著者
島雄 満子 高橋 和郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.411-417, 1977-12-05 (Released:2009-11-16)
参考文献数
14
被引用文献数
1

過去の疾患と考えられており, 現在では稀とされている脚気の多発を報告し, その食生活を調査した結果から, 日本人の近時の食生活にいろいろの問題のある層があることを, 指摘した。そして現代の食生活について, 多方面からの再検討と, 栄養指導の必要性を考える。
著者
渡辺 幸雄 綾野 雄幸
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.621-625, 1972-12-01 (Released:2010-02-22)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

リノール酸およびラードに対して, 各種アミノ酸の抗酸化性ならびにα-トコフェロールに対する各種アミノ酸の相乗性について検討した。1) アミノ酸の抗酸化性はリノール酸とラードでは差異が認められた。前者に対してはヒスチジン, スレオニン, メチオニン, ヒドロキシプロリン, トリプトファンおよびアルギニンに, 後者に対してはトリプトファン, メチオニン, フェニールアラニンおよびロイシンに比較的強い抗酸化性が認められた。2) α-トコフェロールに対する各種アミノ酸の相乗効果は用いたすべてのアミノ酸に認められた。リノール酸では, 抗酸化性の強いアミノ酸, すなわちヒスチジン, スレオニン, メチオニン, トリプトファンおよびアルギニンは相乗効果も強いという結果が, またラードでは, そのような傾向は認められず, メチオニン, プロリンおよびロイシンに強い相乗効果が認められた。3) ラードに対しアミノ酸の添加量を3×10-3Mに増加しても, リノール酸での場合ほど相乗効果をもたらさなかった。これはラードに対するアミノ酸の溶解度が非常に小さいためと考えられる。
著者
守 康則 西山 幹子 諸冨 節子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.12-16, 1969-01-20 (Released:2009-11-16)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

L-アスコルビン酸D-アラボアスコルビン酸 (エリソルビン酸) デヒドロアスコルビン酸および2.3-ジケトグロン酸の光分解性を比較検討し, さらにL-アスコルビン酸の光分解におよぼす気相 (O2, N2ガス), 酸化安定剤 (チオ尿素, EDTA), 光増感色素 (リボフラビン, エナシン, フルオレッセイン) の影響をしらべ, さらに光分解生成物の検索を行なって, 次の結果をえた。1. L-アスコルビン酸, D-アラボアスコルビン酸水溶液は光によりいちじるしい光分解をうけ, 後者の光分解度は前者より高い。2. デヒドロアスコルビン酸および2.3-ジケトグコン酸水溶液は光に対してL-アスコルビン酸溶液に比較してはるかに安定である。3. L-アスコルビン酸水溶液の光分解はN2ガスの通気により完全に抑制され, 酸素の存在下においてのみ光分解を惹起する。4. チオ尿素およびEDTAはL-アスコルビン酸の光分解をいちじるしく抑制する。5. リボフラビン, エオシン, フルオレッセインなどの光増感物質はL-アスコルビン酸の光分解をいちじるしく促進する。6. L-アスコルビン酸水溶液の光分解生成物として, デヒドロアスコルビン酸および2.3-ジケトグロン酸がみとめられる。
著者
藤巻 正生 鈴木 敦士 宮崎 基嘉
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.161-166, 1966-09-30 (Released:2010-02-22)
参考文献数
7

無蛋白飼料で5週間飼ったシロネズミとスレオニン欠乏飼料で4週間飼ったシロネズミの筋肉並びに肝臓の水溶性蛋白質のアミノ酸組成は, それぞれの正常区に比べて明らかな差は認められず, またカゼイン飼料区と完全アミノ酸飼料区の両正常区間, あるいは無蛋白飼料区とスレオニン欠乏飼料区の両欠乏区の間にも差は認められなかった。セルロースホスフェイトを用いるカラムクロマトグラフィーにより水溶性蛋白質を分画した結果, 筋肉の場合, 各画分の量比, 蛋白質中のトリプトファン含量には正常区, 無蛋白区, スレオニン欠乏区の間で差はみられなかった。しかし, 肝臓については, 無蛋白区, スレオニン欠乏区ともに正常区に比べてpH 5.0の緩衝液で吸着されない蛋白質が増加し, pH 7.0で溶出される画分の蛋白質は減少し, 各画分の蛋白質中のトリプトファン含量も正常区に比べてやや減少する傾向がみられた。アルドラーゼ活性は, 筋肉, 肝臓ともに無蛋白区の場合は, 正常区に比べてやや減少したが, スレオニン欠乏区の場合には, その差はみられなかった。スレオニン欠乏飼料および完全アミノ酸飼料で飼ったシロネズミの場合, カラムクロマトグラフィーで分画後pH 7.0の緩衝液で溶出される蛋白質画分のアミノ酸組成を分析した結果, 筋肉, 肝臓ともにスレオニン欠乏区と正常区の間に全く差はみられなかった。
著者
安本 教傳 岩見 公和 吉田 宗弘 満田 久輝
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.511-515, 1977-04-10 (Released:2009-11-16)
参考文献数
18
被引用文献数
7 13

種々の食品のセレン含量を, 比色法また螢光法で測定した。魚, その他の海産物, およびニンニク中に著量のセレンが検出された。しかし, 問題となるほど過剰にセレンを含んだものはなかった。さらに, 将来の食糧源としての微生物菌体, 藻類中のセレン含量を測定したが, 全般に低い値であった。今回の分析結果, ならびに分析値および食糧需給調査資料をもとにして, 日本人が1人あたり1日に摂取するセレン量を求めたところ207.7μgであった。この摂取量はカナダ人, アメリカ人とほぼ等しく, 各国とも同等のセレン栄養の状態にあると推察された。
著者
小林 昭 遠矢 光孝 福西 亮 吉田 愛知
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.263-268, 1974-10-10 (Released:2010-03-26)
参考文献数
14
被引用文献数
2

ソテツ味噌を試醸し, ソテツの有毒成分であり発癌性の知られているcycasinと, アフラトキシン汚染の有無を検索した。また, 長期間動物に投与する試験を行なった。1) cycasinはソテツ種子自身のもつβ-グルコシダーゼで分解され, 通常の原料ソテツ粉末中には残存しなかった。cycasinが残存するようにして調製した原料では, 麹菌の成育が抑制され麹ができにくいが, cycasinは速やかに分解された。2) Sprague-Dawley系ラットに, ソテツ味噌を10~50%混入した飼料を62日間, または10%混入飼料を190日間給餌した。これらには1年間飼育ののち, いずれの臓器にも腫瘍の発生はまったくみられなかった。3) ここで用いたソテツ味噌の原料ならびに製品, 自家製ソテツ味噌3点にアフラトキシンは検出されなかった。
著者
岩田 久敬 橋野 旻 上田 和典
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.115-117, 1954-10-10 (Released:2010-11-29)
参考文献数
5
被引用文献数
1

1. ヒガンバナの鱗莖に冬から春にかけて最も充實し粗濫粉含量が多くなつた。2. 生鱗莖の粗澱粉分析値は20%内外であつたが, 澱粉採取量は多くて約7%に過ぎなかった。然し4日間8回の水洗で良質無毒の澱粉を得た。3. 生鱗莖をそのまま薄い鹽酸で分解してカラメル化すれば生原料重の約10倍量の醤油樣液を得, かつ無害であることを知つた。
著者
小石 ナカ
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.420-437, 1962-01-30 (Released:2010-11-29)
参考文献数
34

年齢4~10才の養護施設児童ならびに一般家庭児童392名(男子のみ)の全対象を一群20ないし50名を単位として, DL-トリプトファン, L-リジンあるいはDL-スレォニン各05~0.69/日を1958年10月1日より14ガ月間にわたり連日内服させ, その日常食餌への補足が児童の成長におよぼす効果について検討し, つぎの成績をえた。1.まず6~9才学童にトリプトファンを補足した場傷その補足による14カ月間の体重増加量は, これを実験開始時体重に対する成長比率としてみた場合, 対照群に比べて平均約20%大となり, 有意な補足効果がみとめられた一しかし身長における補足効果は体重の場合ぼど明らかではなかった。2.つぎに8~10才学童にリジンを補足した場合, その14カ月間における体重増加比率は対照に比べて平均約13~19%大であり, これもまた有意な補足効果であったただし身長における効果はトリプトファンの場合同様体重におけるほど明らかな差としてみとめられなかった。なおスレオニンをリジンに追加補足した場合の効果については本試験条件では認められなかった。3.以上トリプトファンあるいはリジン補足の効果は成長速度, ことに体重増加として証明できたが体力検査成績あるいは血液蛋白性状などに影響を与えなかった。4.学童の日常摂取食餌をみると摂取栄養素量はほぼ十分であるが, その必須アミノ酸組成はこれをFAO規。準配合対比としてみると, トリプトファン76~78%, 含硫アミノ酸75~83%でともに蛋白価の制限因子となる。またリジン対比は117~128%となったが, 質的に良好な蛋白摂取にあっては, リジン摂取は約154mg/kg, FAO規準対比約150%であり, この点からはまだ不十分な摂取量であるとみなされた。5. 以上の成績から, トリプトファンあるいはリジン補足はわが国学童の成長促進に役立つものであり, その理由が日常摂取食餌中のトリプトファンあるいはリジンの相対的不足に帰因するものであろうと推論した。
著者
城島 クニ子 堀川 蘭子 浜口 陽一
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.325-329, 1970-07-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
9

11種の魚卵について, そのタンパク質源としての栄養価を検討した。1. 各種魚卵のアミノ酸組成はTry, 含硫アミノ酸に不足するが, 他のアミノ酸組成は鶏卵に匹適する優れたものであり, 特にLysを豊富に含む。2. ケミカルスコアは47~62, EAA indexは85~92であった。3. 生鮮魚卵のNPUは56~69, NPRは3.7~4.9でEAA indexとの間にそれぞれ相関があった。またケミカルスコアとも関連が認められた。4. 11種の中ではサワラ, ハモ, ブリ, タラが比較的良く, カマス, カレイ, サバは劣る。5. 加工による影響はそのアミノ酸組成には現われないが, NPUを著しく低下させる。
著者
岡 芳子 桐山 修八 吉田 昭
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.347-355, 1974
被引用文献数
2

34種類の香辛料から抽出した脂質の不鹸化物を薄層クロマトグラフィーにかけ, そのステロール部分をβ-シトステロール (β-S) 相当量としてあらわした。 また, ステロール部分のガスクロマトグラフィーを行なった。 コレステロール (Ch) と相対保持時間 (R. R. T.) の等しいピークについて, GC-MSで同定実験をした。<BR>1) 34種類の香辛料のステロール量は乾燥物1g当たり0.08~2.56mgであった。 ステロール組成ではβ-Sは今回のいずれの試料にも含まれていて, celery, cumin, fennelにスチグマステロール (St) がβ-Sより多いのを除いては今回のいずれの試料にも最も多く含まれていた。 β-S, St, キャンペステロール (C) の3種類のステロールのうち, cloveにCが見当たらず, horse radish, laurel, mustardにStが見当たらないのを除いては, β-S, St, Cはいずれの試料にも含まれていた。 ブラシカステロール (Br) がfenugreek,mustard, onionに含まれていた。 Δ<SUP>7</SUP>-stigmastenolがcelery, coriander, dill, tarragonに見られた。 Chがfenugreek, garlic, onion, paprika, redpepperにあった。 Δ<SUP>7</SUP>-stigmastenolと接近してR. R. T. がβ-S 100に対してOV-17とSE30の両カラムで, ともに1.14の未同定のピークがcuminにあった。<BR>2) 前回未同定の, とくにうり類にかならず含まれていたβ-SのあとのピークはΔ<SUP>7</SUP>-stigmastenolであることがわかった。<BR>3) 前回β-Sとして報告したカボチャ, フダンソウ<SUP>3)</SUP>, カンピョウ<SUP>3)</SUP>, キュウリ, シロウリ, トウガン, ヒョウタン, マクワウリ, マスクメロン, プリンスメロンのピークはα-スピナステロール (Sp) であり, Spのあるホウレンソウをも含め, Spのある試料にはΔ<SUP>7</SUP>-stigmastenolの含まれているものの多いことがわかった。 これまで調べたうり類のうち, スイカを除いてはおもなステロールはSpであり, Δ<SUP>7</SUP>-stigmastenolも含まれていた。 pumpkin seedのおもなステロールはSp (Δ<SUP>7</SUP>, 22-stigmastadienol), Δ<SUP>7</SUP>-stigmastenol, Δ<SUP>7, 24 (28) -</SUP> stigmastadienolであることがわかり, うり類にΔ<SUP>7</SUP>のステロールがあることは生合成上興味のあることと思われる。<BR>4) 今回の試料中のfenugreak, garlic, onion, paprika, red pepperのChとR. R. T. の等しいピークを含め, 前報までに見られたChとR. R. T. の等しいピークはGC-MSの結果, すべてChであることがわかり, Chが植物界に広く分布していること, およびナス, ワケギ, onionなどのある種の植物には, かなり多量に含まれていることがわかった。
著者
馬嶋 安正 蔵田 智恵子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.397-401, 1967

白ネズミに種々の脂肪および脂肪酸を摂取し貯蔵脂の脂肪酸組成を分析し次の結果が得られた。<BR>1) 飽和脂肪酸を摂るとそれが貯蔵脂肪に貯蔵されるが, それと一緒に炭素数の同じ一不飽和脂肪酸も同時に合成され貯蔵される。<BR>2) 摂取する脂肪および脂肪酸によって貯蔵脂肪の脂肪酸組成は変動するが全飽和脂肪酸と全不飽和脂肪酸の比率は一定で常に1: 2に近い値を示す。
著者
松田 晧 山田 知代子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.241-244, 1965-09-30 (Released:2010-03-26)
参考文献数
5

ゼラチンは, 動物の皮および骨の結合組織の重要成分であるコラーゲンから非可逆的加水分解過程により作られるタンパク質である。ゼラチンに深く接したことのない人の中にはゼラチンを一定の組成, 単一な性質を有するタンパク質と考えている人が多いが, 実際に食品に用いられているゼラチンは, 上記の実験結果より明らかなように化学組成は一定せず, また物理的性質も一様でない。温湯に溶解したとき, 無臭で透明度のよいゼラチンは, 粘度, ゼリー強度とも概してよいが, 水分, 灰分が少なくタンパク質含量が多いとはいえない。ただ一般に物理的性質の中ではゼリー強度, 化学組成の中では灰分含量が品質を示す目安になるといえる。pHの影響は, 粘度とゼリー強度とで多少異なり, 粘度はpH 4.7より7の間, ゼリー強度はpH 6より8の間において最も高い。フルーツゼリーなどのように酸性域でゼラチンを使用することが多いが, 酸度が強まると粘度もゼリー強度も急速に低下する点は特に注意を要することである。
著者
山田 幸二 中村 延生蔵
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.466-471, 1972
被引用文献数
2

白ネズミに野沢菜漬, タカ菜漬を投与し食飼性の光過敏症について検討した。<BR>(1) 野沢菜漬, タカ菜漬を投与しTL, FLを照射すると死亡, 体重減少, 耳や背の部分の壊死の現象, すなわち光過敏症がみられた。<BR>(2) 漬物から分離した光過敏症原因物質の投与による生物試験の結果は, 経口投与で10mg/体重100g以上, 腹腔内投与で5mg/体重100g以上で致死効果がみられた。<BR>光過敏症原因物質はPC, 吸収スペクトル等からヘオホーバイドaと推定した。
著者
北川 雪恵
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.139-143, 1973

前報に続いて果菜類のトマト, ピーマン (ナス科), イチゴ (バラ科) を用いて生育時期別, 上下部位別, 組織別のV. C量の変化について観察した。<BR>1) トマトの果実の生育に伴うV. C量 (mg%) の変化は総C, 還元型Cでは生育につれて増加し, いわゆる収穫期に最高になるが, 完熟期には逆に減少した。 細かく上下部位別の差異を果肉部でみると, 全期間を通じて基部に最も多く, 先端部がこれにつぎ, 中部が最も少なかった。 また組織別では全期を通じて胎座・種子部が果肉部より多く, とくに種子を含むゼリー状部に多かった。<BR>なお, 酸化型Cについては未熟期ほど多く, 生育につれて減少したが, 部位別, 組織別には総Cとほぼ同様の傾向がみられた。<BR>2) ピーマンの果実の生育に伴うV. C量 (mg%) の変化は総C, 還元型Cでは生育につれて漸増し, とくに完熟期に著しい。 上下部位別の差異を果肉部についてみると, 幼果期には中部に多いが, 収穫期以後は果頂部に最も多かった。 組織別にみると, 全期間を通じて果肉部にとくに多く種子部, 胎座部には少なかった。 また果肉部, 胎座部は完熟期に著しく増加するが, 種子部では反対に減少した。<BR>なお, 酸化型Cについては幼果期に多く, 収穫期にやや減少するが過熟期になると再び増加した。また果肉部よりは種子と胎座部に多かった。<BR>3) 可食適期のイチゴの場合を上下部位別にみると総C, 還元型Cは果頂部に近いほど多く含まれ基部に最も少なかった。また組織別では皮部にとくに著しく, ついで果肉部に多く含まれ芯部は最も少なかった。<BR>酸化型Cについても総Cの場合と同様の傾向が認められた。
著者
下田 真利子 香川 芳子 西村 薫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.385-389, 1973-12-29 (Released:2009-11-16)
参考文献数
17

Measurement of body fat contents is essential for a judgement of obesity, which is defined as an abnormal increase of the fat content in the body. The fat content estimated from skinfold thickness was compared with the value calculated from the whole body potassium content which was obtained by the counting of whole-body radioactivity. The obese and non-obese women were chosen as subjects for this study. It became clear that the fat value estimated from the potassium content is higher than from the skinfold thickness. The relation between two calculated values were investigated by regression lines. It was obvious that the regression line of obese woman group vary with age, but not of nonobese group.
著者
田村 真八郎 大沢 文江
出版者
JAPAN SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.494-496_4, 1969
被引用文献数
4

Amino acid pattern similarity were calculated between amino acid patterns of principal foods in Japan. Pattern similarity S (A, B) between pattern A (α1, α2, …, an) and B (b1, b2…, bn) was thought to be a cosine of angle (θ) between vector OA→ and vector OB→ in n dimensional space.<BR>Therefore, in the case of pattern A equal to pattern B, pattern similarity S (A, B) becomes 1, and in the case of pattern A and pattern B do not contain any same component at all, S (A, B) becomes 0. As input data for calculation, figures of table 1 in "The Amino Acid Composition of Foods in Japan 1966" were used. Names of foods in the Pattern Similarity Table are as follows.<BR>1 oat meal, 2 barley, 3 naked barley, 4 soft flour, 5 medium flour, 6 hard flour, 7 white bread, 8 "udon", 9 "fu", dried, 10 fully milled rice, 11 buckwheat flour, 12 corn flakes, 13 sweet potato, 14 dasheen, taro, 15 potato, 16 unrefined sugar, 17 Japanese chestnuts, 18 walnuts, 19 sesame seeds, 20 peanuts, shelled, 21 "azuki" beans, 22 "sarashi-an", 23 kidney beans, 4 peas, 25 "sasage" beans, 26 broad beans, 27 soy beans, 28 soybean curd, tofu, 29 congealed soybean curd, 30 "yuba", 31 "okara", 32 "natto", 33 "ama-miso", 34 "kara-miso", 35 "mame-miso", 36 jack mackerel, 37 conger eel, 38 "iwashi", sardine, 39 eel, 40 marlin and swordfish, 41 skipjack, 42 dried strips of skipjack, 43 flatfish, 44 carp, 45 salmon, 46 salmon roe, salted, 47 mackerel, 48 pacific saury, 49 "kamaboko", 50 fish sausage, 51 "satsuma-age", 52 "hanpen", 53 "chikuwa", 54 red sea-bream, 55 cod and pollack, 56 pollack roe, salted, 57 loach, 58 flying fish, 59 herring, 60 goby, 61 flounder, 62 crucian carp, 63 yellowtail, 64 mullet, 65 tuna, leam meat, 66 tuna fatty meat, 67 yellow-fin tuna, 68 pink salmon, 69 rainbow trout, 70 ark shell, 71 short-neck clam, 72 abalone, 73 oyster, 74 top shell, 75 corbicula, 76 hen clam, 77 clam, 78 scallop, 79 mysis, 80 squid, 81 paste of sea urchin roe, seasoned, 82 tiger prawn, 83 "shibaebi", shrimp, 84 crab, 85 octopus, 86 sea cucumber, 87 rabit meat, 88 beef, 89 beef liver, 90 whale meat, 91 chicken, 92 chicken liver, 93 horse meat, 94 mutton, 95 pork, 96 pork liver, 97 loin roll ham, 98 bacon, 99 Vienna sausage, 100 whole egg, 101 yolk, 102 egg white, 103 cow's milk, 104 cream, 105 processed cheese, 106 human milk, 107 goat's milk, 108 pumpkin, 109 carrot, 110 spinach, 111 turnip, 112 cabbage, 113 cucumber, 114 burdock, 115 kidney beans with pod, immature, 116 peas with pod, immature, 117 watermelon, 118 broad beans, immature, 119 Japanese radish root, 120 "takuan", salted radish, 121 bamboo shoot, 122 onion, 123 corn, immature, 124 tomato, 125 egg plant, 126 Welsh onion, 127 Chinese cabbage, 128 Chinese cabbage, salted, 129 Indian lotus root, 130 summer orange, 131 citrus Unshiu, 132 strawberry, 133 fig, 134 Japanese persimmon, 135 Japanese pear, 136 banana, 137 loquat, 138 grape, 139 peach, 140 apple, 141 Lentinus edodes, fresh, 142 common mushroom, champignon, 143 Tricheloma matsutalke, 144 purple laver, 145 tangle, 146 Hijikia fusiformis, 147 Undaria pinnatifida, 148 itter chocolates, 149green tea, infusion, 150 "sake", 151 beer, 152 "shoyu", soy sauce.
著者
梶本 五郎 笠村 貴美子 花田 完五 飯嶋 猛 山本 正明 友田 喜一郎 飯田 泰造
出版者
JAPAN SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.286-289, 1964

神戸市内の各区より学校給食場, 工場給食場, 病院給食場および揚げ物店をそれぞれ2カ所ずつ, 計45カ所を選び, 使用中のフライ油の品質, すなわち劣化度合を泡延距離, 過酸化物価および酸価より求めた。その結果<BR>1) 学校給食に使用しているフライ油は比較的新しい。<BR>2) 工場給食のフライ油は2~3例を除きいくぶん劣化している。<BR>3) 病院給食のフライ油は2~3例を除き, やや新しい。<BR>4) 揚げ物店のフライ油は総体的に劣化しており, ことに豆腐, 油あげ製造店, 肉フライ製造店, ドーナツ製造店, てんぷら製造店では変敗度が高い。
著者
清水 二郎 中村 正二郎
出版者
JAPAN SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.127-130, 1976

精白米, 押麦, 小麦粉の第1次, 第2次抽出液および煮熟抽出液を調製し, 可溶性たん白質をディスク電気泳動法によって比較検討した。抽出溶媒は, 蒸留水および50mMトリス塩酸緩衝液 (pH 8.0) を用いた。<BR>各食品とも抽出されるたん白質画分は抽出溶媒によりかなりの相違が認められ, きわめて多くのたん白質が含まれている。同一溶媒を使用しても, 第1次抽出液と第2次抽出液では多少の差異が認められた。精白米飯のたん白質画分は不鮮明であったが, 押麦と小麦粉の煮熟品では鮮明であった。また, 抽出溶媒による差も明らかであった。