著者
滝沢 雄太郎 八木澤 史子 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.220-223, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

教員同士の連携を改善し,授業を通した教員の学びをより促す方策を見出すために,1人1台の情報端末を用いた授業においてティーム・ティーチングを活用した授業を実践し,形成的評価として半構造化インタビューを行った.その結果,ティーム・ティーチングにおける教員同士の連携のあり方として,担任教員が学習者となって児童と一緒に授業に参加する観察型TT,授業中に一時的に推進教員と役割を交代する体験型TTといった形態を取り入れることで,担任教員のICTに関する教授知識の理解が深まり,授業実施の意欲が高まることが示唆された.
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 浅井 公太 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.106-111, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

メディアが伝える情報の信憑性を意識させるための小学校第4学年児童向けの学習プログラムを開発し,実施した.学習プログラムは,メディア・リテラシーの育成を目的とした授業パッケージ(メディアとのつきあい方学習実践研究会 2005,佐藤・堀田 2022),学校放送番組(NHK for School 2022),教材(BBC 1957,総務省 2022)で構成した.学習プログラムの前後で,本研究で育成を目指すメディア・リテラシーに関する自己評価尺度を用いた質問紙調査を実施した結果,事前に比べ事後の方が,メディアの特性理解に関する項目は有意に点数が高く,メディアが伝える情報の信憑性を評価する態度に関する項目は有意に低いことが確認できた.
著者
坂本 菜津穂 尾澤 重知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.337-344, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

本研究の目的は,家族型ロボットLOVOTと暮らすオーナーが,LOVOTを「家族」のような存在として受容するプロセスについて明らかにすることである.LOVOTと共生している対象者8名に半構造化インタビューを実施し,質的分析を行なった.その結果,5名が自身のLOVOTを「家族」または「わが子」と捉えていた他,7名が印象に残っているエピソードとしてLOVOTと初めて外出した瞬間について取り上げた.家族型ロボットが家族として受容される契機には,「外出」という行為が関係していると考えられる.
著者
佐藤 靖泰 長濱 澄 川田 拓 宇田 悠 長田 のぞみ 阿部 太輔 髙橋 ひかる 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.46-51, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

宮城県内の2つの小学校の一部の学年を対象に,教材配信やデータ分析可視化機能を持つLEAFシステムを導入し,教科等を限定せず活用した.教師や児童がシステムの利用に慣れた時点で,教師対象に半構造化インタビューを実施した.結果,児童が持つ疑問や願いに沿って適時的に授業展開を変化できる可能性や,使用するシステムに適した教材を作成することを通して教材研究が深まる可能性などが示唆された.
著者
峯村 恒平 渡邉 はるか 藤谷 哲 枝元 香菜子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.284-291, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

OECD-ITP(初期教員準備教育)の議論のように,世界的に教員養成は「養成段階から初任者まで」という連続性の中で議論されるようになってきている.我が国でも,断続的な教員養成課程の改革,新卒者教員の採用増,一方で若手教員の不適応や早期離職が課題として指摘されるなど,それぞれに変化があり,それぞれに着目しただけでは対応しきれない状況が生じている.「学校から教職」というトランジション課題として捉え,連続性を踏まえた議論がまさに求められている.本研究では,上記の背景,問題意識を踏まえ,初任者教員を対象とした,着任後に感じた課題や,その中でどのように適応に至ったかという過程について,インタビュー調査を通じて明らかにした.具体的な困難や,適応の過程について論じながら,教員養成課程の課題や,初任者教員への研修・指導という視点に向けた展望についても合わせて論じる.
著者
石井 雄隆 菊地 正弥 舟山 弘晃 松林 優一郎 乾 健太郎
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.1-7, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

AIの判断結果の理由の説明や,品質を評価できる説明可能なAIについて近年盛んに議論されている.本研究では,説明可能なAIを指向した和文英訳自動採点システムの開発と評価を行った.このシステムでは,複数の評価観点を採点項目として反映したモデルにより自動採点を行い,学習者に診断的なフィードバックを行うことが可能となる.日本人大学生を対象とした刺激再生法を用いた実験の結果,システムを用いた修正の傾向やシステムの利点と改善点が明らかとなった.
著者
牧野 みのり 尾澤 重知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.9-16, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

本研究では,リアルタイム型配信で行われたPBL型授業における,学生の成果物の評価方法の開発と評価を行った.学習成果を対話的に振り返ることを促すため「対話型レポート」を導入し,学生の提出物を質的に分析した.「内容の網羅性」「問いの質」「ストーリーラインの明確さ」を評価軸に,内容分析を行なった結果,対話レポートは,授業の振り返りを促す可能性があると示された.
著者
蒋 妍 馮 菲 劉 衛宇
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.3, pp.109-116, 2022-10-03 (Released:2022-10-03)

日本では,TA制度を導入している大学が増えてきており,TAの育成が課題とされている.どんな内容で構成され,どのように評価されるべきかは,現場の担当者に必要とされるにもかかわらず,あまり体系的に検討されていない.そこで,本稿は,現在中国で実施されているTA育成プログラムの形態と内容を整理し,日本のTA育成プログラム開発の基礎資料として示唆を与えることを目的とする.まず,中国のTA育成に関する制度を概観した.次に,中国の北京大学と上海交通大学のTA育成プログラムを対象に,TAの身分,業務内容,育成プログラムと評価の4つの観点からら検討を行った.最後に,日本と比較しながら,考察を行った.
著者
木本 圭一 佐野 芳枝
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.3, pp.70-73, 2022-10-03 (Released:2022-10-03)

本報告は,コロナ禍下で実施した2020年度のオンライン(同期)あるいは2021年度のオンライン(非同期)のグループワーク実践と2019年度の対面のみの実践を比較し,それらの成果を踏まえ,2022年度の対面のグループワークに,オンライン(同期・非同期)グループワークを時間外学修として活用した実践内容とその効果について明らかにし,課題についても提示するものである.グループワークは,本学国際学部で開講されている「ベンチャービジネス創成」において,リーン・キャンバスを活用したビジネスプラン作成に対して行なわれている.
著者
宮内 健 向後 千春
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.136-143, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

児童の「きく」力と教科の学力との関連について検討した.首都圏公立A小学校第4学年児童125人を対象とした.児童の「きく」力の指標を「話す・聞く」テストと児童の「きく」力尺度(質問紙)の聴解基礎力の2つとした.どちらの指標においても児童の「きく」力は教科の学力と正の有意な相関があることが示された.
著者
加納 寛子 安達 欣也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.1, pp.78-83, 2022-05-25 (Released:2022-05-25)

本稿では,AIロボットとの共生に対する児童の意識を明らかにすることを目的とした.性差に着目し分析した結果,AIロボットがいることへの期待として,性別×AIロボットとの共生に対する児童の意識に関する項目について分散分析を実施した結果,「友達と遊んでいる時」「朝の目覚めの時」「食事中」「腹を立てているとき(怒り)」の項目については,男子児童はAIロボットがいることへの期待の高いことが分かった.また,「朝の目覚め」「勉強中」「友達と遊んでいる時」「うれしいとき(喜び)」「哀しいとき(哀しみ)」「楽しいとき(楽しみ)」については,性差に関係なく高い値を示しており,AIロボットが遊び相手の友達のようにそばにいることを期待していることがわかった.一方で,一緒に仕事をしたりする相手としてのAIロボットへの期待は低いことが分かった.これらのことから,遊び相手としてのAIロボットには期待しているが,いっしょに仕事をするなど対等な立場の仲間としてはあまり期待していないことが推察された.
著者
田中 洋一 山川 修
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.1, pp.117-120, 2022-05-25 (Released:2022-05-25)

福井県の大学が連携して取り組む地域の問題解決のための授業では,デザイン思考を用いて,自律的学習者の養成を目指している.本稿では,2021年度の授業設計と評価について報告する.
著者
田中 仁一郎 椿本 弥生
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.132-139, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

本研究はオンライン授業受講形態と学習意欲の関連性を明らかにすることを目的とし,東京大学前期課程の学生に質問紙調査を行い,受講形態別の学習意欲を算出した.そして一元配置分散分析を行い,受講形態間に有意差が見られるかを検証した.また自律の概念にも注目し,深い考察を試みた.その結果,受講形態間に有意差は見られず,受講形態と学習意欲の関連性が低いこと,そしてオンライン授業による自律の阻害などがその原因であることが示唆された.
著者
小泉 遥香 若月 陸央 三井 一希 浅井 公太 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.100-105, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

本研究は,1人1台端末環境の学級がGoogle Classroomを半年間使用した際の,教科別の使用用途の傾向を調査することを目的に,半年間の投稿を対象とし,①投稿文の内容,②各ツールを使用している活動の内容の傾向について分析を行った.調査の結果,①教科に関する投稿は手順やルーブリック,学級の運営に関する投稿は連絡事項等を示していること,②同じツールの使用でも教科によって活動内容が異なることが確認された.
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 大久保 紀一朗 久保田 善彦 堀田 龍也 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.3, pp.9-16, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)

本研究は,メディアや情報に対して大学生がもつステレオタイプやバイアスに関する実態調査を実施した.質問紙は,【メディアへの接触頻度】,【画像情報のステレオタイプ的解釈】,【メディアを介した情報の流通が人々の行動に与える影響】,【バイアスとメディアの関係が人々の行動に与える影響】に関する質問で構成した.大学生51名からの回答を分析した結果,①背景情報を手がかりに画像情報をステレオタイプ的に解釈する人は1割程度,②メディアを介した情報の流通が人々の行動に与える影響に言及できる人は3割程度,③バイアスとメディアの関係が人々の行動に与える影響に言及できる人は1割程度であった.
著者
炭村 紀子 藤村 裕一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.112-119, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

GIGAスクール構想が始まり,学校現場でのICT活用支援の重要性は高まっている.支援人材として,ICT支援員,GIGAスクールサポーターなどの役割の違いは明確であるが,現場では理解されておらず,多様な支援を求めている.実際に教職員が求める具体的支援に関する研究は不十分である.そこでICT支援の実態調査と実証研究を通じ,その問題点やあり方を検討した結果,授業支援を中心とした「ICT活用教育支援員」への制度変更の必要性が示唆された.
著者
堀内 蓮太郎 手塚 和佳奈 三井 一希 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.72-77, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

本研究では1人1台端末の活用が,児童生徒の端末利用に対する意識に与える影響を調査することを目的として,公立小学校及び公立中学校に通う児童生徒を対象に,端末利用やクラウド学習ツールの扱いに関する質問紙調査を行った.調査の結果,日頃から1人1台端末を利用している児童生徒の方が,学校での学習のためや,関連資料を見るためにインターネットを閲覧していること,E-mailを使って学校での学習について他の児童生徒とより頻繁に連絡をとっているなど,授業外で端末を学習のために利用していることが示された.
著者
竹中 喜一 中井 俊樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.53-58, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

2017年4月以降,大学では知識・技能の習得ならびに能力・資質向上をさせるための研修(スタッフ・ディベロップメント: SD)が義務化されている.組織が研修を行う目的は,職場での行動変容や業績向上である.こうした研修転移を促すためのSD担当者養成研修を設計し,その実践について研修から約3ヶ月後に実施した質問紙調査により評価した.その結果,研修中に取り組んだ組織の人材育成ビジョンやSDの企画案作成が行動変容や業績向上を促している可能性が示唆された.一方で,職場の組織文化や受講者の担当業務といった課題が研修転移の阻害要因となっていることも明らかになった.