245-253, 2000-02-15
被引用文献数
1

インターネット上の新しいサービスとして,プッシュ型情報配信サービスが注目を集めている.しかしながら,これらのサービスの大部分はクライアントが定期的に情報配信サーバにアクセスする「疑似プッシュ型」であり,情報のリアルタイム配信,クライアントの増加に対するスケーラビリティの確保などの課題は解決されていない.一方,プッシュ型情報配信サービスを実現するための基盤技術としてIPマルチキャストが注目を集めているが,現在実験段階にあり,実用化には至っていない.本論文では,IPユニキャスト通信のみをサポートしている現在のインターネット上でプッシュ型情報配信サービスを提供するための新しいアーキテクチャとプロトコルを提案する.我々のアーキテクチャは,情報のリアルタイム配信,クライアントの増加に対するスケーラビリティの確保などのプッシュ型情報配信に対する要求条件を満足することができる.我々のアーキテクチャは,情報配信サーバ,中継サーバ,クライアントから構成される.クライアントの増加に対するスケーラビリティを確保するために,複数台の中継サーバが木構造で接続される構成とした.我々のアーキテクチャを実現するために配信チャネル管理プロトコル(DCMP)と呼ぶ新しいプロトコルを開発した.本アーキテクチャに基づく実装と,そのコンテンツ配信システム(RealPush Network)への適用についても述べる.Push information delivery services have been emerging as a new serviceover the Internet.However, most of those services are pseudo-pushinformation delivery services where clients periodically accessinformation delivery servers.Those pseudo-push information deliveryservices do not resolve issues such as scalability on the increase ofclients and real-time delivery of information.While it is expected thatIP multicast is a core technology for push information delivery servicesover the Internet, IP multicast is now at the experimental stage, andhas not been fully deployed over the Internet at this time.In this paper,we propose a new architecture and protocol for push informationdelivery services over the existing Internet that does not support IP multicast.Our architecture satisfies the requirements on pushinformation delivery, such as scalability on the increase of clients andreal-time delivery of information.Our architecture consists ofinformation delivery servers, relay servers and clients.To retain thescalability of our architecture, multiple relay servers form arelationship that has a tree structure.To realize our architecture, wehave defined a new protocol called Delivery Channel Management Protocol(DCMP). We have implemented a prototype system based on our architecture.In addition, we have develped a contents delivery systemcalled RealPush network, as an application of our architecture.
著者
児玉 英一郎 佐藤 究 宮崎 正俊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.1276-1289, 2000-05-15

次世代の人とコンピュータの相互作用系を考えた場合,自然言語を中心とした知的なコンピュータ利用環境は必須なものである.本論文では,マルチメディアコンテンツ作成のためのレイアウトや関連性などを日本語で記述した文章を理解,実行する自然言語を用いた知的なマルチメディアコンテンツ作成環境の実現手法およびモデルを提案する.また,このモデルに基づいたプロトタイプシステムACORNS(Advanced Communication-Oriented Real Native System)の構築について報告する.このシステムでは,マルチメディアコンテンツ作成のためのレイアウトや関連性を日本語で記述した文章を自然言語処理により解析し,マルチメディア情報をオブジェクト指向に基づきモデル化したメディアオブジェクトの操作プログラムに変換して実行できる.また我々は,このシステムACORNSの評価を通して我々の提案する手法とモデルの有効性について検証を行った.Considering the next generation of human-computer interaction, it is necessary an intelligent environment oriented to the natural language. In this paper, we propose an approach and a model to construct an intelligent environment for making multimedia contents. In this environment, the text that describes a layout and relation of the multimedia contents in Japanese can be understood and executed directly.As an application of the proposed model, a system called ACORNS (Advanced Communication-Oriented Real Native System) is implemented. In this system, the text that describes a layout and relation of the multimedia contents in Japanese can be parsed.And it can be translated into an executable program of a media object, and executed.The performance study of ACORNS is performed. The results of the performance study show that the proposed approach and model are robust.
著者
島田 英之 島田 恭宏 大倉充
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3392-3401, 2006-12-15
被引用文献数
4

近年,コンピュータにより高品質の毛筆書体をリアルタイムに筆記する研究例が報告されているが,現実の筆記環境と異なる方法で筆記するために,対話性が十分とはいえない.本論文では,筆者らが構築した仮想書道システムについて述べる.ユーザは,3 次元位置センサを内蔵した毛筆でスクリーン上に直接筆記し,実際の毛筆,仮想的な半紙や硯など,現実の書道とほぼ同じ作業環境のもとで,仮想的な書道を体験できる.毛筆が触れた場所に正確に筆跡を生成できるようにシステムをキャリブレーションし,実際の毛筆で筆記した筆跡の実測値に基づいて筆跡を生成する.これにより,毛筆が触れた場所に,実際に毛筆で筆記した場合と同じ太さの筆跡を表示できるので,手本をなぞる初歩的な書写練習も可能となった.また,毛筆の空間的な挙動をモニタし,墨の滴りや飛び散りなどの視覚効果も表現した.この結果,年齢を問わず簡単に操作でき,かつ多様な表現が可能なシステムを構築したので報告する.In recent years several methods to generate oriental calligraphic characters are proposed. However, because of unnatural way for drawing (e.g., drawing on a tablet with a pen) these methods are not enough to draw interactively. In this paper we propose a virtual calligraphy system with a real Chinese brush. While a user draws at a screen by Chinese brush with build-in six-degree-of-freedom sensor, the calligraphic handwriting is displayed at same place of drawing. Our system is calibrated by using actual survey of real handwriting and can display handwriting on a screen accurately, therefore the user can practice calligraphy. And also we expressed the situation of dripping and scattering effects of India ink from a brush. As a result any people can perform calligraphy easily with various expression by our system.