著者
三浦 史仁
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.211-223, 2020-02-01

はじめに次世代シークエンサー(NGS)の登場により,核酸を対象としたオーミクス解析は大きく発展した。このような網羅的な解析を個々の細胞に対して実施する試み,いわゆるシングルセル解析に関する報告数は,ここ数年で急増している。ゲノム,トランスクリプトームのシングルセル解析は,ライブラリーの自動調製装置が市販され,より多くの細胞を解析することが可能な環境が整っている。エピゲノムに関しては代表的なエピゲノム情報をシングルセルレベルで検出する技術が出そろった。本稿では,シングルセル解析を理解するための基本となるライブラリー調製に焦点をあてて概説する。
著者
田邊 翔太
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
INTENSIVIST (ISSN:18834833)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.202-210, 2020-01-01

William Oslerが語ったように,臨床家である我々は生理学・物理学に代表される科学を学び理解する必要がある。圧・張力・半径の関係を示したLaplaceの法則は管腔臓器に応用でき,流量・半径・粘度・長さ・圧の関係を示したHagen-Poiseuilleの法則は血流の理解や輸液療法に応用可能である。また流速・圧の関係を示したBernoulliの法則はCOPD患者に応用できる。偉大な先人たちにより発見された科学を理解することで,我々の臨床理解は深まるのである。
著者
市瀬 史
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.91-97, 2020-01-01

はじめにマラソンブームである。日本全国のマラソン大会の数は小規模のものも入れると1年間に2000〜3000回あるといわれている。週1回ジョギングする日本国民の数は500万人を上回る。マラソンはもはや日本の国技といっても過言ではないだろう。しかし,走った人にはわかるが,フルマラソンは本当にきつい。有酸素運動は健康に良いという情報がある反面,マラソンレース中に心肺停止になる中高齢者のニュースも耳に入ってくる。それでもマラソン人気は静まる気配がない。ヒトはなぜそこまで走るのが好きなのか?麻酔科医・研究者・ランナーである筆者がその謎に迫る。
著者
渡辺 邦太郎 徳嶺 譲芳
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.810-813, 2017-08-01

今回は,腕神経叢ブロック時に投与する局所麻酔薬にステロイドを添加することで作用が延長する効果について紹介する。本稿のようにステロイドを加えることで,単回の腕神経叢ブロックの効果を延長させることができる。これまで深夜にブロック効果が切れていたものが翌朝まで効果が得られることになり,臨床上の有用性は高い。一方で,その作用機序は明らかではなく,神経障害など副作用が生じる危険性もある。筆者の施設では,ステロイドは全身投与に留め,局所麻酔薬への添加は行っていない。適応外使用であることも含め,本稿の内容を臨床で応用する際には,リスクとベネフィットについてよく検討していただきたい(森本 康裕)
著者
石川 晴士
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.1032-1033, 2014-11-01

●換気血流比とはまず,一つの肺胞とそれを灌流する肺毛細血管の血流の組合せをイメージしてみよう。理想的な状態では,単位時間当たりに肺胞を出入り(換気)するガスの量と,肺毛細血管の血流量は一致し,換気血流比は1となる(図1A)。このとき,換気によって吸気時の肺胞内のガス組成は毛細血管内に比べて酸素分圧が高く,二酸化炭素分圧が低くなるため,圧勾配に従って二酸化炭素が毛細血管内から肺胞内に移動し,逆に酸素が肺胞内から毛細血管内に移動する。このガスの移動によって,一時的に肺胞内の二酸化炭素分圧は高く,酸素分圧は低くなるが,次の瞬間には換気が行われるので,肺胞内のガス組成は再びもとのレベルに戻る。このようにして換気が維持される限りは,肺胞内と毛細血管内のガス交換が続くことになる。 ところが,換気と血流の組合せは,このように理想的な状態にあるものばかりではない。例えば,気管支が血液や分泌物で閉塞すると,そこより末梢の肺胞では換気が行われなくなり,その結果,肺胞と毛細血管の間の圧勾配がなくなり(平衡状態)ガス交換が行われなくなる。これは血流が肺胞を素通りすることを意味しており,この状態を「シャント」と呼ぶ(図1B)。一方,換気は行われているにもかかわらず,何らかの理由で毛細血管の血流が途絶している状態を「死腔」と呼ぶ(図1C)。換気と血流の組合せのうち,シャントと死腔は最も極端な異常の例であり,それぞれ換気血流比はゼロと無限大の状態に相当する。
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.26, no.12, pp.1269, 2019-12-01

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著者
広田 喜一
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.897-905, 2018-08-01

はじめに酸素はヒトの生命維持に必須な分子である。もう少し細かく述べると,酸素はヒトの細胞のアデノシン三リン酸(ATP)産生に必須な分子である。酸素が欠乏するとエネルギーが不足し,生体機能の維持ができなくなる。ミトコンドリアでの酸化的リン酸化,つまり電子伝達系に共役して起こる一連のATP合成反応において,酸素は電子の最終的な受容体として機能しており,酸素が不足すると,NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)やFADH(還元型フラビンアデニンジヌクレオチド)といった一連の補酵素の酸化と,酸素分子の水分子への還元反応が立ち行かなくなる。その持続的な欠乏は,生体機能の失調を経て個体の死に至る。これが,古典的な酸素観である。 しかし,このような古典的な酸素観は,ここ20年ほどの研究により見直しが進んでいる。哺乳類をはじめとする高等生物は,酸素が生命維持に必須な分子であるのに,その酸素を体内で生合成する仕組みをもたない。高等生物を構成する多臓器は常に「酸素不足」のリスクに曝されており,それ故,生体は低酸素に応答する仕組みを進化的に獲得してきた,とする考え方が支配的になってきている。
著者
坂田 大三 窪田 忠夫
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
INTENSIVIST (ISSN:18834833)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.579-586, 2016-07-01

癒着性腸閉塞adhesive small bowel obstruction(ASBO)に対する保存治療法として,米国では経鼻胃管〔short tube(ST)〕のみが減圧手段として使用されている一方,日本をはじめとする東アジアではイレウス管〔long tube(LT)〕が比較的多く使用されている。本稿では,減圧療法の歴史的変遷,STとLTの差異,日本でLTが多用されている現状について解説する。Summary●1995年の前向き無作為化試験において,イレウス管(LT)と経鼻胃管(ST)では小腸閉塞に対して減圧成功率に有意差を認めなかった。それ以降,欧米ではLTは使用されなくなっている。●近年,LTのさらなる製品改良と挿入技術の進歩により,LTの有用性が見直されてきており,臨床的にSTよりも有効である可能性を示唆する文献が報告されている。●内視鏡補助下での挿入を行うことでコストの問題はあるが,複数回の腹部手術歴があり癒着が高度なことが予想され,外科的介入が躊躇される症例はLTのよい適応となるかもしれない。
著者
江木 盛時
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
INTENSIVIST (ISSN:18834833)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.461-473, 2011-07-01

2001年に強化インスリン療法intensive insulin therapy(IIT)の有効性1)が外科系ICU患者で報告されて以降,血糖管理は集中治療における重要な領域の1つとなった2)。厳格な血糖管理tight glycemic control(TGC)は,2001年以降に定着した名称であり,速効性インスリンを持続静脈投与し,1~4時間ごとの頻回な血糖値測定を行いながら,厳密に血糖値を管理する方法を指す。TGCのほかに,strict glucose controlなどの名称もあるが,現在最も使用されるのはTGCである。Van den Berghe1)によって提唱されたIITは,TGCのなかでも目標血糖帯を正常血糖帯(80~110mg/dL)とするものを指す。
著者
小川 広晃 神宮司 成弘
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.658-660, 2018-06-01

筆者は内科に従事し各内科をローテーションした後,救急領域に身を移しER専属で働いた。その後,現在の職場で整形外傷を中心に年間200件前後の手術に入り,そのすべての周術期管理を行っている。今回は内科医,外科医の両方の視点から述べたい。 まず内科医にも専門医や病院総合医・ホスピタリスト(臨床メモ),家庭医などさまざまな役割があるが,総じて手術侵襲や術後管理については不慣れである。そのため内科医にコンサルテーション(以下,コンサルト)を行う際は,知りたい内容は手術侵襲度や術後管理の見込みを含めた疾患管理の依頼なのか,薬剤調整など単純な内容の依頼なのか明確にすることが求められる。
著者
野口 将彦
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
Hospitalist (ISSN:21880409)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.843-850, 2018-12-01

心不全の背景疾患はさまざまである。しかし,壁運動異常を伴う心不全患者を診た場合,原因として虚血性心疾患の可能性を常に考えなければならない。虚血性心疾患は何らかの冠動脈病変を起因とし,急性・慢性的に心筋虚血を起こす疾患であり,心不全の重要な原因疾患の1つである。 本稿では実際に当院で経験した症例を提示しながら,虚血性心筋症とは何か,心不全と診断した場合,常に虚血性心疾患をスクリーニングする必要があるのか,虚血性心疾患を合併していた場合,常に血行再建が必要か,その方法はどうしたらいいのか,などについて考えてみたい。急性冠症候群に伴う心不全については,別稿*1を参照されたい。
著者
白石 泰之
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
Hospitalist (ISSN:21880409)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.793-805, 2018-12-01

近年の世界的な心不全患者の増加は「心不全パンデミック」とよばれ,医療だけでなく社会・経済面でも大きな問題となる可能性を孕んでいる。今後の心不全診療を考えるうえで,国内外における心不全の有病率や発症率,そして予後を把握することは重要である。 心不全にかかる経済的負担が膨らみ続けるなかで,前時代的な「均一の医療」から「テーラーメード医療」への転換が必要であり,予後予測(リスク評価)に基づいた効果的かつ効率的な医療の実践が望まれている。本稿では,複数の臨床的な予後因子を組み合わせた心不全リスクモデルと,その臨床使用についても合わせて概説する。
著者
島田 和之
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.352-356, 2015-04-01

血管内リンパ腫intravascular lymphomatosis(IVL)は,主として全身の血管内に腫瘍細胞が増殖する節外性リンパ腫の一型である。そのほとんどがB細胞性リンパ腫であることから,現行のWHO分類1)においては,血管内大細胞型B細胞リンパ腫intravascular large B cell lymphoma(IVLBCL)として記載されている。悪性リンパ腫の一般的特徴であるリンパ節腫脹を欠き,臨床症状も発熱や血球減少など非特異的なものに限られるため,疾患の認知度が向上した現在においても,しばしば診断に苦慮することが多い疾患である。 本稿では,特集テーマ“ICUで遭遇する血液疾患”に合わせて,本疾患の臨床症状,診断法,治療法について概説する。Summary●血管内リンパ腫には特異的な臨床症状はなく,診断に苦慮することが少なくない。●一方,正確な診断がつけば治癒を目指し得るため,本疾患の“知識”と“疑うこと”が大切である。●診断においては骨髄穿刺/生検が多く施行されているが,最近ではランダム皮膚生検,経気管支肺生検が注目されている。●我が国でR-CHOP+R-high-dose MTX療法の前向き試験が進行中であり,結果が待たれる。
著者
本望 修
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-24, 2016-01-01

筆者らは1990年代初頭から脳梗塞や脊髄損傷の動物モデルに対して各種幹細胞をドナーとした移植実験を繰り返し行っている。なかでも,有用なドナー細胞として骨髄間葉系幹細胞に注目し,経静脈的に投与することで著明な治療効果が認められるという基礎研究結果を多数報告してきた。現在,自己培養骨髄間葉系幹細胞を薬事法下で一般医療化すべく,治験薬として医師主導治験を実施し,医薬品(細胞生物製剤)として実用化することを試みている。脳梗塞は,2013年2月に治験届を提出し,医師主導治験(第Ⅲ相)を開始している。脊髄損傷は,2013年10月に治験届を提出し,医師主導治験(第Ⅱ相)を開始している。数年後を目途に薬事承認を受けることを目指している。
著者
都築 誠一郎 植西 憲達
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.869-889, 2016-10-01

ICUでは,自律神経障害を呈する疾患に遭遇することも多く,その診断や治療に難渋することもある。なかでもautonomic storm(自律神経の嵐)の対応に難渋することが多い。本稿では,ICUで比較的遭遇する頻度が高いautonomic stormを呈する疾患を中心に,その対応方法を解説する。さらに,多系統萎縮症やGuillain-Barré症候群,自己免疫性自律神経節障害autoimmune autonomic ganglionopathy(AAG)などの自律神経障害を呈する神経疾患の解説も行う。最後に自律神経障害診断のための検査や比較的よく認める症候である起立性低血圧や,腸蠕動障害に対する対応について述べる。Summary●ICUで問題となるautonomic stormを呈する疾患としてGuillain-Barré症候群,破傷風,アルコール離脱症候群,悪性症候群,脊髄損傷が,特に重要である。●autonomic stormに対する予防として交感神経刺激(膀胱拡張や腸管拡張,皮膚刺激)や副交感神経刺激(気管内吸引や頭部回旋のような迷走神経反射刺激)となるようなことは可能な限り避けるべきであり,副交感神経刺激を誘発する手技を行う場合はその前に十分な酸素化や,高度の徐脈を認める場合は事前のアトロピン投与を検討する。●autonomic stormに対する薬物治療として交感神経興奮時にはモニタリング下での即効性のあるβ遮断薬,αβ遮断薬の投与を行い,効果が現れるまで数日かかるがクロニジンも投与する。副交感神経興奮時には,鎮痛・鎮静薬やマグネシウム,β遮断薬,αβ遮断薬の使用があるなら減量しアトロピンの投与を行う。●ベッドサイドでも可能な自律神経障害を診断する検査は心拍変動検査であるが,ICUではさまざまな交絡因子があるため解釈には注意が必要である。それよりも,常日頃から血圧や脈拍の変動や分泌物の量,発汗量に注意を払うことが重要である。●起立性低血圧症に対する非薬物療法として,下肢/腹部圧迫やcountermaneuversなどがあり,薬物療法として短期間のドロキシドパの有用性は示されている。●腸蠕動改善薬としては,メトクロプラミド,ドンペリドン,エリスロマイシン,六君子湯の有効性が報告されている。
著者
山下 智幸 山下 有加
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
INTENSIVIST (ISSN:18834833)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.391-412, 2016-04-01

日本産婦人科医会妊産婦死亡症例検討評価委員会の調査1)では,国内の妊産婦死亡は2010〜2014年の5年間で237例発生しており,平均すると47.4例/年の頻度である。年間出生数が100万人強であることを考慮すると,おおよそ21000分娩に1例程度の妊産婦死亡と概算できる。 一方,米国では,妊婦の心停止は12000分娩に1例2)と考えられている。米国疾病対策センター(CDC*1)の調査3)では,はっきりとした原因はわかっていないものの,妊娠関連死亡数は増加傾向であることが指摘されており,2011年の妊娠関連死亡は17.8例/10万生存分娩である。ヨーロッパの妊産婦死亡は,国ごとに異なるものの16例/10万生存分娩と推定されている4)。カナダでは,2009年10月〜2010年11月において,6.1例/10万分娩で減少傾向である5)。日本では6例/10万生存分娩で,先進国全体の16例/10万生存分娩よりも下回っている4)。 妊産褥婦心停止の頻度は決して高くない。しかし,これらの調査は生命予後のみに焦点が当てられた調査であり,妊産褥婦の心停止ニアミス症例*2がどの程度なのか,あるいは機能予後がどうなっているかについては現時点ではわかっていない。オランダの調査6)ではニアミス症例が約141分娩に1例存在していることを指摘しており,妊産褥婦の心停止に対する備えの重要性を物語っている。 救急・集中治療に従事する医療スタッフは,緊急度・重症度の高い事象に十分備える必要があるが,妊産褥婦の蘇生に関する特別な知識や技術を身につけることに加え,診療体制を整備しておくことが欠かせない。「知ってはいるが,実際にできない」では元も子もないのである。本稿では,最新の蘇生ガイドラインの内容も含めながら,妊産褥婦の蘇生について解説する。Summary●妊婦の蘇生では,一般成人の蘇生と同様に質の高いCPRが重要である。●子宮左方圧排を用手的に行い,大動脈・下大静脈圧迫(ACC)を解除する。●妊婦心停止では,その場で帝王切開を行い,児を娩出させる必要がある。●施設内での備えが重要で,シミュレーションなどを行っておくことが望ましい。
著者
奥田 泰久
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.246-254, 2018-03-01

●Summary第4子を分娩する予定の産婦が,無痛分娩のために施行された硬膜外麻酔の直後に容態が急変し,結果的に母子ともに死亡した。家族が,人的物的体制が不十分な状況で患者に硬膜外麻酔を施行したために合併症の呼吸不全が生じたにもかかわらず,早期に適切な呼吸管理及び全身管理処置をとらなかった過失があるとして病院に損害賠償請求を行ったが,裁判所は家族の訴えを退けた。