著者
中村 瑠香 工藤 綾乃 南條 優 若月 陸央 萩原 ほのみ 森下 孟 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.68-75, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,GIGAスクール構想下における,1人1台の情報端末のICTを活用した授業実践を把握し,小学校の授業実践に関するDXの現段階を検討することを目的として,2021年1月から2021年11月までに出版された「GIGAスクール構想」「1人1台端末」に関する書籍21冊に掲載された小学校の1人1台端末を活用した授業実践を,SAMRモデルを用いて分類した.その結果,①中学年になるとM・R(変換)の授業実践が増加すること,②教科全体ではS・A(強化)の授業実践が多いが,総合的な学習の時間ではM・R(変換)の実践が多いことが確認できた.
著者
松田 稔樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.204-211, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

1990年代の大綱化で,大学教育における教養教育と専門教育の比重に変化が生じた.近年では,資格取得に直結したカリキュラムを強調する例もある.その一方で,中教審大学教育部会などが教養教育の重要性を強調し,欧米のリベラルアーツ教育を範にしたカリキュラムを提供する大学もある.これらの動向をふまえつつ,本稿では,一般(教養)教育と専門教育とを峻別しつつ,それらをどう連携させるべきか,筆者が初等中等教育の教育課程編成のために提案した「新・逆向き設計」の考え方を援用して,より良い大学教育カリキュラムを設計する視点について考察する.
著者
大井 良知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.259-264, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

現在,学校教育において動画を活用する教育方法が注目を集めている.そこで,高等学校において,ARCSモデルの「A」つまり,学習者の注意を喚起し,学ばせたい物事への注意を向けさせる方策の側面から生徒の学習意欲を高める動画の設計方法を考え,動画を作成し,生徒に視聴させた.その後の試験の成績やアンケートの結果から,ARCSモデルに基づいた設計の動画教材によって学習意欲は高まるということがわかった.
著者
長田 尚子 デイヴィス 恵美 神崎 秀嗣 町田 小織 髙尾 郁子 田中 浩朗
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.33-40, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

高等教育の質保証のためにはカリキュラムや授業デザインの検討に加え,現場の教員による相互支援や情報共有等の継続的な活動が欠かせない.本研究では,多様な教員による教育実践コミュニティの働きや活動を通じた教員の経験を記述するパターン・ランゲージの開発を行っている.本報告では中間報告として,試行的開発の過程と結果を検討した.開発活動を通じてコミュニティへの理解が深まること,越境的な教育実践コミュニティが高等教育の質保証に有効であることが示唆された.
著者
酒井 浩二 吉川 秀樹 徳田 仁子 松本 しのぶ 千葉 晃央 西川 潤 中木 直子 高見 茂
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.3, pp.180-187, 2023-10-16 (Released:2023-10-16)

大学設置基準改正で,2019年度から大学は学部等が連携して編成する教育課程「学部等連係課程」を置くことができるよう制度化された.本稿では,学部等連係課程の特色を概観し,本学で設置された学部等連係課程「人間健康学群」を事例として,設置の背景,連係学部,教育プログラムの特徴を概説する.社会課題の発見・解決力を修得して社会で活躍するための教育課程として,学部等連係課程の効率性と有効性を考察する.
著者
高橋 純
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.82-89, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

1人1台端末を活用した高次な資質・能力の育成のための授業づくりに関する検討を行った.その結果として,1)複線型の授業展開とし,その実現のために子供自身が「問」に正対した「学習過程」の充実を行うこと,2)端末の活用では,クラウド環境を活かしたコミュケーションツールによる「白紙共有」「他者参照」「途中参照」といった学習状況の参照ができること,3)子供自身が,「問」,学習過程,学習形態,協働の相手やタイミング,端末活用のタイミング等を自己決定していく,等が重要であると示した.
著者
岡野 健人 藤川 大祐
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.274-279, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

ChatGPTをはじめとする大規模言語モデルを利用した生成AIが注目を集めている.活用のためには,その性質を理解し利点と欠点を考慮した上で使用するといった,生成AIリテラシーを身に着ける必要がある.本研究では,ChatGPT APIを用いて独自データ活用型生成AIチャットボットを製作することが可能なプログラムを作成し,学習者がチャットボットの製作を通して生成AIリテラシーを学ぶ教育実践デザインを検討した.
著者
小牧 瞳 郡司 日奈乃
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.182-189, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

OECDが2019年に提唱して以降注目の集まる"agency"概念は日本の教育にも影響を与える可能性が高い.本発表では,学習者が問題解決者となる場合に,次の5つの立場が示されることによって,学習者のagencyを発揮した授業デザインが可能になるという仮説を検証する.5つの立場とは,①問題が生じて困っているもの,②問題に関する情報を調べるもの,③問題について詳しいもの,④問題について詳しいものと学習者を繋ぐもの,⑤その他のステークホルダーである.
著者
名知 秀斗 向後 千春
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.154-161, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

本研究の目的は,発表年や教科,対象,研究の概要を整理した上で,初等中等学校の批判的思考教育において,eラーニングがどのように取り入れられてきたのか,研究資料を提示することとした.年別に整理した結果,2019年以前と比較すると,2020年から2023年の文献数が多いことが明らかとなり,これは新型コロナウィルスの影響受けたことが要因と推察された.また,小学生を対象とした研究数が少なく,国語科の研究は見受けられないことが明らかとなった.さらに,初等中等学校の批判的思考教育で使用されるeラーニングは,「WebQuest」「Webサイト学習」「Web情報の評価」「インタラクティブなアプリ学習」「オンライン交流」「コンセプトマッピング学習」「電子漫画」「動画学習」の8つに分類されることが明らかとなった.
著者
阿部 真由美 石川 奈保子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.105-111, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

大学3年生を対象としたゼミナールにおいて,2022年度春学期に反転授業形式で研究指導を行い,効果を検証した.その結果を踏まえ,同年秋学期には事前学習や授業内での活動を一部変更し,また,オンライン同期・非同期の授業形式を織り交ぜることで,多面的な授業を展開した.本発表では,秋学期終了後に行った受講生対象のインタビュー調査をもとに,授業デザインの各要素について検証した結果を報告する.
著者
溝口 侑 前川 悠 古賀 友樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.3, pp.101-108, 2022-10-03 (Released:2022-10-03)

「居場所」としてのラーニングコモンズに着目し,桐蔭横浜大学を事例として,学生エンゲージメント・大学生活充実度との関連を検討した.その結果,ラーニングコモンズを協働して学習する場として利用している学生が多いことが明らかにされた.そして,ただ友人としゃべるのではなく,勉強を教えてもらうことや一緒に発表の準備をするなど,協働して学習する目的でラーニングコモンズを利用することと,情緒的エンゲージメントに関連が見られることが示された.
著者
長田 尚子 デイヴィス 恵美 髙尾 郁子 神崎 秀嗣 田中 浩朗
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.3, pp.34-41, 2022-10-03 (Released:2022-10-03)

継続的な授業改善を支援するために,実践コミュニティの存在が重要な役割を果たすとされている.しかしながら,実践コミュニティを誰がどのように構築するのか,そこで参加するメンバーはどのように行動するのか,そこでの行動によってコミュニティがどのように発展するのか,等については十分解明されていない.本研究では,相互研修型大学横断型FDの機会を通じて発展した実践コミュニティについて,当事者によるパターン・ランゲージの開発活動における談話例を用いて考察を深め,FDの領域における実践コミュニティ研究に関する課題を明らかにする.
著者
武田 俊之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.135-140, 2021 (Released:2021-10-24)

データ利用による教育効果向上への期待と個人データの収集や分析手法の開発が先行する一方で,利用目的の精査,データ分析の効果,プロファイリングや目的外の利用等の課題について十分な検討がおこなわれているとはいえない.この発表では,教育におけるデータのライフサイクル,種類,教育研究との関連等の問題について論じる.
著者
武田 俊之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.3, pp.48-55, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)

「エビデンスに基づく教育」の推進において,明瞭なエビデンス概念や概念の共有は,実践・研究横断的なエビデンスを「つくる」「つたえる」「つかう」プロセスにおいて重要である.この論文でエビデンスに基づく医療について整理した上で,英米におけるエビデンスに基づく教育,特に仲介機関の役割を論じた上で,日本における受容およびその課題について述べる.
著者
遠藤 みなみ 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.27-31, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,クラウド上のスプレッドシートを利用して振り返りを入力する実践の初期段階における児童の意識調査を行った.その結果,児童は,スプレッドシートでの振り返りの効果については【今後の学習に役立つ】,【タイピングが速くなる】と回答した.効率については【修正がしやすい】,【速く書くことができる】と回答した.一方で,負担については【ファイルを開く手間】,【タイピングが大変】と回答した.不満については,【ネットの接続に時間がかかる】と回答した.
著者
大久保 紀一朗 板垣 翔大 佐藤 和紀 中川 哲 山本 朋弘 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.60-67, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,小学校第6学年を対象にAIの画像認識について理解する学習を開発し,児童のAIに対する理解や意識の変容から授業を評価した.授業は4単位時間で実施し,画像認識の仕組みについてAIについて体験的に理解する学習と,身近な問題解決にAIの活用を体験する学習を実施した.事前調査とAIについて体験的に理解する学習後の事後調査1,身近な問題解決にAIの活用を体験する学習後の事後調査2の結果の比較から,開発した学習プログラムの効果を検討した.