著者
永田 忠博
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.509-515, 2007-11-15 (Released:2007-12-31)
参考文献数
33
被引用文献数
1
著者
西成 勝好
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.681-688, 1997-09-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
58
被引用文献数
5 3
著者
今泉 鉄平 折笠 貴寛 村松 良樹 田川 彰男
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.11-18, 2013-01-15 (Released:2013-02-28)
参考文献数
31
被引用文献数
1 5

サトイモおよびナガイモの熱湯浸漬過程におけるカリウム溶出現象は拡散方程式の無限円筒モデルで説明された.また,サトイモおよびナガイモのブランチングへマイクロ波(包装試料,無包装試料)および熱湯浸漬を適用し,酵素活性,色彩変化,硬さ,質量損失率,カリウム損失率について検討したところ,以下の知見が得られた.(1) いずれの試料に関しても,試料中のPODの失活までに要する時間は包装,無包装,熱湯浸漬の順で短く,マイクロ波ブランチングによる時間短縮効果が明らかとなった.(2) ブランチング後にはいずれの方法においても色差の増加が見られ,とくに,サトイモでは処理法の違いによる色彩変化の差が顕著であった.(3) マイクロ波ブランチングを行った場合には試料に著しい軟化が見られた.(4) マイクロ波ブランチングを行うことでドリップの発生を抑制することができた.(5) カリウム損失率は加熱後,冷却後,解凍後それぞれにおいて熱湯浸漬よりマイクロ波によるブランチングを用いた試料のほうが低い値となった.以上のことから,サトイモおよびナガイモのブランチングには包装した試料にマイクロ波を照射する方法が有用である可能性が示唆されたが品質に関しては更なる調査が必要である.
著者
戸田 登志也 小阪 英樹 寺井 雅一 森 英樹 辨野 義己 家森 幸男
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.243-250, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
24
被引用文献数
4 13

L. lactis subsp. cremoris FC (1.5×109CFU/g以上) とS. salivarius subsp. thermophilus 510 (3.1×107CFU/g以上) および豆乳を20%含むドリンクタイプの発酵乳を試験食として健常な高齢者70名 (平均年齢67.1±4.8歳) を対象に飲用試験を行った. 被験者を2群に分け, 1カ月間の休止期間をはさんで試験食および対照食 (L. lactis subsp. cremoris FCを含まない発酵乳) 各々150gを毎日1カ月間ずつ摂取させるクロスオーバー試験とした. 排便量は, 摂取後2週間で試験食群, 対照食群とも非摂取期に対して有意に増加した. しかし, 排便回数と排便日数は, 試験食群では有意に増加したのに対して対照食群では増加傾向は示したものの有意ではなかった. また, 試験食群, 対照食群ともに便形状, 色, 排便後のスッキリ感が改善され, 特に便秘傾向者でその傾向が大きかった. 試験食群では菌叢に対するBifidobacterium の占有率が増加し, Clostridium perfringens の検出率は減少する傾向を示したが, 対照食群においては変化がみられなかった. さらに, 試験食群では糞便アンモニア量が減少する傾向がみられた. これらの結果から, 試験食発酵乳は対照食発酵乳と比較して整腸効果が高いと考えられた.
著者
中嶌 輝子 吉川 公規
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.561-565, 2006-11-15 (Released:2007-09-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1

ウンシュウミカンに水浸状の腐敗を接種して腐敗果を作成し,連続した分光画像を用いて腐敗部と健全部を仕分ける検量式を作成した.多変量解析のSIMCAとPLS回帰分析と重回帰分析を用いた結果,2次微分処理したスペクトルで作成したPLS回帰分析の検量式が最も精度が高かった.解析結果をの画像化(イメージング)したところ,SIMCAとPLSのどちらの判定モデルも全ての供試果実の腐敗を判定することが出来た.腐敗果の判定モデルは,5×5画素で分割した分光画像に,検量式を代入し,腐敗部のみを表示させた.これにより直径1cm程度の小さな腐敗を判定することが実証出来た.

1 0 0 0 OA ピロリ菌

著者
三宅 一昌
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.316, 2006-05-15 (Released:2007-05-15)

ピロリ菌は,一端または両端に数本の鞭毛を有する,約4μm長のらせん状をしたグラム陰性桿菌である.胃粘膜に感染するこの細菌は,1983年オーストラリアの病理学者Warrenと内科医Marshallにより発見され,1984年6月,Lancetに報告された.当初,Campylobacter pyloridisと呼ばれていたがCampylobacterとは異なった細菌であることがわかり最終的にHelicobacter pylori(以下ピロリ菌)と命名された.胃の中に細菌が存在していることは約100年前より報告されていたが,ほとんど注目されなかった.たとえ胃の中にどんな細菌が存在したとしても,胃酸のため強い酸性状態にある細菌が病原菌として疾患と関わるとは到底考えられなかった.しかし,この菌はヒトの胃粘膜に持続的に感染し,好中球浸潤を伴う組織学的な胃炎を惹起するとともに,胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃癌および胃の低悪性度リンパ腫であるMALTリンパ腫の発生にも関与していることが判明した.さらにピロリ菌の除菌が,潰瘍の再発を著明に抑制することや,胃癌の予防につながる可能性があること,MALTリンパ腫の一部を寛解へ導くことも示されてきた.そして,これらの膨大な知見をもたらすこととなった,常識を覆す発見をしたWarrenとMarshallに昨年10月,ノーベル医学・生理学賞が授与されることが決定した.感染源は明らかではないが,飲み水や食べ物を介して経口感染すると言われている.40歳以上の約7割の人がピロリ菌感染症に罹患しており,とくに50歳以上の方たちは戦後の衛生状態が悪い時代に生まれ育ったため,高い感染率を示していると考えられている.罹患率が高いことが,日本人に胃炎,胃潰瘍および胃癌など胃疾患が多い理由と考えられる.しかし近年,衛生状態の改善とともに若年者での感染率は先進国とほぼ同等のレベルまで減少している.以下,ピロリ菌と病気の関係について一部概説する.胃 炎免疫応答が未成熟な幼少期の胃粘膜にピロリ菌感染が成立するとほぼ100%の人に好中球やリンパ球浸潤をともなう慢性胃炎をもたらす.自覚症状は多くの場合ほとんど無く,基本的には生涯胃炎が継続する.ただし,慢性胃炎による粘膜の荒廃が進行すると菌が生育しうる環境が維持できず自然消失することがある.また,成人におけるピロリ菌初感染では免疫が強く反応し急性胃粘膜病変が発症するとともに,菌は排除され慢性胃炎は成立しにくい.胃潰瘍,十二指腸潰瘍ピロリ菌陽性者は胃潰瘍,十二指腸潰瘍を発生する頻度が高く,陽性者の2~5%に潰瘍がみられる.潰瘍患者では胃潰瘍で約75%,十二指腸潰瘍では95%にピロリ菌が陽性と言われている.潰瘍のほとんどは酸分泌抑制剤を中心とした薬物治療で一旦治癒するが,ピロリ菌が陽性の場合は高率で再発をおこします.そのためこれまでの潰瘍治療は維持療法が必要と考えられていたが,ピロリ菌の発見以降,除菌療法が胃潰瘍,十二指腸潰瘍の再発を抑えることが明らかとなり,潰瘍再発予防には除菌治療が薦められている.胃がん疫学的な研究から,胃癌の発生とヘリコバクター・ピロリ感染の間に深い関連があることが示唆され,ピロリ菌陽性者は陰性者の6~22倍の頻度でがんを発症すると言われている.ピロリ菌陽性者のうち胃癌が発症するのは年間0.15%以下であるが,胃癌患者からみた場合90%以上の人がピロリ菌陽性である.1994年WHOはピロリ菌が確実な発癌因子であることを認定した.最近の臨床的ないしは主にスナネズミを用いた動物モデルによる研究から,ピロリ菌感染による慢性の組織学的胃炎を背景として胃癌が発生することが明らかとなり,陽性者の中でも高度な胃粘膜萎縮や胃体部胃炎を有する症例に,胃癌発生のリスクが高いことが明らかとなっている.さらに,ピロリ菌の除菌による胃粘膜の炎症の改善が,消化性潰瘍の再発予防だけでなく,胃癌予防の効果も発揮する可能性かあることが期待されている.しかし,臨床的なエビデンスとしては不十分であり,十分なコンセンサスは得られていない.今後,胃癌の予防を目的としたピロリ菌の除菌治療が一般的に認知され保険適用されるには,さらに大規模で長期観察した研究が必要と思われる.
著者
西場 洋一 須田 郁夫 沖 智之 菅原 晃美
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.295-303, 2007
被引用文献数
4 6

(1) 全国各地で栽培された大豆20品種・31検体のイソフラボン,ビタミン類を分析した結果,イソフラボン総量は131.6~568.7mg/100gdwの範囲で変動しており,平均値は302.9mg/100gdw, 変動係数は40.7%であった.それぞれの栽培地において,イソフラボンは品種の違いで最も大きく変動する傾向にあった.イソフラボンの組成はマロニル配糖体が全体の72.9~87.6%を占め最も多く,アセチル配糖体,アグリコンは微量であった.アグリコンの組成はGenisteinの比率が高い傾向にあった.イソフラボン総量に占めるアグリコンの割合は平均して53.9%であり,イソフラボン総量とアグリコン換算値との間には極めて高い相関関係が認められた.<BR>(2)α-トコフェロール当量(ビタミンE)は,全国の大豆において3.4~13.3mg/100gdwの範囲で変動し,平均値は5.6mg/100gdw, 変動係数は40.5%であった.4つの同族体の中でα-,β-トコフェロールの変動が大きく,各栽培地で共通した傾向であった.特にα-トコフェロール含量はビタミンEとしての生物学的効力を表すα-トコフェロール当量と相関が高く,大豆のビタミンEがα-トコフェロールの変動により大きく支配されている実態が示された.チアミンは0.55~0.89mg/100gdw, リボフラビンは0.21~0.30mg/100gdwの範囲で変動していた.平均値はそれぞれ0.71mg/100gdw, 0.23mg/100gdw, 変動係数は13.0%,10.3%であり,イソフラボン,α-トコフェロール当量に比べると変動は小さかった.<BR>(3)九州地方の基幹品種である「フクユタカ」について,九州地域11箇所で栽培された大豆を収集し成分分析を行った結果,全国大豆の分析結果と同様,イソフラボンとα-,β-トコフェロールの変動が大きく,チアミン,リボフラビンの変動は小さい傾向であった.
著者
〓橋 沙織 勝股 理恵 吉澤 久美 八巻 桃子 大迫 美由紀 村上 満利子 毛利 さやか 佐藤 みずき 目黒 寛子 久保倉 寛子 広瀬 佳苗 田中 直義 渡辺 杉夫 木内 幹
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.454-461, 2005
被引用文献数
5 1

1. 中国雲南省の淡豆〓から分離した細菌でわが国の糸引納豆を製造した結果, 撹拌すると豆の形が完全に崩れてしまうほど軟らかい納豆を製造することができる菌, KFP843を見いだした. 同定の結果, KFP843株は<i>Bacillus subtilis</i>に属する菌であった.<br>2. <i>B. subtilis</i> KFP843の納豆製造には2種類の温度プログラムを用いたが, KFP843株の最適生育温度である43℃を初発温度とする製造プログラムが適しており, 製造した納豆の硬さは, 市販納豆の硬さを100%とすると, それは約40%の硬さに仕上がった.<br>3. ホルモール窒素は市販納豆のそれが0.94%であったのに対し, 本菌株で製造した納豆は0.28ないし0.38%であった. また糸引きは市販納豆よりもやや弱く, 相対粘度は市販納豆のそれが2.06であったのに対し, 1.10ないし1.21であった.<br>4. 官能検査では, 菌の被り, 豆の割れ・つぶれ, 硬さの項目で市販納豆に比べて有意に良い評価 (p<0.05) であった. 市販納豆に比べて有意に (p<0.05) 糸引きは弱いが, 豆が軟らかいという評価を得た.
著者
山崎 賀久 徳永 隆司 奥野 智旦
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.160-166, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
21
被引用文献数
6 19

強陽イオン交換 (SCX) カラムを使用し, 10mmol/Lリン酸二水素カリウム (pH2.50) を移動相とし, 誘導化なしに紫外吸光検出する高速液体クロマトグラフィ (HPLC) を用いたニンニク中の11種のフレーバ前駆体 (S-アルキルシステイン誘導体), S-methyl cysteine S-oxide (methiin), (+)-S-(2-propenyl) cysteine S-oxide (alliin), (-)-S-(2-propenyl) cysteine S-oxide (allo alliin), S-(E -1-propenyl) cysteine S-oxide (isoalliin), 5-methylthiomorpholine-3-carboxylic acid S-oxide (cycloalliin), S-(2-propenyl) cysteine (deoxyalliin), N-(γ-glutamyl)-S-methylcysteine, N-(γ-glutamyl)-S-(2-propenyl) cysteine, N-(γ-glutamyl)-S-(E -1-propenyl) cysteine, N-(γ-glutamyl)-S-(2-propenyl) cysteine S-oxide及びN-(γ-glutamyl)-S-(E -1-propenyl) cysteine S-oxideの定量分析法を新たに確立した.本分析法を11種類の試料に適用したところ, 報告例の少ないisoalliin, cycloalliinのニンニク中含有量は, 11種類の平均値でそれぞれ0.13%と0.16% (乾物換算) であった. また, 天然物としての報告がないallo alliin及び天然物としては未確認のN-(γ-glutamyl)-S-2-propenyl cysteine S-oxideが全試料で天然物として検出され, その平均含有量はそれぞれ0.06%と0.16% (乾物換算) であった.