著者
内田 節也 宮本 譲 佐伯 百合夫
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.39-41, 1982

ヂャイアントシュナウザー, 雄, 7才, およびチャウチャウ, 雌, 13才の2頭の犬に, 心臓原発の血管肉腫を認めた.腫瘍は右心房に発生して広汎な転移を伴っていた.2例とも右心房の腫瘍病変が破裂して心臓タンポン症を起こし急死したものである.
著者
平賀 武夫 阿部 光雄
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.456-460, 1985-07-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
33
被引用文献数
3 3

これまで3回の正常な出産歴をもった5才のホルスタイン種乳牛が, 長期在胎のため廃用屠殺され, その子宮内に無脳症胎子が認められた. この胎子は外観的に頭部を完全に欠如し, 剖検により非常に発育の悪い頭蓋と, その内部に延髄のみと思われる神経組織が認められた. 頭蓋破裂は認められなかった.その他, 泌尿生殖器の奇形, 胸椎と肋骨の減数, 胸骨の形と骨化の異常および鎖肛なども認められた. 本例は過去の報告例と比較検討した結果, 重度の無脳症と考えられた.
著者
安田 宣紘 阿久沢 正夫 冨宿 誠吾 松本 光春 伊澤 雅子 土肥 昭夫 鑪 雅哉
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.18-20, 2000-01-20
被引用文献数
1

1996年9月~1999年1月にツシマヤマネコの死体10例が, 長崎県対馬にある環境庁対馬野生動物保護センターに回収された. 死因は交通事故7例, 咬傷によるもの2例, 原因不明1例であった. 咬傷の原因は1例は不明であったが, 1例は犬によるものであった. 原因不明例には外傷はなく, 消化管内に多数の内部寄生虫が認められた.
著者
中村 信孝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.12-14, 1956-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
1

1) 考案した牛の胃内鉄片摘出器を用い, カウテクター反応陽性の牛から摘出を試みた. 約66%において完全に金属の摘出が可能であった.2) 人工的に嚥下させた釘の摘出を試みたが, 第2胃に沈下した釘は完全に摘出できた.3) 小型の棒状磁石を牛に人工的に嚥下させ, 胃内の鉄片をこれに吸着せしめておき, 本器でこれを摘出する方法を試みた. 投与磁石が第2胃にあれば摘出は可能であった. この試験によって, 本試験のように牛に予め磁石を第2胃内に投入しておき, ある期間の後これを取出せば, 創傷性胃炎, 心嚢炎の予防が比較的容易に実行し得るように考えられしる.4) 第2胃底に沈下したマグネットは径約10cm位遊動するようであるから, この範囲内にある遊離状態にある鉄片はほとんど完全に摘出することが可能と思われる.5) 本器を連続2~3回使用しても牛になんらの障害も起さない. 終りに臨み, 御指導を賜わった農林省家畜衛生試験場北陸麦場長吉田博士, 東大臼井講師に深甚なる謝意を表し, 木器の作成と実繋に対し絶大なる御協力と御援助を賜わった新潟鉄工, 本村技師, 共済連郡支部阿部麦部長, 趣支部今成の諸氏に深謝する.
著者
松村 健太 細川 愛美 伊藤 大輔 茅野 順子 杉田 祐司
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.457-461, 2020-08-20 (Released:2020-09-20)
参考文献数
19

血尿,元気消失を主訴に来院した犬の左側近位尿管内に占拠性病変と同側の水腎症を認めた.腎盂内減圧処置の後,開腹下で腎臓経由の生検を実施したが確定診断は得られず,病理診断は「移行上皮由来の腫瘍の可能性」であった.減容積により罹患側尿管の疎通は認められ,ピロキシカムを659病日まで投与継続したが,大きな変化がないため投薬を中断した.965病日に症例は元気消失,血尿を主訴に再度来院し,左側尿管の再閉塞を認めた.経過から良性挙動の病変の可能性が高いと判断し,尿管切開により姑息的に腫瘤を除去したところ,病理検査結果は移行上皮乳頭腫であった.術後1年経った現在,再発徴候はなく症例は良好な一般状態を保っている.犬の尿管腫瘤は良性病変についても複数報告されていることから,罹患側の腎臓尿管摘出だけでなく,診断を兼ねた減容積手術も診断・治療選択になる可能性がある.
著者
佐々木 崇文 中尾 周 木村 勇介 平川 篤 町田 登
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.315-320, 2020-06-20 (Released:2020-07-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

第3度房室ブロックを示した猫22例の心臓について,詳細な病理学的検索を実施した.これら22例の基礎心疾患は,肥大型心筋症10例,拘束型心筋症(心内膜心筋型)3例,不整脈源性右室心筋症2例,陳旧性心筋梗塞1例であり,残り6例の心臓に明らかな病的変化は認められなかった.房室接合部の組織学的検索では,基礎心疾患の有無やその種類に関係なく,全例の中心線維体基部と心室中隔頂上部に重度の線維増生(心臓骨格左側硬化)が認められた.こうした病的変化は同領域を走行する房室伝導系を巻き込み,伝導系細胞の脱落を引き起こしていた.なお,房室伝導系の重度傷害はヒス束分岐部から左脚上部に主座しており,高齢者にみられる特発性ブロックの原因であるLev病に類似していた.
著者
新井 智 田中 政宏 岡部 信彦 井上 智
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.377-382, 2007-05-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
20

世界保健機関 (WHO) の勧告によると, 犬の狂犬病は流行している地域の犬の70%にワクチン接種を行うことによって排除または防止できるとされている. 近年, Colemanらは米国, メキシコ, マレーシア, インドネシアで報告された犬の狂犬病流行事例を利用した回帰分析の結果から犬の狂犬病流行を阻止できる狂犬病ワクチン接種率の限界値 (pc) の平均的な推定値を39~57%と報告している. しかしながら, 上限95%信頼限界でのpcの推定値は55~71%であり, ワクチン接種率が70%の時に96.5%の確率で流行を阻止できるとしている. 理論的にはpcが39~57%の場合でも流行の終息が可能と報告されているが, 公衆衛生上の観点から流行を長引かせないで被害の拡大を最小限に押さえるためには, 狂犬病の発生を的確に発見して流行を迅速に終息させる追加施策が必要になると考えられる.
著者
片岡 アユサ 片岡 智徳 田邊 美加
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.761-766, 2019-12-20 (Released:2020-01-20)
参考文献数
11

11歳,雄,体重18kgのシェットランドシープドッグが,起立困難と跛行を主訴に来院した.その後,横臥状態となり,右後肢にガス壊疽が認められた.患部の細胞診ではクロストリジウム属を疑う芽胞菌が観察され,broad-range PCRを利用した遺伝子解析にてClostridium novyi と確定した.抗菌薬投与などの治療を行うも斃死した.犬において,クロストリジウム性筋炎やガス壊疽はまれな疾患であり,またその原因菌としてClostridium perfringens とClostridium septicum などの報告はあるが,Clostridium novyi の報告はない.
著者
岡田 啓司 加崎 弘康 東郷 幸 冨澤 伸行 原 茂雄 金田 義宏
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.673-676, 1995-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13

健康なビーグル犬各7頭に, 消風散, 当帰飲子, 小柴胡湯および小青龍湯の漢方方剤1.25g (小青龍湯は1.5g) を朝, 夕2回に分割して連続7日間経口投与したところ, 消風散を除く3方剤により, Compound 48/80に対する皮内反応を指標とした肥満細胞脱顆粒作用は有意に抑制され, 当帰飲子を除く3方剤により, リン酸ヒスタミンに対する皮内反応を指標とした抗ヒスタミン作用は有意に増強された. また, 小青龍湯および小柴胡湯投与開始後7日には, 血中Cortisol濃度が投与開始前に比べて有意に増加した.
著者
山崎 翔子 岩本 百合子 金谷 和明 畠山 薫 上原 さとみ 鈴木 淳
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.495-499, 2019-08-20 (Released:2019-09-20)
参考文献数
30

都内ペットショップで飼養されている犬及び猫の病原体保有状況を調査した.54施設において,犬364頭から糞便355検体及び被毛361検体,猫113頭から糞便111検体及び被毛112検体を採取した.動物由来感染症の病原体として,Campylobacter jejuni(犬糞便5検体),Giardia intestinalis(Assemblage A)(猫糞便2検体),病原大腸菌(EPEC O119:NM)(猫糞便1検体),皮膚糸状菌(犬被毛4検体,猫被毛4検体)が検出された.施設内に病原体が持ち込まれることを前提とした検疫体制の整備と,施設内での交差汚染を防ぐための衛生管理が重要であると考えられた.
著者
岡野 公禎 木村 太郎 鈴木 亮一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.99-104, 2018-02-20 (Released:2018-03-20)
参考文献数
19

犬42頭の不妊手術に対し,麻酔導入15分前にブトルファノール(BTR)0.4mg/kgの静脈内投与もしくはモルヒネ(MOR)0.5mg/kgを皮下投与した群(pre-B群n=14,pre-M群n=14)と麻酔導入後に投与した群(post-B群n=7,post-M群n=7)に分類し,気管挿管に必要なアルファキサロン(ALFX)の麻酔導入量を検討した.ALFXの麻酔導入量は,pre-B群(1.59±0.26mg/kg)がpost-B群(2.45±0.36mg/kg)に対し35.1%の減少を示し,pre-M群(1.30±0.38mg/kg)はpost-M群(2.42±0.52mg/kg)に対し46.2%の減少を認めた(P<0.05).ALFXの麻酔導入量はBTR及びMORの麻酔前投薬により減少した.
著者
田村 和也 永原 美治
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.491-494, 2019-08-20 (Released:2019-09-20)
参考文献数
8

飼育犬において歯周炎の有病率は高く,治療にあたる機会の多い疾患である.歯周基本治療後に深い歯周ポケットが残存する症例では,新付着の獲得を目的に歯周組織再生療法が選択される場合がある.人歯科医療において,2016年9月に新規歯周再生療法医薬品としてトラフェルミン(リグロス®,科研製薬㈱,東京)が製造販売承認された.本研究では,骨欠損を伴う自然発生的歯周炎に罹患した犬3頭に対するトラフェルミンの治療効果を検討した.同一患畜犬の口腔内で治療側と対照側を比較するスプリットマウスモデル法を用いた試験結果から,トラフェルミンの歯周組織再生における有効性を認めたので報告する.
著者
相馬 武久 安川 明男 甲斐 一成
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.89-93, 2002-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

本邦の家庭猫における猫免疫不全ウイルス (FIV) 抗体, 猫白血病ウイルス (FeLV) 抗原および猫コロナウイルス (FCoV) 抗体の陽性率を検討した. 胸・腹水貯留により猫伝染性腹膜炎 (FIP) が疑われた症例でのFIVとFeLVの陽性率はそれぞれ26.3%, 36.8%で, 健康猫 (FIV9.3%, FeLV8.1%) に比べ高い値を示した. 上部気道炎を呈する症例でのFIVとFeLVの陽性率はそれぞれ35.7%, 21.4%で, 健康猫に比べ高い値を示した. 以上の成績から, FIVやFeLVの感染がFIPや呼吸器感染症の顕性化の一因である可能性が示された. 一方, 健康猫におけるFCoVの陽性率は47.7%と, FIV, FeLVに比べ高く, FCoVの野外での伝播力の強さがうかがわれた. また, 貧血症例が66.7%ときわめて高いFeLV陽性率を示したことから, 貧血を伴う症例においてFeLV検査は不可欠な診断手段であることが示された.
著者
浜名 克己
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.29-38, 1989-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
151
被引用文献数
2 3