- 著者
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高市 真一
- 出版者
- 日本植物生理学会
- 雑誌
- 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2004, pp.285, 2004
緑色硫黄細菌<I>Chlorobiaceae</I>は5属15種が知られている.<I>Chlorobium tepidum</I>は全カロテノイド,全ゲノム塩基配列,一部のカロテノイド合成遺伝子が同定された.クロロバクテンとγ-カロテンとその1,2-ジヒドロ体,OH-クロロバクテンとOH-γ-カロテンの配糖体C12:0エステルを持っている.<I>C. phaeobacterioides</I>はイソレニエラテン,β-イソレニエラテンが主成分で,微量のOH-クロロバクテンとOH-γ-カロテンの配糖体C12:0エステルも持っていた.数%の7,8-ジヒドロ-β-カロテンはニューロスポレンの両側がβ末端基に環化したと考えられる.<I>C. vibrioforme</I>はクロロバクテンとγ-カロテンが主成分で,微量のOH-クロロバクテンとOH-γ-カロテンの配糖体C12:0エステルも持っていた.数%の7,8-ジヒドロ-γ-カロテンはニューロスポレンの片側がβ末端基に環化したと考えられる.<I>C. limicola</I>はクロロバクテン,γ-カロテンだけでなく1,2-ジヒドロクロロバクテンや7,8-ジヒドロ-β-カロテンもあった.しかしカロテノイド配糖体エステルは見つからなかった.<I>C. tepidum</I>からCrtB, CrtP, CrtQ, CrtH, CrtC, CrtUが見つかったが,リコペン・シクラーゼ,糖転移酵素,C12:0脂肪酸転移酵素,1,2-飽和化酵素が必要であり,カロテノイドの多様性は基質特異性の違い,酵素の存在の有無によると考えられる.最近<I>Chlorobiaceae</I>内の分類が再編成された.