著者
菊池 建機
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.327-332, 1968-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
23
著者
青木 大 三品 美夏 川野 紗穂 渡邊 俊文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.433-438, 2021-07-20 (Released:2021-08-20)
参考文献数
11

犬の移行上皮癌に対して膀胱全摘出術を実施した64症例について,品種,性別,病理検査結果,治療方法,並びに予後調査を行った.本調査では発症年齢は10.7±2.2歳,雌雄差は雌40症例(62.5%),雄24症例(37.5%)と従来の報告に類似したものであった.品種は雑種,シェットランド・シープドック,ビーグルが好発品種であることが示唆された.予後については膀胱全摘出術64症例の生存期間は5~3,089日,生存期間中央値は205日であった.生存期間についての調査比較では,膀胱壁への浸潤度による差において,粘膜固有層,筋層,並びに漿膜までの浸潤の3群間において有意差を認めた.今回の回顧的調査から,犬の移行上皮癌に対しての膀胱全摘出術は半年以上の生存が期待でき,治療において有用な治療方法の一つになることが示唆された.
著者
成嶋 理恵 笛吹 達史 小川 孝 嶋崎 智章
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.630-633, 2010-08-20 (Released:2016-09-07)
参考文献数
8
被引用文献数
5 5

猫内在性レトロウイルス(RD114ウイルス)はすべての猫の体細胞と生殖細胞内に内在化していることから,猫由来培養細胞を用いて製造される猫用混合生ワクチンに混入することが懸念される. 最近,Miyazawaらはいくつかの猫用弱毒生ワクチンにRD114ウイルスが混入していることを報告した[Journal of Virology]. そこで,国内既承認ワクチンにおけるその混入状況をLacZ マーカーレスキュー法によって調査した結果,供試ワクチン(4製剤,計30製品)の30%から感染性RD114ウイルスが検出された. 今回の報告はわれわれがワクチン中に感染性RD114ウイルスが存在することを実証したものである. これまでRD114ウイルスの猫に対する病原性およびRD114ウイルスの混入する当該ワクチンの接種による副作用については,いまだ明確ではない. また,同一のワクチンが製造販売されている欧米においても特段の規制措置は講じられていないことから,われわれは,現段階ではこれらのワクチンに対して緊急的な措置を講じる必要はないと結論付け,今後とも有用情報収集に努めることとした.
著者
加藤 敏英 遠藤 洋 酒井 淳一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.852-858, 2013-12-20 (Released:2014-01-20)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

2004~2012年度にかけて,山形県内の臨床的に健康な1~11カ月齢の肥育牛合計1,098頭の鼻汁を採取し,牛肺炎起因菌の分離同定を実施するとともに分離菌株の薬剤感受性を調べた.その結果,Mannheimia haemolytica(Mh)が225頭(20.5%)225株,Pasteurella multocida(Pm)が835頭(76.0%)835株,Mycoplasma bovis(Mb)が412頭(37.5%)412株及びUreaplasma diversum(Ud)が270頭(24.6%)270株,それぞれ分離された.これらの菌種がまったく分離されなかったのは108頭(9.8%)であった.全調査期間を通じ,MhとPmはエンロフロキサシン(ERFX)とフロルフェニコールに高感受性(MIC50; ≦0.031-0.5mg/l,MIC90; ≦0.031-2mg/l)を示した.また,MbとUdはERFXに高感受性(MIC50; 0.2-0.78mg/l,MIC90;0.25-3.13mg/l)を示したが,一部のMbはマクロライド系に対し著しい低感受性(MICレンジ; TS 1-100mg/l≦,TMS 2-128mg/l≦)を示した.
著者
田村 悠 魚住 大介
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.145-148, 2018-03-20 (Released:2018-04-20)
参考文献数
14

症例はシーズー,去勢雄,12歳齢で,急性の嘔吐と腹囲膨満を主訴に来院した.腹部X線検査にて胃拡張が疑われたため,経皮的減圧を行った.胃からは約1l のガスと液体が抜去された.その後,状態は安定したため経過観察とした.6日後の再診時には一般状態に問題はなく,食欲及び排便も正常であった.しかし,その1カ月後に再度腹囲膨満を呈し,腹部X線検査にて胃拡張捻転症候群が疑われた.一般状態は良好だったため,再度経皮的減圧を行い一晩様子を観察したが,改善が認められなかったため,開腹手術を行った.胃は捻転し,脾臓及び小腸の変位が認められた.腹腔内臓器を整復した後,ベルトループ胃腹壁固定術を実施した.胃拡張捻転症候群は小型犬では報告は少ないが,本症例においては雪の多食が発症に関与した可能性が考えられた.
著者
三宅 陽一 金田 義宏 原 茂雄 藤井 義雄
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.267-271, 1988-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

犬, 猫の避妊手術に起因する弊害を知る目的で, 当家畜病院で過去9年 (猫の場合は8年) の間に卵巣割去術, もしくは卵巣子宮全摘出術を受けた雌犬95頭, 雌猫162頭の畜主にアンケート調査を行った.その結果, 手術後に子宮蓄膿症候群を発症したものは犬, 猫ともに0%, 乳房 (腺) 腫瘍の発症はそれぞれ1.6%, 2.0%と低かった.しかし, 手術後に体重が手術前に比べて1.5倍以上になったものは10.9%(犬), 6.7%(猫) にみられた. また, 脱毛や皮膚病, 尿失禁や尿閉の発症が, 犬・猫ともに少なからず認められた. さらに, 不可能であるにもかかわらず, 産子を得たいとする畜主 (犬で19.4%, 猫で9.4%) が少なくないことが注目された.
著者
横山 宏美 金本 勇
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.165-167, 1997-03-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
3

離乳時から嚥下困難を呈した雄のパピヨン種5ヵ月齢, 体重1.1kgに対して, X線透視像ビデオ撮影検査を行った. 輪状咽頭筋の弛緩が悪く, 咽頭の収縮と輪状咽頭筋の弛緩に協調性が認められなかったことから, 輪状咽頭筋の機能障害と診断した. この症例に対し, 輪状咽頭筋切開術を実施したところ, 良好な経過をたどった.
著者
緒方 篤哉 清水 浩 佐敷 諭 山口 明
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.231-234, 1999-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

起立困難あるいは不能を呈した乳牛 (27例) にオゾン自家血液療法を実施したところ, 臨床的に明らかな鎮痛効果を示すとともに起立行動が容易となり, 血清GOTおよびCPK活性は短期間で有意に下降し, 27例中17例 (63%) が治癒した.
著者
伊藤 直之
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.701-708, 2013-10-20 (Released:2013-11-20)
参考文献数
59
著者
小林 沙織 佐々木 淳 御領 政信 内田 直宏 井口 愛子 山﨑 真大 佐藤 れえ子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.215-221, 2019-04-20 (Released:2019-05-20)
参考文献数
17

常染色体優性猫多発性囊胞腎(feline autosomal dominant polycystic kidney disease:fADPKD)は,人ADPKDと類似した病態をとる.肝囊胞を有するfADPKDの猫3例の臨床病理学的検討を行った.肝臓の病理組織学的検査及び肝囊胞液の分析を実施した.3例は,すべてペルシャ種の雄であった.2例の肝臓に限局性で多房状の肝囊胞を認め,1例に大きな単胞性肝囊胞を認めた.大部分の肝囊胞は肝葉辺縁部に位置していたが,組織学的に,微小な肝囊胞が肝実質内にも認められた.肝囊胞は,一層の低立方状細胞で内張りされていた.肝囊胞液は,血清と比べ,K+及びBUN濃度は高く,Na+,Cl-,Cre濃度は類似していた.いずれの症例とも,肝機能低下を示唆する血液検査所見は認められなかった.
著者
田中 茂喜 佐々木 崇文 石黒 奈央 浦野 孝太郎 小山 秀一 木村 勇介 町田 登
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.162-166, 2019-03-20 (Released:2019-04-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

爪床悪性黒色腫の心臓転移がみられた犬の完全房室ブロック(CAVB)症例について,ブロック発生の形態学的基盤を明らかにすべく,心臓刺激伝導系を中心に詳細な病理学的検索を施した.本例は,死亡する11カ月前に右前肢の第5指に発生した悪性黒色腫の外科的切除術を受けていた.剖検時,心臓の割面では暗褐色〜黒褐色の腫瘍組織が,心筋層内に多発性の増殖病巣を形成していた.病巣部の組織学的検索により,悪性黒色腫の心臓転移と診断された.腫瘍性のメラノサイトは房室接合部領域にも重度に浸潤しており,房室結節は完全に消失していた.この病的機転はヒス束貫通部をも巻き込んでおり,当該部位の伝導系細胞は全長にわたって消失していた.このような房室伝導系病変が,インパルスの房室伝導を遮断したものとみなされた.
著者
上田 八尋 吉田 慎三 中野 幸雄 田谷 与一 金井 淳 杉町 剛美 沖坂 重邦 矢島 保道
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.196-200, 1977

Intraepithelial squamous cell carcinoma of the eye was encountered in two horses. It appeared on the conjunctiva of the left eye as a tumor of red-bean size and progressed to cover the lateral half of the cornea in about 3 months in a Thoroughbred stallion 16 years old produced in Ireland. It developed on the nictitating membrane of the right eye as a tumor of red-bean size in a Clydesdale stallion 10 years old produced in New Zealand. It was removed surgically in both horses under general anesthesia. Neither recurrenc e nor dysfunction was observed in these horses more than 6 months after operation.<BR>Biopsy on both cases revealed abnormal cornification of the middle layer of the epithelium, abnormality in cell division, and the appearance of clumping cells.
著者
佐川 真由美 金子 武生 赤川 志郎 小野 憲一郎
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.871-874, 1995-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8
被引用文献数
4 8

給餌後の血漿クレアチニン (Cre) 値の増加の割合と摂食フード中のCre含有量とは高い相関性を有し, 高Cre含有フード給餌猫では血漿Cre値が摂食前値に復するまで約24時間を要した.猫の血漿Cre値の評価に当たっては, 給餌の影響を考慮する必要があると考えられた.
著者
濱口 芳浩 平井 良夫 谷山 敦 合澤 正哲
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.407-410, 1998-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8

実のついたモロヘイヤを黒毛和種繁殖母牛に給与したところ, 食欲不振, 下痢などの症状を呈して2日後に3頭が死亡し, 剖検では心外膜下の点状出血ならびに心内膜下出血が認あられた. 病理組織学的には心内膜に著明な出血, 脾臓に出血およびヘモジデリン沈着, 肝臓にうっ血が認あられた. モロヘイヤの実および死亡牛心臓の塩基性抽出液 (Stas-Otto法) から薄層クロマトグラフ法でストロファンチジンが検出され, モロヘイヤの実のエタノール抽出液を腹腔内投与されたマウス3匹中2匹が死亡した.
著者
芝崎 繁樹 唐牛 靖吾
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.351-354, 1982-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
7

犬の取り扱いについては, 従来より針金による方法が用いられているが, 腕1本を頼りとした非常に危険をともなう作業である. 今回著者らは, 野犬の捕獲および大型犬の取り扱いに対して, 吹き矢麻酔の応用を行ったところ, 有効な結果が得られたので報告する.
著者
大和田 孝二 村上 隆之 寺原 重昌 熊元 一徳 岩隈 和久
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.7-10, 1999-01-20
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

1987~1997年に宮崎県内の食肉検査所で採取された豚の奇形心324例を解剖学的に観察した, 大動脈狭窄が224例 (69.1%) で最も多く, 次いで心内膜床欠損37例 (11.4%), 心室中隔欠損32例 (9.9%) であった. 大動脈狭窄と心内膜床欠損が多いことはこれまでの報告とほぼ一致し, 豚の心奇形の特徴と考えられた.
著者
渡辺 樹 中島 弘美 門田 耕一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.269-274, 2005-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
22

食肉検査時に発見された豚の子宮腫瘍16例を病理解剖学的, 病理組織学的および免疫組織化学的に検査した.腫瘍を認めた豚はすべて2~4歳の繁殖豚で, 単発性が9例, 多発性が7例で, ほとんどが子宮角に存在していた.腫瘍細胞は束状および渦巻状配列を示し, 交錯していた.核は楕円形から長楕円形で, 両端が鈍であった.免疫染色では全症例の腫瘍細胞が, α-平滑筋アクチンとデスミンに対し陽性反応を示し, 15症例中13症例がビメンチンに陽性であった.これらの成績から検索した子宮腫瘍はすべて平滑筋由来と考えられた.一般に腫瘍細胞の核分裂像は目立たなかったが, 強拡大で10視野あたり4~5個みられる症例が1例あった.増殖細胞核抗原陽性細胞は, 0~85%とさまざまであった.他臓器への転移がなく, 核分裂像も少ないことから, すべての症例を良性腫瘍と診断した.