著者
下楠 昌哉 シモクス マサヤ Masaya SHIMOKUSU
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-31, 2003-03-31

本論では、ブラム・ストーカー(1847-1912)の初期の小説作品である『蛇峠』(1890)、『ドラキュラ』(1897)、『海の神秘』(1902)における風景描写と、登場人物たちが利用する交通機関との関係性を扱う。鉄道の登場とその速度、および一九世紀半ばのイギリス本土における鉄道網の確立と旅行の大衆化は、ヴィクトリア時代の人々の視覚に重大な変容をもたらし、風景を見る者から隔絶した次々と移り変わる「パノラマ」として捉える感覚を、人々に遍く実装させるに至った。ストーカーの三作品はどれも旅行者を主人公としており、それらの作品における風景描写は、風景とそれをまなさす者との間の断絶と、その断絶を生み出した列車の速度の影響をはっきりと表象している。テクノロジーの発展と人間の知覚の変容との関係性を記録したメディアとして、ストーカーの小説を読み込んでゆくこと。それが本論で試みられているプラクシスである。This paper deals with the relationships between scenery descriptions and means of transport in three early works of Bram Stoker (1847-1912): The Snake's Pass (1890), Dracula (1897) and The Mystery of the Sea (1902). The invention of the train and its high velocity caused a critical change of perception. The establishment of the British railroad system and the democratization of tourism in the middle of the 19th century then allowed the perception to prevail among Victorians. People came to perceive landscapes through the windows of trains as a string of swiftly-changing "panoramas," which the seeing subjects were completely dissociated from what they saw. All protagonists of the three novels of Stoker are travelers. The scenery descriptions in the stories represent the gap between the landscapes and the subjects viewing them. The speed of characters' movements are also deeply related to the gap. The critical praxis attempted in this paper is to read Stoker's novels closely as media recording the relationships between technological developments and the change of human perception in the 19th century.
著者
上山 典子 カミヤマ ノリコ Noriko KAMIYAMA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-66, 2015-03-31

フランツ・リスト(1811-86)が作成した数々の編曲のなかでも、リヒャルト・ヴァーグナー(1813-83)のほぼすべてのオペラ作品を網羅するピアノ2手用編曲は特別な位置づけにある。1849年に完成させた《タンホイザー序曲》以降、1882年の晩年に仕上げた《パルジファルより聖杯への厳かな行進》に至るまで、リストが手がけたヴァーグナー作品の編曲はほかのどの作曲家の劇場作品よりも多い合計15曲(+新改訂稿1曲)にのぼる。そこには極めて緻密な手法による《序曲》や《イゾルデの愛の死》、そしてヴォーカル・スコアとあまりに似通っているという理由からスコアの出版社に版権侵害を訴えられた《ヴァルトブルク城への客人の入場》(初稿)が含まれる。他方で、原曲の主題を借用したファンタジーシュテュック、《リエンツィの主題に基づく幻想曲》や、ヴァーグナーのモティーフを切り刻んだかのような《パルジファルより》もある。リストの編曲手法やスタイルは実に多様である。本論はリストが34年の年月にわたって取り組んだヴァーグナー・オペラの編曲を取り上げ、そのいくつかに対してリスト自身が言及した「トランスクリプション」、「アレンジメント」、「ピアノ・スコア」の名称に注目する。そしてそれぞれの概念を整理することで、これらの名称の下に括られる編曲型を導き出してゆく。その結果、編曲取り組みの時期によって、特定の型がある程度集中的に用いられていたことが見えてくるだろう。Among many which Franz Liszt (1811-86) transcribed for piano, operatic excerpts that cover almost every works of Richard Wagner (1813-83) occupy a special position. From Tannhäuser-Ouvertüre transcribed in 1849 to Feierlicher Marsch zum heiligen Gral aus Parsifal set in his later years of 1882, Liszt's lifelong involvement with transcribing Wagner's works amounts to 15 pieces (+ 1 radically rev. version), which are more than any other composers' theater works that Liszt handled. There are such pieces as Tannhauser-Ouverture and Isoldens Liebestod with incredibly elaborate techniques, or Einzug der Gäste auf Wartburg (first version) which follows the original quite well, so that the publisher of Wagner's Tannhäuser score almost sued Liszt's piano reduction for an infringement of copyright. On the other hand, there are such transcriptions as Phantasiestuck uber Motive aus Rienzi, a dramatic and excitingly creative fantasy on borrowed themes from the original, and peculiar, even bizarre Parsifal with chopped and distorted motives from Wagner's music. The techniques and styles of transcribing vary from piece to piece. This article deals with Liszt's transcribing of Wagner's opera which were taken up almost continuously over a period of several decades, and pays special attention to the terms, "Transcription," "Arrangement," and "Piano Score," all of which originate from Liszt himself. By examining each concept of them and suggesting three types of transcribing based on these terms, it would be evident that Liszt has used a certain type for a particular period of time.
著者
永井 聡子 ナガイ サトコ Satoko NAGAI
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.15, pp.67-72, 2015-03-31

帝国劇場における「貴賓席」は舞台と客席を繋げる前舞台領域に存在し、両者の関係性を提示している。本論文では、劇場の近代化の過程において議論となった舞台と客席の前舞台領域における関係性を考察するため、1911年に開場した帝国劇場とその劇場建設のモデルのひとつとなったパリのオペラ座(ガルニエ設計)を例に、当時設けられた「貴賓席」の配置について考察する。考察の方法は、劇場に関する当時の資料、劇場関係者の言説を中心として論じる。"The royal box" in the theater:Teikoku gekijyo exists in the proscenium domain to connect the stage and a seat with and shows the relationship of both. I consider the placement of "the royal box" where Teikoku gekijyo and one of the models of the theater construction and the opera house (Garnier designed) of Paris where it was which opened in 1911 were established for the example in those days to consider the stage and the relationship in the proscenium domain of the seat that became the argument in a process of the modernization of the theater in this article. I discuss the method of the consideration mainly on the document about the theater.
著者
下澤 嶽 シモサワ タカシ Takashi Shimosawa
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.14, pp.9-13, 2014-03-31

本稿では、日本における地域指向CSRの最近の動向を検証しながら、2012年に実施した静岡県遠州地域の企業の社会貢献活動調査の結果をもとに、地域指向CSRの可能性を検証するものである。
著者
下澤 嶽 シモサワ タカシ Takashi Shimosawa
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.16, pp.17-26, 2016-03-31

戦前、戦後の日本赤十字社と共同募金の歴史と展開システムを詳細に調べるとともに、寄付回収の中心的役割を果たしている自治会・町内会等と募金システム、行政府との関係を詳細に見ることで、日本の寄付回収文化の特徴を分析する。
著者
根本 敏行 ネモト トシユキ Toshiyuki Nemoto
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.15, pp.115-122, 2015-03-31

本稿は、欧州の都市におけるユダヤ人街に関する諸問題を取材・研究するもので、同様の一連の研究の一部である。ここでは、ゲットーという言葉の起源となったヴェネツィアのゲットーを取り上げた。ヴェネツィアにおけるユダヤ人の活躍と今日の創造都市論には共通する背景があるものと見ることができる。
著者
下楠 昌哉 シモクス マサヤ Masaya SHIMOKUSU
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-31, 2003-03-31

本論では、ブラム・ストーカー(1847-1912)の初期の小説作品である『蛇峠』(1890)、『ドラキュラ』(1897)、『海の神秘』(1902)における風景描写と、登場人物たちが利用する交通機関との関係性を扱う。鉄道の登場とその速度、および一九世紀半ばのイギリス本土における鉄道網の確立と旅行の大衆化は、ヴィクトリア時代の人々の視覚に重大な変容をもたらし、風景を見る者から隔絶した次々と移り変わる「パノラマ」として捉える感覚を、人々に遍く実装させるに至った。ストーカーの三作品はどれも旅行者を主人公としており、それらの作品における風景描写は、風景とそれをまなさす者との間の断絶と、その断絶を生み出した列車の速度の影響をはっきりと表象している。テクノロジーの発展と人間の知覚の変容との関係性を記録したメディアとして、ストーカーの小説を読み込んでゆくこと。それが本論で試みられているプラクシスである。
著者
林 在圭 イム ゼエギュ Jaegyu Lim
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.14, pp.21-30, 2014-03-31

人間の暮らしにとって衣食住は根幹をなすものである。ここでは、特に「衣」に焦点を当てて韓国服飾の伝統とその特徴についてみる。そこで、韓国の伝統衣裳の現状を知るために忠清南道舒川郡韓山の苧布の韓山モシを取りあげる。韓山モシは夏用の高貴な織物の生地で、伝統的に主に舒川郡一帯の韓山で生産されている。ところが、化学繊維の普及と増大によって苧麻栽培は激減し、韓山モシは壊滅的状況に追い込まれた。そのため、1980 年代半ばに伝統文化復活の一環として、地方行政の舒川郡や国が韓山モシの保存・継承のために力を注いでいる。そして、1990 年代には韓山モシ館を建立し、さらに2000 年代に入ってからは韓山モシ世界化事業団を組織化して、その復興に努めている。
著者
下澤 嶽 シモサワ タカシ
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture Bulletin
巻号頁・発行日
vol.21, pp.121-126, 2021-03-31

静岡文化芸術大学の教員特別研究費を得て、2018年度に「浜松市のNPO団体の自己資金と行政資金の関係性の調査」を実施した。本調査では、2006年から2014年までの公開されている9年間の浜松市のNPO法人235団体の財務諸表に関する情報を取得し、それらの収入状況をデータベース化して分類し、NPO法人の自己資金と行政資金の関係、事業収入、特に自己事業収入がNPO法人に与える影響を、ヒヤリング調査を行って、自己資金や自己事業収入の割合が高い組織の運営状況などの調査する予定であった。新型コロナ等の影響で、NPO法人への詳細なヒヤリングを実施できず、研究は停止状況にある。したがって、データベースの情報が古くなる前に、分析結果だけでも公表しておく必要を感じ、本報告としてまとめた。
著者
高田 和文 タカダ カズフミ Kazufumi Takada
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
no.5, pp.133-142, 2005-03-31

本稿は平成十三年度、十四年度に学長特別研究事業として行なわれた「現代イタリア演劇の研究」に関する報告である。事業の目的は、イタリアのノーベル劇作家ダリオ・フォーの作品を、実際の舞台上演を通して本学学生及び一般市民に紹介することにあった。上演されたのは、フォーの初期の一幕喜劇『泥棒もたまには役に立つ』(十三年度)と代表的な政治風刺劇『アナーキストの事故死』(十四年度)で、いずれも日本では未公開の作品である。上演は本国講堂において行なわれたが、日本ではまだあまり知られていない劇作家であるにもかかわらず多数の観客が来場し、たいへん好評であった。また、舞台上演と並行してフォーの演劇活動を紹介する写真パネル展、イタリア独自の演技の方法を用いたワークショップを実施した。ワークショップには浜松で活動する劇団の俳優や高校の演劇部員が参加し、地域の演劇関係者との直接的な交流を図ることができた。
著者
奥中 康人 オクナカ ヤスト
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture Bulletin
巻号頁・発行日
vol.21, pp.225-241, 2021-03-31

本稿は、国立公文書館アジア歴史資料センターのデジタルアーカイブを用いて、西南戦争(明治十年)に関係する陸軍のラッパ信号の用い方を分析することを目的としている。同アーカイブを「喇叭」等のキーワードで検索し、抽出された約三二〇件のデータは、楽器としてのラッパについて、ラッパ手について、ラッパ信号についてのデータに分類することができる。とくにラッパ信号を中心に分析を進めると、数多くのフランスのラッパ信号が用いられたこと、戦争が終盤となった九月になってから数曲のマーチを練習していたことが明らかになっただけでなく、「喇叭暗号」という特殊な用法が存在したことがわかった。 ラッパ暗号とは、あらかじめ定められたラッパ信号を問答形式で交わすことによって敵・味方を識別する用法である。しかしながら、資料から読み取れるのは、ラッパ暗号が記載された手帳や文書が敵の手に渡り、何度も改正を余儀なくされたという失態である。ラッパ暗号の運用には問題はあったものの、総じてラッパ手たちは数多くのラッパ信号を吹奏していたようであり、それまでのラッパ教育が順調であったことがうかがえる。
著者
藤田 憲一 フジタ ケンイチ Kenichi Fujita
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
no.15, pp.127-138, 2015-03-31

1978年に、ポーランドのマウォポルスカ県に位置しているヴィエリチカ岩塩坑が、ユネスコから世界遺産の指定を受けた。これは世界遺産の最初の指定が行われた際に、他の11の遺産とともに選ばれたものである。私は共同研究者とともに、2013年にこのヴィエリチカ岩塩坑を訪れ、視察を行った。この論文では、特にヴィエリチカ岩塩坑のツアーコースに展示されている展示物の主要なものに焦点を当てて、その産業遺産としての意義を分析する。また、この鉱山の観光資源としての利活用について述べる。
著者
長嶋 洋一 ナガシマ ヨウイチ Yoichi NAGASHIMA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.1, pp.107-121, 2001-03-31

This paper is intended as an investigation of some methods of human interfaces in computer music, media installations and interactive multimedia art. I have been producing many sensors, interfaces and interactive systems for computer music and media installations as a part of my composition. In this study the main stress falls on designing systems with microelectronics technology, producing interactivity in media arts and controlling acoustics and graphics in real-time and interactivity with human performances. I will report some methods and discuss the problems with many works of my own presented and performed in recent years.
著者
小岩 信治 平野 昭 コイワ シンジ ヒラノ アキラ Shinji Koiwa Akira HIRANO
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
no.7, pp.135-147, 2007-03-31

静岡文化芸術大学の室内楽演奏会1は、二〇〇六年二月二六日にアクトシティ浜松音楽工房ホール、三月一四日に東京・第一生命ホールで行われた。浜松公演は満席となり、盛況となった東京公演は後日NHK-BSで放送された。本学と浜松市楽器博物館、NPOトリトン・アーツ・ネットワーク/第一生命ホール、そして小倉貴久子ら国際的に評価された演奏家による、ユニークなプロジェクトであった。この演奏会は、一九世紀のピアノ付き合奏音楽を主要研究領域とする筆者たちの研究成果を示していた。一八三〇年代にショパンのピアノ協奏曲は、オーケストラ音楽としてだけでなくピアノ六重奏曲としても出版されていた(本学紀要、二〇〇四年)。今回の主要演目である彼の《ピアノ協奏曲第一番》ホ短調作品一-ドイツ初版(一八三三)に基づく五重奏伴奏付き-は、プレイエルが一八三〇年に製作したフォルテピアノで嶋り響いたとき、強い印象を人々に与えた。この編成でのピアノ協奏曲の、オーケストラ版とは異なる魅力が証明されたと言える。
著者
加藤 裕治 カトウ ユウジ Yuji KATO
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
no.13, pp.115-121, 2013-03-31

本稿では、イギリスの産業遺産—特に世界遺産でもある7つの遺産が—日本の旅行ガイドブックとインターネット上の個人ブログにおいて、どのような情報や関心に基づき、その遺産が紹介されているかを見ていく。観光のまなざし論では、ある対象が観光地として認知され、イメージ形成されていく過程において、メディアの影響が大きいと論じられてきた。海外にある遺産の認知やイメージ形成には、特にこうしたメディアの影響が大きいと考えられる。また近年は、インターネットによる個人的な情報発信が盛んになり、遺産の観光地化のプロセスにおいて、旅行ガイドブックと異なる情報や関心で観光地が紹介されている可能性が高い。こうしたメディア環境の変化が観光のまなざしに与える影響を考察するためには、各メディアにおける情報発信の視点や関心の違いを対比し、各メディアの役割について考えていくことが必要である。
著者
佐々木 哲也 ササキ テツヤ
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture Bulletin
巻号頁・発行日
vol.21, pp.193-206, 2021-03-31

2020年の新型コロナウイルス感染症(以下 、COVID-19と略記)の感染拡大を受けて、静岡文化芸術大学(以下、本学と略記)では、学内の感染拡大防止と構成員の安全確保のため、大学構内への立入制限、遠隔授業の実施、諸行事の変更等の対応をとった。学生支援の分野では「全学生に対して漏れなく学修機会を提供すること」を最重要課題とし、SNSやWEB会議システムを活用した学生支援や窓口業務の遠隔化・電子化等に取り組み、平常時の業務の改善や非常時の対応能力の向上に繋がる経験を得た一方で、非常時の学生支援に関する脆弱性や課題が明らかとなった。本稿では、COVID-19に関する対応を開始した2020年1月から、大学構内への立入制限を解除した同年9月までの間の本学の学生支援の取り組みを報告し、同年7月に実施した緊急学生生活調査の結果等からコロナ禍が学生にもたらした影響を論述する。さらに、OVID-19に関する対応の経験を踏まえ、非常時における学生支援の課題として「大学IRと統合的な危機管理体制の構築」「組織と情報環境のレジリエンスの向上」「学生の危機管理能力の育成」の3点を提示する。
著者
黒田 宏治 クロダ コウジ Kohji KURODA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.7, pp.69-77, 2007-03-31

第3セクターをめぐっては、批判的な論調が強いが、近年でも全国で毎年数十社が設立されるなど、今日でも事業分野や条件整備により地域活性化プロジェクトの有効な事業手法の一つである。ここでは、設立以来順調に経営が展開されている第3セクターの株式会社川根町温泉を取り上げて、事業の組み立てやマネジメントについて評価・検討を行った。そこから地域資源の適正な評価、ベンチャービジネス的な展開、着実かつ慎重な事業化推進、地域外人材・ノウハウの導入など6つのポイントを抽出することができた。いずれも、小規模地域におけるプロジェクトの事業化にあたって、有用な行動指針といえるだろう。
著者
永井 聡子 ナガイ サトコ Satoko NAGAI
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.15, pp.67-72, 2015-03-31

帝国劇場における「貴賓席」は舞台と客席を繋げる前舞台領域に存在し、両者の関係性を提示している。本論文では、劇場の近代化の過程において議論となった舞台と客席の前舞台領域における関係性を考察するため、1911年に開場した帝国劇場とその劇場建設のモデルのひとつとなったパリのオペラ座(ガルニエ設計)を例に、当時設けられた「貴賓席」の配置について考察する。考察の方法は、劇場に関する当時の資料、劇場関係者の言説を中心として論じる。
著者
尾野 正晴 オノ マサハル Masaharu ONO
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.5, pp.79-84, 2005-03-31

「浜松野外美術展」は、「びわこ現代彫刻展」と並んで、水辺で開催された我が国の代表的な野外美術展である。ふたつの展覧会は現在忘れられているが、本稿は、彫刻(立体)だけではなく、ビデオアートやパフォーマンスなども取り込んだ「浜松野外美術展」について、可能なかぎり正確な記録を作成したはじめての報告書である。
著者
美濃部 京子 ミノベ キョウコ Kyoko MINOBE
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-7, 2002-03-31

話型「絞首台からきた男」(AT366)の話は、イギリスにおいては「黄金の腕」や「ちいちゃいちいちゃい」などの類語を中心にたいへん人気のある話であるし、日本においても同様の話は「こんな晩」などの形で若者を中心によく語られる話として知られている。本稿では「絞首台からきた男」の話型について、イギリスの類語を比較する。また、これらの話は他の話型である「赤ずきん」のサブタイプである「カテリネッラ」(AT333A)や「苦悩から解放された魂」(AT326A)の類話とも、語りの形式において共通する点が見られる。こうした比較を通して、『昔話の型』では「魔法昔話」に分類されているこれらの話が、実際には「形式譚」として分類したほうが望ましいことを論ずる。