1 0 0 0 OA EDTAの使い方

著者
上野 景平
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.207-214, 1959-03-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
1
被引用文献数
2
著者
慶田 雅洋 伊藤 誉志男 小川 俊次郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.T86-T90, 1982 (Released:2010-02-16)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

輸入品の酢酸ビニル樹脂製ふうせんペースト(幼児用おもちゃ)について,衛生的な安全性確保の目的でペースト中の有機溶剤のガスクロマトグラフィー(GC)及びマススペクトロメトリー(MS)による定性,定量法を検討した.試料をN,N-ジメチルホルムアミドに溶かし,GC(FID付き)条件を検討したところ,輸入者が自主検査で用いたPEG 20Mカラムではペーストより五つのピークが認められたが,分離が良くなかった.新たにChromosorb 101カラムを用いた条件を設定したところ,七つのピークを得,GC/MSにより主ピークはエタノールと酢酸エチル,微量ピークはメタノール,アセトアルデヒド,アセトン,酢酸メチル及び酢酸ビニルモノマーと同定できた.本条件を用い輸入品12検体の実態調査を行ったところ,エタノールが主成分{(15.4~19.8)%}のものと酢酸エチルが主成分{(24.9~28.3)%}のものがあり,又,メタノール含有量には大きな変動(3%~N.D.)が認められた.

1 0 0 0 OA pH試験紙

著者
吉田 昭
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.270-273, 1958-04-05 (Released:2009-06-30)
著者
立沢 政義 中山 修二 大河原 晃
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.761-766, 1970-06-05 (Released:2010-01-15)
参考文献数
7
被引用文献数
7 6

キニーネ塩は酸性(pH6.2)でプロムフェノールブルーと反応させると赤色を呈し,これはベソゼン-クロロホルム混合溶媒(1:1)で抽出すると585mμに吸収の極大を示す.通常色素法による塩基の定量はpH4.2で行なっている.この条件では反応に選択性がないため同一系成分共存では利用できないが,pH6.2においてブロムフェノールブルーはキニーネ塩に対する選択性が大である.混合製剤中のキニーネ塩の定量にこの反応を利用した比色定量法を確立した.

1 0 0 0 OA pH試験紙

著者
及川 五郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.169-172, 1952-11-30 (Released:2009-03-16)
参考文献数
13
著者
小原 人司 石橋 信彦 安部 清実
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.48-54, 1970-01-05 (Released:2010-05-25)
参考文献数
17
被引用文献数
9 7

第4級アンモニウム塩によるモリブデン(VI)-ピロカテコールバイオレット錯体の抽出とこれを利用する微量モリブデン(VI)の抽出吸光光度定量法について検討した.モリブデン(VI)とピロカテコールバイオレットとの錯体は第4級アンモニウム塩のdialkyl monomethyl benzylammonium chlorideの存在で種々の有機溶媒に抽出される.有機層に抽出された錯体の組成は配位子濃度や水溶液のpHによって異なるが,これらの錯体のうち0.25~0.6Mの塩酸溶液からクロロホルムに抽出される錯体は560mμに吸収極大波長を有し,モリブデン(VI)とピロカテコールバイオレットとの結合モル比は1:2である.抽出された錯体の吸光度に影響を及ぼす諸因子の検討の結果,定量の最適条件ではモリブデン(VI)濃度0.1~10×10-6Mでベールの法則が成立する.スズ(IV)およびタングステン(VI)はモリブデン(VI)の定量を妨害する.ジルコニウム(IV)は錯体を生成するが抽出されない.なお,第4級アンモニウム塩による抽出法を併用することによって,酸性溶液中でピロカテコールバイオレットのカルボニル基へ付加した水素イオンを解離させることができることを認めた.
著者
岡崎 雄交 大槻 竜宏 宮阪 和世 並河 忠男
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.17, no.10, pp.1228-1233, 1968 (Released:2009-06-30)
参考文献数
3
被引用文献数
3 3

荷電移動複合体形成により黄色を呈すると考えられる高濃度(0.05M)のニコチン酸アミド-アスコルビン酸(1:1)混合溶液について直流ポーラログラフの挙動を検討し,次のような結果を得た.i)黄色を呈する高濃度溶液ではピリジニウムイオンとアミド基に基づく還元波以外にピリジニウムイオンを形成せずに存在するアスコルビン酸の水素波を与える.ii)黄色を呈する高濃度におけるアスコルビン酸の酸化波高は黄色を呈する度合(ニコチン酸アミド>ピリジン)に比例して増大するが,呈色しないベンツアミドとの混合液ではほとんど変化しない.また黄色を呈しない濃度(0.005M)ではいずれの場合も波高は減少する.iii)高濃度におけるニコチン酸アミド-ヨウ化水素酸混合液の挙動もニコチン酸アミド-アスコルビン酸混合液の場合とよく類似している.
著者
手嶋,紀雄
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, 2008-05-05

1回の試料注入(ワンショット)でアスコルビン酸(AA)とグルタチオン(GSH)を同時定量するフローインジェクション分析法を開発した.AAは,鉄(III)-1,10-フェナントロリン(phen)錯体を迅速に鉄(II)-phen錯体(λ_<max>=510nm)へと還元するが,GSHによる還元反応は遅い.本研究ではGSHによる還元反応が銅(II)の共存により著しく加速されることを見いだした.したがって,生成する鉄(II)-phen錯体の吸光度は,銅(II)非共存下ではAAのみの量,銅(II)共存下ではAAとGSHの総量に相当する.これらの反応をダブルフローセルを装着したフローシステムに導入した.その結果,AAはダブルフローセル内の第1セル室で検出され,その後,銅(II)を合流させてAAとGSHの合量を第2セル室で検出することが可能となった.最適条件下でAAは5×10^<-7>から5×10^<-6>M,GSHは2×10^<-6>〜1×10^<-4>Mの濃度範囲で同時定量することができた.試料処理速度は毎時45試料であった.本法を医薬品及び栄養補助食品中のAAとGSHの定量に応用し,良好な結果を得た.
著者
下山 進 松井 英男 下山 裕子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.121-126, 2006 (Released:2006-04-10)
参考文献数
5
被引用文献数
3 7

Dayflower, knotgrass (indigo) and Prussian blue are known to be blue colorants used in traditional ukiyo-e color prints. For the non-destructive determination of the three blue colorants, the visible near-infrared reflection spectrum of each standard color sample was measured with a portable spectrophotometer using fiber optics. The three spectra, corresponding to each colorant, showed different patterns in the range of 630∼900 nm, and the three colorants could be easily identified by each respective spectrum pattern. This analytical method was applied for the identification of blue colorant(s) used in 36 prints of "Thirty-six Views of Mt. Fuji", the key-blocks of which were printed with blue color by Katsusika Hokusai, published in ca. 1830∼33. It was identified that every key-block of the 36 prints was printed with indigo, which was hitherto assumed to be Prussian blue, while all color-blocks were printed with Prussian blue. This pattern of color usage, indigo for the key-block and Prussian blue for the color-blocks, was also observed in 5 prints of the "Shokoku Taki Meguri" series, the key-blocks of which were printed with blue color, by Katsusika Hokuai, published in ca. 1832∼33.
著者
西 末雄
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.415-420, 1962-04-05 (Released:2010-01-15)
参考文献数
5
被引用文献数
3 2

C2~C6カルボニル化合物の2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンをジカルボン酸類と混合溶融すると,元のカルボニル化合物を再生することを認めた.この熱分解反応をガスクロマトグラフィーにおけるキャリヤーガス流路内で行ない,再生するカルボニル化合物を直ちにガスクロマトグラフィーにより分析した.使用したジカルボン酸中では,ο-フタル酸,α-ケトグルタル酸,グルタル酸などがカルボニルを再生させる能力が高かった.しかし,α-ケトグルタル酸,グルタル酸などは加熱によってみずから分解ガスを発生しクロマトグラムのベースラインを乱し分析上の障害となる場合があり,このような障害のないο-フタル酸が本分析法には最適であった.ο-フタル酸はヒドラゾンに対して10倍量以上用いるべきである.メチルエチルケトン,n-ブチルアルデヒドの場合,ヒドラゾンより理論量のカルボニルを再生した.アルデヒド,ケトンの水溶液(濃度1%以下)の分析を本法で行なったところ満足すべき結果をえた.
著者
赤坂 和昭
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.681-690, 1995-09-05 (Released:2009-06-19)
参考文献数
44
被引用文献数
2 2

脂質の酸化により生成する過酸化脂質の高感度,高選択的な蛍光分析試薬として,ホスフィン試薬の設計・開発を行った.トリフェニルホスフィンによる脂質ヒドロペルオキシドの還元反応に着目し,過酸化脂質分析試薬としてトリフェニルホスフィンのフェニル基を蛍光発色基で置換した化合物を設計・合成した.この化合物は,それ自体には蛍光性がなく,過酸化物等によりホスフィンオキシドに酸化されることにより初めて強い蛍光性を示した.反応は,脂質過酸化反応の第一次生成物であるヒドロペルオキシドに高い選択性を示し,反応の前後の蛍光強度の変化より脂質ヒドロペルオキシドを定量することが可能であった.合成したホスフィン試薬の中で蛍光分析に最適な性質を示したジフェニル-1-ピレニルホスフィン(DPPP)は液相法,及びHPLCポストカラム法への適応が可能で,これらの方法によりそれぞれsub-nmol,及び数 pmol レベルでの脂質ヒドロペルオキシドの検出・定量が可能であった.特に, HPLC ポストカラム法ではリン脂質やトリアシルグリセロール,コレステロールエステル等の脂質クラス,あるいは分子種レベルでの分析が可能となった.本稿では,過酸化脂質分析試薬の開発の経緯を含めたホスフィン試薬の設計・合成,特性,及び食品試料や血しょう等の生体試料中の脂質ヒドロペルオキシドの分析への応用について紹介する.
著者
椿 勇
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.458-462, 1970-04-05 (Released:2009-05-29)
参考文献数
5

元素周期律の同族元素では原子番号の増加による酸化力の変化は従来ほとんど考察されていない.もっとも各原子のイオン化電圧,標準酸化還元電位および標準生成自由エネルギーの値は原子番号の増加につれて酸化力が強くなる傾向を示唆するものではあるが,しかし実際に反応によって果たして酸化力の差が現われるものかいなかを検討した.その結果は大部分の同族元素についてはやはり原子番号の増加により酸化力は増大することがわかったが,IV B族, Ti, Zr, Hf, V B族V, Nb, TaおよびVI B族 Cr, Mo, Wにおいては逆であった.またVII B族では Tc>Mn>Re, VI A族では Se>Te>S のように原子番号の傾向とは無関係であることがわかった。
著者
森重 清利 岡部 道明 西川 泰治
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.265-270, 1997-04-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
10

佐賀県東松浦郡肥前町産の木村石[CaY2(CO3)4・6H2O]は紫外線照射により赤紅色の蛍光を発する.この発光は鉱物中に含まれるEu(III), Tb(III), Gd(III)及びDy(III)イオンの輝線スペクトルに起因することを明らかにした.これら発光性希土類金属(III)化合物の蛍光スペクトルの帰属とその分光特性を詳細に検討した結果,木村石の蛍光スペク.トルはそれぞれEu(III):Ex.395(7F6→5Le)/Em.615nm(5D0→7F2);Tb(III):Ex.380(7F6→5D3)/Em.545nm(5D4→7F5);Gd(III):Ex.275(8S7/2→6D3/2)/Em.312nm(6P7/2→8S7/2);Dy(III):Ex.352/Em.575 nm(4F9/2→6H13/2);の4f電子の許容遷移に基づく発光であることを明らかにした.
著者
古山 彰一 藤島 政樹 竹内 克輝 永井 孝 奥村 浩
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.491-496, 2019-07-05 (Released:2019-08-03)
参考文献数
7

比色法を用いた水質調査をより簡便にするために,スマートフォンなどのスマートデバイスのアプリケーションを含めた人工知能による濃度判定を行うシステム開発を行った.色の同定,濃度算出に人工知能技術を利用することで,外光などを遮断するための冶具と色彩—濃度検量線の作成を不要とした.また,個々のスマートデバイス上で濃度測定を行うのではなく,ネットワーク上に構築した人工知能サーバによって濃度判定を行うこととした.このことで個々のデバイスにインストールされるアプリケーションの機能を最小限とし機種依存性を極力排除することを試みた.さらに観測位置情報も同時に取得・保存することで,広域環境調査に有効な水質測定システムになりうる可能性を示した.
著者
松岡 育弘 内藤 哲義 山田 碩道
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.759-765, 2002-09-05 (Released:2009-03-13)
参考文献数
14
被引用文献数
4 7

数多くの溶媒について水を飽和した状態で, 溶媒のアクセプタ性を示すET値と水の溶解度を測定した. 水の溶解度は, カールフィッシャー法により電量滴定で測定した. 用いた溶媒は, 7種類のアルカン, 3種類の芳香族溶媒, 3種類の塩素化炭化水素, 4種類のエステル, 6種類のケトンと5種類のアルコールである. 各溶媒のET値は1,2-ジクロロエタンを除いて対応する水の溶解度とかなりよい直線関係が成立することが分かった. これらの溶媒の中でデカン酸による銅 (II) イオンの抽出に関して研究してきた溶媒に対して, 水の溶解度とこれらの抽出系に含まれる種々の平衡定数との間にかなりよい直線関係があることを示した. このことは, これらの抽出平衡が水和の影響を受けていることを示唆している. 本研究で用いた溶媒への水の溶解度は2.36×10-3から4.74mol dm-3であり, ET値と比べて広い範囲にわたっている. このことは, 有機溶媒への水の溶解度は, 溶媒抽出における溶媒効果を研究する際, 有機溶媒の性質を示す高感度な尺度として有用となることを期待させる.
著者
坂本 政臣 小浦 由紀夫 畑中 憲児 石森 富太郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.7-11, 1990-01-05 (Released:2009-06-19)
参考文献数
4

カリウム,ルビジウム及びセシウムを含む混合溶液から,これら三者を分離することなく同時定量することを検討した.すなわち,テトラフェニルホウ酸ナトリウム(Na[TPB])及びテトラ(p-フルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム(Na[F4TPB])を沈殿剤に用いて,M[TPB](M=K,Rb,Cs)及びM[F4TPB](M=Rb,Cs)として沈殿させ,それぞれの沈殿の648℃及び380℃での熱分解生成物の初期重量に対する重量パーセント(空気気流中,昇温速度:5.6℃min-1)と沈殿の総重量とから三者の定量を行った.その結果,溶液50cm3中に存在する各アルカリ金属が5mg以上のとき,10%以内の誤差で定量可能であった.
著者
若松 義信
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.671-674, 1976-10-10 (Released:2010-02-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

2-プロム4,5-ジヒドロキシアゾベンゼン-4'-スルホン酸ナトリウム(BDAS)は陽イオン界面活性剤の一つである塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTMAC)の存在下で,中性領域で微量の銅(II)と反応して三元錯体を生成する.その錯体は530nmに吸収の極大を持ち,pH 6.4~8.3の間で最大の吸光度が得られる.更に,この三元錯体に過剰のホウ酸ナトリウムを共存させると試薬ブランクの吸光度が効果的に減少する.銅(II)が0~26μgまでBeerの法則に従う.三元錯体の見掛けのモル吸光係数は530nmで4.8×104cm-1mol-1lとなる.又,三元錯体の銅とBDASの結合比は1:2と推定される.銅(II)の定量に対して鉄(III),ガリウム,モリブデン(VI)などが微量存在しても妨害する.
著者
鈴木 義仁 小泉 均
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.718-723, 1989
被引用文献数
1 3

不飽和結合の定最に利用されるヨウ素価はウィイス試薬やハヌス試薬を用いて,オレフィン性二重結合へハロゲンを付加させ消費されたハロゲンをヨウ素等に換算して求めている.このような試薬を用いる反応では試料量,反応時間などによりヨウ素価は異なる値を示すことが知られている.本報ではウィイス試薬,ハヌス試薬,及び臭素溶液を用いて付加反応によって得られたハロゲン付加物をHPLCにより分離・定性分析し,これらの試薬との反応によって,どのような付加物が得られるかを明らかにした.スチレンへの付加反応では使用した試薬の違いによるハロゲン付加物はHPLCで分離できた.しかし長鎖不飽和脂肪酸の付加物ではハロゲン種の違いに基づく相互の分離は達成できなかった.保持の近接した付加物ピークについては分取後,酸素フラスコ燃焼法によりハロゲンイオンとしてイオンクロマトグラフィーにより付加したハロゲン種を同定し,そのHPLCによる分離挙動を明らかにした.
著者
瀬戸 康雄
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.891-906, 2006 (Released:2006-12-26)
参考文献数
82
被引用文献数
16 19

炭疽菌等の生物剤やサリン等の化学剤が用いられる生物化学テロの事前・事後管理への対処において現場で実施されるモニタリングや検知は,テロ発生の抑止や被害の最小化のために必要である.この現場検知に要求される測定資機材の性能は,生物化学剤の致死濃度・最小感染量,及び毒性発現・発症時間に大きく影響される.本研究では,市販の現場検知資機材である検知紙,ガス検知管,炎光光度検知器,光イオン化検知器,イオンモビリティスペクトロメーター,表面弾性波検知器,フーリエ変換赤外吸収スペクトロメーター,質量分析計,アデノシン5'-三リン酸(ATP)生物発光測定キット,フローサイトメーター,免疫ストリップに関して,実剤又は擬剤を用いて検知性能を検証した.その結果,検知可能な生物化学剤の種類,検知感度,検知精度,応答時間,操作性等に関して要求される性能をすべて満たす検知資機材はなかった.ガス性化学剤の検知性能に優れるテープ光電光度法装置,揮発性及び難揮発性化学剤の高感度連続検知・特定が可能な逆流型大気圧化学イオン化質量分析装置,並びに糖鎖を分子認識素子とし生物毒素を特異的に検知するバイオセンサーなどを従来の検知資機材と組み合わせて活用することにより,現場で漏れなく一斉かつ迅速に生物化学剤の検知が可能になると思われる.
著者
樋口 慶郎 井上 亜希子 坪井 知則 本水 昌二
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.253-259, 1999-02-05
参考文献数
15
被引用文献数
4 13

ガス透過分離におけるガス透過の長期間の安定性と高効率化, 更にガス透過効率の長期間の再現性を向上させた, 新しいオンラインガス透過システムを構築した. このシステムでは新しく設計・製作したガス透過ユニットを組み込み, ユニット中を溶液が下方から上方に流れるようにし, 気泡の発生を防ぐ工夫がほどこされ, 更に測定後にガス透過ユニット内に滞留する溶液を排除するために2個の六方切り替えバルブを内蔵させている. ガスの安定的透過のために温度制御できる小型恒温槽を装着した. この装置中にガス透過ユニット, アンモニウムイオン定量用の反応コイルなどを組み入れ, 精密測定の向上を目指した. ガス透過ユニットは, 多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブとガラス管からなり, 接続には樹脂製フェラル及びO-リングを用い, 組み立てを容易にし, デッドボリュームも小さくした. ガス透過ユニット, 反応コイル及び試料注入器などを恒温槽の中で一定温度に保つことにより, 安定した再現性の良い測定が可能となった. ガス透過ユニット内に滞留する溶液を簡単かつ迅速に強制排除する機能も備えており, 測定後はガス透過ユニット中の溶液を除いておくことにより, 多孔質チューブの透過性能が長期間維持され, 再活性化の操作をすることなく, 高いガス透過効率を維持することができた. 本システムを用いると, 検量線は0〜10, 0〜1.0ppmの範囲で良好な直線性を示し, 1時間当たり80試料の分析が可能となった. 実際に, 河川水中のアンモニウムイオンの定量を行ったところ, インドフェノール誘導体/FIA/吸光光度法による定量値と良く一致し, 試料に対する相対標準偏差は0.51, 0.83%で, 回収率は97〜98%と良好であった.