著者
藤野 清次 GarryJ.Tee R&uumldiger Weiss
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.115(1998-HPC-074), pp.7-12, 1998-12-11

学術用語"eigenvalue"は,固有値問題などに現れる「固有値」に対する用語として現在英語圏でよく使われている.しかし,"eigen"という冠頭の言葉は,もともとドイツ語で「固有の」または「特有の」という意味を表す言葉である.そこで,「固有値」に対する学術用語として"eigenvalue"が現在英語圏で何故使われているかを入手資料を元に考察する.
著者
平山 弘
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.26(1991-HPC-040), pp.1-8, 1992-03-21

多倍長数の数の乗算には、高速フーリエ変換 () を使えば原理的には高速に計算できることはよく知られたことである。この計算は倍精度浮動小数点演算で行うのが高速で有効な方法である。この場合、計算途中で誤差が生じる。この計算法を使うには、この誤差がどの程度の大きさであるか知る必要がある。本論文では、解析的方法、半解析的方法、数値方法によってその誤差がどの程度大きさであるかを調べた。FFTを使った計算は、計算機の僅かな計算精度の違いによって、計算できる桁数が大きく変化することがわかる。1語に5桁の数値を入れた多倍長数の場合、仮数部が53ビットのIEEE方式の場合約5万桁、56ビットのIBM方式のとき、16万桁の計算が可能である。
著者
谷村 勇輔 的野 晃整 小島 功 田中 良夫 関口 智嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.74, pp.223-228, 2008-07-29

ユビキタスコンピューティングの世界で用いられる"ucode"を管理するシステムに RDF-DB (RDF database) を利用するには,スケーラブルな RDF-DB を構築する技術の確立が必要である.そこで,我々は RDF-DB のバックエンドに分散ストレージと MapReduce フレームワークを用いた並列データ処理を利用することで,膨大なデータに対する多数の問合せに対応したシステムの構築を試みている.本稿では,まず MapReduce を実装する Hadoop において,データベースの結合演算を行うプログラムの性能を評価した.次に, Hadoop と RDF-DB のそれぞれの特徴に基づき,データベースの基本的なデータ格納手法である Vertical Partitioning,Horizontal Partitioning,Sorting をもとに, MapReduce フレームワークにおける RDF-DB に適したデータの分散格納方法を提案する.そして,約 274 万のトリプルに対して, 2 または 3 組の predicate を選択条件とし, subject に対する結合演算を行う問合せを用いて評価実験を行った.これらを通じて,最終的に構築しようとしているシステムの設計を行う上での基本的な知見を得た.Research for scalable RDF-DB (RDF database) is highly expected today, in order to construct the "ucode" management system in the ubiquitous world. Our approach is to use parallel data processing technology with distributed storage and MapReduce framework, as a backend of RDF-DB. In this report, performance of the JOIN operation in the database domain was evaluated on the Hadoop cluster, in which MapReduce framework is provided by Hadoop. Then data storing/distributing methods based on conventional Vertical Partitioning, Horizontal Partitioning and Sorting, are proposed so that they take advantages of the Hadoop behaviors and the RDF-DB features. The proposed methods were evaluated by the experiment with the query which selects the RDF triples by 2 or 3 predicates and joins the triples on the subject from 2.4 millions' triples. Through the examinations, the design principle of our developing scalable RDF-DB system was confirmed.
著者
森 明子 須田 礼仁 杉原 正顯
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.38, pp.49-54, 1999-05-14
参考文献数
9

1986年にOrszagはLegendre多項式変換を含むSturm?Liouville固有関数変換の評価計算に対する高速算法を提案した。彼の算法は固有関数のWKB近似を用いて計算の一部でFFTを利用することにより、直接計算でO (^) かかる計算量がO ( log^2N/log log) に改善できるというものである。しかし彼の算法は計算の無駄が多く、精度も悪く実用的ではない。我々はLegendre多項式変換の場合についてこのOrszagの算法を改良したので報告する。アルゴリズムの改良により計算量はO ( log ) に改善され、高精度近似公式の採用により、単精度程度の精度でN&ge;128,倍精度程度の精度でN&ge;256で直接法よりも高速となることがわかった。In 1986 Orszag proposed a fast algorithm for Sturm-Liouville eigenfunction transform including the Legendre polynomial transform. His algorithm, which exploits the high speed of FFT through the WKB approximation, runs in time O (N log^2 N/log log N), while the direct computation requires O (N^2) time. His algorithm is, however, not practical because of its low precision and algorithmic unsophisticatedness. We improve Orszag's algorithm in the case of the Legendre polynomial transform. The improved algorithm runs in time O (N log N), and the Stieltjes's higher order approximation formula enables high precision. Our scheme is faster than the direct method for N &ge; 128 with the error tolerance ε=10^<-6> and for N &ge; 256 with ε=10^<-12>.
著者
富松 剛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.97, pp.57-62, 1995-10-18
被引用文献数
3

浜田の提案したURR(niversal Representation of Real number)は1から離れるに従って,急速に精度が悪化するという欠点がある.この欠点を改善するためにURRを一般化し,拡張した二重指数分割表現を提案する.URRは二重指数±2^<±2^m>で実数を大まかに近似するが,本表現では二重指数を±p^<±q^m>と一般化する.本表現により,pとqを大きくするとで,より大きな実数に対しては,より少ないビット数で近似できること,pとqを適切に選ぶことによって,URRに比べより広範囲にわたって,IEEE表現よりも精度の良い表現方法があることがわかった.さらに本表現はURRの欠点でもある急激な精度の悪化も抑えることがわかった.Precision of URR (Universal Representation of Real numbers) which was proposed by Hamada goes to the worse when the number is away from ±1. By generalizing from URR, we propose the floating point representation of the extended double exponential cut of URR. Our representation is based on the double exponential cut of ±p^<±q^m>. By selecting suitable values for p and q, we can represent numbers more precise than the IEEE representation. And our floating point representation cut can escape from the demerit in URR representation of getting worse in the precision when the number is away from ±1.
著者
北村 裕太 松葉 浩也 石川 裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.80, pp.121-126, 2007-08-02
被引用文献数
4

64 ビットアーキテクチャ PC において、一台の PC が持つ物理メモリ容量以上の仮想メモリ空間を利用できるようにするための遠隔スワップメモリシステムを Linux カーネル上に設計する。予備実験として、ネットワークブロックデバイスを用いた Linux のスワップ機構を評価し問題点を示す。次に、Linux のスワップ機構とは異なる新しい遠隔スワップメモリシステムを設計する。本システムでは、ネットワークブロックデバイスが効率良くデータ転送を送れるように、連続物理ベージ単位で領域を管理する。ユーザが定義できるページ入れ換えアルゴリズム機構を提供することにより、アプリケーションのメモリアクセスパターンによる投機的ページ入れ換えを可能とする。A new remote swap system in the Linux kernel, running on a 64 bit PC, is designed in order to provide virtual address memory whose size is larger than the physical main memory. As an experiment, the Linux swap mechanism is evaluated using a network block device. We, then, propose a new remote memory swapping system which differs the original Linux swap system. In the system proposed, the contiguous physical pages of a user process are managed so that the network device may send and receive physical pages efficiently. A new system call, defining page replace algorithm, has been introduced to realize speculative page replacement based on the application memory access pattern.
著者
西村 豪生 中田 秀基 松岡 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87, pp.73-78, 2006-07-31
被引用文献数
5

グリッド環境の不均質性を隠蔽するために,分散した資源上に仮想計算機と仮想ネットワークを用いて仮想クラスタを構築する手法が注目されている.仮想クラスタ構築のためには,必要な環境構成を備えた仮想計算機(VM) イメージを実計算資源に配布する必要がある.しかし,一般的にVM イメージのサイズは数100MBytes から数GBytes に及ぶため,その転送時間は無視できない.既存研究ではある程度高速な仮想クラスタ構築システムを提供しているものの,実行環境に制限がある.そこで我々は,ユーザが望む環境を備えたVM イメージを動的に高速に作成する仮想クラスタ構築システムを提案する.本システムでは利用頻度の高いパッケージ構成を含んだキャッシュイメージを自動的に生成する.また,事前に構築時間を見積もってキャッシュを用いることにより,構築に103 秒程度要していた仮想クラスタを,75 秒程度に短縮できることを確認し,高速化への指針を得た.Recently, a virtual cluster constructed by using a virtual machine and a virtual network attracts attention as the technique of hiding heterogeneous of the grid environment. It is necessary to distribute a VM image which has requested environment to the real computing resources for constructing proper virtual cluster. However, the transfer time of the VM image cannot be generally disregarded, since those sizes have several GBytes from 100MBytes. In an existing research, there is a limitation in the execution environment though a comparatively high-speed virtual cluster construction system is advocated. Then, we propose the virtual cluster construction system that makes the environment for which the user hopes at dynamically and high speed. This system automatically generates cache images that contain packages composition frequently used. Moreover, due to estimating the construction time beforehand and using cache, we confirmed the construction time was shortened from about 100 seconds at about 75 seconds, and obtained the indicator to speed-up.
著者
石黒 貴之 服部 啓太 須田 礼仁 杉原 正顯
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.66, pp.1-6, 1999-08-02
被引用文献数
2

球面上のPoisson方程式は地球の大気の運動をシミュレーションする上で欠かせない方程式である.従来,気象学の分野では球面上のPoisson方程式の数値解法として,球面調和関数を用いたスペクトル法及び,差分法等が一般的に利用されてきた.しかし前者はスペクトル範囲以内では正確に計算できるが,計算速度が遅い,逆に後者は高速に計算できるが精度が悪い.そこでYeeによって高速Fourier変換(F)を用いた高精度かつ高速な二重Fourier級数展開法が提案された.本報告ではYeeの方法で解析が不完全なところを補い,さらに改良を加えた.その結果,我々の手法でば,Yeeの方法の精度を保ちつつ,2倍程度の計算速度の向上を実現した.In meteorology, the spectral and finite difference methods are commonly used as the numerical solutions of the Poisson equation on a sphere. Nevertheless the former, being highly accurate, is slow, whereas the latter, being fast, is lowly accurate. To improve this situation, Yee has recently proposed a fast and highly accurate method based on the FFT, which is called truncated double Fourier series. In this report we make up for incomplete point of Yee's report and improve Yee's scheme. As a result our scheme achieves doubled performance with keeping the same level accuracy.
著者
田口 東 中村 学
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.26(1990-HPC-036), pp.1-9, 1991-03-15

音像定位の問題を考える上で、頭部や耳介の複雑な形状を考慮に入れた音響伝達関数を求めることは重要で基礎的な問題である。この問題を考えるために、まず、450面の四辺形から構成される人間の片耳の数値モデルを作り、それを頭と同じ位の大きさの回転楕円体の対称な位置に取付けて頭部モデルを作成した。そして、このモデルに平面進行波が定まった方向から入射するときの音場を、境界要素法を用いて計算した。計算結果から、入射波の方向、耳の左右、耳介の境界条件、を変化させると、耳介付近の点における周波数特性が大きく変化することが分かった。
著者
斎藤 秀雄 田浦 健次朗 近山 隆
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87(2006-HPC-107), pp.25-30, 2006-07-31

我々が開発している広域分散計算環境用のメッセージパッシングシステムMPI/GXPについて説明する.MPI/GXPは計算環境が実行毎に変化するということを意識して,実行時に測定した遅延や通信量を基に様々な性能最適化を行う.5クラスタ256プロセッサという環境では,遅延を考慮した接続確立を行うことによって,既存のグリッド用メッセージパッシングシステムのようにルータが維持できるセッション数に制限されることなく動作した.また 通信オーバヘッドを考慮したrank 割り当てを行うことによって ランダムなrank割り当てを行った場合と比べてNAS Parallel Benchmarks の性能が60%から100%向上した.
著者
建部修見 森田 洋平 松岡 聡 関口 智嗣 曽田 哲之
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.77(2001-HPC-087), pp.177-182, 2001-07-25

ペタバイトスケールデータインテンシブコンピューティングのためのGridDatafarmアーキテクチャの設計と実装を行っている.Grid Datafarmは,PCクラスタのローカルディスクを利用した広域データ並列ファイルシステムを提供し,オンラインでペタバイト規模の大容量と,ローカルI/Oバンド幅を利用したスケーラブルなI/Oバンド幅が特徴である.Gfarm並列I/O APIおよびGfarmコマンドにより,単一システムイメージの操作を可能とする.ファイルの複製,ヒストリによる再生成などにより,自動的な耐故障性,負荷分散も目指している.
著者
岡本 高幸 朴 泰祐 佐藤三久 建部修見
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87, pp.121-126, 2006-07-31

家庭やオフィスの遊休PCは潜在的に大きな計算能力を有しており,これらを接続して効率的に利用することができれば非常に大きな計算資源となる.しかし,NATやファイアウォールの中にあるこれらのPCを相互に接続するには,物理的なIPアドレスに依存しないノード識別子によるルーティング処理やUPnP,hole punchingなどのNAT越えの技術が必要である.これらをアプリケーションごとに実装していくことは煩雑であり,P2Pアプリケーションの開発における問題となっている.そこで本稿では,アプリケーションをネットワークの物理構成から独立させ,物理ネットワークに依存せず参加するすべてのノードを等しく接続可能とするオーバーレイネットワークを提案する.そして,その実現に必要なNAT越え技術の一つであるUDP hole punchingについてのテストシステムを作成し,市販の家庭用ルータを用いて性能評価を行った.UDP hole punchingと独自のライブラリを使うことによってTCPと比べて2 割程度のスループットの低下でNATを越えて直接通信が実現できることを確認した.An enormous number of PCs at home or office potentially implies a great amount of computation power when they are out of the work, and there is an opportunity to utilize their power for a large scale computation. However, these machines usually exist behind the NAT or firewall and it requires various techniques to access and connect them, such as logical naming independent from the original IP addresses, efficient routing, or NAT traversing with UPnP or UDP hole punching. It is troublesome to apply these techniques adequately to each application, and this is a hazard in the development of P2P application. In this paper, we propose an overlay network to connect all attending nodes in logically flat layer independently from their physical network in order to encourage the easy development of various P2P applications. In our system, we implement a generic communication library based on UDP hole punching which is one of the most common NAT traversal techniques, and evaluated the communication performance on commodity personal broadband router widely used at home. We developed an original communication layer only with UDP protocol which is basically compatible with TCP. By the direct communication through NAT box without intermediate relay server, we confirmed that our method provides a communication performance with only about 20% of performance degradation compared with TCP communication.
著者
堀 敦史 手塚 宏史 高橋 俊行 住元 真司 曽田哲之 原田 浩 石川 裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.66, pp.83-88, 1999-08-02
被引用文献数
3

SCoreクラスタシステムソフトウェアは,Myrinetを用いたクラスタを対象とした高性能かつスケーラブルな並列プログラミング環境のソフトウェアパッケージである.本稿は,Myrinet以外のネットワーク,SMPクラスタ,及びクラスタ化されたクラスタという3つの新たな形態のクラスタにSCoreを対応させる方法について提案するものである."Composite"と呼ばれる仮想ネットワークデバイスを設け,compositeネットワークデバイスが複数の実ネットワークデバイスとルーティングテーブルを持つことで,これらの形態のクラスタに対応可能であることを示す.ここで提案された方法は,見方を変えれば,ヘテロなネットワーク構成のクラスタへの対応と考えることができる.提案された方法は,現在SCore 3.0として開発が進められている.A high performance scalable cluster system software package, SCore, was designed for clusters using Myrinet. To adapt it to a cluster using other networks, an SMP cluster, and a cluster of clusters, the notion of "composite" is proposed in this paper. The "composite" is a virtual network device which consists of a routing table and several physical network devices. From the viewpoint of seamless computing, the "composite" is to handle heterogeneity. New SCore 3.0 is under development for implementing the "composite".
著者
藤木 健士 竹生政資
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.51, pp.29-35, 1993-06-18

この研究では,ポインタを用いたリスト構造とGauss消去法を組み合わせることにより,大規模な非対称疎行列を係数にもつ連立一次方程式を比較的短い簡潔なプログラムにより効率よく解くことができることを示した.Fortranで記述した非ゼロ要素の行と列のインデクスとその値を順に配列に格納する従来の方法に比べ,Cのようなポインタを持つ言語でメモリの動的確保機能を利用しながらリスト構造で行列を格納することにより,比較的簡単に効率よく処理できるプログラムを実現できることがわかった.本稿では,この具体的な実現方法や性能評価について紹介する.We report a method solving a system of linear equations having a large unsymmetric sparse matrix in C language which simplifies the implimentation of the Gauss elimination algorism by introducing the list structures with pointers, not arrays in Fortran, and the dynamic memory allocation. The result is that the programs developed are more simple and straightforward, even efficient on workstations, resulting smaller size of source codes, than the conventional ones written in Fortran.
著者
遠藤 敏夫 田浦 健次朗
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.81, pp.121-126, 2005-08-05

密に通信を必要とする並列計算をグリッド環境において行なう上での障害は、広域ネットワークの高い通信遅延である。本稿は、そのような計算の一つとして密行列のガウス消去法を取り上げ、高遅延環境でも高性能な並列アルゴリズムを述べる。その主要な技術はbatched pivotingと呼ばれるピボット選択手法である。本手法は、複数ステップのピボット選択処理をまとめて行なうことにより、同期コストを大幅に削減する。遅延をエミュレートした実験により、高遅延環境において本手法がpartial pivotingよりもはるかに高速に動作することを示す。一方、本手法ではpartial pivotingよりも計算精度が低下する可能性があるが、比較的良好なピボットを選択することにより、その低下を抑えるよう設計されている。乱数行列を用いた数値実験を通して、本手法がpartial pivotingに匹敵する計算精度を達成することを示す。Large latencies over WAN will remain to be an obstacle to running tightly coupled parallel applications on Grid environments. This paper takes one of such applications, Gaussian elimination of dence matrices and describes a parallel algorithm that is highly tolerant to latencies. The key technique is a pivoting strategy called batched pivoting, which largely reduces synchronization costs by batching pivot selections of several steps. Through experiments with large latencies emulated by software, we show our method works much faster than partial pivoting with large latencies. On the other hand, numerical accuracy of our method may be inferior to that of partial pivoting. However, our method is designed to suppress the degradation by selecting `better' pivots. Through experiments with random matrices, the batched pivoting achieves comparable accuracy to that of partial pivoting.
著者
武田 恵史 西田 晃 小柳 義夫
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.51(2002-HPC-090), pp.13-18, 2002-05-27

近年 広域に分散された世界中の情報資源を統一的に扱う Grid と呼ばれる技術が盛んに研究され 開発が進められている. 本研究では LAN 上のPC クラスタを Grid に見立て グローバルコンピューティングのソフトウェアインフラストラクチャに必要とされる様々な要素技術を提供するツール群である Globus toolkit をクラスタ上に実装した. 実験ではGlobus を用いて実装された MPICH の拡張である MPICH-G2 を使用してLinpack ベンチマークテストを行い Grid 上での並列計算における性能を Globus上に実装され資源管理機能を備えた MPICH-G2 と通常の MPICH の複数のネットワーク上での比較により評価した. 実験から 十分な通信帯域幅のある環境では 両者はほぼ同等な性能を示すことが分かった.
著者
清水 俊幸 石畑 宏明 飯野 秀之 木村 雅春
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.72(1993-HPC-048), pp.17-24, 1993-08-19

並列計算機AP1000の数値演算アクセラレータオプション(A:Numerical Computation Accelerat) を開発した.NCAによりAP1000のプロセッサエレメント () にベクトル処理機構を付加し,計算能力を高めた.NCAでは,ベクトル演算器とスカラ演算器の間にコマンドFIFOと呼ぶバッファを設け,ベクトル処理とスカラ処理のオーバラップを可能とした.オーバラップによりベクトル演算器とスカラ演算器の処理速度の差に起因する演算器の利用率の低下を防ぎ,トータルな処理時間の短縮を実現した.NCAのアーキテクチャと基本性能,並列処理性能について述べる.
著者
直野 健 猪貝光祥 木立 啓之
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87(2006-HPC-107), pp.181-186, 2006-07-31

高性能計算機のアーキテクチャが複雑になったため,高性能計算機向けに行列計算をチューニングするコストが多大なものになっている.そのコストを緩和するため,1990年代から自動チューニング方法が行列計算向けに研究されている.本稿の目的は,代表的な自動チューニング方法について動向をまとめることである.自動チューニング方法を分類し,動向を分析するために,行列ソフトウェア階層とソフトウェア開発サイクルの視点を用いた分析を行った.その結果,自動チューニング方法はより抽象度の高いソフトウェア階層へと進展しつつあることが分かった.また,今後の課題として,ソフトウェア開発サイクルにおける性能評価データがより多く必要であることが分かった.
著者
田中 研太郎 杉原 正顯 須田 礼二
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.49(2001-HPC-086), pp.13-17, 2001-05-25

ニューラルネットの学習において、学習の停滞期(プラトー)が起きて、なかなか学習が進まないことがある。そのプラトーを避け、もっと速く学習する方法として、自然勾配学習法が甘利らによって考えられた。本論文では、この自然勾配学習法がうまくいかない場合があることを示し、その解決策として、普通の勾配学習法と自然勾配学習法を組み合わせることを提案し、数値実験で有効性を示す。
著者
大野 洋介 牧野 淳一郎 蜂巣 泉 戎崎俊一 杉本 大一郎
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.72(1993-HPC-048), pp.41-48, 1993-08-19

我々は差分法による数値流体力学における記憶容量不足を解消する専用計算機DREAMの試作機DREAM?1Aを開発した。DREAMは主記憶としてハードディスクを使用することで低コスト大容量を実現するアーキテクチャである。DREAM?1Aの場合、100万円程度のコストで記憶容量は1.4Gバイトである。実効計算速度は14Mフロップスになる。ハードディスクは転送速度が遅く、アクセスタイムが長いという問題がある。DREAMでは転送速度の問題は並列化と小規模の半導体メモリの併用により解決する。差分法はデータあたりの演算量が多いので半導体メモリの利用効率を上げることができる。アクセスタイムの問題は1回の転送量を大きくすることで解決する。