著者
西野 順二
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.141-143, 2017-08-15 (Released:2019-08-15)
著者
岨野 太一 今井 倫太
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.582-592, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
40

本論文では,目的のない散歩において,人と一緒に散歩するパートナーとなるロボットの発話の量について検討する.発話の量の調整は,話者に対する聞き手の印象や,会話自体の印象に対して大きく寄与する要素である.散歩においても,一緒に歩くパートナーとの会話は,散歩自体の印象に寄与すると考えられ,発話量に関する知見を得ることは大変重要である.本論文では,4種類の発話量のロボットに対して,参加者内計画による検証実験を行い,発話量についての多寡の感覚と,発話量による印象の変化について調査を行った.結果,4~5秒の短文の発話において,発話の開始から次の発話の開始までが10秒である場合に発話量が多いと感じ,40秒だと少なく感じるという知見が得られた.また,発話の開始から次の発話の開始までが20秒以下である場合,散歩のパートナーとしての評価や好ましさ,知的かどうかの印象の面で,他条件に対して有意に高評価であった.
著者
大礒 正嗣 松村 嘉之 保田 俊行 大倉 和博
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.18-28, 2011-02-15 (Released:2011-05-10)
参考文献数
28
被引用文献数
2 4

多数の演算器を持ち並列計算可能な Graphic Processing Units(GPU)は,近年,CPU をはるかに上回る演算性能を持つようになり,GPU を用いて数値計算を高速化する研究が多くなされている.進化計算の計算量に対しても GPU 計算が注目されており,遺伝的アルゴリズム(GA)の分野において,集団の並列化についていくつかの議論が緒についた.本稿では,GPU 向け開発計算環境である CUDA を利用して,集団の並列化だけでなく個体単位での並列化を行うことによりGAの高速化とオーバーヘッドの隠蔽を行う実装手法を提案する.進化計算のベンチマークである関数値最小化問題とアプリケーションである進化ロボティクス問題に対して提案実装手法を適用し,計算機実験を行った.結果として,提案実装手法は従来の CPU による計算に対して 7.6~23.0 倍の高速化を達成した.
著者
前田 陽一郎 花香 敏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.722-733, 2009-10-15 (Released:2010-01-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

一般に,自律エージェントや自律移動ロボットに効率的な行動学習をさせるためには動物の学習メカニズムから工学的応用を行なうことは有効な手法であることが知られている.中でも,動物行動学,行動分析学や動物のトレーニング(調教)などで広く用いられている「Shaping」という概念が最近注目されている.Shapingは学習者が容易に実行できる行動から複雑な行動へと段階的,誘導的に強化信号を与え,次第に希望の行動系列を形成する概念である.本研究では繰り返し探索により自律的に目標行動を獲得できる強化学習にShapingの概念を取り入れたShaping強化学習を提案する.有効なShaping効果を検証するために強化学習の代表的なQ-Learning,Profit Sharing,Actor-Criticの3手法を用いた異なるShaping強化学習を提案し,グリッド探索問題のシミュレータを用いて比較実験を行なった.さらに,実際の動物などの調教の場などで知られている段階を追って行動を強化する「分化強化」という概念をShaping強化学習に取り入れた分化強化型Shaping Q-Learning(DR-SQL)を提案し,シミュレーション実験により手法の有効性が確認された.
著者
辻 明日夏 倉重 賢治 亀山 嘉正
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.337-346, 2008-06-15 (Released:2008-11-04)
参考文献数
19
被引用文献数
3 3

本研究では,いくつかの料理を組み合わせることでメニューの作成を行う.この組み合わせにより,栄養のバランスや料理同士の相性,各カテゴリーでの品数などを考慮する.バランスの取れた料理を作成するためには,エネルギーと脂肪,炭水化物,たんぱく質,食物繊維,塩分などの摂取量を考慮する必要がある.各栄養素に対する必要摂取量は,個人によって異なっており,料理を組み合わせることによって,その値を完全に一致させることは困難である.通常,これらの量は,完全に一致させる必要はなく,ある程度の範囲内で収めれば良いと考えられている.そこで,各栄養素に対する必要摂取量をファジィ数で表現し,それぞれの栄養素に適したメンバシップ関数を作成する.バランスの取れたメニューを作成するためには,最も低いメンバシップ関数値の最大化を目指す.その他,料理の相性や料理数は,通常の制約条件として取り扱うこととした.この問題は,ファジィ数理計画問題として定式化され,180皿の料理による数値計算例によって,その有効性を明らかにした.
著者
小林 一行 御園 祐介 渡辺 嘉二郎 大久保 友幸 栗原 陽介
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.90-99, 2009-02-15 (Released:2009-06-18)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

本論文では,Intelligent Ground Vehicle Competition(IGVC)のナビゲーション競技のルールに準拠したウェイポイントナビゲーションシステムの実装例について述べる.IGVCとは,1993年から米国で開催されている自律走行車大会であり,自律型移動ロボットの技術向上を目指した大会である.毎年開催され複数の大学が参加している.その競技の一つとしてナビゲーション競技が設けられている.ナビゲーション競技とは,GPSによる位置検出を想定しエリア内に存在する障害物を避けながら,あらかじめ指定された複数ウェイポイントを何点通過できるか速さと正確さを競う競技である.ウェイポイントナビゲーションは,(1)移動ロボット上からみたウェイポイントの位置または方位の把握による長期経路プランニング,(2)外界センシングと障害物回避のための短期経路プランニング,そして(3)これら情報に基づく自律制御からなる.本論文では,これら一連の解決方法に,センサとして GPSとレーザレーダそれにジャイロ,速度計を用い,総合的な状況判断に複素拡張カルマンフィルタをベースとした SLAMアルゴリズムにより高精度なナビゲーションを実現する.さらに,与えられたウェイポイントマップに従い走行しながら,自己軌跡マップ,ランドマークマップを同時に作成する方法を提案した.提案する方法を実証するため実機でリアルタイム制御を行い,その有効性を確認した.
著者
Michal PTASZYNSKI Pawel DYBALA Wenhan SHI Rafal RZEPKA Kenji ARAKI
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.194-213, 2009-04-15 (Released:2009-06-30)
参考文献数
63
被引用文献数
7 19

We propose a method for affect analysis of textual input in Japanese supported with Web mining. The method is based on a pragmatic reasoning that emotional states of a speaker are conveyed by emotional expressions used in emotive utterances. It means that if an emotive expression is used in a sentence in a context described as emotive, the emotion conveyed in the text is revealed by the used emotive expression. The system ML-Ask (Emotive Elements / Expressions Analysis System) is constructed on the basis of this idea. An evaluation of the system is performed in which two evaluation methods are compared. To choose the most objective evaluation method we compare the most popular method in the field and a method proposed by us. The proposed evaluation method was shown to be more objective and revealed the strong and weak points of the system in detail. In the evaluation experiment ML-Ask reached human level in recognizing the general emotiveness of an utterance (0.83 balanced F-score) and 63% of human level in recognizing the specific types of emotions. We support the system with a Web mining technique to improve the performance of emotional state types extraction. In the Web mining technique emotive associations are extracted from the Web using co-occurrences of emotive expressions with morphemes of causality. The Web mining technique improved the performance of the emotional states types extraction to 85% of human performance.
著者
室伏 俊明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.163, 2014-08-15 (Released:2017-11-18)

非加法的測度とは,菅野によって定義されたファジィ測度と実質的に同義である.測度は,現代数学における基本概念の1つであり,外延量の数学的表現である.ここで外延量とは,長さ,面積,体積,質量などの広がりに規定される量をいう.測度とは,性質 n(0/)=0 と加法性「 A∩B =0/ ⇒ n( A∪B )= n(A)+ n(B)」をもつ,全体集合 X の部分集合族 上に定義された関数 n: →[ 0, ∞] である(厳密には はv 集合体であり, n はv 加法性をもつ).P(X)=1 ,すなわち全体集合 X の値が1である測度 P は確率測度と呼ばれ,これは確率の数学的表現である.測度を対象とする数学理論を測度論と言う.1972 年,確率法則に縛られない主観的な確からしさを表すため,菅野はファジィ理論に,確率測度の持つ加法性をより弱い条件である単調性「A⊆B ⇒ n(A) μ(B)」に置き換えて定義されるファジィ測度を導入した(ファジィ測度の当初の定義では,連続性などの条件も課せられていたが,その後の数学的研究ではそれらの条件は課されないことも多い.ここでもそれらは考えない).このファジィ測度はファジィ理論における概念だが,ファジィ集合とは数学的に無関係である.一方,数学においても測度論に,測度の持つ加法性を単調性に置き換えて定義される非加法的測度が導入され,測度論を拡張する研究が行なわれてきている.ファジィ測度と非加法的測度の数学的研究は独立に行なわれてきたが,近年,それらの研究は互いに影響し合い,融合されつつある.ファジィ測度という名称はファジィ集合と数学的に関係があると誤解されやすいこと,非加法的測度という名称の方が中立的な印象を与えることなどから,ファジィ理論においても,ファジィ測度は非加法的測度と呼ばれることが多くなってきている.
著者
稲垣 敏之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.20-28, 2003-02-15 (Released:2017-05-29)
参考文献数
31
著者
真部 雄介 松嵜 晃司 菅原 研次
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.711-722, 2015-10-15 (Released:2015-11-13)
参考文献数
17
被引用文献数
1

加速度センサやジャイロセンサが搭載されたスマートフォンなどの携帯端末が広く普及したことを受け,そのようなセンサから得られる情報を元に,歩行者の状態や携帯端末の所持状態,あるいは人物識別を実現しようという取り組みが行われている.本研究では,人物識別を目指した既存研究の多くが,平地での歩行状態のみを対象としているものが多い点に着目し,複数の歩行状態で人物識別を実現する方法を提案する.具体的には,平地歩行・階段昇行・階段降行の3種類の歩行状態を識別し,歩行状態別に定義した識別器を用いて人物識別を実現する.10人の被験者を対象とした実験の結果,最も高い精度が得られた線形判別分析において,歩行状態識別率95.7%,人物識別率85.0%(平地歩行),90.0%(階段昇行),77.0%(階段降行)が得られた.また,歩行状態識別と人物識別を段階的に行った場合の人物識別率の推定値は80.4%となった.さらに,提案手法と歩行状態の区別をせずに人物識別を行った場合との比較を行った結果,使用した5種類の識別器(k近傍法,決定木,単純ベイズ分類器,線形判別分析,サポートベクターマシン)のうち,k近傍法を除く4つの識別器で提案手法による人物識別率が高くなり,歩行状態別に人物識別を行うことによる識別精度改善効果が確認された.
著者
槫松 理樹
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.778-781, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
9

本論文では,可読性の高い文書分類モデルを構築するためにラフセット理論を用いる手法を提案する.本手法では,縮約によって絞り込んだ語句を用い,上近似集合,下近似集合それぞれから抽出した決定ルールと新規文書を照合する.その際,成立した上近似集合からの決定ルールおよび下近似集合からの決定ルールの評価値の最大値の和が最大となる分類を推定結果とする.評価値としては,正確度SI,被覆度CI,リフト値を用いる.専門家の協力のもと,特許公報を題材とした検証の結果,専門家が納得できる決定ルールの抽出に成功するとともに,単純な分類方法よりも高い分類精度を示すことができた.しかし,専門家が納得できたルールは抽出したルールの約25%にとどまり,精度,Kappa係数ともまだ改善の余地がある.また比較対象としたナイーブベイズ分類に対する優位性を示すには至らなかった.今後の課題としては,実験結果を分析し,アルゴリズムを改善することが挙げられる.
著者
入江 勇斗 増山 直輝 能島 裕介 石渕 久生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.512-517, 2020-02-15 (Released:2020-02-15)
参考文献数
6

近年の情報技術の急速な発展はデータの継続的な収集を可能とした.蓄積されるデータは重要な経済資源とみなされており,種類・量ともに日々増加する膨大なデータから人が容易に理解できる形式で知識を獲得する手法が研究されている.ファジィ遺伝的機械学習(GBML)は,言語的に解釈可能なファジィ識別器を設計する手法の一つである.しかし,ファジィGBMLの学習アルゴリズムは一括学習であり,未知のクラスに属するデータが継続的に与えられる状況での知識の獲得(クラス増分学習)を行うことが困難である.そこで本研究では,従来のファジィGBMLをクラス増分学習可能なアルゴリズムに拡張する.具体的には,クラス増加時に,i)未知クラスを識別するルールの再構成,ii)学習済みのクラスに属するデータの削減の2つの操作を従来のファジィGBMLに加える.数値実験結果より,提案手法が未知クラスを効率的に学習可能であることを示す.
著者
森田 賢太 高瀬 治彦 川中 普晴 森田 直樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.592-596, 2019

<p>本稿は与えられた系列データから頻出な部分列を抽出することを目的とした.特に,抽出に際して(1)オンライン学習,(2)複数部分列の抽出, (3)さまざまな長さの部分列の抽出, (4)頻出とするしきい値の調節の4つすべて可能にすることをめざした.提案手法は,スパイキングニューロンを用いた2ブロックからなるニューラルネットワークである.LIFモデルに基づくユニットにより構成し,STDP学習則に基づいた結合荷重の更新を行うことで,自己組織的に部分列を抽出するネットワークを構築する.この結果,1つのSTDPのパラメータを調整するだけで,同じ系列から頻出として抽出する部分列を変化させることができた.具体的には,3,000シンボル長の系列から3シンボル長の部分列(出現頻度は0.4%, 3%, 5%)を抽出した際,3%以上出現する部分列の抽出と5%以上出現する部分列の抽出の切り替えに成功した.</p>
著者
西村 良太 長尾 拓海 一万田 郁仁 北岡 教英
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.840-845, 2018-12-15 (Released:2018-12-15)
参考文献数
14

近年の超高齢社会において,高齢者の加齢に伴う聴覚機能の低下が問題視されている.聴覚機能が低下すると,会話によるコミュニケーションにも支障をきたす.近年は,音声対話システムを利用した高齢者サポートシステムなどの開発も行われているが,このようなシステムで用いられる合成音声は高齢者にとっては聞き取りにくいものである.そこで本研究では,まず高齢者に音声の聴取実験を行ってもらい,その結果から聴覚特性の分析を行った.聴取実験では,単語了解度試験を行い,音素単位(子音部,母音部)での識別率を求めた.その結果,摩擦音,破擦音,破裂音同士での異聴が多かった.この結果を受けて,我々は音声に対して高齢者の聴覚特性に基づいた子音強調加工を施し,高齢者にとって聞き取りやすい音声を作成することができるかを調査した.音声加工は,特に異聴が多かった /k/,/s/,/t/,/h/,/ky/,/sy/,/ch/ の音素に対して行った.具体的な加工法としては,子音部の振幅を原音声比400%で増幅させるものである.加工音声の評価実験では,単語了解度試験による聴取実験を行った被験者と同じ被験者に聴取実験を行ってもらい,得られた聞き取り結果の正答率の比較を行った.結果,いくつかの音素においては,音声を加工することで正答率が上昇した.