著者
當山 日出夫
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.1, pp.1-4, 2009-05-16
被引用文献数
1

人文学では 「文字」 はきわめて重要である。フォント埋め込み PDF の利用は、確かに便利ではある。しかし、フォント (グリフ) とともに文字があつかえるようになることは、新たな問題点を生み出す。現在、デジタル文字を確実に共有できるであろうか。また、将来にわたって、同じ文字を利用できるであろうか。この問題について、『内村鑑三全集』 デジタル版を事例に、考えることにする。Planning of the digital publishing of " UCHIMURA KANZO ZENSHU " is progressing. This is using font embedding PDF. However, the user in the after times can not see the same character. Font embedding PDF invents a new problem about the character. We must proceed with the research about the essence of the character.
著者
田島 孝治 高田 智和
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-6, 2010-07-24

本発表は,GPS とデジタルカメラを用いた景観文字調査において,目視による写真分類作業を効率的に行うために,撮影位置と Exif 情報中の 「レンズ焦点距離」 を活用する方法について効果と問題点を考察する.また,提案方法を搭載したツール開発の現状について報告する.We discuss the effectiveness and the problem abut classifying images using the focal length information in Exif tag for the linguistic and notational landscape survey with GPS and Digital cameras. And we explain the developing system that has proposed method for notational landscape survey.
著者
山村 あずさ 芳鐘 冬樹
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2011-CH-91, no.3, pp.1-6, 2011-07-23

本研究では,日本語版 Wikipedia において,図書館情報学と結晶成長学の専門用語の釈義を観察し,分野による違いを探る.そのために,Wikipedia 記事の文字,画像,表,数式,出典,リンク,見出しを計量し,分野ごとに因子分析を行い比較した.その結果,図書館情報学は,文章による説明の多い傾向と,数式による説明の多い傾向が分かれていることなどが明らかになった.これは,分野の特色が Wikipedia の記事にも表れていることを示唆している.
著者
西本 恵太
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2022-CH-130, no.1, pp.1-5, 2022-08-20

インターネット百科事典 Wikipedia には,利用者が作成・編集した歴史上のイベント・人物に関する記事が多数存在する.これまで,Wikipedia を集合的記憶(collective memory)の貯蔵と生成の場と解釈し,記憶の形成プロセスを探る研究が行われてきた.本研究では,集合的記憶における記憶の想起,および想起に伴う記憶の再構成に着目する.集合的な記憶の想起の例として,大河ドラマの放映による歴史人物に対する注意の増加と,それに伴う歴史記事への編集数の変化と編集内容を分析した.さらに分析結果を踏まえて,集合的記憶の再固定化に関して議論を行う.
著者
小沢 一雅
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2010-CH-87, no.1, pp.1-6, 2010-07-24

古事記・日本書紀における年代表記の基本は,60 年周期の干支年である.日本書紀は編年体で記述されているため年代の記述に欠損はないが,古事記は多くの天皇の崩御年 (崩年) の干支年が欠落していることもあり,絶対年への換算が唯一にできないという問題がある.とくに,日本古代におけるキーパーソンである崇神天皇の崩年を,古事記は戊寅年としているが,これを絶対年に換算するに際して,主として 318 年説と 258 年説の 2 つの説がある.本稿では,両説ともに大きな矛盾をはらんでいることを明らかにする.
著者
幾浦 裕之 永崎 研宣 加藤 弓枝
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2023-CH-132, no.3, pp.1-8, 2023-05-13

日本古典文学資料において,和歌は『源氏物語』とともに最も早くから本文のデジタル化が進んだジャンルである.しかし作品本文の表示方法や検索機能が固定して利用されつづけており,研究者の読解や異文情報をデジタルテキストとして記述する方法も未だ模索されていない.本発表では勅撰和歌集とともに約 1100 年の長い歴史をもつ,歌合(うたあわせ)という和歌の優劣を競う作品形態を,TEI/XML 形式でマークアップする方法について提示する.具体的には中世和歌のひとつの到達点とされる『新古今和歌集』が成立した 13 世紀初頭の成立の『石清水社歌合』を対象とする.中世和歌の基本的な創作方法である題詠(だいえい)の表現形式をマークアップし,マークアップによって和歌作品の読解を深め,可視化し,デジタルテキストとして残すことができる方法を提案する.
著者
渡辺 晃宏
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-102, no.10, pp.1-5, 2014-05-24

古代木簡研究の歩みと歴史学における位置づけについて紹介する.また,情報技術が古代木簡研究にもたらした価値,および情報技術導入にあたってのポリシーについて述べる.
著者
村田 祐菜
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2019-CH-120, no.9, pp.1-5, 2019-05-04

近代短歌結社の一つである 「アララギ」 は,大正五年 ~ 昭和初期にかけて島木赤彦,斎藤茂吉,中村憲吉,古泉千樫,釈迢空らの同人を中心に,歌壇において大きな影響力を持った.彼らが歌壇において隆盛を極めた一因として結社意識の強さが指摘できるが,具体的な短歌表現に基づいて彼らの表現意識の共通点を明らかにした研究は少ない.本発表では短歌テキストに N-gram 統計を用いたテキスト分析の手法を用いて,同人間の短歌表現の分析を行った.
著者
伊藤 永悟 藤本 貴之
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2012-CH-96, no.3, pp.1-6, 2012-10-05

テキストコミュケーションにおいて感情の伝達を支援する 「顔文字」 は近年、数多くのパターンが提案され様々な表現が可能となった。本論文では顔文字により受け取る感情の種類・度合いの定量調査によるデータベースを構築し、それに基づく顔文字コミュニケーション支援システムを試作する。
著者
山田 太造 井上 聡
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2016-CH-109, no.2, pp.1-4, 2016-01-23

東京大学史料編纂所では前近代日本史・史料学研究に関わる 30 もの DB を公開している.これらの DB の多くは人物に関わるデータを含んでおり,史料テキスト内に出現した人名・その人物の別称・官位,肖像・写真,花押,さらに人名辞典などがあり,多様である.本研究では,人物に関わる多様なデータを収集・蓄積するために構築している 「人名リポジトリ」 について紹介する.
著者
渡邉 要一郎 永崎 研宣 大向 一輝 下田 正弘
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2020-CH-124, no.4, pp.1-4, 2020-08-29

上座部仏教の聖典言語であるパーリ語の文献研究は,Vipassana Research Institute によって制作された電子テキストとその検索システムであるChattha Sangayana CD(CSCD)によるデジタル化の波を大きく受けた.しかしこの CSCD が依拠している電子テキストは,ビルマ第六結集版という研究者が標準的に用いるテキストでないものにもとづいたものであった.一般に研究者が用いている標準テキストは Pali Text Society(PTS)によって出版されたものであり,パーリ語の単語や文の位置している頁・行数は PTS 版のそれに従って記述されるのが通例である.そこで筆者は,研究者のニーズを踏まえ,PTS 版の電子テキストを用いて PTS 版の頁・行番号が簡単にとれる検索システムを作成した.
著者
市村 太郎 河瀬 彰宏 小木曽 智信
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2012-CH-96, no.1, pp.1-8, 2012-10-05

本稿では,国立国語研究所 「通時コーパス」 プロジェクトの一環として検討されている, 『洒落本大成』 『虎明本狂言』 の電子化について,構造化仕様・文書型定義を示し,割書や発話表示等,資料特有の形式の扱いや,それに伴う課題等について論ずる.
著者
藤野 清次 久野 孝子
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-101, no.3, pp.1-8, 2014-01-18

大量の情報 (ほとんど無用のゴミかもしれないが) の中から検索で,自分が欲しい有用な情報を探す時代がやってきた 1) 10) 11) 12) 13).現代社会においてデジタル情報資源は日々増加の一途を辿り減ることはない.そこで,1922 年 12 月福岡の和風旅館栄屋に泊ったアインシュタイン博士の軌跡を博士の碑という糸口からインターネットによる情報検索を活用し追跡した.その調査結果を以下に報告する.
著者
松前 ひろみ 長谷 武志 清水 健太郎
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2020-CH-122, no.2, pp.1-5, 2020-01-25

ヒトのゲノム情報からは,人類の系統や混血などの歴史を詳細かつ統計的に推定することができる.そうしてゲノムから推定される民族集団史の系統関係と,文化,とりわけ言語の分類には,一定の関連があると考えられてきた.しかし言語の分類のうち,言語族という語彙レベルで近縁な言語間の関係を除くと,遠い言語同士の関係(例えば日本語,アイヌ語,韓国語)を定量的に分析することは,これまで困難であった.私たちは文法の比較法である言語類型論の研究者とともに,文法のデータベースから定量的に語族を超えた言語の特徴の類似性を抽出し,ゲノムに基づく民族集団の関係との関係性を分析することに成功した.データベースに蓄積された文化と生物学の情報を統合的に解析する方法を提案する.
著者
加納 靖之
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2020-CH-122, no.5, pp.1-3, 2020-01-25

歴史地震研究の成果としての地震史料集や歴史地震のカタログ(年表)がデジタル化されつつある.既にいくつかの研究プロジェクトによってデジタル化が試みられ,また実用的なデータベースとして公開されてきた.既存のデジタル資源の大部分は地震学,歴史学,情報学の協働によって実現したものである.これらを活用した歴史地震研究を紹介するとともに,今後新たに構築すべきデータベースや取り入れるべき技術や仕組みについて議論したい.
著者
王 一凡 永崎 研宣 下田 正弘
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2016-CH-110, no.7, pp.1-7, 2016-05-07

複層的な伝承経路に由来する膨大な活字種を内包した 『大正新脩大藏經』 所収 「一切経音義」 「続一切経音義」 本文の分析にあたり,版面画像から各グリフ画像を自動的に切り出して全文コーパスに対応づけるシステムに加え,画像を手動で適切に分類・修正するためのクロスプラットフォームな GUI 環境を開発した.これによりコーパスの継続的な保守が可能になるばかりでなく,一連の手法は他の活字化仏典をはじめ戦前期和文活字本のコーパス構築に広く応用できると考えられる.
著者
鹿内 菜穂 八村 広三郎
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.5, pp.1-4, 2011-05-14

本研究では,ダンスにおける他者とのインタラクションの効果を明らかにするため,モーションキャプチャを用いて二者によるアップダウン動作の実験を行った.互いに向き合う対面条件と,一方が相手を見ることができる非対面条件を設定した.他者を意識させる条件下での二者間の身体動作の特徴を定量化し分析する.Effects on interactions between people on dance movements were investigated. Up-down dance movements were recorded in two conditions, using a motion capture system; the face condition, in which two people faced each other, and the non-face condition, in which one person faced the other's back. Interpersonal characteristics of movements when people were conscious of the other's movements were analyzed.
著者
橋場 天紀 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2018-CH-116, no.12, pp.1-5, 2018-01-20

筆者の研究室では,マンガに関する情報へのアクセスと利用を容易にするため,マンガの内容や構造に関する記述方法を検討してきた.その中で,マンガの内容や構造のメタデータを利用した探索性やアクセス性の向上のために,マンガ画像とメタデータを統合的に利用するための環境づくりを進めてきた.本研究では,マンガの内容と構造のメタデータを組み合わせ,マンガの構成要素を検索し提示するシステムを Linked Open Data (LOD) 環境の上に構築した.このシステムは,デジタルヒューマニティーズ領域を中心に広く認知されつつある国際標準である International Image Interoperability Framework (IIIF)を利用して実現した.
著者
石上 英一
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2012-CH-93, no.6, pp.1-8, 2012-01-20

奄美諸島は独自の歴史を有する。古代,ヤコウ貝産地。中世,東シナ海交易路と琉球の北方領域。近世,薩藩領・サトウキビ産地,南島文化継承地。奄美諸島の歴史文化遺産を地域振興と研究の資源として活用する方法を考える。