著者
下澤 達雄 穆 勝宇 藤田 敏郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.250-254, 2012-04-01 (Released:2013-04-01)
参考文献数
12

塩分摂取により高血圧が発症するメカニズムには遺伝的背景,ホルモン環境,腎機能などが関与することが知られていたが,最近,β2アドレナリン受容体刺激を介してヒストンがアセチル化されることが明らかになり,その結果グルココルチコイド受容体の作用が亢進し,腎臓でナトリウムを再吸収するチャネル (NCC) の発現が亢進することがそのメカニズムの一つであることが示された.得られた成果がエピジェネティクス制御を介した新たな治療法の開発につながることが期待される.
著者
小坂田 文隆
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.673-680, 2015-09-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

ヒトの脳はおよそ1,000億個もの膨大な数のニューロンが神経回路を形成することにより情報を伝達・処理し,複雑な高次脳機能を発揮する.その神経回路の破綻は,神経疾患や精神疾患などを引き起こす原因と考えられる.したがって,脳・神経回路の動作原理の解明,それに基づいた神経・精神疾患の病因解明および予防・治療法の開発は極めて重要な研究課題である.近年神経科学領域では大きな技術革新が起こり,二光子顕微鏡,Optogenetics, カルシウムや電位に感受性の蛍光タンパク質,ウイルスベクター,脳の透明化,ゲノム編集技術などが開発された.これにより不可能と考えられていた実験アプローチが可能になり,これまで解明できなかった科学的問いに答えることができるようになりつつある.本稿では,神経回路研究に有効な革新的解析技術を概説する.
著者
木村 佳乃 村上 絢香
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.618-619, 2012-08-01

本研究は,日本農芸化学会2012年度大会(開催地 京都女子大学)での「ジュニア農芸化学会」において発表され,J-オイルミルズ賞を表彰された.石けん作りをきっかけに食用油脂を構成する脂肪酸の違いに気づき,そのことを実験によって確かめている.
著者
太田 彦人
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.337-345, 2010-05-01 (Released:2011-09-01)
参考文献数
11
著者
若井 暁
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.515-520, 2015-07-20 (Released:2016-07-20)
参考文献数
26

微生物が金属材料を腐食する現象は,古くから微生物腐食として知られている.微生物腐食は,正に金属が患う微生物感染症と言える.1934年に微生物腐食に関する仮説が提唱されて以来,多くの研究者がこの問題に取り組んできた.しかし理論だけが先行し,疾患の原因とも言える腐食原因菌はなかなか同定されず,そのメカニズムも解明されていなかった.そのようななか,2004年Nature誌に新規腐食原因菌が報告されたことを端緒に,この10年間で次々と新規腐食原因菌が見つかり,研究が飛躍的に進んでいる.本稿では,微生物による金属腐食現象を微生物が引き起こす金属の感染症として捉え直し,今何が不足し,今後何を明らかにしていかなければならないのか解説する.
著者
村上 明
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.305-312, 2015

ポリフェノールなどのファイトケミカル(phytochemical)は植物の二次代謝産物で多彩な生理機能性を示す化合物群である.近年,ケミカルバイオロジーを基盤とした研究手法の開発によって,これらの標的分子が多数,明らかにされ,作用機構に関する分子レベルの知見が集積されつつある.その一方で近年,私たちは,生体タンパク質に対して非特異的に結合するファイトケミカルの例を見いだし,さらにそれが機能性の発現に寄与するという,ユニークな現象を明らかにしつつある.特異的および非特異的な特性の両面から作用機序を解析することは,「そもそもファイトケミカルがなぜ機能性を示すのか?」という本質的な命題を解く鍵でもあり,また安全性を議論するうえでも重要であると考えている.
著者
澤 新一郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.78-81, 2015-01-20 (Released:2016-01-20)
参考文献数
21

近年,哺乳類免疫組織に抗原受容体をもたない自然リンパ球が多数存在し,免疫式応答における主要サイトカイン産生源として重要な役割を果たすことが明らかになった.自然リンパ球は細胞障害活性をもつNK細胞とサイトカイン産生を主体とする1–3型ヘルパーILCに分類され,それらの分化に必要な転写因子群はT細胞と重複する.リンパ球における抗原受容体の発現は生物進化過程における獲得免疫系の発達という観点から興味深く,今後の研究展開が期待される.