著者
三吉 建尊 越野 亮 笠原 竹博 上田 芳弘 木村 春彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.909-919, 2012-08-15 (Released:2012-09-05)
参考文献数
15

現在,工作機械用の制御盤内において,部品同士をハーネスと呼ばれる電線で結線する作業は手作業で行われており,自動化が求められている.本研究では機械によるハーネス結線作業の自動化を行うために,部品に予め取り付けられているハーネス取り付け用のネジ位置を検出すること.そして機械によってハーネスが取り付けられた後に,正しくハーネスが取り付けられているか検査を行うこと.これら2つの処理を画像認識によって行う.本研究では,機械学習によって画像の特徴量を学習して識別するという,一般物体認識の手法を用いる.特徴量の計算には HOG と Bag of Keypoints を用いる.そして得られた特徴量を機械学習によって学習・識別を行うことによって画像認識を行う.本稿では,上記の手法を用いたネジとハーネスの認識率について報告する.
著者
亀井 且有 豊田 晃史 串田 淳一
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.944-953, 2012

擬似同期を用いた動画共有の代表的な例として,ニコニコ動画がある.そこでは,コメントが挿入されたビデオを見ている視聴者は一人でビデオを見ているにもかかわらず,ユーザーとそのシーンの感情をあたかも共有しているかのように感じる.本論文では,擬似同期を用いた動画共有において動画に重畳されるコメントに起因する視聴者の感情高揚について述べる.まず,ラッセルの円環モデルの4感情を生起させる動画を選出する.次に,それらをニコニコ動画に投稿し,それら動画に重畳された代表的なコメントを抽出する.さらに,それらコメントを先の動画に重畳した動画を作成し,被験者がコメントあり動画およびなし動画(オリジナル動画)をそれぞれ視聴しているときの感情の強さを測定する実験を行う.最後に,実験結果より各感情におけるコメントの有無と感情高揚との関係を明らかにするとともに感情心理学や神経科学の観点からその現象を考察する.
著者
野津 亮 山本 優 本多 克宏 市橋 秀友
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.154-164, 2010-04-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
15

本研究は,複雑な人間関係によって構成される社会構造を理解する手がかりを得る為に,認知的経済性をエージェントに実装したマルチエージェントシステムを提案する.このシステムでは対人関係のメカニズムに関する理論として,Heiderの認知的均衡理論(バランス理論)とその数学的拡張としてCartwrightとHararyによって提唱された構造的均衡理論を認知的経済性の論理的な基礎としている.これらの理論では,概念間の関係性を肯定的関係である「+」と否定的関係である「-」に定義し,その関係によって作られたサイクル上の各関係性の積の符号によって認知的均衡状態を判断する.人間は認知的均衡化に向かうように認識を改めるとされる.このモデルにより,エージェント同士のコミュニケーションに様々な条件を付与しつつ,情報が伝達されていく仮想社会をシミュレートしたり,グループ構造やストレス構造がいかに形成されるかについても検討することが可能となる.本論文では複雑化するコミュニケーションネットワークが人間関係や認識にどのような影響を与えるのかを調査することを目的としている.エージェントモデルを定義し,ネットワークやコミュニケーションパターンの違いが持つ意味について検討する.共通の認知構造を持ちやすい,あるいは持ちにくいネットワークやエージェントについていくつかの知見を得た.たとえば,一般的にはグローバルなコミュニケーションが共通認識を持つために必要なように思われるが,それよりも個々のエージェントが選り好みしないことが遙かに重要であることなどが,今回の実験では明らかになった.
著者
張 建偉 河合 由起子 熊本 忠彦 白石 優旗 田中 克己
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.568-582, 2013-02-15 (Released:2013-03-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1

ニュースサイトは日常生活における重要な情報源であり,閲覧者は発生事象の情報を受信する(受ける)のと同時に,書き方によって「楽しい」,「悲しい」,「怒り」等の多様な印象も受けている.特に,賛否両論となるニューストピックに関しては,複数のニュースサイトで報道傾向が異なるため,異なった印象を受ける.また,同じ話題であっても,時間が経つと報道傾向が変化する場合には異なる印象を受ける.そこで本研究では,記事の書き方を「印象」という評価指標で分析することで,ニュースサイトの報道傾向を視覚的に比較可能な分析手法を提案する.提案手法は,まずニュース記事の多様な印象を表現するのに適した複数の印象軸を設計し,ニュース記事に対する印象辞書を構築する.次に,この印象辞書を用いて各記事と各ニュースサイトの印象値を算出し,最後にサイトごとの報道傾向の違いおよび時間的推移を閲覧者へ比較提示する.本論文では,多様な印象に基づくニュースサイト報道傾向分析手法を提案し,国内 15 社,国外 10 社の計 25 社のニュースサイトに適用したシステムを用いて,その有効性を検証する.
著者
内海 ゆづ子 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.476-487, 2007-10-15 (Released:2008-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

顔認識の特徴量としては,様々なものが利用されているが,その代表的なものとしてGaborウェーブレット特徴量がある.Gaborウェーブレット特徴量は,出力特性が生物の視覚特性と似ており,Eigenface等,他の顔認識手法と比較して良好な性能を示している.しかし,顔認識の特徴量として,Gaborウェーブレット特徴量が最適であるか明らかではない.そこで,本研究では,Gaborウェーブレット以外の様々なウェーブレット(Haar, French hat, Mexican hat, Daubechies, Coiflet, Symlet, O-spline)を用いて特徴抽出を行い,どのウェーブレット特徴量が顔認識に最適であるかを調べた.ウェーブレットのスケールを固定したもの,スケールを可変にしたものの認識率を AR Face Databaseを用いて比較を行った.さらに,スケール可変ウェーブレットを8方向に回転させ特徴抽出を行い,認識を行った.その結果,スケール可変ウェーブレットで8方向から特徴抽出を行った場合,全てのテスト画像において Haarウェーブレットが Gaborウェーブレットより高い認識率を示すことが明らかになった.
著者
鈴木 秀和 森崎 巧- 渡邊 香 林原 泰子 西 仁司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1012-1022, 2012

本研究では,動物型4脚歩行ロボットAIBOの歩行動作に焦点を当て,ロボットセラピーにおける複合動作に対する印象評価を行う.一般的なAIBOの歩行動作と著者らが提案してきた生成法を用いた“動物らしい”歩容の印象比較実験により,著者らが生成した歩容が人に親近感を抱かせていることを確認する.さらに,3つの複合動作を用いた印象評価実験により,各動作における印象の顕著な相違と,部位動作と印象の関係性を示し,人の感性に影響を及ぼす複合動作生成の具体的な指針を報告する.
著者
渡部 啓吾 Danushka BOLLEGALA 松尾 豊 石塚 満
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.739-748, 2011-10-15 (Released:2012-01-11)
参考文献数
15

クエリー拡張や類似検索など,さまざまな情報検索のタスクにおいて,関連語が登録されているシソーラスは必要不可欠な言語資源である.人手で作られたシソーラスであるWordNet やロジェのシソーラスを使っている情報システムは多数存在するが,関連語シソーラスを人手で構築または更新する作業は大変コストがかかるだけでなく,新語や既存の単語の新たな使い方をカバーできないという問題がある.本論文ではウェブを膨大なテキストコーパスとみなし,検索エンジンを通して関連語を抽出するための手法を提案する.提案手法では,ウェブ検索エンジンから得られるスニペットを用い,効率良く関連語を抽出することができる.
著者
福島 隆寛 内海 彰
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.239-249, 2007-06-15 (Released:2007-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本論文では,Web ページに記載されている情報の信頼性(Web ページの信頼性)を,そのWeb ページやそこに含まれているテキストのさまざまな特徴から推定する手法を提案する.提案手法は,信頼性判断に影響を与える各特徴が推定対象のWeb ページで成立しているかどうかを自動判定する処理と,成立すると判断された特徴からそのWeb ページの信頼度を求める処理から構成される.どのような特徴が信頼性判断に影響を及ぼすかについては,アンケート調査を実施して,68個の特徴とWeb ページの信頼性への影響度を得た.本研究では,それらのうちの40個の特徴(信頼性の尺度)の成立を自動判定する手法を開発した.また信頼度を計算する手法として,影響度の総和を取る方法とSupport Vector Machineを用いた機械学習により信頼度を求める手法を開発した.そして,評価実験を通じて,信頼性の尺度の判断処理の有効性と信頼できる/信頼できないページの二値分類に対する提案手法の有効性を確認した.
著者
間所 洋和 佐藤 和人 門脇 さくら
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.157-169, 2011-04-15 (Released:2011-07-08)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本論文では,表情空間の動的多様性を定量化する表情空間チャートという枠組みを提案する.表情空間チャートは,「喜び」,「怒り」,「悲しみ」の3表情を対象として,各表情の覚醒度を軸とする表情の表出レベルをチャート状に表現したものであり,教師なしニューラルネットワークのSOM(Self-Organizing Maps)とFuzzy ART(Adaptive Resonance Theory)を用いて生成する.評価実験では,Ekman が定義した基本6表情の中から「喜び」,「怒り」,「悲しみ」の3表情を対象として,被験者 10 名の7週間から 20 週間に及ぶ独自の長期表情画像データセットを構築し,各被験者の表情空間チャートを生成した結果,被験者間の表情の多様性と各被験者における時系列変化を可視化することができた.更に,表情空間チャートから人間が抱える心理的ストレスが表情に与える影響について分析するために,心理的ストレスシートを用いて慢性的ストレスを測定し,SVM(Support Vector Machines)によりストレスレベルを推定した.その結果,10 名全体で 68.6%,10 週間以上の被験者5名では 77.4%の推定率が得られたことから,表情空間チャートからストレスレベルを推定できる見通しが得られた.
著者
石野 亜耶 難波 英嗣 竹澤 寿幸
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.667-679, 2010-12-15 (Released:2011-03-11)
参考文献数
17
被引用文献数
3

本研究では,自動的に観光情報を収集するための手法を提案する.我々は観光情報を収集するため,ブロガーが日記形式で綴った旅行記である旅行ブログエントリに焦点を当てた.多くのブロガーが旅行記をこの形で記述するため,旅行ブログエントリは観光情報を得るための有益な情報源であると考えられる.まず本研究では,ブログデータベースから旅行ブログエントリを検出した.その中から観光情報として土産物情報と観光名所情報を抽出する手法を提案した.更に,旅行ブログエントリからリンクを抽出することで,観光情報リンク集の構築を行った.また実験により提案手法の有効性を示した.旅行ブログエントリの検出に関しては,再現率 38.1%,精度 86.7%を得た.また,旅行ブログエントリからの観光情報の抽出においては,抽出された上位 100 件の土産物において精度 74.0%,観光名所において精度 71.0%を得ることができたため,旅行ブログエントリは観光情報の有益な情報源であるといえる.旅行ブログエントリからの観光情報リンク集の自動構築においても,高い精度・再現率を得られており,提案手法の有効性を示すことができたと言える.
著者
谷 卓哉 長谷川 浩司 坂本 博康 坂田 年男 廉田 浩 福島 重廣
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.52-64, 2010-02-15 (Released:2010-05-21)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1 1

本論文は正準相関分析を用いて顔表情画像から感情の程度を測定する手法を提案する.ここでは,顔表情のグレースケール画像およびその表情・感情を主観評価した値(快-不快および覚醒-沈静)との2種類の変量間における正準相関を分析する.顔表情画像に対する人の視線の動きから求めた注視特性を,本測定法の加重関数として組み込み,その有効性を述べる.また,画像のサンプル数の不足から生じる非正則な共分散データの場合,その情報を効率的に分析するために,中間変数を導入した正準相関分析の分解手法を提案する.また,ガウスカーネルによる非線形カーネル正準相関分析の効果について,線形の正準相関分析と比較し,その有効性を示す.男性と女性に分けた顔表情画像データベースに対して Leave-One-Out法による数値実験を行った結果と動画像に対する測定実験を行った結果を示すことにより,本提案法の有効性を示す.
著者
西野 浩明 武方 一馬 賀川 経夫 宇津宮 孝一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.519-533, 2006 (Released:2007-04-20)
参考文献数
34
被引用文献数
2 4 4

本論文では, 3次元物体の触知を可能にする触力覚装置の最適化を, 対話型進化計算 (IEC) で支援する手法を提案する. 提案手法は, 利用する装置に関する知識やプログラミング技能を要せず, 触力覚技術に不慣れな利用者でも, 自身がイメージする触感を直観的に作成することを可能にする. 利用者は, 計算機が提示する複数の触感つき3次元モデルに触 (さわ) りながら, 自身の好みで適合度を与える. それに対して, システムが遺伝的アルゴリズムを用いて, 利用者から与えられた適合度を基にモデルの触感を進化させる. この「利用者評価とモデルの進化」を利用者が満足する触感が得られるまで繰返す. さらに, IECによる触感生成法と従来型の手動式パラメータ設定法を実装し, 比較実験をとおして提案手法の有効性を検証した.
著者
斉藤 史哲 長谷川 修
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.266-278, 2010-04-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
21

近年,移動ロボットの自己位置・状態推定にニューラルネットワークを用いる手法が多く提案されている.これらの手法はある特定の静的な環境に対してロボットを適応させることに主眼が置かれており,異なる環境に置かれたときに頑健に振舞うことが出来ない.一方,包摂アーキテクチャは動的環境でも頑健に振舞うことができると期待されている.しかし,包摂アーキテクチャは環境の構造に依存するタスクには向いていない.そこで,本研究では包摂アーキテクチャに基づく行動則と学習により獲得した行動則を状況に応じて切り替えるハイブリッドモデルを提案する.強化学習の状態空間には,状態数を事前に決定する必要がなく追加学習に頑健な自己増殖型ニューラルネットワークを改良した力学的自己増殖型ニューラルネットワークを用いた.本提案の有効性は,移動ロボットが複数の環境(迷路)上で獲得した行動則を環境の変化に応じて適切に切り替えながら振舞う事ができることをシミュレーション実験により確認した.
著者
盛多 亮 鬼沢 武久
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.121-134, 2010-02-15 (Released:2010-05-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1 7

本論文では,動きを伴う文字の映像表現であるフレーズアニメーションを,形容詞・形容動詞を用いて生成する手法を提案し,その性能を評価する.提案手法は,印象推定,テンプレート動画選出,ユーザ評価による動画再構成の3パートで構成される.印象推定処理では,入力される形容詞・形容動詞の印象をフレーズアニメーションの印象因子で推定する.テンプレート動画選出処理では,推定された印象を表現するテンプレート動画をデータベースから選出し,ユーザに提示する.ユーザ評価による動画再構成処理では,提示される動画にユーザが評価を与え,評価に応じてフレーズアニメーションが再構成される.被験者実験によって提案手法の性能を検証し,ユーザが満足し,かつ鑑賞者が形容詞・形容動詞の印象を感じ取れるフレーズアニメーションが生成できていることを示す.
著者
小西 健太 村田 忠彦 名取 良太
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.203-210, 2010-04-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
16
被引用文献数
2 3

本論文では,投票率上昇と投票所数削減のための投票シミュレーションを提案する.まず,有権者の投票と棄権の2つの効用関数を設定する.次に,区域ごとに,それらの効用関数を組み合わせる投票係数を調整する.実際の投票率を用いた調整プロセスにより,各区域の実投票率と予測投票率の差を最小化する.さらに推定された投票係数を用いて,2目的遺伝アルゴリズム(NSGA-II)による投票率最大化と投票所数最小化を行う.これにより,投票所数を維持したまま,投票率が上昇する投票区割りの最適化や,投票率を維持した投票所数の最小化を行うことが可能となる.
著者
中村 俊輔 古殿 幸雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.211-217, 2008-04-15 (Released:2008-07-04)
参考文献数
9

本論文は,人間の日常生活行動の中で,購買行動に着目しつつ,企業のマーケティング活動や需要予測などを円滑に行うためのファジィ推論モデルの構築を試みる.具体的には,主成分分析の適用によって有用になるであろう気象要因の選定を行い,また,来客数と気象要因の相関分析をも試みる.そして,分散分析を適用する事によって,日々の売上高や来客数と気象要因との関係について解析を行う.これらの解析結果から,人間の購買行動に影響を及ぼす気象要因を選定し,ファジィ推論モデルが構築される. 最後に,著者らは需要予測の想定の確立を試みる.同時に,本ファジィ推論モデルの有用性を明らかにするために,従来の予測手法である回帰分析の予測結果と比較する.
著者
澤勢 一史 延原 肇
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.32-40, 2009-02-15 (Released:2009-06-18)
参考文献数
17
被引用文献数
4

大量の画像情報を束構造として可視化することで,情報の大局の把握および未知の関係構造を発見するための,形式概念分析に基づく束構造可視化システムを提案する.このシステムでは,画像と対応する特徴を示す属性からなるコンテクスト表を作成し,属性の集合の包含関係を順序関係としたコンセプトラティスを得る.本研究では,コンテクスト表作成の際の属性選択の難しさに対応するため,直感的に理解しやすい7つの属性と,インタラクション機能を導入したシステムを提案し,ユーザが理解し易い束構造を得る. 提案システムをJAVAベースのプログラミング言語であるProcessingを用い,計算機(CPU=2.13GHz,MM=2GB)上に構築し,Corel Image Galleryより選定した1000枚の画像群を対象とした可視化実験を行う.5名の被験者によるアンケート調査および得られたコメントに基づき,提案システムによる束構造可視化の有用性を確認する.
著者
荒谷 寛和 藤田 茂 菅原 研次
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.196-212, 2006 (Released:2007-04-20)
参考文献数
21
被引用文献数
3

これまで我々は, ウェブ検索エンジンのランキング手法として, ウェブページ間相互評価手法を提案してきた. 従来のウェブページ間相互評価手法は, 適用対象とするウェブページ集合の中に高適合および適合ページが15%以上含まれていない場合に, ランキング精度が改善されないという課題が残されていた. この課題に対し, 本稿では, 新たにテキスト要約技術と適合度の推定を用いる評価関数を組み合わせる事で, 手法のランキング精度の改善を行った. 提案手法を評価するために, 第3回NTCIRワークショップのウェブ検索タスクで用いられたテストコレクションによる評価を行った. この結果, 従来手法で課題であった状況に対する改善が見られ, 同一のテストコレクションを用いた, 他の検索システムとの検索結果の評価尺度であるDCGによる比較において, 本手法がより良い順位付けを行っている事を確認した.
著者
中島 伸介 舘村 純一 原 良憲 田中 克己 植村 俊亮
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.156-166, 2007-04-15 (Released:2007-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2 1

個人の情報発信やコミュニケーションツールであるblogの利用者が増加している.blog情報は社会的イベントに対する世論そのものであるとも考えられ,これを有効に利用することで即時性および重要性の高い情報の取得が可能であると考えている.そこで我々はWeb上の有識者としての重要なbloggerを発見し,この重要なblogger が発信するコンテンツを利用することで,信頼できる情報の取得が可能ではないかと考えた.本研究では,まずblog データモデルを定義し,重要なblogger の定義とそのタイプ分類を行った.その中でも特に重要と考えたAgitator の判別方法を提案すると共に,実データに基づいてその妥当性に関する考察を行った.提案手法の妥当性の検証方法としては,Agitator判別の再現性に関する検証と,Agitatorであると認定されたblogサイトの正当性の検証を行った.その結果から,提案手法によって重要なbloggerであるAgitator の発見が十分可能であることを示した.