著者
斉藤 芳枝 畑山 富子 細田 裕子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.139-141, 1974

温州みかん, レモン, グレープフルーツ, 夏みかん, いちご, びわ, もも, ぶどう, プリンスメロン, パインアップル, りんごおよびプラムの果汁を調製し, 5℃に3週間貯蔵してその間のビタミンC, 還元糖, 酸および窒素の量的変化を測定した。<BR>ビタミンC含量の多いプリンスメロンおよび柑橘果汁では3週間後も最初の量の40%以上のビタミンCが残存したが, もも, ぶどう, パインアップル, プラムらは含量も少なく, 残存量も10~20%と低かった。<BR>還元糖は3週間貯蔵後プリンスメロンとももの果汁では増加し, びわとりんごの果汁では最初と同じであったほかはいずれも減少する傾向を示した。<BR>酸は温州みかん, びわ, もも, プリンスメロンの果汁で増加したが他の果汁では大きな変化はなかった。<BR>可溶性窒素は減少するものが多く, それにもかかわらずアミノ態窒素の増加が認められる果汁があったが, これはアミノ酸やペプチドの生成によるものと思われた。
著者
水上 久枝
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.171-173, 1959-09-25 (Released:2010-11-29)
参考文献数
6

The content of hemoglobin and myoglobin in meat-beef, horse and whale-as estimated simultaneously by the spectrophotometry on the extract saturated with carbon monoxide. Hemoglobin and myoglobin were extracted from the homogenized meat with acetate buffer pH 4.5 as described by de Duve. The absorption spectra of the mixtures of carboxyhemoglobin and carboxymyoglobin were plotted by Beckman DK self-recording spectrophotometer or Hitachi EP U-1 spectrophotometer. The content of hemoglobin and myoglobin was obtained from the absorbancy at 560, 570, 576 and 580mμ by the nomograph made by Tsushima and Okazaki.The rate of hemoglobin and myoglobin was also calculated by other methods such as that of de Duve and that of Poel. The sum of these proteins was also checked by cyanide-methemoglobin method.The rate of hemoglobin and myoglobin as observed to remain constant in spite of the difference of the animal species and the localization in the body, accordingly in spite of the difference in the total content of the extractable heme-proteins. The content of hemoglobin was estimated to be approximately 10% of the total heme. No remarkable difference in the hemoglobin content was observed between whale and the other meat, although some difficulties in removing the blood might be conceivable in the former.The hemin content of dark muscles of bonito and tuna was also determined.
著者
香川 綾 小池 五郎 木村 広子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.216-219, 1963

Main protein source of Japanese breakfast is rice and soybean, sometimes with fish, andth at of Western countries bread and milk, sometimes with meat.<BR>To compare the nutritive value of these mixed proteins, forty-eight male albino rats weredi vided into six groups and fed the following diets as protein source;<BR>Group A, rice protein; Group B, rice and soybean protein; Group C, rice, bean andf ish protein; Group D, wheat protein; Group E, wheat and milk protein; Group F, wheat, milk and meat protein.<BR>After 5 weeks-feeding following results were obtained:<BR>1) An effect on growth (increase of weight) was in the order of group F, E, C and B, butthe differe nces were not statistically significant. Group A and D showed significantly lower results.<BR>2) The weights of liver of groups A and D were lower than those of the other four groups, and among latters there were no differences. The activity of liver xanthine oxidase wash ighest in group F, followed by E, C and B. Group A and D showed lowest activity. Theactivity of liver transaminase was highest in group F, followed by C, and that of group Aand D was the lowest.<BR>3) There were no differences in hemogl obin content of blood among five groups except group D, which showed an anemic state.
著者
奥田 輝雄 川北 兵蔵
出版者
JAPAN SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.420-424, 1964

学校給食パンの品質改善のためには, まず, その現状を知る必要があるので各小学校から採取した試料につきパンの脂肪量を測定し, 同時に学校給食パン加工指定工場から採取した原料小麦粉およびショートニングの品質を検討し, 次の結果をえた。<BR>1) パンの脂肪量は昭和35年においては推定平均値の範囲が1こ取りコッペパンで<I>x</I>=3.29±0.293%, 2こ取りコッペパンで<I>x</I>=2.98±0.426%, 食パンで<I>x</I>=3.32±0.258%と偏りが大きかったが, 昭和36年には, 1こ取りコッペパン<I>x</I>=3.24±0.088%, 2こ取りコッペパン<I>x</I>=3.43±0.211%, 食パン<I>x</I>=3.37±0.145%というところまで改善された。<BR>2) ショートニングはほぼJASに合格し, 品質管理が比較的よく行なわれていた。<BR>3) 小麦粉の主な成分量は個々については製粉会社別に差がみられ, 検収規格に合格しないものもあったが, おおむねそれらに近かった。ただ, 蛋白, 灰分量に差が認められたことは品質管理上, 今後検討を要するものと考えた。<BR>4) エクステンソグラムにおいて製粉会社別に明らかな差がみられ, この物理的性質の相違が主要工程に大きな影響があるものと推測した。
著者
奥田 輝雄 川北 兵蔵 林 右市
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.473-476, 1963

現行の学校給食用普通パン, ぶどう入, ピーナッツ入黒糖入パンの試験焼を行ない, 次の結果をえた。<BR>(1) パン1個の重量は各種類とも焼上り4時間後が最低値を示すが, 個体間の重量差ははなはだ大きかった。したがって, 少なくとも20個以上の平均値を基礎としなければパンの重量を論ずることはできない。この重量の偏りの主因は生地自働分割機の精度にあり, その改善がのぞまれる。またこれらの点から一食分重量は普通パン (2個取コッペパン) は126g, 黒糖入は130g, ピーナッツ入, ぶどう入は各々140gが妥当と思われる。<BR>(2) 副原料として用いたぶどう, ピーナッツ量は製品から摘出した各乾物量にぶどうの場合1, 7を, ピーナ7ツの場合1.1を乗ずることによってほぼその使用量を推定できる。<BR>(3) パン中のビタミンB<SUB>1</SUB>, B<SUB>2</SUB>の最低標準値はビタミンB<SUB>1</SUB>では0.3mg%, B<SUB>2</SUB>では0.2mg%となり, 脂肪量は原料小麦粉に対し3%の配合率のときは製品中少なくとも3.3%となることを認めた。
著者
長沢 太郎 両木 岱造 工藤 力
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.387-390, 1966-01-30 (Released:2010-02-22)
参考文献数
47

牛乳および人乳からRöse-Gottlieb変法によりリン脂質を抽出し, TLCにより各成分を分離した。各々の成分を試薬に対する発色, Rf値および赤外線吸収スペクトルから同定し, 比色法により定量した。リン脂質中の各成分の組成は人乳ではLPC: 2.52, Sph: 25.08, PC: 46.96およびCep: 25.44, 牛乳ではLPC: 5.51Sph: 17.94, PC: 27.77およびCep: 48.77 (いずれもモル%) であった。
著者
前野 正久 両木 岱造 工藤 力
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.401-406, 1964-01-30 (Released:2010-11-29)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ニュージーランド, オーストラリア, スェーデン, アメリカで生産された15試料のバターオイルの乳脂肪について主な化学試験を行ない, 脂肪酸組成をガスクロマトグラブィーにより分析し, 日本のバターから得た乳脂肪と比較した。酸価, 不ケン化物の量は国別, 季節別の差はない。融点は国別の差はなく季節的に冬季の試料が夏季の試料より1.0~1.5℃高い値を示した。ケン化価, 沃素価は国別の差よりも同じ国の季節による差の方が大きく, 冬季にはケン化価が高い値を示し, 沃素価は減少する。夏季にはこの逆の傾向を示した。脂肪酸組成は日本, アメリカの夏季試料ではステアリン酸, オレイン酸, リノール酸, リノレン酸が多く, 低級脂肪酸は減少する。冬季にはミリスチン酸, パルミチン酸, 低級脂肪酸が増加し, ステアリン酸, オレイン酸, リノール酸, リノレン酸が減少する。日本の試料は酪酸含量は外国の試料と大きな差はないが酪酸からラウリン酸までの脂肪酸量は外国のものより低く, リノール酸, リノレン酸は外国の試料とほぼ同じ量を含んでいる。オーストラリアの試料はアメリカ, 日本の試料と同じ傾向にあった。ニュージーランドの試料は夏季でもオレイン酸が少なく, 低級脂肪酸が多く他の国の夏季試料と組成が異なっている。スエーデンの試料はアメリカ, 日本の冬季の試料よりパルミチン酸含量が多く, ステアリン酸, オレイン酸が少なく, 低級脂肪酸およびミリストオレイン酸, パルミトオレイン酸の量が多い。
著者
和田 せつ 鈴木 久子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.283-286, 1959-11-30 (Released:2010-11-29)
参考文献数
4

The authors reported previously that thiamine decomposing, thermostable factor was isolated from peanut seed coat and that this was found as tannin which was contained in materials.In this paper we determined the tannin contents of various daily-used foods, and demonstrated that the tannin in foods caused the decrease in thiamine content during heat treatment. Further studies showed that precipitate was produced in solution of thiamine and tannin mixture when hydrogen ion concentration was brought at higher pH than 5. And two spots of thiamine and tannin was detected when the precipitate was run by paper electrophoresis.
著者
支倉 さつき 林田 紀代子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.353-357, 1963

実際の糠床基質の熟成および質的向上に関して次の事項を認めた。<BR>1. 脱脂大豆混入は糠床の蛋白質強化の上からも味覚の上からも効果的であった。<BR>2. プロテアーゼ添加は糠床の熟成を促進し, 脱脂大豆の添加と相俟って糠床を質的に向上させることができた。<BR>3. プロテアーゼと共に乳酸菌製剤の添加は, 糠床の熟成促進およびにおいの点から, もっとも効果的であることを認めた。
著者
津田 はるみ 門倉 芳枝 道 喜美代
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.90-93, 1958

1. 疏菜中のビタミンCは爺ではじめの水温が低いと沸騰水に投じて茄でたものに比し概してビタミンCの損失が多い。芽キャベツ, さやえんどうでもその傾向が見られるが春菊に顕著に見られる。<BR>2. 今回行つた疏菜の中, 春菊, さやえんどう, 芽キャベツはビタミンC酸化酵素の存在が見られた。春菊中のビタミンCを酸化する酵素はカテコラーゼとアスコルビン酸酸化酵素の混合と思われる。一般に酵素作用の強い疏菜に調理中のビタミンCの損失が多いことを認めた。<BR>3. 春菊の不活性酵素液においても或程度ビタミンCの酸化作用が認められた。これは酵素調製中に春菊中のフェノール物質がカテコラーゼで酸化され生成したキノン様物質がピタミンC酸化作用をすると考えられる。<BR>4. 春菊を茄でる時に食塩を添加すると茹身のビタミンCの損失を少くする。ビタミンC酸化酵素に食塩添加の影響を試験した所, 1M濃度ではビタミンC損失を抑制するが, それ以下の濃度では殆んど影響は見られなかつた。
著者
鈴木 正成 小柳 達男
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.171-174, 1968 (Released:2009-11-16)
参考文献数
18

体重380g前後の雄ラットを1週間絶食させて各脂肪組織の組織重量, 脂質含量および副睾丸脂肪組織と腎周囲脂肪組織の脂肪酸組成におよぼす影響を検討し, つぎのような結果を得た。1週間の絶食で体重は平均65g減少した。 脂肪組織の減少は皮下および腎周囲脂肪組織でとくに著しく, 副睾丸脂肪組織がそれについだ。しかし, 腸間膜, 大網膜および肩甲骨間脂肪組織は有意の減少を示さなかった。各脂肪組織の脂質含量は1週間の絶食で減少したが, 皮下および腎周囲脂肪組織で著しい減少が認められ, ついで副睾丸脂肪組織で著しかった。しかし, 腸間膜, 大綱膜および肩甲骨間脂肪組織では明らかな減少は示されなかった。また, 副睾丸脂肪組織の減少は脂質の減少によるが, 脂質以外の組織成分の増加がみられる点で他の脂肪組織と異なった変動を示した。また, 副睾丸脂肪組織の脂質脂肪酸組成は絶食の影響を受けなかったが, 絶食による変動がより大きかった腎周囲脂肪組織で, オレイン酸が高度の有意性をもって増加するのが認められた。以上のような結果から, 絶食時における各脂肪組織の脂質代謝に差異があることが明らかにされた。
著者
山田 真里子 平野 敬子 吉田 勉
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.261-266, 1978 (Released:2010-03-01)
参考文献数
15

モヤシを市販次亜塩素酸ナトリウム液 (アンチホルミン液) に浸漬した場合の, ビタミンC含量の変化を調べた。その結果, アンチホルミン液処理により, モヤシ中の総ビタミンCは, 未処理とくらべ実験室処理では85% (5~120分浸漬の平均), 工場処理では76%に減少した。この減少のおもな原因は, 浸漬液中へのビタミンCの溶出と考えられる。また, 工場処理では, 水洗中にモヤシの機械的攪拌が行なわれるために, 実験室処理にくらべその溶出量も多くなったと思われる。1/500アンチホルミン液は, モヤシ中のビタミンCに対して酸化剤として作用し, モヤシ中の還元型ビタミンCを酸化型ビタミンCに変化させるが, この液のもつ高いpHの影響によるビタミンCの分解はあまり起こらないと推察された。
著者
高瀬 幸子 森本 絢美 志村 二三夫 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.309-317, 1975-10-15 (Released:2009-11-16)
参考文献数
10

比較的生活環境の類似している女子大生343名の対象について, 不定愁訴と食生活との関連ならびにそれらをとりまく諸要因との関連を観察した。1) よく眠れない者, あるいは睡眠時間の短い者, 長い者, 夢を多くみる者に愁訴数が多かった。また, 現在の生活に満足していない者, 生きることに対し退屈感をもつ者に愁訴数が多かった。 喫煙者や鎮静剤などを常用する者にも愁訴数は多かった。2) 欠食回数の多い者, 夕食時刻の一定でない者, さらに, 食事の不規則な者に愁訴数が多かった。 しかしながら, 目的があって欠食している者には, そのような傾向は比較的みられなかった。3) 食事摂取の規則性とこれに関連する睡眠, 生活状態, 居住条件などとの相互関連について考察した。 これらの諸要因は, 食事の不規則性との関連を示しながら不定愁訴の発現とも関連していた。以上の結果から, 目的意識をもって規則的な日常生活ならびに食生活をおくるものには愁訴は少なかった。
著者
谷口 巳佐子 山内 亮子 中村 元臣
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.681-685, 1972

白ネズミの肝臓ミトコンドリヤによるパルミチン酸誘導体の酸化に及ぼすリボフラビンの影響をしらべ, リボフラビン欠乏によって, パルミチル-CoAとL-カルニチンとの酸化のほうが, パルミチル-L-カルニチンのものより減少が大きいことが見いだされた。<BR>離乳ネズミをリボフラビン添加対照食で18日間飼育し, ついで31日間欠乏食で飼育したとき, ミトコンドリヤのパルミチル-CoAとL-カルニチンの酸化活性は, 欠乏食で飼育をはじめたものと同様の減少を示したが, パルミチル-L-カルニチンのものは欠乏食飼育前に対照食を与えたもののほうが酸化活性の減少が少なかった。<BR>ミトコンドリヤの呼吸調節率は, 欠乏食で4週間飼育することにより, パルミチン酸の両誘導体ともに減少した。しかし, 酸化的リン酸化の比はパルミチル-L-カルニチンを基質とし, 欠乏による影響はなかった。
著者
岩本 喜伴 宮崎 正則 前田 ゆう子 堀尾 嘉友
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.213-217, 1970
被引用文献数
1

市販バナナ生果中の硝酸塩含量の測定ならびにバナナピューレーを用い果汁含量 (硝酸塩含量) を異にした試験かん詰を製造し, スズ異常溶出におよぼす硝酸塩の影響を検討した。<BR>1) 市販されているバナナ生果中の硝酸塩含量は外観からの熟度に関係なく, 硝酸性窒素は3-30ppmとバラツキが認められた。<BR>2) 原料中に多量の硝酸塩が含まれているとオレンジジュースならびにトマトジュースかん詰で認められたのと同様にバナナジュースかん詰においても製造後短期間内にスズの異常溶出が認められた。<BR>3) 実かん試験の結果から硝酸性窒素1ppmに対するスズの溶出量は約30ppmであった。<BR>4) バナナをかん詰原料として使用する場合には原料中の硝酸塩含量に注意しなければならない。
著者
川端 晶子 澤山 茂
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.21-25, 1974-02-28 (Released:2010-02-22)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

1) 追熟によって, 澱粉から糖への成分転換が行なわれ, とくに7日目以後が顕著である。 試料間における糖含量の大きな差は認められなかったが, フィリピン産バナナの糖含量が比較的高かった。2) pHおよび酸度の変化では, 5日目ないし7日目にややpHが低く, 酸度を増す傾向にあり, climacteric riseの現象との一致の傾向を推測できる。3) バナナ果実の果肉と果皮の割合は, 平均して, 果肉60.7~62.2%, 果皮39.2~37.8%である。4) 追熟に伴い, 全ペクチン量は漸減し, とくに追熟後半で減少する傾向にあるが, 本追熟条件において適食期である9日目の全ペクチン含量は, エクアドル産バナナ果肉0.55%, フィリピン産バナナ果肉0.66%, 台湾産バナナ果肉0.68%であった。抽出区分の比率では, P-S区およびH-S区は, 追熟によって減少し, W-S区は増加するが, これは, 果肉が漸次軟化していくことを実証している。 バナナのペクチンを利用する調理加工には, 最も適した追熟条件を選定する必要があろう。5) 果皮中のペクチン含量は概して少なく, 追熟中の変化も顕著ではない。 抽出区分ではH-S区が最も多く, プロトペクチンの多いことを示している。
著者
古武 弥三 池田 小夜子 柴田 満里子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.355-365, 1981-08-10 (Released:2009-11-16)
参考文献数
23
被引用文献数
1

亜鉛は多くの酵素の成分として重要な作用を果たしている。年少者に亜鉛欠乏があると成長発育の停止, 性機能不全症などが起こることがアラブ連合共和国, イランなどで明らかにされているが, 遺伝性の乳児疾患である腸性先端皮膚炎 (Acrodermatitis enteropathica) では亜鉛の欠乏によって四肢, 顔などに水胞性, 膿胞性の湿疹様皮膚炎, 脱毛, 下痢などを起こさせることが知られている。同様な症状は中心静脈カテーテル挿入法によって長期間にわたって高カロリー輸液を送り込む非経口的栄養において, 微量栄養素として亜鉛の添加が行なわれない場合にも起こることが明らかにされている。したがって亜鉛の所要量の決定はきわめて重要であって可及的早期に行なわれる必要性のあることを述べ, われわれの実験成績から次のような点を結論としてあげたい。1) 日本人はたん白源を魚に求める人達が多いが, 魚たん白は獣鳥肉に比べると概して亜鉛含量が多くないので, 成人1日の亜鉛摂取量はそれほど高くならない。神戸市在住者の代表的な献立10例を選んで, 成人1日の亜鉛量を調べたところ, その平均値±標準偏差は8.9±2.5mgであった。この値はアメリカ, イタリア, デンマーク等の推奨所要量15mgに比べるとかなり低い値であるが, チェッコスロバキアの推奨所要量8mgには十分達している。2) 人工栄養児の哺乳に使用されるわが国の特調製粉乳の亜鉛含量はいずれも100g中0.7~0.9mgであって, これらの粉乳は13~14%の濃度で使用されるので, たとえば生後4~6か月児に1回180mlの哺乳がなされたとしても, 約0.2mgの亜鉛含量にしかならない。その結果1日量としては2mgに達しない。アメリカ, イタリア, デンマーク等の推奨所要量では亜鉛は生後6か月までは3mg, 7か月から12か月までは5mgとされており, チェッコスロバキアでは生後6か月までは4mg, 7か月から12か月までは5mgとされている。人工栄養児の亜鉛摂取量をこれらの国々の推奨所要量に比べると少ないので, 特殊調製粉乳中の粉乳含量を増加させ亜鉛含量を多くする必要があろう。3) 離乳期の幼児の毛髪中の亜鉛量を測定したところ, 毛髪中の亜鉛量の平均値±標準偏差は10.2±2.5mg/100gと低く, 成人の毛髪中の亜鉛量平均値±標準偏差30.2±5.8mg/100gに比べると危険率0.001以内の有意差を持って離乳期の幼児の毛髪中の亜鉛含量の少ないことが明らかとなった。このことから亜鉛の体内保有量は生後しだいに増加するものと考えられる。