著者
西山 邦隆 沢田 幸正 細川 可興 臼谷 三郎
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.181-186, 1978

In application of organophosphorus pesticides (800-fold dilution of Sumithion and 1500-fold dilution of Diazinon) for the control of disease and insect damages to apples, the amount of exposure to the pesticides, blood levels of the pesticides, and liver function tests of the workers engaging in the application work were observed. Its summary was as follows;<BR>1. The concentration of pesticides inhaled by each worker engaging in the fixed piping joint control was calculated as 0.030&plusmn;0.042mg/m<SUP>3</SUP> (mean&plusmn;S. E.).<BR>2 Analysis of the correlation between the inhaled amounts of pesticides and the air velocity disclosed that was a statistically significant positive correlation between the two parameters. Therefore, it will be necessary for the workers engaging in the application of pesticides to amply consider the factor of wind in actual application.<BR>3. Both the serum levels of organophosphorus pesticides and the urinary excretion of p-nitro-m-crezol measured were low.<BR>4. In view of the above-mentioned current amounts of exposure to pesticides, no acute effects of the pesticides were manifest on the liver function tests.<BR>5. However, because the fixed piping joint control system employs the lance application (hand application), the applicator is more liable to be exosed to large amounts of pesticides, the exposure amount being 2.7 times that of speed sprayer (SS) operator.<BR>6. It is not rare that women and the aged engage in the fixed piping joint control; therefore, it is necessary to educate ample care in the protection of workers from exposure to pesticides.
著者
河合 正計 吉田 政雄 古山 公英 金子 芳洋
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.101-110, 1986
被引用文献数
2

りんご園において動力噴霧機によりフェニトロチオン(MEP)水和剤1,000倍液を散布した時の散布者の被ぼく量とその影響について検討したo散布者は不織布性防除衣, スミトモ3Mマスク, ゴム手袋などを着用した。推定全身被ばく量は散布時のノズル竿の長さにより異なり, 短い方(平均217mg)が長い方(平均44mg)より多かった。散布時の推定皮膚接触量は1.2-23.9mgで, MEPのラットにおける急性経皮毒性より考えても, また,散布者の口元付近の気中MEP濃度から考えても今回の散布条件は安全であると考えられた。<BR>散布直後の血液中では全員にMEPが検出(0.0004-0.0222ppm)され, 1日後では9名中4名に0.0004-0.0009ppm検出されたが, 3目および7日後には全員検出されなかった。<BR>体内に吸収されたMEP量を知るために, 尿中MEP代謝物のすべてをNMCとして測定した結果, 散布後24時間内では全員に0.19-1.43mg排泄されたが, 3日後のスポット尿では9名中1名(0.19ppm)のみ, 7目後では全員に検出されなかった。これらのことからMEPは迅速に代謝, 排泄されるが,散布により体内にごく微量ではあるが吸収されるので, 連日散布はできるだけさけるべきである。<BR>今回の散布条件においては今回の防護装備で, 安全に散布しうると考えられるが, できるだけ吸収農薬量を少なくするため, 散布後できるだけ早く, うがいや身体の洗浄をすることが望ましい。
著者
野村 恵美 鎌田 恭子 久保 知子 福岡 達仁 碓井 裕史
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.53-60, 2007 (Released:2007-09-28)
参考文献数
11

肥満の成立には食物の摂取量,食習慣や運動量の他に遺伝素因も関与することがわかってきた。β3アドレナリン受容体遺伝子には安静時代謝量が低下する多型があり,日本人の約30%が該当する。減量指導にこの遺伝子の多型を調べ応用した。対象は職域健診でBMI (体格指数) 24以上の男女で,遺伝子検査を承諾し,生活習慣病の治療を受けていない45人 (男性39人,女性6人) とした。遺伝子多型は静脈血白血球から抽出したDNAを用いて,PCR法および制限酵素切断法により解析した。β3アドレナリン受容体の遺伝子型は変異なし群33人,変異あり群12人であった。保健師が各人の生活習慣や食行動を調査し,職域を巡回して,遺伝子検査結果の説明および減量のための個別指導をおこなった。指導開始から3か月後にBMIの低下した人は変異なし群75%,変異あり群92%で,いずれの群も指導前に比べBMIは有意に低下した。指導8か月後では変異なし群で57%,変異あり群では67%の人にBMIの低下が見られた。ただし,どの時点においても遺伝子の変異あり,なし両群間におけるBMIの変化に有意差を認めなかった。また,変異なし群は49%,変異あり群は75%に行動変容が認められ,約80%の人が「自分の身体に興味が持てた」や「ダイエットのきっかけになった」など遺伝子検査を受けて良かったと答えた。遺伝子解析結果を応用することで個別性のある減量指導をおこなうことができた。
著者
雫田 研輔 畑 幸彦 石垣 範雄 高橋 友明 田島 泰裕 三村 遼子 前田 翔子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.940-945, 2017-01-31 (Released:2017-03-18)
参考文献数
8

腱板断裂術後に肩関節可動域や腱板の修復状態は良好だが,肩すくめ動作が改善せず肩関節挙上が困難な症例をしばしば経験する。今回,肩すくめ動作が肩関節周囲筋の筋活動パターンに及ぼす影響を明らかにする目的で調査したので報告する。対象は肩関節に愁訴のない若年健常者50例50肩(男性27例,女性23例,平均年齢26.3歳)である。被験者を利き腕が上になるような側臥位にしてスリングで上肢を吊るし,特に指示を与えず自由に行なわせた前方挙上(N 群)と肩をすくめながら行なわせた前方挙上(S 群)の2 種類の運動を行なわせた。同時に,表面筋電計を用いて利き腕の三角筋前部線維,中部線維および後部線維,僧帽筋上部線維,中部線維および下部線維の活動量を測定し, 2 群間で比較検定した。僧帽筋において,S 群はN 群より上部線維の活動量は促進され,下部線維の筋活動量は抑制されていた。また三角筋においてS 群はN 群より前部線維と中部線維の活動量が抑制されていた。したがって,肩すくめ様の挙上パターンが挙上筋力の低下を引き起こすことが分かった。
著者
桂 敏樹 野尻 雅美 中野 正孝
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-10, 1998-05-30
参考文献数
40
被引用文献数
1

健康的なライフスタイルを悪化させる出来事を明らかにするために地域住民を対象に健康習慣の総体であるライフスタイルに及ぼす生活上の出来事の影響力を比較検討した。<BR>多変量解析の結果, 以下のことが明らかになった。<BR>1. ライフスタイルと有意な関連が認められた出来事は夫婦喧嘩, 夫婦別居, 借金, 帰省, 親友の死, 浮気, 収入の変化, 会社の倒産等であった。<BR>健康なライフスタイルにする出来事は浮気, 解雇, 帰省などであった。一方, 不健康なライフスタイルにする出来事は夫婦別居, 夫婦喧嘩, 会社の倒産などであった。<BR>2. 性別にみると男性でライフスタイルと有意な関連が認められた出来事は帰省, 収入の減少, 夫婦喧嘩, 結婚, 親友の死, 浮気, 解雇, 借金であった。<BR>健康なライフスタイルにする出来事は解雇, 帰省, 浮気, 妊娠などで, 不健康なライフスタイルにする出来事は夫婦別居, 夫婦喧嘩などであった。<BR>一方, 女性でライフスタイルと有意な関連が認められた出来事は結婚, 個人的な成功であった。<BR>健康なライフスタイルにする出来事は個人的な成功, 離婚, 退職などで, 不健康なライフスタイルにする出来事は会社の倒産等, 配偶者の死, 夫婦喧嘩などであった。
著者
浅沼 信治 臼田 誠 安藤 満 松島 松翠 渡辺 俊一 近藤 武 田村 憲治 櫻井 四郎 陳 雪青
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.124-131, 1999-07-20 (Released:2011-08-11)
被引用文献数
1 1

石炭燃焼に由来するフッ素症を調査するため, 日中共同研究を行った。研究は1994年から5年計画で, 日本農村医学会のメンバーと中国衛生部予防医学科学院との問で, 屋内フッ素汚染の調査と健康影響に関する共同研究として実施した。大規模な中国現地調査期間は1995年から1997年の3年間である。調査地域は, 汚染のない対照地域1か所と汚染地域2か所の3地域である。いずれも飲料水にはフッ素汚染のない地域である。調査は, フッ素暴露集団における健康状態を把握し, フッ素症発生と健康状態を検討することを目的に, 屋内外大気汚染濃度の測定と, 小学生高学年50人, 中学生50人, その親100人, 患者50人をそれぞれの地域で選び, 尿中フッ素濃度の測定, 尿中成分分析, 歯牙フッ素症と骨フッ素症の確定診断を実施した。その結果, 水のフッ素汚染がない地域で, 石炭燃焼に由来するフッ素症発症の確認がされた。しかも, その発症は, 石炭燃焼によって汚染された屋内大気中フッ素を直接吸入することによるものではなく, 屋内大気で汚染された穀物の摂取によるものであった。フッ素は石炭だけでなく, 火力調整用に混ぜられる土壌にも多く含まれ, 汚染に大きく寄与していた。汚染の代表的な作物は唐辛子, トウモロコシ, ジャガイモであった。また, 汚染地区住民の尿中にフッ素が大量に検出された。
著者
吉村 隆 北山 秋雄
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.548-561, 2018-01-31 (Released:2018-03-13)
参考文献数
48
被引用文献数
1

近年,様々な分野で注目されているソーシャル・キャピタルの概念に注目し,地域特性に配慮した質問紙を用いて量的な調査を行なうことで,中山間地域のソーシャル・キャピタルを探究した。質問紙の項目は,個人の属性10項目,ソーシャル・キャピタルに関連する36項目から構成されている。この質問紙を中山間地域と都市部に居住する40歳以上の男女682名(中山間地域342名,都市部340名)に配布し,記入漏れや記入ミスがない427名が分析の対象となった。分析の結果,ソーシャル・キャピタルに関連する36項目のうち,29項目で中山間地域が有意に高い値を示した。また,因子分析の結果,先行研究で示された因子構造は再現されず,都市部では「近所関係の質」「地域への愛着」「信頼感」「自然との共生」の4因子が抽出された。中山間地域においては,顔の見える親密な人間関係があることが地縁活動への参加を促していると推測され,その背景には自然との相互作用によって形成された中山間地域特有の生活様式があると考えられた。また,中山間地域のソーシャル・キャピタルが,親密性が高い性質を持っているという本研究結果は先行研究を支持するものであった。中山間地域においては,自然環境要因がソーシャル・キャピタルに関連している可能性があると推測された。
著者
小柳 ルミ子 板垣 円 土橋 祐子 渡辺 式 浜田 美幸
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.513-517, 2010-11-30

近年多くの施設でインシデント報告システムが確立され,インシデントに基づいた様々な対策がとられている。当病棟では平成20年4月から6月の3か月間で36件のインシデントが報告されている。その中で確認不足によるインシデントが15件と全体の41.6%を占めた。従来,当病棟ではインシデント発生後に対策を立て事故防止に努めてきた。しかしインシデント発生後の時間経過と共に意識が薄れ同じミスを繰り返してしまうことから,事故防止に対する意識を維持できるような働きがけが必要であると感じた。そこで確認不足によるインシデントに着目し,朝の申し送り10分間の時間を活用して患者認証,注射確認,与薬確認,針の取り扱いなどの対策方法を,スタッフによるロールプレイや質問形式で繰り返し再学習していった。その結果,事故防止の振り返り実施後3か月間の確認不足によるインシデントは7件と減少した。スタッフへのアンケートでは,再学習による事故防止の振り返りは事故防止に対する意識を高めると全員が回答していることから,意識改革に有効であったと考える。さらに朝の10分間の時間を活用したことで記憶がしっかり残ったまま業務に入ることができたこともインシデントの減少につながったのではないかと考える。
著者
深見 沙織 中村 崇仁 柳田 勝康 山田 慎悟 重村 隼人 伊藤 美香利 岩田 弘幸 朱宮 哲明 西村 直子 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.96-103, 2011-07-30
参考文献数
12

近年わが国では,食生活の変化に伴い子どもにおける肥満や生活習慣病の増加が起こっている。その解決策として,食育が必要と考えられている。この度われわれは,入院中の子どもとその保護者を対象に,食事を提供する医療従事者の立場で次のような食育の取り組みを開始した。栄養バランスが良く,子どもたちが好き嫌いなく食べられるように工夫した「お子様ランチ」という新メニューを創った。古来の季節行事の日の「お子様ランチ」には,わが国の季節に応じた食文化の紹介文を添えた。保護者に対して,食育の意義,献立に使用した食品の栄養素の解説,レシピ等を記載したパンフレットを週1回定期的に配布した。<br> また,この取り組みを評価するため,保護者に対し毎週1回アンケート調査を行なった。開始後3か月間のアンケート結果 (n=215,回収率87%) では,「お子様ランチ」の献立内容,盛付け,子どもの反応,パンフレットの内容の4項目全てで,「よい」という回答が過半数を占めた。食育に興味があるとの回答は93%であり,保護者の食育に対する関心は高かった。一方,子どもが好む食材のみを使用する傾向,外食が多い傾向等,食育上の問題点が見出された。<br> 入院期間中という短期間の取り組みであるが,保護者に子どもの食育を考える機会を提供できたと考える。今後もこの取り組みを継続し,子どもたちの食育に生かしていきたい。
著者
藤原 秀臣 田中 千博 後藤 昌計 合屋 雅彦 雨宮 浩 家坂 義人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.857-863, 1999-03-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

冠危険因子には食事などの生活習慣因子や環境因子などに起因する後天的可変因子と年齢や性, 遺伝的素因などの先天的固定因子がある。一般に急性心筋梗塞の発症にはこれら冠危険因子や社会環境因子が複雑に関与していることから, その臨床的背景, 臨床像は男女間で異なるとされている。そこで, 急性心筋梗塞を発症して当院に収容され, 緊急冠動脈造影を施行し得た連続500例 (男性390例, 女性110例) の患者背景, 冠動脈造影所見, 臨床像, 臨床経過等について男女間で比較検討した。心筋梗塞の発症は男性が60歳代にピークがあるのに比し, 女性では70歳代がピークであった。冠危険因子では, 喫煙は男性に多かったが高血圧, 高脂血症, 糖尿病ともに女性に多かった。冠動脈造影所見は病変枝数, 病変部位に差はなく, 緊急PTCA頻度にも差はなかった。臨床経過では, 心破裂が女性に多く, 特に高齢女性の予後は男性に比し不良であった。女性の心筋梗塞は閉経期以後に急増するが, これは脂質代謝と関連するエストロゲンが関与していると考えられている。高齢女性の予後が悪いのは, 高齢のために冠危険因子を複数有し, 臓器合併症が多いこと, 病院到着時間が長いことなどと関連していることが示唆された。高齢女性の急性心筋梗塞の診療にあたっては, これら臨床的背景に充分留意すべきであると考えられた。
著者
青木 一雄
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, 2018

I would like to begin our discussion of rural medicine by considering rural medicine from the perspective of public health and hygiene and discuss the role of rural medicine as social medicine in relation to public health, referring to the views and efforts of doctors who worked to support the Japanese Association of Rural Medicine from its early days. The Japanese Association of Rural Medicine was founded in 1952 and the first president, Dr. Toshikazu Wakatsuki, consistently argued the need to unify treatment and prevention if we truly want to improve health and medical care for farmers in rural areas, but that conventional medicine has become highly specialized and lacks a comprehensive perspective. Dr. Wakatsuki stressed that addressing these problems requires actions from a social point of view to achieve integration of medical practice and recognition that rural medicine should be social medicine by definition. Even in those days, his argument underscored the fact that rural medicine was essentially public health. Also, his thinking clearly complied with the World Health Organization's definition of public health with minor modifications by, for example, replacing the original terms with more field-specific terms such as "communities" with "farming villages and rural areas", "residents" with occupational fields, and "workers" with "farmers". It has also been suggested that the essence of public health medicine is public health-minded professionals, as opposed to clinically-minded clinicians. Clinicians are primarily clinically and patient-oriented, while public health professionals are public health and population-oriented, focusing on communities and societies rather than on individual patients. These features of public health are also consistent with Dr. Wakatsuki's view of rural medicine. I firmly believe that Dr. Wakatsuki rightly acknowledged public health and hygiene as the origin of rural medicine. <br> As a second major topic, next we discuss how, in the midst of rapidly changing infrastructure and socioeconomic environments, the research findings, knowledge, and skills developed and accumulated by the pioneers in rural medicine can be effectively applied to advance rural medicine further. For this, we need to take a broader perspective and discard today's inter- and intra-regional disparities in health and medical care. We need to confirm the true purpose and fundamental role of rural medicine and apply information and communication technology (ICT) in the field of social welfare, including health, medical, and nursing care. It is expected that ICT will enable us take new quantum leaps forward, and it is not an overstatement that the use of ICT holds the key to addressing various problems simultaneously, such as the quantity of health, medical, and nursing care (e.g., regional disparities in medical resources including manpower and medical devices) and its quality (e.g., regional and inter-institutional disparities in medical technology). To address disparities in the quantity and quality of medical care, we need to overcome these various inter- and intra-organizational challenges through close co ordination between the government, companies, and medical institutions. As stated earlier, ICT is a major tool to more easily overcome these challenges, enabling data sharing between the government, hospitals and clinics, insurance providers, and individual healthcare professionals. The efficient and effective use of ICT in healthcare, medicine, and social welfare in farming villages and rural areas is expected to provide solutions to various problems associated with rural medicine in different fields, guiding us to the next chapter of rural medicine.
著者
平川 仁尚
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.675-678, 2014

本研究の目的は, 認知症デイサービスの独自性を明らかにすることである。愛知県岡崎市にある認知症デイサービスセンターにおいて,「認知症デイサービスについて思うこと」をテーマに関係者6名で, フォーカスグループディスカッションを行なった。そして, その内容をKJ法によりまとめた。その結果, 認知症のデイサービスの専門性と独自性は, 重度な認知症高齢者のケアの成功体験を通じた本人・家族・スタッフのクオリティーオブライフの高さにより支えられていることが分かった。
著者
井上 智代 渡辺 修一郎
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.723-733, 2015
被引用文献数
2

本研究は, 農村における住民の生の声から健康に資するソーシャル・キャピタルの地域特性を整理することを目的にグループ・インタビュー法を用いて調査し, 質的記述的に分析を行なった。A村に在住する65歳以上高齢者6~9名のグループ3組にインタビューを実施した結果, ソーシャル・キャピタルに関する発言内容が610抽出され, コード数141にまとめられた。141のコードから農村に特徴的な20コードを抽出したのち, 8サブカテゴリー,4カテゴリーに集約した。4カテゴリーは【自然との共生】, 【農村ならではの信頼関係の維持】, 【農村の社会規範を重んじる】, 【農村であることを活かした社会参加とネットワーク】にまとめられた。農村における健康に資するソーシャル・キャピタルには, 自然の中で共生してきた農村独特の人と人とのつながりがもたらす特徴がみられた。先祖の農地を守って生活する農村独特の地縁社会の中で培われてきた強い絆に基づく結束型ソーシャル・キャピタルの側面が多く抽出されたが, 農村の人々の中には橋渡し型ソーシャル・キャピタルの視点も着実に育まれている。農村における高齢者の健康づくりや豊かなコミュニティづくりを推進していくにあたり有用な知見を得ることができた。
著者
酒見 喜久雄 高橋 郁子 小笠原 摩耶 小松 和男
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.805-808, 1998-01-30
参考文献数
7

乳幼児の下気道炎の原因として重要なRSウイルス感染症の当地域での流行状況について報告した。秋田県南西部に位置する本荘市由利郡地域の基幹病院である当院では毎年50人前後のRSウイルス感染症の小児を診療している。1993年1月から1995年12月までの3年間に当科で診療したRSウイルス感染症の内, 本荘市由利郡在住の乳幼児を対象とした。RSウイルス感染症の診断はRSVテストパックで行った。全患者127人, 入院患者107人, 外来患者20人の男女比はそれぞれ69: 58, 60: 47, 9: 11で, 全患者数, 入院患者数共に男児に多かった。新生児が9人, 1か月児は15人であり, 1歳未満の乳児は110人, 1歳以上の幼児は17人であった。好発時期は冬季で12, 1月を併せて64人と過半数を占めた。当科外来患者数は本荘市及び由利郡共にそれぞれ年間2万人弱であり, RSウイルス感染症の患者数を調べると, 本荘市では70人, 由利郡では57人と市部で患者数が多かった。男児4人と女児2人が呼吸不全のため気管内挿管を要したが, 新生児3人 (内女児2人), 1か月男児3人であった。乳児期早期発症及び肺炎所見は呼吸不全に関与する危険因子と考えられた。