著者
松井 誠一 冨重 信一 塚原 博
出版者
九州大學農學部
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.229-234, 1986 (Released:2011-12-19)
著者
小笠原 博毅
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.35-50, 2016-03-25 (Released:2017-03-24)

イギリスのカルチュラル・スタディーズはどのようにサッカーというポピュラー文化に着目し、それを真剣に研究の対象やテーマにしていったのか。サッカーのカルチュラル・スタディーズがイギリスで出現してくる背景や文脈はどのようなものだったか。そして、現在のカルチュラル・スタディーズはどのようなモードでサッカーを批判的に理解しようとしているのか。本論はこのような問いに答えていきながら、過去50年に近いサッカーの現代史とカルチュラル・スタディーズの関係を系譜的に振り返り、その概観を示すことで、これからサッカーのカルチュラル・スタディーズに取り組もうとする人たちにとって、サッカーとカルチュラル・スタディーズとの基礎的な相関図を提供する。 その余暇としての歴史はさておき、現代サッカーの社会学的研究は、サッカーのプレーそのものではなくサッカーに関わる群衆の社会学として、「逸脱」と「モラル・パニック」をテーマに始まった。 地域に密着した男性労働者階級の文化として再発見されたサッカーは、同時に「フーリガン」言説に顕著なように犯罪学的な視座にさらされてもいた。しかし80年代に入ると、ファンダムへの着目とともにサッカーを表現文化として捉える若い研究者が目立ち始める。それはサッカーが現代的な意味でグローバル化していく過程と同時進行であり、日本のサッカーやJ リーグの創設もその文脈の内部で捉えられなければならない。 それは世界のサッカーの負の「常識」であり、カルチュラル・スタディーズの大きなテーマの一つでもある人種差別とも無縁ではないということである。サッカーという、するものも見るものも魅了し、ポピュラー文化的快楽の豊富な源泉であるこのジャンルは、同時に不愉快で不都合な出来事で満ちている。常に変容過程にあるサッカーを、その都度新たな語彙を紡ぎながら語るチャンネルを模索し続けることが、サッカーのカルチュラル・スタディーズに求められている。
著者
吉原 博幸
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.767-778, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
参考文献数
8

EHR(Electronic Health Record)の始まりは1995年の医療情報共通規格(MML: Medical Markup Language)の検討開始にさかのぼることができる。2001年に,MMLをデータベース構造としたEHRが開発され,熊本,宮崎,東京,京都へ拡大していった(Dolphin Project)。その後,国家レベルでの医療情報管理の必要性が認識され,医療情報の2次利用のニーズとも相まって,2015年にDolphin Projectの国レベル版である「千年カルテプロジェクト」が始まった。2018年度までの4年間で接続病院を十分に増やし,2019年度から始まる医療情報の2次利用に備える。2次利用の収益による補助金に依存しないEHR部門も含めた独立採算を目指している。
著者
西原 博史
出版者
早稲田大学社会科学学会
雑誌
早稲田社会科学総合研究 (ISSN:13457640)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.65-75, 2013-07-25
著者
原 博
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-42, 2002 (Released:2010-06-28)
参考文献数
32
被引用文献数
3

短鎖脂肪酸は, 大腸で作られる, 食物繊維や難消化性オリゴ糖からの発酵産物である.この発酵を行うのは, 腸内細菌叢と言われる大腸内に常在する膨大な数の微生物である.産生された短鎖脂肪酸は, 大腸で容易に吸収され, 肝臓や筋肉で代謝されてエネルギー源となる.短鎖脂肪酸の一種である酪酸は, 大腸粘膜でよく資化される, 大腸粘膜細胞の必須栄養素である.酪酸の欠乏は大腸の機能不全に繋がり, このような意味で酪酸は人の健康に不可欠なものと言える.短鎖脂肪酸は, エネルギー源としてだけではなく, 健康を維持する多くの生理作用を有している.すなわち, 水や, 欠乏しやすいミネラルであるカルシウムやマグネシウム, 鉄の吸収を促進し, 肝臓ではコレステロール合成を抑制, さらには, 大腸がんの発症を抑制する.酪酸は, 大腸の変異細胞にアポトーシスなどを起こさせ除去する.これらの短鎖脂肪酸がどのように作用するかは, ほとんど分かっていない.短鎖脂肪酸の研究は, 大腸発酵, ひいてはプレバイオティクスの生理的意味を解明するものである.
著者
篠原 博
出版者
宝塚医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

先行研究ではアーチェリー動作中に生じる「腕のふるえ」はパフォーマンス低下や肩甲骨の安定性を減弱させる要因と指摘している。この「ふるえ」は障害の原因にもなると考えられるため、軽減させる必要がある。我々は表面筋電計および加速度計を使用し、「腕のふるえ」のパワーを解析することや、筋活動を周波数解析することで「腕のふるえ」を引き起こす原因を解明することに取り組んだ。腕のふるえと相関関係を示す筋の活動を分析し、またその筋に対するトレーニング方法を考案した。そのトレーニングを実施した際にどの程度「腕のふるえ」が軽減するのかを検証し、実際に軽減することを確認した。
著者
野口 照久 原 博
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.19-23, 1996-01-01
著者
須合 俊貴 藤原 博伸 大河内 博 内山 竜之介 中野 孝教 鴨川 仁 荒井 豊明
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.101-115, 2020-05-13 (Released:2020-05-10)
参考文献数
51

大気汚染物質が都市型豪雨生成に及ぼす影響の解明を目的として、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)で降水の時系列採取を行った。さらに、都内および周辺地域の大気観測値を用いて地理情報システムによる都市型豪雨直前の大気汚染物質の空間解析を行った。2012年から2019年までの都市型豪雨の体積加重平均pHは4.41 (n=16) であり、その他の降雨より低かった。総主要無機イオン濃度は都市型豪雨と通常降雨で同程度であるが、都市型豪雨では酸性物質由来成分が高い割合を占めた (62.3%)。都市型豪雨中酸性物質由来成分は台風性豪雨に比べて緩やかな濃度減少を示し、継続的に雲内洗浄されている可能性が示唆された。一方、都市型豪雨によるH+沈着量、NO3-沈着量、SO42-沈着量は通常降雨のそれぞれ31、20、15倍であり、短時間に大量の酸性物質を地上に負荷していた。雨雲レーダー画像解析から、都市型豪雨には都心部で発達するパターン(直上パターン、東パターン)と、西部山間部から雨雲が輸送され、都心上空で発達するパターン(北西パターン)があることがわかった。都市型豪雨発生直前には発生地点付近でPM2.5高濃度域が形成されるが、豪雨発生前に消失していた。このことから、大気汚染物質が豪雨発生地点へ輸送・集積し、上空へ輸送されて積乱雲の形成および発達に関与していることが示唆された。
著者
高久 英徳 五十嵐 康博 清原 博光 大山 和幸 黒澤 篤 齋藤 真里子 宮根 和弘 平松 美裕子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.125-130, 2007-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9
被引用文献数
1

北海道の一養豚場の豚が2002年および2003年に市販の豚コレラELISAキットで抗体陽性と判定されたが, 病性鑑定の結果から豚コレラの発生は否定的と考えられた. ELISAで抗体陽性と判定された豚はすべて豚コレラワクチン未接種であったので, 豚コレラウイルス (CSFV) と同じペスチウイルス属の牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV), ボーダー病ウイルス (BDV) を指示ウイルスに交差中和試験を行い, 当該豚に感染したペスチウイルスの特定を行った. その結果, BVDV NOSE株に対する抗体価がCSFVに対するそれよりも著しく高かった. これらの成績と豚と牛が過去に間接的に接触する機会があったという疫学調査の結果から, ELISAで抗体陽性と判定された豚は過去にBVDVに感染したものと考えられる. 本成績から, 豚コレラの診断においては豚へのBVDVおよびBDV感染も考慮する必要があることが示された.
著者
今関 源成 戸波 江二 西原 博史 石川 健治 毛利 透 小山 剛 戸波 江二 岡田 信弘 市川 正人 西原 博史 石川 健治 小山 剛 江島 晶子 高見 勝利 宍戸 常寿
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

2008年3月, 台湾の憲法・行政法研究者10名を迎え、東京(早稲田大学)で「議院内閣制と大統領制」および「実効的人権保障とその問題点」をテーマとして、第3回共同研究シンポジウムを開催した。2009年3月, 日本の憲法研究者8名が台湾に赴き、台北(台湾大学)で、「公法典範的継受與轉型」をテーマとして、第4回共同研究シンポジウムを開催した。これまでの成果をまとめた論文集の刊行に向けて, 鋭意努力中である。
著者
橋本 宇一 木原 博 安藤 良夫
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会誌 (ISSN:00214787)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.357-363, 1964-04-25 (Released:2011-08-05)

The first nuclear power station in Japan (Advanced Calder Hall type, 166 MW electric) is now under construction at Tokaimura.Construction of several new nuclear power stations will begin within a few years and also building project of the first nuclear powered ship (6500 G.T.) has been started in 1963.Al-killed steel plates 8094 mm thick were manually welded for Tokai reactor pressure vessel and its steam raising units were constructed with 5474 mm thick boiler plates using both submerged arc and manual welding. JPDR is a small BWR (12.5 MW electric), and the inner surface of its pressure vessel was stainless steel cladded by submerged arc process.Researches on the welding of the nuclear reactor have been extensively carried out by Japan Welding Engineering Society and also each industrial plant is doing its own researches. The study on the effect of irradiation on the properties of materials has been just started.
著者
野中 健一 柳原 博之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100168, 2017 (Released:2017-05-03)

I はじめに 岐阜県東濃地域の伝統的な地域文化資源利用の一つにクロスズメバチ(当地の方言で「ヘボ」)食文化がある.当地域のヘボ食文化は,秋に野山で巣を採取し(ヘボ追い),巣中の幼虫やサナギ(蜂の子)を蜂の子飯(ヘボ飯)やゴヘイモチなどで賞味するだけでなく,夏のうちにまだ小さな巣を採取して自家で飼育することもあり,一堂に会して巣箱を開き育てた巣の大きさを競うイベントも開催されている.このような慣行を持続的に発展させようと1990年代に各地で愛好会が設立され,さらにそれらが集まった全国地蜂連合会が組織されて現在に至っている. この慣行を続けていくためには,次世代の者たちが継承していく必要があるが,現在の主な担い手の次世代以降にはそれに興味関心を持つ者が少なく,その存続が危惧されている.そこで,地域資源を生かすことをテーマとして,知識・技術の継承に高校生がかかわることにより,その活動の活性化と次世代の興味を高めるための方策を講ずることが可能になるであろうと,岐阜県立恵那農業高校(恵那市に所在)でクラブ(HEBO倶楽部)が2016年に設立された. 本発表は,高校生の関心からクラブ設立への動きと部員の活動経験を明らかにし,地域文化資源を活用した課題解決型学習の成果とその実践が地域にもたらす効果を検討する.   Ⅱ クラブ活動実践 (1)クラブ設立 2015年度にヘボ食文化に関心をもって課題学習に取り組んだ一生徒が恵那市串原や全国地蜂連合会の活動に参加しながら地域との連携関係を形成できた.そこで,地域で重要でありながら失われつつある地域文化資源を特産品として活用した地域の活性化を目的に,2016年度より高校の正式なクラブ活動としてHEBO倶楽部が設立され,柳原が顧問に就き,初年度は3年生4名,2年生5名が参加した. (2)ヘボ食文化の実地体験 串原・中津川市付知町の愛好会および全国地蜂連合会会員の協力・指導により,ヘボ追いを構成する餌付け・餌持たせ・追跡・巣掘り出し,飼育,蜂の子の巣盤からの抜き取り(ヘボ抜き)に至る全工程を体験し習得に努めた.全部員初めての経験であったが,指導を受けて実践できるようになった.そしてヘボ食文化のおもしろさを実感し,将来に残す必要性があることを強く感じた. 食用に関しては,地域の味付けで食品製造販売を行う串原田舎じまんの会からヘボの甘露煮,ヘボ飯の作成方法を習い,基本的な調理法を理解した. さらにイベントを通じて,各地のヘボ飯などの食べ比べを行い,ヘボの成虫を入れる量,醤油の量,薬味の有無など調理方法に地域差のあることを学んだ. (3)地域文化情報の発信と地域との協働 生徒は,さまざまな体験・活動で得た知識と経験を生かして情報発信を行った.東京大学癒やしの森研究所へ地蜂連合会会員らとヘボ生態調査・駆除に出向いた折には,同大の実習授業の受講生らに,自分たちが学んできたヘボ追い,ヘボ抜き,調理方法を伝授した.また,小学生を対象にしたヘボ抜き体験,ヘボに関する企画展の実施等を行い,他地域や異世代への情報発信を行った. 秋期の串原や付知町でのヘボの巣コンテストではスタッフとして協力した.担い手が減少する中で若い世代の参加は運営の補助のみならず,参加者らに活力を与える上でも効果的であった. 学校祭や地域イベントでは,生徒は,ヘボ追いをはじめ自然と親しむ・自然資源を活用する魅力をテーマとした発表を行い,あわせて来場者に対してアンケート調査・分析を実施し,活動をとおして同世代の高校生への知識・技術の継承と,地域への普及を目指して活動した.また,ヘボの知識だけではなく交流をとおして地域理解を深めると共に世代を超えたコミュニケーションを実施した.これらの成果により導き出された地域活性化の提案は「田舎力甲子園2016地域活性化策コンテスト」で最優秀賞を受賞し,ヘボ食文化の意義と可能性を全国に向けて知らしめることができた.   Ⅲ まとめと今後の課題 今回の実践において,高校生が親世代からは学べない地域の文化を学び,その大切さに気づき,主体的な学習の向上と社会実践の意識,外部社会とのコミュニケーション力向上がみられた。いっぽう,愛好家の方々には,高校生の参加により自己の趣味から「文化の継承」という目標が生まれ,組織的で意欲的な活動になったと思われる.地域文化の知識・技術の継承やその食文化の保存に若い世代の参加は大きな影響を与えることがわかった. 生徒のアンケート調査により当地では中年世代よりも若い世代の方がヘボ食に興味関心をもっているが明らかになったことから,この世代をターゲットにして新たな展開をすることが地域文化の継承に重要だと考えられる.
著者
榊原 博樹 廣瀬 邦彦 松下 兼弘 中村 慎吾 佐藤 元彦 加古 恵子 末次 勸
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.395-402, 1995-04-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

気管支喘息患者10名にエイコサペンタエン酸エチルエステル (EPA-E) 製剤 (MND-21) を1日2.7g, 12週間投与した. この間, 喘息症状, 血清の脂肪酸濃度, および calcium ionophore A23187で刺激された白血球のロイコトリエン (LT) 産生能を測定した. コントロールとして, EPA-Eを内服していない39名の気管支喘息患者から得られた白血球を使用した. LT産生量は逆相高速液体クロマトグラフィーにより測定した. EPA-Eの内服で血清中のEPA濃度は3.3倍に増加した. EPA-E内服4週間後の白血球のLTC4およびLTB4産生量 (それぞれ53.5±23.3ng/107cellsと24.9±12.4ng/ao7cells) はコントロール (それぞれ124.4±91.6ng/107cellsと58.3±34.8ng/107cells) と比べて有意に減少した. 4週間のEPA-E内服で有意なLTC5, およびLTB5の産生が認められたが僅かであった (それぞれ6.5±1.9ng/107cellsと4.6±2.7ng/107cells). 臨床症状の改善はEPA-E投与2ヵ月後に認められたが, その効果は一時的であった.