著者
土井 妙子 細見 正明 溝口 次夫 佐藤 純
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.827-834, 1993-11-30
被引用文献数
4

筑波山山頂のオゾン濃度と地表付近の大気中の^7Be濃度を測定して,これらの濃度の季節変化を比較した.筑波山におけるオゾン濃度と^7Beの地上濃度の季節変化のパターンはよく合致し,それぞれの月別平均値は4月と5月に高くなり,7月に低く,10月にも小さいピークが見られる二山型を示した.筑波山山頂のオゾン濃度と土浦市のオキシダント濃度を比較すると,土浦市のオキシダント濃度は年間を通じて山頂より低く,秋季のピークは顕著ではなかった.秋季にピークが見られないのは,秋季から冬季にかけて頻繁に出現する接地逆転層のためと考えられた.
著者
森 征洋 鎌田 章司
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.79-88, 1994-02-28
被引用文献数
6

"肱川あらし"と呼ばれる特異な現象が発生する愛媛県肱川河口付近の風の日変化の平均的特性について調べた.河口付近にある長浜の風の日変化は瀬戸内海沿岸の平野部とは大きく異なった特徴を示し,日中に比べて夜間から早朝に風速が強くなり,陸風が顕著に発達する.長浜では総観場の気圧傾度が小さく,天気がよい場合に,夜間,風速が1Om/sを越えるような強い陸風が発生することがある.この長浜の夜間の強風は,対比を行った沿岸平野部では見られないもので,特異な地形で生ずる強風の典型例を示している.
著者
森 博之
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.757-759, 2007-08-31
被引用文献数
3
著者
森 博之
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.201-203, 2008-03-29
参考文献数
1
被引用文献数
2
著者
高藪 出 金光 正郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.435-447, 2010-07-31
被引用文献数
1
著者
神田 学 森脇 亮 鈴木 譲 ロート マティアス オーク ティム
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.453-462, 2000-06-30
被引用文献数
7

密集低層住宅街(世田谷)の接地境界層において, 渦相関法とシンチロメーター法を併用した乱流フラックス観測を行い, 以下の結論を得た.(1)世田谷住宅街における放射収支・熱収支解析データを提示し, その特徴を示した.(2)2高度におけるシンチロメーター計測により, 顕熱と同時にゼロ面変位を推定する手法を提案した.推定されたゼロ面変位は, 平均的にはMacDonald et al.(1998)の形態学的手法から算定された値とほぼ一致した.また, ゼロ面変位が大気安定度に依存することを指摘した.(3)渦相関法とシンチロメーター法の比較により乱流フラックスの空間代表性が検討された.シンチロメーター法のソースエリアは渦相関法のそれに対して, 不安定時で2〜3倍の広さを持つ.30分平均値での顕熱は両手法で有意な差がない.顕熱の標準偏差は大気安定度に関わらずシンチロメーター法の値が小さい.これは計測スパンの長いシンチロメーター法における渦の空間積分効果であると考えられる.
著者
神田 学 森脇 亮 横山 仁
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.723-731, 1997-10-31
参考文献数
21
被引用文献数
10

明治神宮で行われた集中観測データを森林環境気象モデルに同化させ, 神宮の森の気候緩和機能と大気浄化機能が定量的に評価された. その結果以下の結論が得られた. 1) 数点のポロメーター計測データから未知パラメータを非線形回帰させた気孔コンダクタンスモデルは, 気象学的測定から得られた群落気孔コンダクタンスの傾向をよく表現した. 2 )この気孔特性を森林環境気象モデル (NEO-SPAM2) に同化させて熱収支計算を行ったところ, 実測値を良好に再現した. 3) 神宮の森の気候緩和機能を大きく左右する植物の活性度 (気孔コンダクタンス) は, 樹冠部ほど大きく, 下方へ向かうほど減少している. また植物の活性度は午前中の早い時間帯に最も盛んであることが示された. 4) 本モデルを用いて, 神宮の森における汚染物質吸収量 (鉛直下向きフラックス) を算定したところ, その日中の平均値は, 観測結果と定量的によく一致した. またピーク時のNO_2フラックスを神宮の森全体の面積に換算すると, 乗用車93台分が排出するNO_2量に相当することが明らかとなった. 5 ) また汚染物質吸収は早朝に効率的に行われること, 樹冠付近の葉への吸収が活発なことなど, 観測で得られなかった大気浄化の時空間変動特性が示された.
著者
木内 豪
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.661-671, 2001-09-30
被引用文献数
6

本論文では, 夏期と冬期の温冷感指標を得るため, いくつかの温冷感指標の適用性について検討を行った.検討対象とした既存の指標は, 不快指数, 風力冷却指数, 新標準有効温度SET^*である.また, 体温調節に関する温度情報の統合の概念を適用した温度負荷量TLと, 作用温度と風速を変数とする簡易な式で表される温冷感指数TSIの2つを新たに提案した.これらの指標について夏期及び冬期の屋外空間における温冷感の現地実験結果との対応について比較した結果, 夏期はTLとTSIが温冷感との相関が高く, 冬期はTSIとSET^*が温冷感との相関が高かった.したがって, TSIを用いれば夏期, 冬期ともに実測の気象範囲において精度よく簡便に温冷感を推定できることがわかった.提案した指標を用いて気象要因が人間の温冷感に及ぼす影響度合いについて調べ, 夏期, 冬期における温冷感の気温, 風速, 湿度への依存特性を示した.
著者
平沼 洋司
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.507-511, 2001-07-31
著者
松村 伸治 謝 尚平
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.781-791, 1998-10-31
参考文献数
24
被引用文献数
7

季節風の吹き出しは冬季日本および日本海の経年気候変動をもたらす最も重要な要素の一つである.本研究は, 現在入手可能な船舶, 地上, 衛星観測データを用いて, 冬季季節風変動の影響を総合的に調べたものである.日本冬季降水量の変動パターンは日本海側と太平洋側とに分かれており, 季節風が強い年には日本海側で降水量が多く, 太平洋側では逆に少なくなる.一方, 日本海上の降水量, 水蒸気量はともに季節風が強いときに減少していることが衛星データを用いた解析から示された.しかし, 日本列島に近付くにつれ雲水量が増加しており, 日本海側で降雪量が増えていることが示唆された.また, 季節風の強い年に海面水温(SST)が低くなるという影響は日本海南部(40°N以南)のみにしか現れず, 北部においては季節風よりも海洋の内部変動による影響が大きい.このようなSST変動の南北相違は日本の気温にも現れており, 全国的には季節風と地上気温とが有意な負相関を示すものの, 北日本では相関係数が小さくなっている.以上のように, 40°N以南の日本海・日本列島上の気温変動が2〜3年周期を持つ季節風の強弱に強く影響される一方で, 10年スケールの変動が北日本に見られることも分かった.後者の変動要因に関する詳しい解析は今後の課題である.
著者
伊藤 久徳
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.35-51, 2007
参考文献数
36
被引用文献数
1
著者
栗山 佳恵 山本 勝
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.737-746, 2008-09-30
参考文献数
15

1988年から2006年の寒候期(11月から3月)において,那覇では「吹き出し開始初期から厚い北風層が卓越し,それが維持されるもの(N型)」と「吹き出し開始から下層の北風層が徐々に発達するもの(S型)」の2つの寒気吹き出し構造が見られた.そこで,その経年変化や特徴的な気圧配置を明らかにし,海面水温(SST)や冬季モンスーンの経年変化と那覇周辺域の寒気吹き出し構造の関係を調べた.寒候期平均のNINO3海域SST平年偏差は1000hPa南北風と相関が高く,00/01年までの降水量とも相関が高い.また,那覇周辺海域のSSTは海面気圧や1000hPa比湿と相関が高く,北極振動指数は900hPaの相対湿度と相関が高い.さらに本研究では,総観規模の気象解析もおこなった.寒気吹き出し初期の500hPaの太平洋高気圧の張り出しがS型とN型の構造を決定づける.また,エルニーニョと関連して東シナ海上空500hPaの南風が強い冬季では,S型が卓越する.
著者
川上 紳一 東條 文治
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.829-830, 2003-11-30
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
渡部 浩章
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.449-455, 2007-05-31
参考文献数
7
被引用文献数
2

福井豪雨をもたらした線状降水域について,1.5kmまたは5kmの分解能を持つ気象庁非静力学モデル(JMA-NHM)で詳しく調べた.福井県の西海上では,実況の解析雨量に対応する線状降水域をほぼ再現した.中層では梅雨前線に沿って高湿度領域となっており,前線付近での風向は一様に西北西であった.下層では前線に沿って前線南側の西風と前線北側の北西風により線状の収束域が持続していた,線状降水域の風上に次々と積乱雲(降水セル)が発生して,バックビルディング型の特徴を示した.降水セルは線状降水域に沿って時速約50km/hで東南東進していた.降水セル下部の収束と上部の発散は,ともに10^<-3>/s以上の大きさであった.また,雨滴の蒸発による冷却効果は見られなかった.
著者
藤部 文昭
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.403-412, 1993-06-30
参考文献数
13
被引用文献数
3

北日本に記録的な強風をもたらした台風9119, 5415(洞爺丸台風)および6118(第2室戸台風)について, メソα〜β規模における強風の特徴を比べた.中心域の気圧・風速分布は台風ごとに違い, 台風9119は中心付近の広い低圧部=弱風域とその外側(南東側)の南西強風, 台風5415は鋭い気圧中心に集中した強風, 台風6118はメソ寒冷前線に対応するトラフとその後面(西側)の北西強風が特徴的であった.どの台風の場合も, 東北地方の南西〜北西強風は急に吹き出す傾向があった.このうち台風5415と6118においては, 強風の吹き出しはシャープなメソ寒冷前線の通過に対応し, 気温の急降下を伴った.これに対して台風9119の場合には, 中心後面からの寒気流入が緩やかで, 明瞭なメソ寒冷前線は現れず, 強風開始は一時的な昇温を伴った.この昇温は下層の安定層破壊によると推測される.