著者
鈴木 浩明 田中 綾乃 小美濃 幸司 白戸 宏明
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.323-332, 1999-10-15
参考文献数
16
被引用文献数
2 3

鉄道車両がカント (横断勾配) のついた曲線区間に停止した際に生じる床の傾斜角と乗客 (乗員) の不快感との関係を検討するための基礎実験を行った. モックアップ車両の床面の傾斜角度を0~12度まで2度刻みで変化させ, 被験者に傾斜の強さや不快感の評価を求めた. 乗客 (乗員) の一般的な姿勢や行動を考慮して, 着座姿勢, 停立姿勢, 通路歩行時, 車内販売用ワゴン操作時の各条件を検討対象とした. 歩行実験では履物の違いが評価に及ぼす影響も検討した. その結果, 着座・停立条件の不快感は歩行・車内販売条件より高いこと, 靴の違いは歩きにくさの評価には影響するが, 傾斜に起因する不快感の評価には影響しないこと, 車内販売作業では傾斜角が6度を超えると急速に不快感が高まること, などが明らかになった. 最後に, 傾斜角度を独立変数, 不快感を従属変数とする回帰式の作成を試みた.
著者
斎藤 真 中務 隆弘 池浦 良淳 水谷 一樹
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.212-218, 2007

本研究は, マルチディスプレイ型VDTの作業特性を明らかにし, ガイドラインや推奨事項を確立するための基礎資料を得ることを目的としている. 実験は10人の被験者を対象に編集作業とマウスポインティング作業をおのおの5分間, ディスプレイはシングル (1台), デュアル (2台) および大型の3条件について行われた. 評価は, 作業能率, 操作性, 頭部運動および頸部筋負担の四つの視点から行った.<br>デュアルディスプレイおよびラージディスプレイは, シングルディスプレイよりも得られる情報量が多く, 操作がしやすいため作業能率が優れていることが示された. また頸部の筋負担はすべての実験条件で有意差が認められなかった. 特にデュアルディスプレイは, 画面が水平方向に広がるためラージディスプレイに比べて頭部運動が多く, 静的な筋負担を軽減する可能性が示唆された.
著者
本田 直 石橋 舞 鳥居塚 崇
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.Supplement, pp.S200-S201, 2016-06-25 (Released:2016-10-15)
被引用文献数
1
著者
大西 明宏
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.175-182, 2013-08-15 (Released:2014-02-01)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

本研究ではロールボックスパレットに起因する労働災害の実態把握と求められる対策を検討するため,2006年の休業4日以上の死傷病報告データの25.5%に相当する34,195件をもとに分析した.その結果,285件のRBP起因災害が確認された.これは労災全体の0.83%(95%CI:0.73~0.93)であったが,年間発生件数を試算すると1,115件(95%CI:980~1,249)と推計され,他の災害と比べても少なくない実態がわかった.業種別では運輸業の件数や千人率が高く,重傷例も少なくなかったが,労働損失日数を用いた災害リスクの比較では比較的治癒に時間を要する骨折でさえ運輸業の平均より低いことから,重篤なRBP起因災害の発生リスクは低い傾向であることがわかった.また,経験1年以下の被災が多いことから雇入れ時教育の充実が求められること,運輸業および卸・小売業では高年齢労働者の被災も多いことから体力低下等への配慮も重要であると示唆された.被災パタンは1)「上肢(指,手,腕)の激突・はさまれ」,2)「下肢(足指,足,脚)の激突・はさまれ」,3)「キャスターによる足部負傷」,4)「頭部・顔面・歯への激突」,5)「RBPの転倒・転落による下敷き等」の5つに整理され,上肢および下肢の激突・はさまれ,あるいはキャスター踏まれへの対策には手足プロテクターや足指の第5指末端まで保護可能な安全靴等の使用が災害防止には有効と考えられた.頭部等への激突防止には荷崩れしにくい積載の徹底,ステー棒を適切に固定できる範囲での積載遵守が必要になると示唆された.全体の42.1%を占め,重大災害につながりやすいRBPの転倒等による災害の防止には使用時に少しでも不具合を感じた時点でフォークリフト等の運搬機械を積極的に使用することが求められるが,実際には使用できない場合も多いことから新たな対策の検討が急務であると示唆された.
著者
伊南 盛治
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.237-240, 1980-10-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
2
著者
小森 政嗣 山本 靖典 長岡 千賀
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.64-69, 2006-04-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

音声情報を短時間で呈示するために音声を高速で再生すると, 同時に談話理解が難しくなる. 本研究では, 音声中のポーズ長に操作を行うことで, 聴取者の談話理解を促進し, より高速での録音音声の呈示を可能にする手法を提案する. 音声中のポーズ長の変動は談話構造の手がかりとなっていることから, ポーズ長の違いを明確にすることで談話理解を促進することができると考えられた. そこで, ポーズ長の変動を明確化する二つの手法の有効性を話速判断課題により検討した. 実験1では, ポーズ長を全体的に延長することで, より弁別能の高い時間範囲にポーズ長分布をシフトさせる手法を検討した. しかし音声再生時間を短縮する上で有効とは言えなかった. 実験2では, ポーズ長の変動を誇張する手法を検討した. この手法は聴取者が音声内容を理解できる話速を向上し, かつ, 音声をより短時間で呈示できることが結果から示された.
著者
小谷津 孝明
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.135-144, 1968-05-30 (Released:2010-03-11)
著者
田所 諭 相川 誠 市道 和廣
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41-47, 1990-02-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
25

人間の腕は機構的冗長性をもつため, 手の位置・方向だけでは一意に姿勢が定まらない. ところが, 人間は日常生活においてある程度決まった上肢姿勢をとっている. このことは人間が無意識下に姿勢を決定する基準を有していると解釈できる. 著者らは, 5名の被験者の9種類の上肢動作を計測・解析し, 手首位置と肩のある回転角との間に成立する関係式を見いだすことができた. この関係は, 任意の手首位置に対する腕姿勢は一意に決まることを意味しており, 人間の上肢姿勢がもつ法則性を定式化したものであるといえる. この関係式は動作の種類や被験者が変わった場合でも成立し, 人間らしい腕姿勢の生成を可能とする.
著者
趙 巖 野呂 影勇 岩崎 常人
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.357-362, 1997

本研究は, 二眼式液晶シャッターを用いた時分割方式によって再生された二眼式立体 (3D) 映像を負荷した場合と, 平面 (2D) 映像を負荷した場合での, 負荷前後の瞳孔反応への影響を調べた. このとき, 鑑賞時に与えられた視距離 (2mと4m) と室内の照度の設定条件により, 縮瞳量に変化が認められるか否かを検討した. 瞳孔面積の変化は, 赤外線オプトメータに付帯したピューピロアナライザーで測定した. その結果, 以下の事実がわかり, それらの結果から二眼式3D映像鑑賞にあたり, より良い鑑賞の仕方 (距離や照明のあり方) を人間工学的に考察した.<br>(1) 2D映像, 二眼式3D映像ともに負荷前より負荷後に縮瞳量が増した.<br>(2) 2D映像, 二眼式3D映像のいずれの負荷においても, 縮瞳量の変化に対して, 室内照明の有・無による影響が認められた. 特に, 二眼式3D映像負荷時の照明の有無は, 瞳孔機能に大きな影響があることがわかった.<br>(3) 二眼式3D映像を観察するにあたっては, 瞳孔機能の結果だけを考えた場合, 室内照明をつけたほうが良いと考えられた.