著者
山下 浩 尾川 裕介 前川 尚
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.511-514, 2007 (Released:2007-10-04)
参考文献数
21
被引用文献数
1 4

Spherical porous titania particles were synthesized by a sol-gel process from titanium tetraisopropoxide (TTIP) in a W/O emulsion. These particles were obtained by the addition of diethanolamine (DEA), methanol and colloidal silica particles. The molar ratio of TTIP, DEA, methanol and H2O was 1 : 1.5 : 4 : 20. Spherical titania particles could be synthesized by a stepwise increasing-temperature process. This process was carried out by stepwise emulsification at 30°C for 30 min, at 40°C for 30 min and at 50°C for 2 h. After calcination at 500°C, the SiO2 parts in the particles were extracted by a 3 M NaOH aqueous solution. The specific surface area of the particles was 362 m2 g−1. The peak pore-diameter of the particles was 6 nm.
著者
吉村 長蔵 宮本 清茂
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.371-375, 1977
被引用文献数
1

ジメチルホルムアミド(DMF)中の金属塩化物のEDTAによる伝導度滴定において二,三の塩の添加による変曲点(反応点)の単一化を検討した.EDTAによる伝導度滴定では,置換反応の後にキレート反応が起こり両方の反応点が順次現れる.置換反応ではEDTAのカルボキシル基のプロトンにDMFと金属塩化物との付加陽イオン種が置換する点として4:1,2:1の反応比の点に変曲点が現れ,その後に1:1のキレート反応点を得る.このように種々多くの点が得られ複雑なため,本報では二,三の塩の添加により変曲点を少なくすることを試み,併せて二者共存時のEDTAによる示差滴定を検討した.シュウ酸,硝酸,硝酸リチウム及び過塩素酸アンモニウムを添加すると置換反応点の2:1がマスクされ変曲点を少なくすることができた.
著者
河野 直子 矢野 良子 長島 弘三
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.649-652, 1976

In order to clarify synergistic effect of organic bases in solvent extraction of rare earth metals, the stability of complexes, HPi<SUP>+</SUP>[M(TTA)<SUB>4</SUB>]<SUP>-</SUP>(HPi<SUP>+</SUP>:&gamma;-picolinium cation, TTA : thenoyltrifluoroacetonate anion, M: Y and La) in basic acetone and in basic dichloromethane was studied by PMR spectroscopy. The La-complex dissociated into a tris-complex in acetone as follows:<BR>HPi<SUP>+</SUP>[M(TTA)<SUB>4</SUB>]<SUP>-</SUP>&rarr;M(TTA)<SUB>3</SUB>+ HTTA+ Pi&hellip;(I)<BR>It was the same reaction that had been proposed by the authors for the Y-complex in acetone. In dichlorometane, both complexes were more stable and the reaction (I) could not be observed. With addition of tributylphosphate (TBP) to acetone solution of the La-complex and to dichloromethane solutions of both complexes, the following reaction, also already proposed for the Y-complex in acetone, occured:<BR>HPi<SUP>+</SUP> [M(TTA)<SUB>4</SUB>]<SUP>-</SUP> <I>n</I>TBP<BR>&rarr;M (TTA)<SUB>3</SUB><I>n</I>TBP+HTTA+Pi&hellip;(II)<BR>Effect of metals or solvents on the equilibrium constant of the reaction (II) could be estimated. The La-complex has a larger constant than the Y-complex, and as for each complex, a larger constant was obtained in acetone than in dichloromethane.
著者
茅根 創 山本 将史 朝海 敏昭
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.301-308, 2021
被引用文献数
1

<p>地球温暖化の将来と抑制策の鍵となる,海洋の炭酸系の計測可能な四つのパラメーターpH, <i>p</i>CO<sub>2</sub>, 全炭酸,全アルカリ度の計測技術の現状をまとめた.採水試料を実験室でバッチ計測する技術を,センサーによる現場観測,さらに自律したブイやフロートで自動計測する技術に改良して,点と線の観測から立体・経時観測することが求められる.実用的な計測における最良の精確さは,pH, <i>p</i>CO<sub>2</sub>, 全炭酸,全アルカリ度それぞれ,0.002 pH, 2〜5 μatm, 2〜4 μmol kg<sup>−1</sup>, 2〜3 μmol kg<sup>−1</sup>である.自動計測が実用化されているのはpHと<i>p</i>CO<sub>2</sub>だが,どちらも炭酸系の極微量成分で,同期して変化するため,これら二つから全炭酸と全アルカリ度を計算すると,それらの計算値の不確かさは,実測値の不確かさより大きくなる.精確に炭酸系を決定することができるpHと全アルカリ度の自動計測システムの開発が期待される.どのパラメーターも,試料試薬を添加したり,気体透過膜でCO<sub>2</sub>を液相に抽出したのちに,液相のpHを計測することによって求めることができるので,高圧の深海の海水でも安定的なpH計測技術の開発が鍵である.</p>

1 0 0 0 11油脂

著者
浅原 照三 山下 健二郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.10, no.12, pp.115R-120R, 1961

1959~60年の間の油脂の分析に関する研究発表の概要をここにまとめてみることにする.なお,わが国の油脂全般の研究業績についてはすでにまとめられている.以下便宜的に植物油脂,動物油脂,脂肪酸,ロウ,ステロイド,複合脂質,洗剤およびその他の各項目にわけて記述する.
著者
斎藤 恭一 小島 隆 浅井 志保
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.233-242, 2017

不溶性フェロシアン化コバルト及びチタン酸ナトリウムは,放射性核種を含む汚染水から,それぞれセシウムイオン及びストロンチウムイオンを特異的に捕捉する.これらの無機化合物の沈殿を,放射線グラフト重合法によって市販の6-ナイロン繊維に接ぎ木した高分子鎖内で析出させた.それらの沈殿が多点の静電相互作用に基づいてグラフト鎖に巻き絡まるという担持構造が示唆された.作製された不溶性フェロシアン化コバルトあるいはチタン酸ナトリウム担持繊維は,従来の粒子状吸着材,例えば,ゼオライトやSrTreat(チタン酸ナトリウム担持樹脂)比べて,吸着速度は大きかった.市販の粒子状吸着材と比較して無機化合物重量あたりの吸着容量は大きかった.
著者
河端 俊治 松居 正己 石橋 亨 中村 昌道
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.21, no.10, pp.1326-1332, 1972
被引用文献数
8

食品中の<I>N</I>-ニトロソアミンの分析にガスクロマトグラフィーを応用するために基礎的な分析条件の検討を行なった.熱イオン化検出器のエミッション電極はコイル状の白金-イリジウム合金線に水ガラスを融着したものを用いた.<BR>分離管にポーラスポリマービーズを用いた場合は<I>N</I>-エトロソアミンと妨害成分として考えられるピラジンとその誘導体の分離がわるい.また,保持時間と保持指標をPEG 6000と Versamid 900 の分離管で求めたが,PEG 6000では<I>N</I>-ニトロソアミンの一部が<I>N</I>-ニトラミンに変化する.<BR>キャリヤーガスは窒素ガスよりもヘリウムガスが微量の<I>N</I>-ニトロソアミンの分析によい結果を示した.<BR>食品中の<I>N</I>-ニトロソアミンの分析の応用を,試作したたらこで行なったが,1 ppbのジメチルニトロソアミンの定量ができた.
著者
池羽田 晶文 後藤 剛喜 森澤 勇介 東 昇 尾崎 幸洋
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.19-31, 2011 (Released:2011-02-23)
参考文献数
48
被引用文献数
2 2

120~200 nmの遠紫外(Far Ultraviolet, FUV)領域には分子の外殻電子に関する遷移吸収バンドが観測される.これらは吸収係数が非常に大きいため,これまでは気体や固体表面の反射分光に用途が限られてきた.著者らはこれに対して減衰全反射(Attenuated Total Reflection, ATR)法を利用して液体試料の遠紫外分光が可能な装置を開発した.また,装置の簡便化のために光学系を真空にするのではなく,窒素パージを選択した.これによって液体試料の遠紫外スペクトル測定が容易となり,今まで未知であったスペクトルが次々と明らかになっている.水の第一電子遷移吸収帯もこれによって簡便な測定が可能となったが,その変化は水素結合状態に対して系統的な変化を示すことが明らかになってきた.本論文では水の遠紫外スペクトルの基礎からオンライン分析応用の可能性まで,これまでの成果を幅広く紹介する.
著者
保母 敏行 山田 正昭 鈴木 喬繁 荒木 峻 下山 晃 PONNAMPERUMA Cyril
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.T71-T76, 1981-06-05

アミノ酸光学異性体の同定を信頼性高く行う方法として固定相が互いに光学異性体である2本のカラムを用いる方法について検討した.まず,固定相としてN-ラウロイル-D-バリン-Z-ブチルアミドあるいはN-ラウロイル-L-バリン-t-ブチルアミドをウィスカーウォール型毛管に塗布したカラムを作り,各種アミノ酸の保持指標とその再現性,D体とL体の分離係数などを調べた.更に,両カラムを使い,両固定相の光学活性度決定及び抗生物質グラミシジンJを構成する一部アミノ酸のキラリティー決定を試みた.キラリティーの異なる2本のカラムを使用することの有効性が確かめられた.
著者
宮下 賢 田中 諒 長谷川 丈二 中西 和樹 森岡 和大 曾 湖烈 加藤 俊吾 内山 一美 齊藤 和憲 渋川 雅美 中嶋 秀
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.469-478, 2018-08-05 (Released:2018-09-08)
参考文献数
29

相分離を伴うゾルゲル法を用いてマクロ多孔性のレゾルシノール─ホルムアルデヒドゲルを合成し,これを不活性雰囲気下で焼成してグラファイト化することによりカーボンモノリスを作製した.作製したカーボンモノリスを用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを試作し,金属-EDTA錯体の保持特性を検討したところ,カーボンモノリスカラムは多孔質グラファイトカーボン(PGC)カラムと同様に酸化還元能を有しており,Co(II)-EDTA錯体をCo(III)-EDTA錯体に酸化することが明らかになった.また,カーボンモノリスカラムを還元剤で処理すると,その酸化還元能が変化することも明らかになった.そこで,HPLCの分離選択性の向上を目的として,カーボンモノリスカラムを酸化還元ユニットとして2本のODSカラムの間に設置したオンライン酸化還元化学種変換HPLCシステムを構築し,これを用いてCo錯体を他の金属錯体から選択的に分離できることを示した.さらに,本システムを用いて銅合金中に含まれる微量コバルトを分離定量できることを実証した.
著者
奥田 和明 伊藤 秋男
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.691-696, 1991
被引用文献数
2 1

薄い金属酸化膜試料の膜厚をX線光電子分光法により測定した.試料としてAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>/Al,PbO/Pb,MgO/Mg,SiO<SUB>2</SUB>/Siを用いた.光電子スペクトルは酸化物と金属成分に対応したダブルピーク構造を示す.各々のピーク強度を光電子取り出し角度を変えて測定し角度ごとに膜厚を求めた.又光電子平均自由行程の違いによる影響を見るためX線源としてマグネシウムK<SUB>α</SUB>線及びアルミニウムK<SUB>α</SUB>線を用いた.各X線源に対して得られた膜厚は6%の誤差範囲で一致した.表面粗さが無視できる平滑な試料に対してはあるひとつの光電子取り出し角度(θ)の測定で十分であることが確かめられた.しかし鉛試料の場合膜厚はθとともに系統的に変化しており表面粗さの影響を受けていることが分かった.この様な試料に対しては複数のθについて測定を行い膜厚を決める必要があることが確認された.大気中に長期間放置したAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>/Al及びSiO<SUB>2</SUB>/Si試料の膜厚は各々約33Å,11Åと導出された.
著者
山本 善丈 梅田 政裕 森重 清利 西川 泰治
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.421-425, 1988-08-05 (Released:2010-02-16)
参考文献数
11
被引用文献数
4 4

チオニンの蛍光特性について検討し,その発光機構を明らかにした.チオニンの蛍光はキノイド構造に起因し,同じチアジン環色素であるメチレンブルーの蛍光より強い.この蛍光を利用してチオニン生成反応により,(0.1~2)×10-5mol dm-3(吸光光度法),(0.2~10)×10-7mol dm-3(蛍光法)の硫化物イオンが誤差2%以内で迅速,簡便に定量できることを明らかにした.
著者
永長 幸雄 大谷 幸宏
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.543-546, 1989
被引用文献数
2

水及び有機相に窒素を通じて溶媒抽出操作を行い,その抽出溶液中でCu(II)及びFc(III)を微分パルスポーラログラフィーにより同時定量する方法を検討し,生体標準物質の分析に適用した.電解セルに両金属イオンを含む水溶液を採り,3.0mol dm<SUP>-3</SUP>酢酸ナトリウム溶液2.0cm<SUP>3</SUP>,20%(w/v)トリクロロ酢酸溶液0.5cm<SUP>3</SUP>及び純水を加えて全量を4.0cm<SUP>3</SUP>とする.これに0.05 mol dm<SUP>-3</SUP><I>N</I>-ベンゾイル-<I>N</I>-フェニルヒドロキシルアミンと0.1mol dm<SUP>-3</SUP>過塩素酸テトラブチルアンモニウムを含む1:3酢酸エチル-アセトニトリル混合溶液2.0cm<SUP>3</SUP>を加え,窒素を7分間通じて溶媒抽出と除酸素を行う.分相後,有機相中に三電極を差し込んで微分パルスポーラログラフィーを行うことにより,水相中の0.05~2.0μgcm<SUP>-3</SUP>Cu(II)及びFe(III)が同時定量できた.本法を用いて,NBS生体試料Bovine Liver及びCitrus Leaves,ヒト血清中のCu及びFcを定量しほほ満足できる結果を得た.
著者
上野 幸三 太刀川 哲平
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.554-558, 1962
被引用文献数
1

亜硝酸ナトリウムによりスルファニルアミドを1~6<I>N</I>塩酸酸性溶液中において7組合わせの双金属電極,白金-アンチモン,白金-ニッケル,白金-タングステン,白金-パラジウム,白金-タンタル,白金-モリブデン,白金-銀を用いて電位差滴定を行ない,おのおのの組合わせの滴定曲線および終点における電位変化を求め,さらに,塩酸の濃度のそれらにおよぼす影響につき比較検討した.白金-タングステンおよび白金-パラジウムの組合わせはピーク形滴定曲線を示し,終点において電位は急激に降下した.ほかの5組合わせはS字形を示し,終点において電位は上昇した.1<I>N</I>塩酸酸性溶液中においては終点の急激な電位変化は求められず,塩酸濃度が高くなるにつれて終点における電位変化の大きさ(Δ<I>E</I>/ΔV)は大きくなった.7組合わせを用いて,6<I>N</I>塩酸酸性溶液中において40~170mg/55m<I>l</I>のスルファニルアミドを定量することができる.<BR>白金-タングステンおよび白金-パラジウムの組合わせはピーク形の滴定曲線を示し,終点において急激に電位降下し,一方,ほかの5組合わせはほぼS字形の曲線を示し,終点において急激に電位上昇した.また,7組合わせのうち,白金-モリブデンが終点における電位変化の大きさは小さく,ほかの組合わせはほぼ同じ大きさであった.1<I>N</I>塩酸酸性溶液の場合は明確な終点が求められず,また,塩酸濃度の増加にともない終点における電位変化の大きさは大きくなった.したがって,その濃度は6<I>N</I>がよい.7組合わせを用いた電位差滴定法によりスルファニルアミド40~170mg/55m<I>l</I>を直接定量することができる.さらに,ほかの芳香族第一級アミンたとえばアニワン,<I>p</I>-ニトロアニリン,<I>α</I>-ナフチルアミンなども本法により定量可能と考えられる.
著者
赤城 沙紀 阿部 善也 和泉 亜理沙 平山 愛里 村串 まどか 中井 泉 下山 進
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.519-525, 2019-07-05 (Released:2019-08-03)
参考文献数
26

A portable spectrometer capable of measuring both an ultraviolet-visible absorption (UV-vis) and a fluorescence emission spectrum was developed with the aim of nondestructive onsite analysis of be the cultural heritage and artwork. To demonstrate the availability of the spectrometer, we brought it to Hokusai Museum to carry out the analysis of original drawings by Katsushika Hokusai (1760-1849), a Japanese Ukiyo-e painter and printmaker of the Edo period. His two drawings, “Waves” and “Chrysanthemums”, were investigated by means of the UV-vis/fluorescence spectrometer together with portable instruments of other analytical techniques (X-ray fluorescence spectrometry, X-ray powder diffractometry, and micro Raman spectroscopy), in the nondestructive manner. As the results, UV-vis and fluorescence emission spectra revealed that Hokusai had used several kinds of organic pigments and dyes in these two paintings. Generally, it is difficult to identify these organic painting materials by X-ray analytical techniques. Our analytical results demonstrated that Hokusai had created beautiful and deep colors in drawings by a mixing or a recoating of various pigments and dyes such as indigo, laccaic acid, safflower.
著者
堀江 正一 吉田 栄充 石井 里枝 小林 進 中澤 裕之
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.579-587, 1999-06-05
被引用文献数
20 39

高速液体クロマトグラフ/質量分析計(LC/MS)を用いた缶飲料中のビスフェノールA(BPA)の簡易かつ迅速な定量法を検討した. BPAは構造中にフェノール性の水酸基を有する弱酸性の化合物であることから, イオン化モードにはネガティブモードを採用した. LC条件は, カラムにZorbax XDB-C18 (150×2.1mm,i.d.), 移動相には0.01%酢酸-アセトニトリル(60:40)を用い, 流量は毎分0.2mlとした. 検出にはBPAの擬分子イオン[M-H]^-m/z227を用いた. 試料の前処理法は同相抽出法を採用し, カートリッジには無極性相, 陽イオン交換相及び陰イオン交換相が混合充填されたIsolute Multimodeカートリッジ(500mg)を用いた. 本法におけるコーヒー, 紅茶, 果実飲料などに対する添加回収率は5及び50ppbの添加で85%以上, 検出限界はコーヒー飲料を除き0.5ppbであった.
著者
金 煕江 大歳 恒彦 橋本 芳一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.T23-T25, 1981-03-05 (Released:2010-01-18)
参考文献数
7

大気中のアンモニウム塩を捕集するためにろ紙へのアンモニアの吸脱着を調べた.実験に用いたろ紙は5種類で,ガラス繊維製ろ紙,石英繊維製ろ紙及びポリカーボネート製ろ紙(0.6μm pore)である.石英繊維製ろ紙ではアンモニアの吸着,ガラス繊維製ろ紙ではアンモニウム塩の脱離が見られたが,ポリカーボネート製ろ紙では吸脱着現象が認められなかった.ろ紙へのアンモニアの吸脱着は,ろ紙のpHに大きく関係し,アンモニウム塩の捕集にはポリカーボネート製ろ紙などのような不活性なろ紙を用いるのが適当であると考えられる.
著者
貴船 育英 岩谷 美江 川田 邦明
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.633-637, 1979-11-05 (Released:2010-01-18)
参考文献数
8

環境大気中に存在する数ppb程度のアンモニアの簡易定量法を検討した.採気方法は,ガス捕集面積17.3cm2を有するガラス繊維ろ紙に 3% ホウ酸-20%グリセリンの混合溶液を塗布したもの,又は8.6%シュウ酸-50%グリセリン混合溶液を塗布したものをろ紙ホルダーに装着し,吸引ポンプに直結し,20l/minの流量で吸引して,大気中の微量アンモニアを捕集する.採気の終わった捕集ろ紙は,イオン交換精製水20mlでろ紙よりアンモニアを抽出し,その一定量を分取して,フェノール-次亜塩素酸ナトリウムによって生成する青色のインドフェノールを直接640nmで吸光度を測定し定量する.ホウ酸及びシュウ酸ろ紙ともアンモニアの捕集率は,毎分20 lの通気流量でほぼ 100% の効率を示し,水による捕集ろ紙からのアンモニア抽出も100%の効率で抽出回収された.環境大気中測定可能なアンモニアガスの最小濃度は,インドフェノール法によるアンモニアの検出限界が0.38μg NH3/10mlであることから,ガス捕集面積17.3cm2を有するろ紙を用いた場合,大気を20 l/min,1時間採気で0.84ppbまでの大気中アンモニアの測定が可能である.これは,従来よりのインピンジャー法による1時間の大気の採気では16.7ppbが定量限界であることから,インピンジャー法に比し,ろ紙法では約20倍定量限界値が低くなり,ろ紙面積を更に大きくすればより微量の大気中アンモニアの定量が可能となる.本法では,捕集効率が優れ,捕集及び分析操作が簡便,迅速であり,しかも高感度で,その変動率も5.3%の分析精度であった.又,試料の運搬を容易とし,かつ長期間保存しても,試料の損失は認められなかった.
著者
板東 敬子 五十嵐 順悦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.73-79, 2017-02-05 (Released:2017-03-22)
参考文献数
10

有機化合物中の硫黄及びハロゲン(フッ素,塩素,臭素及びヨウ素)分析において,あらかじめ燃焼装置内で硫黄及びハロゲンを含む有機化合物を燃焼分解し,ガス化された硫黄酸化物及びハロゲン化物を吸収液に通じて捕集して溶解・回収したのち,これをイオンクロマトグラフで定量する自動分析装置が開発されている.硫黄が共存する化合物中の臭素及びヨウ素の分析値については,異常値が得られることがこれまでに度々指摘されてきた.当該装置に著者らが開発した流通装置を接続して検討を行ったところ,許容誤差範囲内(計算値±0.3% 以内)の良好な分析値が得られることが判明し,5元素同時分析法を開発できたので報告する.