著者
城 斗志夫 工藤 卓伸 田﨑 裕二 藤井 二精 原 崇
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.315-322, 2013-09-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
21
被引用文献数
2 3

キノコにおいて香りは美味しさを構成する大事な要素である.そのために多くのキノコにおいて香気成分が分析されている.キノコの中にはマツタケや干しシイタケのように特徴香を持つものもあるが,大部分のキノコにおける香りの主成分は1-オクテン-3-オールや1-オクテン-3-オン,3-オクタノン,3-オクタノールなどの揮発性C8化合物である.C8化合物の生合成には,脂質過酸化酵素,過酸化脂質開裂酵素,酸化還元酵素が関与すると考えられているが,よくわかっていない部分も多い.そこで本稿ではキノコの香気とその生合成に関わる酵素について述べる.
著者
石脇 智広
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.368-374, 2007-09-25 (Released:2008-09-19)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

コーヒーは石油に次ぐ貿易量を誇る国際商品である.そして日本の輸入量は年間40万tを越えており,今や世界第3位の輸入国となっている.コーヒーの品質を管理するために生産国,消費国でさまざまな品質検査が行われているが,官能評価はその中でも最も重要なものとして位置づけられている.本稿ではコーヒーの基礎的な知識を述べた上で,官能評価について,目的,手法をまとめた.また,業界全体の動向として,コーヒーインストラクター検定についてその概要を述べた.
著者
宇都宮 仁
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.352-360, 2007-09-25 (Released:2008-09-19)
参考文献数
23
被引用文献数
4 7

官能評価は,清酒の研究や製品分析に不可欠である.最初に,これまで行われてきた清酒の官能評価の歴史とその問題点について紹介する.最近,筆者らは,記述的試験法のために,用語,標準見本とフレーバホイールで構成される評価用語体系を作成した.この評価用語体系中のにおい・かおりに関する用語とその由来について説明する.また,専門家と専門家以外を比較するため,標準見本18種類と3種類の製品を利用して一般パネルによる清酒のかおりの表現,類別,嗜好について調査を行い,一般パネルによる清酒のかおり構造を作成した.
著者
池内 龍彦
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.118-129, 2017-03-25 (Released:2021-05-21)

乗物での移動中にもトイレが快適に利用できれば気持ちの良いものである.最近の公共交通機関のトイレはにおいのない快適な空間が求められている.乗物にトイレが付いていれば悦ばれていた時代から,付いているのが当たり前の時代,そして最近では入ってみたくなるような豪華なトイレが付いている乗物も登場してきた.乗物のトイレは,上下水道の完備した住宅用とは環境条件や不特定多数の人が使用するなどの条件が異なるため,独自の歴史をたどった.時代の流れと共に,様々に改良された列車やバスのトイレと排水処理を紹介する.
著者
鈴木 隆
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.346-356, 2013-11-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
15

においを表す語彙の少なさについてはよく知られている.しかし,香料開発の現場を始めとして,かおりやにおいの分類や表現にさまざまなことばが使われているのも事実である.本稿ではそうしたことばが使われる場面や目的を,同定,記憶,描写,評価に分けて考察し,分類用語を含めた言語表現の具体的な機能について考察する.また,共感覚表現やオノマトペが多用される意義や,評価において特徴的に見られる,ネガティブ要素の探索という行為が,においのことばを生成するのみならず,嗅覚感度に影響を与える可能性を検討する.
著者
鄭 雅誠 森 恵莉
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.178-182, 2022-05-25 (Released:2022-05-26)
参考文献数
30

本邦の嗅覚診療で現在保険適応となっている嗅覚検査は基準嗅力検査と静脈性嗅覚検査の2つである.静脈性嗅覚検査は1960年に提唱され,世界でも最古の部類に属する長く続けられている嗅覚検査であり,静脈ににおい物質を注入する,日本独自の検査方法である.これに対してにおい物質を嗅がせる嗅覚検査は,長らく各施設ごとに独自の形式が取られており,1956年に統一された聴力検査法と比較して,嗅覚検査の統一は遅れていた.嗅覚検査の統一基準を作るべく,1971年に研究班が設置され,日本人になじみのある「基準臭」が1973年に発表された.1978年には今日臨床で使用されている基準嗅力検査が制定され,以降40年以上にわたって静脈性嗅覚検査とともに,嗅覚の保険適応検査として使われ続けている.その後,基準嗅力検査の問題点である室内空気の汚染の改善や検査の定量化を目的に噴射式基準嗅力検査が1996年に発表されたが,検査装置製造中止のため現在は入手困難である.また,海外では検査手順簡略化や室内空気汚染対策としてマイクロカプセル技術を用いた嗅覚検査UPSITが1984年に発表され,本邦でも同技術を使用したスティック型嗅覚同定検査が2006年に発表された.スティック型嗅覚同定検査はマイクロカプセルに内包されたにおい物質をスティック状に加工し,パラフィン紙にその都度塗布して検査を行うが,その煩雑性と不定性,冷蔵保存の必要があったことから,2008年には紙を擦るだけのカード型嗅覚同定検査が発表された.このような嗅覚検査を組み合わせて臨床では嗅覚診療を行うが,嗅覚検査結果と患者本人の自覚的な嗅覚症状が乖離することも多く,嗅覚専門外来では自覚症状の評価のためにVAS : visual analogue scaleや日常のにおいアンケートも併用されることが多い.近年では好酸球性副鼻腔炎やCOVID-19の増加から,嗅覚診療の注目度や重要性も上がってきている.
著者
高橋 和良
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.100-107, 2014-03-25 (Released:2018-02-13)
参考文献数
12

香辛料は海の冒険者たちの夢を駆り立て,スパイス戦争を引き起こし,結果的には世界の歴史に大きな影響を及ぼしたのである.なぜ香辛料にはそのような影響力があったのかマズローの欲求段階説を用いて説明する.香辛料は薬や化粧品や食品として使用されたが,薬や化粧品に対する欲求は安全欲求と自我欲求である.これに対して,食べ物に対する欲求は生理的欲求である.この生理的欲求が世界の歴史に大きな影響を及ぼした原因であると考えられるのである.そこで,香辛料の歴史を使用方法の視点で見直すこととする.
著者
戸川 明彦
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.3-9, 2021-01-25 (Released:2021-11-14)

芳香消臭脱臭剤の変化に与える影響は,大きく「住環境の変化」と,「生活価値の変化」に分けられる.この2つの要素が,時代と共に変化することで,それに伴うように芳香消臭脱臭剤は進化してきている.具体的には,「住環境の変化」では顕在化された悪臭が住空間からなくなったことからの影響,「生活価値の変化」では共働きにより,主婦のライフスタイルが変化したことによる影響があげられる.今後の新たな住環境の変化と生活価値の変化に対応した芳香消臭剤の変化についても予測する.
著者
村木 毅
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.10-17, 2021-01-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
3

近年の香りニーズの高まりから,家庭で使用されている芳香消臭剤は使用される目的や方法も様々になり,また市場拡大に伴い使用者も増加傾向にある.そのため,製品の利用を楽しむ一方,安全性についても確保されることが求められている.芳香消臭剤の製造,使用等により発生するリスクを未然に防ぐために,過去に報告された事故原因を明らかにし,特に頻度の高い事故や重篤度の高い事故に対する方策を検討することが重要である.本稿では芳香消臭脱臭剤協議会が策定した「家庭用芳香・消臭・脱臭・防臭剤安全確保マニュアル作成の手引き(新版)」1)についての解説を行う.
著者
長谷川 登志夫
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.133-140, 2013-03-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

お香は,日本の伝統的な香りの文化である.白檀などの様々な香気素材がお香の香りのもととして使われている.これらの素材は,他には代え難い特徴的な香気を有している.これらの素材の香気についての多くの研究によって多数の構成成分が報告されている.しかし,それらの香気特性はほとんど解明されていない.次のような新規のアプローチによって,それらの香気特性について検討した.(1)香気素材の抽出方法の違いによる香気の違いを利用した解析.(2)素材の香気成分をいくつかの香気の特徴の異なる成分群にわけて解析.(3)素材の香気の経時変化の解析.
著者
駒井 三千夫 井上 貴詞 長田 和実
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.408-416, 2006 (Released:2007-09-06)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

三叉神経は,顔面の主要な感覚神経である.本稿では,この神経を介した刺激性物質の感覚受容について述べる.三叉神経受容といえばトウガラシなどの辛味成分のカプサイシン,冷線維刺激性のメントール,炭酸飲料の炭酸ガスなどがイメージされるが,ここでは3人の筆者がそれぞれ得意とする「三叉神経による溶存炭酸ガスの受容・伝達機構」(見出2 : 駒井),「香辛料・ハーブ類などに含まれる刺激物質の受容に関わるTRP(transient receptor potential)チャネル」(見出3 : 井上),「化学感覚と体性感覚の相互作用」(見出4 : 長田)について順に概説した.すなわち,(1)炭酸飲料中の炭酸ガスがどのようなしくみで受容されてシュワシュワ・チクチク感を感じるのかを解説し,(2)食品にさまざまな風味を付与する香辛料,ハーブ類の外因性化学物質による体性感覚発現への関与が示唆される受容機構のうち,最近解明されてきたTRPスーパーファミリーに属する4種の受容体を活性化する物質群を紹介し,(3)最後に,三叉神経刺激物質と味覚・嗅覚への影響が我々の生活で最も関心がもたれているので,味覚・嗅覚の神経伝達と三叉神経刺激の関連性について解説した.
著者
石田 裕
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.216-225, 2010-07-25 (Released:2016-04-01)
参考文献数
20

近年,食に関する苦情が多く寄せられている.生活環境の中には多くの化学物質が存在しており,ものによっては環境中から食品へ移染する場合もあり,摂取により安全性が妨げられる場合もある.食品への化学物質の移行に関していくつかの例を示したが,特に気化しやすい物質についてはその挙動を念頭におき,近くに食品を置かないことや,包装の材質を考え透過しない容器に入れておくなどが対応策として重要である.
著者
達 晃一
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.9-15, 2019-01-25 (Released:2021-11-03)
参考文献数
14

健康志向の高まりを受けて,近年では空気質への関心も高くなってきている.住宅屋内で発生する揮発性有機化合物(以下VOCと呼ぶ)は,建材や材料などの対策が進み,対策前と比較して大幅に改善されている.自動車においても,住宅同様に,内装材や,車室内に使用されている材料の対策が進み,車室内VOC濃度は低減している.しかし,車室内環境は,住宅環境よりも容積が小さく,温度も高くなるため空気質環境としては厳しい環境となっている.そこで,空気質の指標となっている総揮発性有機化合物(以下TVOCと呼ぶ)と“におい”に着目して車室内空気質に対する評価法の考察を行った.
著者
小山 玲音 出村 幹英 野間 誠司 林 信行 原口 智和 宮本 英揮 笹川 智史 龍田 典子 上野 大介
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.226-232, 2021-07-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
28
被引用文献数
4

気生藻類の一種であるスミレモTrentepohlia aurea (Linnaeus) Martiusは,スミレのような“におい”があることが知られている.スミレモのにおいの有無や強弱には生育地域や場所による多様性の存在が示唆されるが,これまでは定性的な観察が中心であった.本研究ではスミレモのにおい物質を同定することで,スミレモのにおいに関する基礎的な知見を提供することを目的とした.におい物質の同定には,におい嗅ぎガスクロマトグラフィー(GC-O)を含む“におい分析システム”を活用した.分析の結果,“良い香り”として特徴的なにおい物質であるα-テルピネンと2-ペンチルフランを同定した(2-メチル-6-ヘプテン-1-オールとβ-イオノンは仮同定).将来的にスミレモ類縁種のにおい物質をデータベース化することで,におい物質を利用した化学分類学の発展に貢献できると期待される.
著者
斉藤 幸子
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.363-379, 2013-11-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
18
被引用文献数
2

臭気公害における臭気質の評価は,苦情や快不快と関わりのある課題であるが,まだ十分な対策が検討されていない.本稿では,先ず,提示した悪臭を言葉で表現した場合の特徴について,次に,98のにおいの記述語に基づく日本の日常生活臭の類型について述べる.前者では,悪臭の表現には大きな個人差があることが示され,共通の記述語の選定が望まれた.後者では,悪臭も含む日本の日常生活臭の類型の数が,4から19まで階層的に得られ,臭気質の新たな評価軸として「安全—危険」が導かれた.最後に,環境臭気の臭気質評価のための記述語の選定方法について言及した.
著者
池ヶ谷 篤 油上 保 柴本 薫 楠原 正俊
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.380-388, 2017-09-25 (Released:2021-07-09)
参考文献数
55

静岡がんセンターは,患者の視点を重視することを基本理念として設立された,高度がん専門医療機関である.がん患者は,患部の壊死や代謝異常により特有の病臭が発生し,大きなストレスを感じている.我々は,日本人の生活に深く根ざした緑茶を蒸留し,その香りを活用して患者のストレスを低減させ,QOLを向上させる取り組みを実施した.この取り組みに適した蒸留液の原料としては.二番茶の茎茶が最適であった.開発した緑茶蒸留液は,心を安らげる香りを有しているだけでなく,トリメチルアミンやジメチルスルフィド等のがんの病臭を低減させる効果を有していた.
著者
白田 志保 石川 清宏
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.38-45, 2013-01-15 (Released:2017-10-11)
参考文献数
2

食品の味覚とにおいが密接な関係にあることは知られている.しかし,その味覚・においを特徴付けている化学物質を明確にするためには,感覚的な分析手法と化学的な分析手法を組み合わせる必要がある.感覚的な指標をもとにした分析手法としては,におい識別センサーや味覚センサーなどが使用されているが,それらでは味覚・においを特徴付けている化学物質を特定することはできない.一方で,アミノ酸分析機や質量分析計を用いる化学分析手法では,化学物質の特定はできるものの,感覚的な指標との関連を議論することは難しい.今回,アミノ酸分析装置とガスクロマトグラフ質量分析計(以下GC-MS) に官能分析の一手法であるスニッフィング機能を組み合わせた,スニッフィング-GC/MSを用いて,数種類の市販チーズをそれぞれ分析することにより,感覚的な指標とその背後にある化学物質の同定を試みた結果,いくつかの知見が得られたので以下に報告する.
著者
関根 嘉香 木村 桂大 梅澤 和夫
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.410-417, 2017-11-25 (Released:2021-07-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

近年の機器分析法の発展に伴い,ヒト体表面から発せられる微量な生体ガス(皮膚ガス)の種類や放散量が明らかになり,ヒトの身体的・生理的状態,種々の疾病の有無,生活環境や生活行為との関連に注目が集まっている.皮膚ガスは,体表面から放散される揮発性の有機・無機化合物の総称であり,代謝生成物や外来因子,皮膚表面における生物的・化学的反応生成物などから構成される混合ガスである.本稿では,皮膚ガスの種類や放散経路に関する基礎的な知見,および筆者らが開発した簡便な皮膚ガス測定法の概要,およびいくつかの臨床応用例を紹介し,皮膚ガス測定が健康・医用面において極めて有望な研究視座を与えることを述べる.
著者
高橋 淳
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.127-132, 2015-03-25 (Released:2019-02-20)
参考文献数
18

主要茶産地の中で北に位置する埼玉県の茶は狭山茶と呼ばれ,経済的な北限とされている.埼玉県は茶樹にとって寒さが厳しいため,耐寒性を有した品種育成を行っている.最近,桜葉のような香気(桜葉様香気)を有している「おくはるか」を育成した.この桜葉様香気は,茶に携わる者だけでなく,消費者も感じることができる香気である.この他に,モクセイ様の甘い香気を有した「ゆめわかば」や品種特有のふくよかな香気がある「ふくみどり」,すっきりとした爽やかな香気が特徴である「むさしかおり」など香気に特徴ある品種がある.