著者
堀 高夫
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.75-79, 1988
被引用文献数
3
著者
森川 靖 佐藤 明
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.11-14, 1976
被引用文献数
3

ヒノキ孤立木(樹高16m・胸高直径50cm) について樹液流速度と樹冠部の木部圧ポテンシャルの日経過をしらべた。木部圧ポテンシャルはヒノキ幼齢木のばあいと異なり,日の出後ゆるやかに低下した。木部圧ポテンシャルの最高値は日の出前後に,最低値は日中にえられた。樹冠部下層の木部圧ポテンシャルは上層のそれにくらべ1日をつうじて高かった。樹液流速度は木部圧ポテンシャルの日経過と対応した経過をたどった。幹上部の樹液流速度の変化に対して幹下部のそれはおくれを示し,こうしたおくれはくもりの日のばあい1日をつうじて,はれの日のばあい午前中にだけあらわれた。木部圧ポテンシャルと樹液流速度の日経過を整理してくらべてみると,本部圧ポテンシャルが低いほど樹液流速度ははやくなるが,上昇する割合は徐々にさがる傾向を示した。これらの結果から,大ぎな木では,樹体内のいろいろな通水抵抗によって水分不足を生じた部位への水補給がおくれ,さらに木部圧ポテンシャルが低下する可能性がたかいとかんがえた。
著者
柴田 勝
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.178-185, 1970

マツ類における交雑育種の研究のため,クロマツ×アカマツと,クロマツ×天然アイグロマツの組合せ交配 (13×20) を行なった。その結果,交配稔性(種子生産力)に関して次のことが明らかになった。<br> (1) 母本,父本間に顕著な稔性の違いがあり,いわゆる,一般組合せ能力に差異のあることが認められた。<br> (2) 父本の稔性値と雑種性との間には高い相関が認められたので交配稔性の差異は遺伝子構成の異なる2つの組織,すなわち,胚組織と雌性配偶体組織との親和性,または交互作用によると,推定された。<br> (3) 雑種性の指数としては,解剖学上針葉における2層以上の下表皮厚膜細胞数のほうが,樹脂道指数 (R.D.I.) よりはるかに相関が高かった。<br> (4) 交雑親和性遺伝子を有すると推定された特殊個体DEN S<sub>1</sub>が, 20の父本の一つに認められた。これは解割学上アカマッと分類される個体であるが,その高い稔性から,交雑親和性遺伝子を有する"潜在的雑種アイグロマツ"と定義できると思われた。
著者
鹽谷 勉
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.393-403, 1940-07-10 (Released:2008-12-19)
参考文献数
35
著者
南雲 秀次郎
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.346-351, 1982
被引用文献数
2

東京大学千葉演習林の人工林の施業計画を策定した結果に基づいて,森林の法正状態をいかに規定すべぎかという問題について考察した。これまでの諸条件は,法正状態に対して厳しすぎるものであり,これらが満たされない場合でも法正状態にあると考えてよい森林が存在しうることがわかった。そこで,齢級配置からつくられる累積分布を定義し,これに基づいて法正状態か否かを判定する方法を考えた。この方法は森林施業計画を策定するのに有効であることがわかった。
著者
櫻木 まゆみ 丸谷 知己 土肥 昭夫
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.147-152, 1999-05-16
被引用文献数
3

九州山地の大藪川流域(520ha)において, シカの生息密度や分布域の変化を樹木年代学的手法により再現した。幼齢造林地における枝葉被食木率と糞粒密度との関係やこれまでの研究例から, 樹皮被食木率が過去のシカ生息密度の指標として有効であることを示した。林齢と糞粒密度の関係から, 4〜10年生の幼齢造林地がシカの環境収容力が高いことを明らかにした。流域における1982〜1991年の幼齢造林地の増加は, 樹皮被食木率の増加と一致していた。1992年以降の幼齢造林地の減少により樹皮被食木率はさらに高くなった。この結果から, 幼齢造林地の拡大は環境収容力の増大とそれにともなうシカの集中を引き起こしたこと, さらに生息密度の増加とその後の幼齢造林地の減少によって, 採食圧が高まりシカが流域全体に分散したプロセスが明らかにされた。造林の規模や配置がシカの生息密度や分布域の変化に大きく影響していることから, 被害地におけるシカの増加プロセスを明らかにし, その各時期に対応した被害防止対策の必要性が示唆された。
著者
大庭 喜八郎 岡田 幸郎 塩田 勇 武藤 惇 岡本 敬三
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.438-443, 1965-12-25

約180本/0.1haからなる17年生のスギ人工林において、大、中および小直径級別に、それぞれ、5本ずつの母樹をえらび、1963年秋に採種した。この種子を施肥量のちがう播種床に直播し、幼苗の生長を調査した。肥料は化成肥料([○!林]スーパー1号)を使用し、1m^2あたり、それぞれ、600、300、150および0grの4段階とした。播種床には120×120×18(cm^3)の木型木伜を用い、底にビニールシートをしいた。この木枠に閃火ロームのやせた土をつめた。播極は線密度とし、長さ50cm、列間、6cm、幅1cm、深さ約0.5cmの播極溝に、それぞれ、200粒、100壮一汀よび50粒の3段階とし、4回の繰返区をもうけた。播種約6ヵ月後、幼苗を地際から切りとり、苗高と地上部乾物重とを測定した。各処理別に発芽率のちがい、または、その他の原因により生存数にちがいがあったので、各繰返し区ごとに密度補正をした。すなわち、母樹別、施肥量別に、乾物重は各繰返し区の生存本数とその平均乾物垂の対数とで、また、苗高は各繰返し区の生存本数とその平均苗高とにより回帰直線を計算し、それぞれの回帰直線を用いて50cmの播種溝あたり100、50および25本の生存数について、平均乾物垂、平均苗高の補正値を算出した。施肥量、生存密度の組合せで12の処理区があり、その各処理区に15母樹の実生集団がはいっている。平均乾物重および平均苗高について、施肥量、生存密度の組合せの12処理区のそれぞれの総平均値に対する各処理区内の母樹別平均値を対応させた回帰直線を}5母樹について計算した。この回帰係数は母樹別幼苗集団の肥料反応をしめすものと考えられ、回帰係数が大きいほど施肥効率が良いと推定される。直経級別により施肥効率をしめす回帰係数には朋らかな関係はないようである。しかし、母樹別には、乾物重、苗高の回帰係数には95%の信頼度でその信頼限界が重複しないものがあった。直播幼苗での生長調査であるため、種子重との関係を、母樹別1,000粒重と母樹別の平均乾物重、平均苗高それぞれの肥料反応をしめす回帰係数との相関を計算し、その回帰係数の有意性を検定したところ、いずれの場合も有意でなかった。
著者
大類 清和 生原 喜久雄 相場 芳憲
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.389-397, 1993
被引用文献数
10

スギ・ヒノキからなる五つの小集水域において,土壌水や渓流の水質調査を行い,土壌から渓流への水質変化過程について検討した。調査地は群馬県の渡良瀬川上流に位置する東京農工大学演習林内の小集水域である。土壌水から渓流水へとイオン組成が大きく変化し,とくにNa<sup>+</sup>とHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>の著しい濃度上昇がみられた。pHは土壌水では場所により4~7程度の値であったが,渓流水はどの小集水域でも7前後であった。Al<sup>3+</sup>の溶出はpH4.8付近以下で顕著にみられた。 pH4.8以上では,土壌水,渓流水ともCa<sup>2+</sup>濃度は主要陰イオン合計(Cl<sup>-</sup>+NO<sub>3</sub><sup>-</sup>+SO<sub>4</sub><sup>2-</sup>+HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>) の濃度と強い正の相関関係がみられたが,主要陰イオン合計の濃度が同じでも土壌水に比べ渓流水でCa<sup>2+</sup>濃度は低かった。 pH4.8以上ではSiO<sub>2</sub>濃度はHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度およびpHと正の相関関係がみられ,とくに渓流水はこれらの値が高く,母材風化による影響を強く受けていることが示唆された。 pH4.8未満では,逆にSiO<sub>2</sub>濃度はpHと負の相関関係がみられ,またH<sup>+</sup>濃度はNO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度と正の相関関係があり,硝化作用などによるH<sup>+</sup>の著しい増加で粘土鉱物の破壊の促進が示唆された。
著者
植村 恒三郎
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.701-705, 1935-09-10
著者
植村 恒三郎
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.10, pp.773-779, 1935-10-10
著者
中井 勇
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.335-338, 1990-07-01
著者
谷口 真吾 橋詰 隼人 山本 福壽
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.305-311, 2003-11-16
参考文献数
25

鳥取大学林山演習林のトチノキで花芽の分化と発育を調査した。トチノキの花芽は毛状鱗片の内側の成長点が円形に肥厚して花芽原基になった。花芽原基は急速に成長して花軸の周りに次々に小花を形成し,その中に葯と子房が分化した。8月中旬〜下旬には葯内に胞子形成細胞が,子房内に胚珠の原基が形成された。9月中旬には花粉母細胞と卵状の胚珠が観察された。花粉は翌年の5月上旬に形成された。5月中旬には子房の先端部に花柱が分化し,花糸と花柱が伸長して両性花が完成した。胚珠の退化した花では花柱が伸長せずに,花糸のみ伸長し,雄ずいが完成して雄花になった。花芽は9月中旬に冬芽の形状により外観で葉芽と区別できた。
著者
谷口 真吾 本間 環 山本 福壽
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.350-354, 2003-11-16
参考文献数
18

樹木の開芽の生理機構を明らかにすることを目的として,トチノキ(Aesculus lurbinata)休眠芽(頂芽および側芽)の伸長,開芽ならびに新条件発達に及ぼす10種類の植物成長調節物質処理の影響を調べた。頂芽の伸長はジベレリン(Gas)処理で著しく促進された。一方,2種のジベレリン生合成阻害剤(AMO1618,ウニコナゾール.P : UCZ-P)の処理区では抑制された。また側芽の伸長はGas処理で促進されるとともに,エスレル(ET),ジャスモン酸(JA-Me),AMO1618およびUCZ-P処理でも促進された。さらに頂芽と側芽の開芽はGasおよびJA-Me処理によって促進された。これらの結果,既定芽タイプであるトチノキの芽の伸長にはジベレリンが重要な役割を果たしているものと考えられる。また,開芽にはジベレリンとジャスモン酸が関与している可能性が高い。
著者
富樫 一巳
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.442-448, 1989
被引用文献数
3

材線虫病に自然感染したクロマツの衰弱時期と枯死過程の関係を明らかにするために, 1林分の全クロマツに対して樹脂滲出能の調査を5月から10月まで毎月行った。また,マツの葉色の調査を6月から10月までは毎週, 11月から5月までは毎月1~3回行った。 6月から9月までの間に衰弱しはじめたマツの場合,その大部分は衰弱した年に全葉が茶色~赤茶色になって枯れた(パターンA)。 枯死過程の完了までの平均時間は8, 9月に衰弱しはじめたマツより6, 7月に衰弱しはじめたマツのほうが長かった。 9月または10月に衰弱しはじめたマツの場合,衰弱した年にほとんどすべての葉が変色し,翌年全葉が茶色~赤茶色に変色するものがあった(パターンB)。 8月から10月の間に衰弱しはじめたマツには,衰弱した年に一部の葉が変色し,翌年になってほとんどの葉が変色し,その後すぐに全葉が茶色~赤茶色になる場合が見られた(パターンC)。 10月に衰弱しはじめたマツのうち少数のものは,衰弱の翌年の4月に一部の葉が変色し,遅くとも6月中旬までに全葉が茶色~赤茶色に変色した(パターンD)。
著者
安藤 貴 宮本 知子
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.47-55, 1972
被引用文献数
2

スギ苗の生長に及ぼす光の強さと密度の影響を知るために,光の強さと密度をかえて24通りに組み合わせた実験を行なった。1年生の苗を十分な陽光量の100, 76, 59, 47, 37および30%に庇陰したところに, 25, 59.2 123.5, 277.8本/m<sup>2</sup>の植栽密度で植栽した。 1生長期を経たあと,幹,根,葉の量を測定した。結果は次のとおりである。<br> 1) それぞれの光の強さにおいて,植栽密度の増加に伴い,平均個体重は減少したが,単位面積当たり現存量は増加した。また,それぞれの植栽密度において,光の強さと平均個体重または現存量の関係は量適曲線を描くのが認められた。<br> 2) 純生産量に及ぼす光の強さと植栽密度の効果は現存量と同じであった。弱度に庇陰処理された場合の純生産量の最大値は14.5t/ha・yrで,この値は,光の強さが100%の場合の最大値10.5t/ha・yrより大きい。葉の年間生産量は光の強さが100%の場合は3.1~6.Ot/ha・yrで,ギの幼~壮齢林とほぼ同じであったが,弱度に庇陰した高植栽密度の場合には7.5~9.5t/ha・yrで,幼~壮齢林のそれより大きい。<br> 3) 密度はロジスチック理論でいう逆数要因,光の強さは両性要因であることが認められたので,穂積の示した逆数式<br> 〓<br> ただし<i>w</i>: 平均個体重, &rho;: 密度, <i>L</i>: 光の強さ, <i>A</i><sub>1</sub>, <i>A</i><sub>2</sub>, <i>A</i><sub>12</sub>, <i>A</i><sub>2</sub>', <i>A</i><sub>1</sub>', <i>B</i>: 定数を適用した。計算健と実測値との誤差率は約20%程度であった。また,最適照度 (<i>L</i><sub>opt</sub>) は密度によって変わることが認められたので,<br> 〓<br> を求めたところ, &rho;&rarr;0の場合約60%, &rho;&rarr;&infin;の場合約83%という値が得られた。