著者
石井 幹太 山田 正昭 鈴木 繁喬
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.373-378, 1986-04-05
被引用文献数
17 17

化学発光法を利用する銅(II)のサブピコグラムレベルの超微量分析法を確立した.化学発光系には銅(II)に極めて特異性の高い1,10-フェナントロリン-過酸化水素-水酸化ナトリウム-ヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムブロミドミセル系を選び,フローインジェクション系に組み込んだ.化学発光反応は陽イオン界面活性剤ミセル溶液中で著しく促進される.応答は20μl注入の場合8.0×10^<-14>〜2.0×10^<-9>g,キャリヤー液として連続的に試料を流す場合(導入速度5.0ml min^<-1>)1.6×10^<-13>〜1.0×10^<-9>Mの間で直線を示した.選択性は極めて高く,銅(II)の次に最も大きな化学発光応答を与えるのは鉛(II)であるが,銅(II)に対する相対モル応答は約3/10000で無視できるほど小さい.他成分の干渉も無視できた.繰り返し精度は良く,4.0×10^<-10>M銅(II)溶液連続10回注入の相対標準偏差は1.7%であった.試料処理速度は毎時180試料であった.
著者
高橋 富樹 大越 純雄 神力 就子 佐藤 俊夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.104-107, 1984-02-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
6

重水素濃度5%以下の水素試料中のD2含量は実際上無視できる濃度であるので,D2とHDを分離する必要はない.そこで,常温下モレキュラシーブ13Xカラム(キャリヤーガス:水素)に試料ガスを通すことで,素通りするHDのみを迅速定量する方法を考案した.これによれば,窒素,酸素とも完全に分離され,又,試料ガス中の微量不純物,水蒸気,二酸化炭素の吸着によるモレキュラシーブの劣化にも影響されない.検出限界は0.01%であった.重水素濃度5%以上の試料については,水素をキャリヤーガス(流速:300ml/min)として,-195℃下活性アルミナカラムで,約1分以内でHDとD2を分離定量する方法を確立した.
著者
鈴木 啓介 後藤 真康 柏 司
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.187-191, 1968
被引用文献数
1

米粒にメチルパラチオン, スミチオンを1 : 1の割合で, 0.1, 0.5, 1.0, 2.0, 10ppmになるように添加し, メチルパラチオンをスミチオンから分離し, 定量する試験を行なった.ガラスフィルターを用い, 米粒からメチルパラチオンをエーテルで溶出, アルミナカラムで精製し, 濃縮したのち, 電子捕獲ガスクロマトグラフィーで分離定量した.カラム充てん剤, 10%高真空グリース (HVSG) /クロモソープW (40~60メッシュ);ガラスカラム, 外径1/8インチ, 長さ5フィート;分離管温度, 180℃;キャリヤーガス, 窒素;流速, 20m<I>l</I>/min, 本法の回収率は0.1~10ppmの範囲で70~101%でかなり良好な結果が得られた.
著者
奈良 明雄 大江 直子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.13, no.9, pp.847-852, 1964
被引用文献数
3

フラスコ燃焼法による有機元素分析法の一環として,有機化合物中のイオウの微量定量法を試みた.<BR>試料を焼却後生じる硫酸イオンを,導電率法により定量を行なう目的で滴定試薬の選択,被滴定液の液性,これに加えるイソプロピルアルコールの濃度,および滴定限界について検討した.最適条件は酢酸バリウムを滴定液とし,イソプロピルアルコールの濃度40~50%,液性pH6~7であった.<BR>また,試料中にごく一般に含まれる可能性のある二,三のイオンが共存する場合について実験し,妨害イオンであるCa<SUP>2+</SUP>,PO<SUB>4</SUB><SUP>3-</SUP>の除去方法について検討した.ハロゲンイオン,Na<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>は妨害しない.滴定操作は自動滴定装置を用いて時間を短縮し,分析に要する時間は約20分である.
著者
守安 正恭 市丸 百代 西山 由美 加藤 篤
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.659-665, 1993-11-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
10
被引用文献数
6 11

過塩素酸ナトリウムをイオン対試薬としイオン対抽出法とイオン対HPLCを結合して植物からアルカロイド(植物塩基)を迅速に取得する方法を開発した.四級アルカロイドは過塩素酸イオンとイオン対を生成し,酸性条件下1,2-ジクロロエタンで定量的に抽出される.又,三級アルカロイドも定量的に抽出される場合が多いが,抽出率が低い場合もある.得られた塩基の粗過塩素酸塩分画は過塩素酸ナトリウムをイオン対試薬とするHPLCで良好に分離でき,この系は分取への応用が容易である.すなわち分取HPLC後,各ピークのフラクションから有機溶媒を留去し,残りの水相を1,2-ジクロロエタンで振り混ぜるとアルカロイドが抽出され,1,2-ジクロロエタンを留去すると純粋なアルカロイドの過塩素酸塩が得られた.ボウイ,エンゴサク,ナンテンジツの3種の生薬に対してこの方法を適用したところ,いずれの場合もアルカロイドが定量的に抽出されHPLC分離も良好であった.又ボウイについては分取HPLCも行い,シノメニン,マグノフロリンを迅速に取得できた.
著者
高木 友雄 柳田 勇
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.29-33, 1960-01-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

強リン酸-ヨウ素酸分解法による窒素定量は従来水溶性無機物および普通の有機物について発表されたが,カルシウムシアナミドのように不純物としてアセチレンガスを発生する物質については従来の方法では測定できない.よって別個の操作法を研究した.すなわち試料を一定量の強リン酸と予備加熱して溶解し,試料より発生する不純物ガスと強リン酸中の空気を追放し,冷後ヨウ素酸カリウムを加えて加熱測定する.別に一定量の強リン酸をとり,これにヨウ素酸カリウムを加えて加熱し,強リン酸中にブランクとして含まれるアンモニァを炭酸ガスブランクとともに測定して差し引くこととした.ケルダール法で数時間を要するが本法では操作時間25分以内である.測定平均値はケルダール法にほとんど一致する.
著者
辻 治雄 日下 譲
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.17, no.7, pp.864-870, 1968-07-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

14MeV中性子放射化法による花こう岩,粘土およびセメント試料中のケイ素およびアルミニウムの迅速非破壊分析を試みた.T-d反応により得られる速中性子により,3グラム量の試料を3分間照射後,ケイ素は28Alの,そしてアルミニウムは27Mgの光電ピークをシングルチャンネル波高分析器またはマルチチャンネル波高分析器で測定した.試料と同時に中性子照射した中性子モニター(石英ガラス)の放射能強度により,中性子束による測定値の変動を補正したのち,検量線法により定量を行なった.また共存元素,特にアルミニウムの定量を妨害する鉄の影響の除去法についても検討した.本法により,ケイ酸塩試料中のケイ素を約10分以内,そしてアルミニウムを約30分以内に定量することができ,その定量誤差は,ケイ素は約2%,アルミニウムは約4%であった.
著者
福田 直通 米光 美知子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.79-82, 2005 (Released:2005-04-08)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2

Berberine and palmatine are isoquinoline alkaloids contained in “oubaku”, Phellodendri Cortex, and their structures are similar. The Rf values of TLC and the retention times (HPLC) of these compounds are close. Their complete separation is difficult; a small quantity of palmatine chloride exists even in a commercial berberine chloride. Some crystals exist in the Student practice, from gel-type crystals (small needles) to big needles according to the volume of water. These phenomena suggest that a possibility exist to purify berberine chloride only by recrystallization. We recrystallized 3 times crude berberine (10 g, gained from the Student practice) from 140 ml of water per 1 g, and separated pure needles (neally 100%, 2.31 g) which were checked with HPLC.
著者
田村 文造
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.193-205, 1967-03-05 (Released:2010-02-16)
参考文献数
3
被引用文献数
1 2

従来終点が不明りょうなため水溶液中の滴定が困難であった物質を精度よく定量するために,吸光度比法を開発した.酸塩基滴定の場合,酸性色とアルカリ性色のスペクトルが著しく異なる,適当なpH指示薬を選び,それぞれの吸収極大の吸光度をAλ1,Aλ2とすると,吸光度比r=Aλ2/(Aλ1+Aλ2)は当量点付近のpHのわずかな変化に対応して大きく変化する.あらかじめ,中和度の逆数xとrとの検量線を作成しておけば,容易に正確な当量点を決定することができる.この方法によれば,一般に,ビュレットは不必要となり,全量ピペットで一度に標準液を加えることができ,精度も向上する.有機酸アルカリ塩の定量に適用した場合,従来法に比べ変動係数は0.2%から0.07%に減り,定量所要時間も1/6となった.この吸光度比法を公定書の原薬,試薬の定量に適した方法として提出する.
著者
今井 佐金吾
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.27, no.10, pp.611-615, 1978 (Released:2010-02-16)
参考文献数
11
被引用文献数
3 4

有機物試料を低温灰化する際に,これに含まれる元素群の揮発損失について放射化分析法により検討した.メンブラン・フィルター又は天然セルロースろ紙上に 25種の元素を各々100μgずつ個別に添加し,更に灰分増量剤及び共存物質として硝酸マグネシウム又は塩化鉄(III)を2mg添加した試料, 更に高揮発性の塩化アンモニウム,又は低揮発性の塩化カドミムを 0.1 mmol程度共存させた試料を調製した.これらの試料はすべて2試料1組として調製し,その一つを低温灰化し,もう一方は対照用試料として,それぞれ中性子放射化分析した.その結果,硝酸マグネシウムを灰分増量剤とした場合にヒ素(III),セレン(IV),セレン(VI)が74%から89%の間の回収量を示し,又,塩化鉄(III)を灰分増量剤とした場合,又は,これに塩化カリウムを共存させた場合,ヒ素(III),ヒ素(V),カルシウム,セレン(IV),セレン(VI)が55%から94%であった.この他の元素群については95%以上の回収率が得られた.塩化鉄(III)に塩化アンモニウムが共存する場合は,一般に回収率が若干低下する傾向が認められた.炭素微粉末を主成分とし,比較的多量の鉄を含む大気浮遊じんの灰化を想定して,これに類似の系として塩化鉄(III)に黒鉛粉末を共存させた試料では塩化鉄(III)のみの場合と,その回収率に有意な差は認められなかった.
著者
河島 達郎 山本 俊夫 甲田 善生
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.T10-T15, 1982-01-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

海洋生物試料の乾式灰化に伴う揮発損失を,放射化分析法を用い34元素について検討した.試料には褐藻類のアラメ及びヨレモク,顕花植物のアマモ,海産魚のニボシ,被子植物のハマユウの葉を用いた.これらの乾燥試料は凍結粉砕装置で粉末にした.低温灰化は100℃で,高温灰化は500℃で行った.乾燥試料と灰化試料は同時に原子炉の熱中性子によって放射化分析し,それぞれの元素の回収率を求めた.その結果,高温灰化による損失の大きい元素は,塩素,ヒ素,セレン,臭素,ヨウ素,金及び水銀などであった.又低温灰化はヒ素とセレンの損失を減少させるのに著しく有効であった.この中でハロゲンの揮発損失は,試料の種別によりかなり異なり,一律の損失は示さなかった.
著者
佐藤 浩昭 中村 清香
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.281-291, 2018-05-05 (Released:2018-06-07)
参考文献数
14
被引用文献数
4

MALDI-TOF-MSは高分子材料の化学構造解析に有力な手法であるが,ポリエチレンオキシド(PEO)系界面活性剤などのイオン化効率が高い成分が共存していると目的成分のピークが観測されにくくなるという課題があった.そこで水に難溶のトリヒドロキシアセトフェノンをマトリックスに用いて試料/マトリックス混合結晶を調製し,その上に水/メタノール混合液を滴下して速やかに吸引することにより,PEO系成分を選択的に除去できる簡便な前処理法を開発した.この方法を洗髪剤の成分分析に応用し,妨害成分であるPEO系アニオン性界面活性剤(ラウレス硫酸ナトリウム)を除去して,配合成分のピークが観測できるようになった.得られたマススペクトルをKendrick mass defect(KMD)プロットに変換して成分分布を二次元展開したところ,様々なPEO系非イオン性界面活性剤の組成分布やPEO-水添ヒマシ油の共重合組成分布を明らかにすることができた.また,紫外線硬化塗料に含まれるPEO系界面活性剤を除去して,ウレタンアクリル系成分の化学構造情報を得ることができた.本法は,工業製品の配合情報を簡便かつ詳細に得ることができるスクリーニング手法として有効であると思われる.
著者
宮本 和英 砂川 真弓 齋藤 一樹
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.393-402, 2017-06-05 (Released:2017-07-12)
参考文献数
44

生体内のユビキチン化反応は,不要なタンパク質の分解,DNA修復,シグナル伝達など多くの機能を担っている.そのユビキチン化反応を構成しているE2(ユビキチン結合酵素)は,白血病,乳がん,大腸がん等,様々ながん疾患と深く関与していることが知られている.将来的に,E2活性を高感度・定量的に捉えることができれば,E2をバイオマーカとして活用できるはずである.これまでに著者らは,簡便にE2活性を検出するために,人工的なユビキチンリガーゼ(ARF)を分子設計・作製し,そのARFを活用する新しい検出システムを独自に研究してきた.ARFは,ユビキチン化反応に含まれるE3(ユビキチンリガーゼ)の活性部位(α-ヘリックス領域)を50残基程度のペプチドに移植して作製されるキメラ分子である.E3の活性部位のみを持つARFは,元のE3の分子サイズに比べ極めて小さくなっている.この分子設計法をα-ヘリックス領域置換法と名付けた.ARFは特異的なE2結合能を有し,また,それ自身が基質となってユビキチン化される機能を有する.したがって,ARFを用いることで,基質の同定を必要とせずに,E2活性を簡便に検出できる.本稿では,このARFの分子設計法,及びその立体構造,機能的な特徴について概説する.また,実践例として,抗がん剤ボルテゾミブを作用させたヒト急性前骨髄性白血病(NB4)において,ARFの検出システムを活用するE2活性の検出法についても紹介する.
著者
今坂 藤太郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.3-30, 2001-01-05 (Released:2008-12-12)
参考文献数
98
被引用文献数
3 4

超音速分子ジェット分光法は, 試料分子を気体状態で絶対零度付近に冷却して測定する方法である. 試料分子を冷却することにより, 鋭い構造の励起スペクトル, あるいは多光子イオン化スペクトルが得られる. 更に, 蛍光スペクトルあるいは光イオン化質量スペクトルを測定して, 試料分子を同定することもできる. したがって, スペクトル選択性が極めて高い. 必要な場合には, シンクロナススキャンルミネッセンス分光法や, クロマトグラフなどの分離手段と結合することにより, 更に選択性を向上させることも可能である. 一方, この手法は原理的には単一分子を検出できる分析感度を有している. したがって, 本法は極限の選択性と感度を同時に持っている. 最近, ダイオキシンを超微量分析するための手法が強く要望されているが, 超音速分子ジェット法は, そのための有力な分析法として注目されている. しかし, ダイオキシンは毒性の異なる多数の分子種の集まりであり, それらを区別して測定することが必要である. また, これらの化合物は極めて毒性が高く, 極微量分析も同時に要求される. 現在, ダイオキシン分析に適用できる超音速分子ジェット分光法の技術開発が進められており, ここではその現状についても言及する.
著者
山田 悦 沖田 秀之 山田 武 平野 宗克 成田 貞夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.419-422, 2000 (Released:2001-06-29)
参考文献数
18

銀はイオン状態のとき,大腸菌や細菌等を10μgl-1(10ppb)という極微量濃度で死滅させる効果があるため,プールや温泉では塩素系薬剤に代わって利用を拡大しつつあり,また銀系抗菌製品も開発されてきている。日本ではまだ銀の法規制はないが,適正な濃度での使用が必須であり,定量下限数ppbの銀の高感度簡易定量法が求められている。本研究では,ペルオキソ二硫酸カリウムによるMn(II)→Mn(VII)の酸化における銀の触媒作用を利用した高感度定量法を開発し,水道水,井戸水及び温泉水などの銀イオンの測定に適用した。本法の定量限界は1ppbと高感度で,銀80ng,5回測定の相対標準偏差が0.9%と再現性も良く,共存イオンの影響もなく銀の迅速で簡易な定量として有効な方法であることが明らかとなった。また,簡易法(目視)でも標準色表との比較により2ppbまでの分析が可能である。
著者
神森 大彦 山口 直治 佐藤 公隆
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.16, no.10, pp.1050-1055, 1967 (Released:2010-02-16)
参考文献数
19
被引用文献数
8 16

赤外線分光分析法を鋼中析出物介在物分析,腐食生成物あるいは鋼板表面処理などの研究に応用するため,さしあたりアルミニウム,カルシウム,セリウム,コバルト,クロム,銅,鉄,マグネシウム,マンガン,ニッケル,鉛,スカンジウム,ケイ素,スズ,チタン,バナジウム,イットリウム,亜鉛およびジルコニウムの酸化物あわせて25種の赤外吸収スペクトルを検討し,主としてこれらのスペクトルの傾向と結晶構造との関連性について考察した.方法として臭化カリウム錠剤法とNujol paste法を併用し,測定は1400~400cm-1(約7~25μ)の範囲で行なった.また一部の酸化物については400~60cm-1(25~約167μ)の遠赤外部のスペクトルについても検討した.その結果,これらの酸化物はそれぞれ測定領域内で特長ある吸収を示し,ベルトリド化合物,スピネル型化合物などのグループにより結晶構造と関連づけるとスペクトルをある程度系統的に分類できることがわかり,さらに今後の定性的かつ定量的応用研究への見通しを得た.
著者
相沢 省一 角田 欣一 赤塚 昌義 井上 定夫 赤岩 英夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.865-871, 1994-11-05 (Released:2009-05-29)
参考文献数
18
被引用文献数
2 4

河川に生息するトビケラの幼虫に含まれる重金属元素をAASで定量し,重金属汚染環境指標生物としての同水生昆虫の評価を行う目的で,試料分解法をはじめ個体間の元素含量差,体長と元素含量との関係,季節による元素含量の変動等を検討した.確立した分析法により北関東地方数河川に生息するトビケラ幼虫中の重金属元素を定量した結果,上流域に廃鉱山を持つ渡良瀬川や桐生川では他の河川に比較して銅やマンガン等がトビケラ幼虫に多量に含まれており,同昆虫が重金属汚染環境指標生物として有用であることが明らかとなった.
著者
影島 一己 武井 尊也 杉谷 嘉則
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.237-243, 2006-04-05
参考文献数
18

高周波分光法を用いてエマルションの安定性評価を試みた.油/水(O/W)型エマルションに対する測定結果から,かくはん速度や保存温度が共振周波数の経時的な変化に影響を与えることが分かった.また共振周波数の高周波側へのシフトの挙動は,光学顕微鏡を用いた粒子径観察の結果とよい相関を示し,本法がエマルションの分離進行によって生じるクリーミングを鋭敏に検出していることが明らかになった.一方,W/O型エマルションや市販のエマルション製品に対する測定においても経時にともなう共振周波数の変化が観測された.このことから本法はO/W型エマルションだけではなく,W/O型エマルションや多成分系エマルションの安定性評価においても適用可能であることが明らかになった.

1 0 0 0 OA 放射化分析

著者
岡 好良
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.16, no.12, pp.1381-1394, 1967-12-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
46
被引用文献数
1 3