著者
宮本 定明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.1008-1017, 2009-12-15 (Released:2010-03-01)
参考文献数
41
被引用文献数
1

本稿では,ファジィクラスタリングの有用性を示すために,4種類の考察を行う.はじめに,階層的クラスタリングの議論において,ファジィグラフが中心的な役割を果していることを述べる.次に,エントロピー関数を利用したファジィc-平均法が,ガウス混合分布モデルの一般化に相当していることを示す.第3に,ファジィ分類関数を考察することによって,ファジィc-平均法から導かれたファジィルールの理論的性質が明らかになることを示す.最後に,ファジィクラスター妥当性基準は,クラスター数評価に有用であることを述べる.
著者
Panote SIRIARAYA Kodo MAEDA Takumi KIRIU Yusuke NAKAOKA Yukiko KAWAI Shinsuke NAKAJIMA
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.508-515, 2019-02-15 (Released:2019-02-15)
参考文献数
17

In recent years, there have been various systems developed to encourage people to engage in walking related activities. In this paper, we propose one such system and outline the concept for how a smart walking navigation system could be developed based on the notion of perceived exertion. Our system utilizes information about the geographical characteristics of the route along with data from social media to recommend a route for the user. In addition, we describe the results of 3 feasibility experiments carried out on the recommended routes by subjects studies, which overall support our proposed concept.
著者
前野 仁 山川 烈
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.719-734, 2005-12-15 (Released:2017-05-02)
参考文献数
26

小型船舶の動特性は, 船の状態(船速, 載貨状況など)や外乱(波, 風, 潮流による外力)の影響のために大きく変化しやすい.従って, 従来から小型船舶用オートパイロットに用いられてきた固定式PIDコントローラでは, 常に良好な保針性能を維持することは難しいとされてきた.また, 従来の大型船舶用適応アルゴリズムを用いるとしても, 小型船舶ではシステム同定や規範モデルの設定が困難なので, 良好な結果は得られない.本研究は, これらの問題を解決するために, システム同定や規範モデルを必要とせず, オンラインで船の動特性の変化に適応できる小型船舶用適応型オートパイロットの実現を目的とする.本研究では, ファジィ理論を用いた教師無し学習アルゴリズムによって, 適応アルゴリズムを構成する.教師無し学習を用いた適応アルゴリズムでは, 制御対象の的確な挙動評価が必要とされる.先ず, 小型船舶に適した船体挙動評価方法として, 位相面軌跡評価(Evaluation with Trajectory On Phase diagram : E-TOP)法を提案する.次に, E-TOP法とファジィ理論を用いた教師無し学習アルゴリズムを組み合わせた, 適応型オートパイロットを構築する.さらに, シミュレータによる動作検証と, 実船を用いた保針性能比較実験の結果から, 本研究で提案するE-TOP法と適応制御アルゴリズムによる適応型オートパイロットが, 安定して良好な保針性能を実現できることを示す.
著者
岡本 真彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.2-10, 2001
参考文献数
37
被引用文献数
4 1
著者
徳永 弘子 武川 直樹 寺井 仁 湯浅 将英 大和 淳司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.889-900, 2013-11-15 (Released:2013-12-19)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

本研究では,3人の会話において,話者が次々と交替する順番交替の仕組みを,参与者らが表出する態度とその解釈から明らかにする.これまでの順番交替の研究は,現話者と次話者との間に交わされる発話や視線の方向など直接観測可能な情報を対象に分析されてきた.それに対し本稿では,参与者の視線や表情,しぐさは自己の内部状態が表出された態度であると捉え,態度の表出と順番交替の関係を明らかにする.そのため,順番交替の直前に表出される「話したい」「聞きたい」などの態度を評定し,続いて,次に自分が「話し手になる」「聞き手になる」役割志向態度と順番交替の関係を定量的に分析する.さらに,役割志向態度による順番交替のプロセスを事例分析する.結果,聞き手の役割を志向した参与者が次話者になる場合があるなど,表出された態度が参与者相互に解釈理解されて,場に適した順番交替が選択されていることが示唆された.この分析の結果は,コミュニケーションの構造が視線や仕草など,観測される個々の行動だけからではなく,それらを統合して解釈される態度によって検討されることが必要であることを示唆するものである.
著者
山下 利之 長縄 久生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.827-835, 2012
被引用文献数
1 1

“彼は硬いから,アドバイスを聞いてくれないだろうな”,“発想の転換ができないのは,頭が硬いからだ”,“彼は頭が硬いから,説得するのが難しいよ”,・・・といったように,“硬い”という表現は日常よく使われる.心理学における心の“硬さ(rigidity)”とは,このような,融通がきかない,柔軟性がない,一つの考えや行動パターンに凝り固まっているような心の状態を意味する.硬さはパーソナリティ特性を基本としながらも経験により形成されると考えられている.“心の硬さ”は,自分の中で固定されたイメージに固執して,就職の選択を自ら狭めたり,柔軟に自分の可能性を吟味できないなど,些細な問題が就職活動の妨げになっていることがある.そこで,就職活動の心理的支援として“心の硬さ”を測定し,その“硬さ”の特性に応じてアドバイスをフィードバックする支援ツールを作成した.
著者
西田 泰士 本多 克宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.543-547, 2018-04-15 (Released:2018-04-15)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,特許文献データを対象とし,技術課題の解決手段の可視化を通して解決手段の着想を支援する手法を提案する.まず,代表となる単語を抽出し単語レベルの共起確率ベクトルを生成する.そして,生成した共起確率ベクトル自身の相関係数を算出しベクトル化を行い,SOMに入力させる.共起確率ベクトルにより描いたSOM,そして相関係数ベクトルにより描いたSOMとを比較し考察することにより,新規技術開発における重要な関連要素の抽出を通してイノベーション加速を支援する手法の可能性を示す.
著者
野津 亮 河上 寛和 本多 克宏 生方 誠希
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.522-534, 2016
被引用文献数
1

本論文では,大まかに部分領域を評価しつつ,探索と活用を考慮に入れながら最適化問題を効率的に解くことのできる手法の開発を目指す.まず,数理計画問題における最も単純な探索アルゴリズムであるランダムサーチを改良したランダムグリッドエリアサーチを基礎アルゴリズムとして提案する.探索空間を分割することによって数理計画問題を多腕バンディット問題に置き換えることができ,探索と活用の度合いを考慮したアルゴリズムであるUCB手法などを適用することが可能になる.次に,バンディットアルゴリズムを適用したUCBグリッドエリアサーチ,UCTグリッドエリアサーチを提案,検討し,連続空間最適化問題における比較実験を行い,その収束速度の速さを確認した.
著者
真部 雄介 齋藤 隆輝 嶋田 弦 菅原 研次
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.988-1001, 2012
被引用文献数
4

バイオメトリクス認証技術の中でも行動的特徴を用いた手法の開発は,様々な分野での応用が期待される重要な研究課題である.行動的特徴を用いる方法の中で最も代表的なものは歩行・歩容(gait)認証であるが,近年では,歩行動作を正面から観測して個人を特定することが可能となってきている.正面観測による歩行認証は,人間が個人を特定する方法との親和性や歩行対象者を観測する機器の設置条件などの点で応用上優れた利点を備えているとされており,このような利点を生かした技術の開発は,ロボットへの自然な個人認証機能の実装や実世界の状況や文脈に応じて妥当な処理結果を出力するような個人適応型のコンピュータシステムの開発にとっても重要な意義があると考えられる.そこで本論文では,正面方向から観測が可能な特徴量である歩行時の頭部動揺時系列に加え,顔画像および身体骨格から計量される寸法を用いた個人認証手法を提案する.頭部動揺時系列,顔面寸法,身体寸法のそれぞれの類似性を DP マッチングおよびユークリッド距離により独立に評価し,評価結果をAND/OR演算またはファジィ推論により融合することで個人認証精度の向上を実現する.利用するこれらの特徴量は,一定の個人性を含んではいるものの,それ単体では必ずしも個人を特定することができないと考えられる特徴であり,ソフトバイオメトリクスと呼ばれるものの一種と考えることができる.7人の被験者に対する個人認証実験の結果,提案する融合方法によって,本人棄却率0%の下で平均他人受理率0%を達成した.単一の特徴量のみを用いた個人認証の場合と比べ,利便性を維持したまま照合精度を改善できることを示す.

1 0 0 0 OA 方言音声分析

著者
高丸 圭一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.195-195, 2013-12-15 (Released:2017-12-14)

方言音声の研究では,日本各地の方言についてその音声的特徴の記述が行われる.重要なものの一つにアクセント体系の記述があり,古くから聞き取り調査によって研究が進められている.日本語のアクセントは単語ごとに規定される高低のパタンで,「雨」「飴」などの同音異義語の意味を弁別する機能をもつ.アクセントは地域によって異なり,例えば「雨が」は東京式アクセントでは「アメガ」,京阪式アクセントでは「アメガ」のように発音される.また,アクセントによる意味の弁別をしない無アクセントの方言もある.消滅しつつある伝統的方言を収集することは緊急の課題とされ,近年,全国規模で音声を収録して分析する調査が盛んに進められている.工学的には,標準的な日本語音声に対する研究は進んでおり,テキストを入力すると自然なピッチパタン(声の高さの変化パタン)で話す音声合成装置が開発されている.また,関西弁などの方言で話すカーナビもあり,方言は工学的に応用されている.合成音声のピッチパタンは,標準語や特定の方言の典型をモデル化したものである.自発音声ではピッチパタンに,方言ごとに異なるアクセントのほか,日本語のイントネーション(例えば,疑問か平叙か),方言イントネーション(例えば,尻上がり調),さらには表現方法の個人性などが含まれる.一つの連続量に様々な情報が重畳されるため,ピッチパタンを加工した合成音声による知覚実験により,方言を担う変化成分を特定する研究も試みられている.方言音声分析において,方言学と情報工学が連携できる可能性は大きい.統計的手法や機械学習の手法を用いて大規模な音声データに含まれる地域差を分析することができる.そこから得られる知見は,方言学の研究成果になるだけでなく,工学的な音声認識理解の研究にも役立つ.文系・理系の垣根を越えた学際的な研究連携の進展が望まれる分野である.
著者
大塚 真吾 宮崎 収兄
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.717-727, 2012

本論文では,働く女性を対象としたWebページ閲覧行動についての調査を行うために,都内の働く女性を対象としたフリーマガジンと連動するサイトのアクセスログの分析を行った.アクセスログ解析では一般的にアクセスをしたユーザの性別や年代を推定することは難しいが,本論文では働く女性が興味を持つコンテンツのみを提供しているサイトという特徴を活かすことで,特定のユーザ層に関する閲覧行動の抽出を試みた.解析結果から,ユーザの特徴的な行動パターンを発見することができた.
著者
砂山 渡 竹岡 駿 西村 和則
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.558-566, 2017-04-15 (Released:2017-04-15)
参考文献数
13

近年,社会問題や製品開発における問題解決に向け,蓄積される大規模なデータから,新たな知識を抽出するニーズが高まってきている.しかし,普段からデータ分析を行っていない人にとって,データから情報を抽出することは難しい.そこで,多くの人々にデータの活用を可能にするための環境として,テキストマイニングのための統合環境TETDMが開発されている.本研究では,統合環境TETDMに3つのゲームの要素を加えることで,利用者の利用意欲を向上させ,より多くの人がテキストマイニング技術を利用できるようになることを目指す.評価実験の結果,これらの要素が,テキストマイニングシステムの利用意欲の向上に役立てられることを検証した.
著者
稲邑 哲也 タン ジェフリートゥ チュアン 萩原 良信 杉浦 孔明 長井 隆行 岡田 浩之
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.698-709, 2014

ロボカップ@ホームはHuman-Robot Interaction (HRI) 研究の発展のために,今後重要な位置づけを持ったコンペティションである.HRIにおける研究開発では,膨大な量の対話実験による経験データベースが必要となる場合が多いが,実機のロボットでは実験実施のコストが高く,また,シミュレーションでは人間とロボットとの身体的インタラクションに制約が生じる.そこで,没入型のユーザインタフェースと,複数のクライアントが同時に同一の仮想世界にログイン可能な機能の双方をロボットシミュレータに搭載し,HRI研究を促進させることの可能なロボカップ@ホームシミュレーションの枠組みを提案する.また具体的なシステム実装に必要となる基盤技術の設計指針を示す.
著者
張 建偉 河合 由起子 熊本 忠彦 白石 優旗 田中 克己
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.568-582, 2013
被引用文献数
1

ニュースサイトは日常生活における重要な情報源であり,閲覧者は発生事象の情報を受信する(受ける)のと同時に,書き方によって「楽しい」,「悲しい」,「怒り」等の多様な印象も受けている.特に,賛否両論となるニューストピックに関しては,複数のニュースサイトで報道傾向が異なるため,異なった印象を受ける.また,同じ話題であっても,時間が経つと報道傾向が変化する場合には異なる印象を受ける.そこで本研究では,記事の書き方を「印象」という評価指標で分析することで,ニュースサイトの報道傾向を視覚的に比較可能な分析手法を提案する.提案手法は,まずニュース記事の多様な印象を表現するのに適した複数の印象軸を設計し,ニュース記事に対する印象辞書を構築する.次に,この印象辞書を用いて各記事と各ニュースサイトの印象値を算出し,最後にサイトごとの報道傾向の違いおよび時間的推移を閲覧者へ比較提示する.本論文では,多様な印象に基づくニュースサイト報道傾向分析手法を提案し,国内 15 社,国外 10 社の計 25 社のニュースサイトに適用したシステムを用いて,その有効性を検証する.