著者
細川 吉晴 関戸 知雄 土手 裕 平 瑞樹
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.379-386, 2016-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
8

南九州にある新燃岳と桜島の火山灰の有効利用策として、歩行者道路用の保水性インターロッキングブロックの製造に両火山灰を最大どの程度まで混合配合できるかを実験的に検討した。両火山灰は反応性シリカを含んでいたためモルタルバー法のASR試験を行ったところ「無害」であったので、ブロックに使用できることを確認した。また、保水性インターロッキングブロックの曲げ強度と吸水性・保水性のJIS規格を満足する必要があるため、両火山灰を混合する容積比3:7、5:5、7:3の3要因と細骨材への容積混入率20、30、40%の3要因を組み合わせた9配合と火山灰無混入の1配合の計10配合によるブロックについて試験を行った。その結果、容積比5:5の混合火山灰の容積混入率は、堆積火山灰の減容促進に配慮し最大30%が妥当といえる。
著者
藤井 隆史 綾野 克紀
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.355-362, 2017-03-31 (Released:2017-03-31)
参考文献数
8

本研究は、高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの凍結融解抵抗性に、高炉スラグ微粉末およびフライアッシュが与える影響について検討を行ったものである。細骨材に高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートは、AE剤を用いなくても十分な凍結融解抵抗性が得られる。高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの結合材の一部に高炉スラグ微粉末を用いた場合、十分な湿潤養生を行えば、普通ポルトランドセメントのみを用いた場合と同様に高い凍結融解抵抗性が得られる。一方、結合材の一部にフライアッシュを用いた場合には、水中養生を材齢91日まで行った場合でも、高炉スラグ細骨材を用いたことによる凍結融解抵抗性が向上する効果は見られなくなる。
著者
安藤 陽子 片山 哲哉 野口 孝俊 久保 善司
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.448-455, 2018-03-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
14

第二海堡は戦時中、首都東京への敵艦隊の侵入を防ぐための要塞として東京湾に作られた人工島である。第二海堡に使用されたコンクリートの耐久性について建設後100年以上が経過した北側護岸の被覆コンクリート(1889年建造)とカノン砲台を囲う円形周壁のコンクリート(1907年建造)の圧縮強度の測定を行った結果、現在は25N/mm2を超える値であった。15N/mm2程度に想定されていた時代において非常に高い値である。これは水和活性の低いⅡ型ビーライトからなる竪窯焼成の粗粒なセメント粒子を多く含むため、ゆっくりと水和が進行することで徐々に強度を発現してきたことが原因と考えられ、中性化深さが小さいことも同様の原因と考えられる。'
著者
新 大軌 吉田 亮佑 伊藤 貴康 大崎 雅史
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.101-107, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
7

本研究では、炭酸ナトリウムを添加した高炉スラグの反応に及ぼす水酸化カルシウムの影響について検討を加えた。水酸化カルシウムの添加によって高炉スラグと炭酸ナトリウムの反応は著しく促進された。また、高炉スラグの反応促進により、ペーストの流動性が低下することも明らかとなった。これは水酸化カルシウムと炭酸ナトリウムが液相で反応することで、炭酸カルシウムと水酸化ナトリウムが生成し、生成した水酸化ナトリウムによって液相のpHが大きく増加することによって生じているものであると推察した。さらに、モルタルの圧縮強度とペーストの積算発熱量の間にはある程度の相関関係が認められることを確認した。
著者
鈴木 将充 Michael HENRY 加藤 佳孝 勝木 太
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.148-154, 2010-02-25 (Released:2014-03-31)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

火害を受けたコンクリートは強度や耐久性などが低下し、水中で再養生することにより諸性能は回復すると報告されているが、その詳細な回復機構は未だ明らかではない。そこで本研究は、水中再養生による回復機構を解明するため、物理的観点(総細孔量、ひび割れ)および化学的観点(再水和生成物)からの検討を行った。その結果、総細孔量は加熱前の状態まで回復し、結合水量およびCa(OH)2生成量も加熱前と同程度であったが強度は完全に回復しなかった。これにより、再水和生成物と接触する部分が脆弱部を形成し、回復機構に影響を及ぼしているのではないかと推察された。
著者
今野 克幸 Matthias SCHWOTZER Jonas KALTENCACH Andreas GERDES
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.440-447, 2016-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
15
被引用文献数
3 1

塩化物系及び有機物系の凍結防止剤の水溶液を用いて硬化セメントペーストの浸漬試験を行った。実験変数は、凍結防止剤の種類、水溶液の温度と濃度であり、比較のためにイオン交換水及び硬水を用いた。何れの凍結防止剤もカルシウム溶脱を促進し、特にMgCl2の場合に顕著であった。硬水中では硬化セメントペースト表面にカルサイトの緻密な結晶層が生成しカルシウム溶脱を抑制するが、凍結防止剤水溶液中では何れの温度と濃度においても表面に生じた結晶にカルシウム溶脱を抑制する効果はなかった。MgCl2の場合にはMg(OH)2の結晶層が生成しカルシウム溶脱を助長する要因となった。中長期的な視点ではコンクリートの劣化に対する凍結防止剤の影響は軽視できないものと考察した。
著者
堀口 至 目片 雄土 三村 陽一
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.559-564, 2014-02-25 (Released:2015-02-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

広島県は全国有数の牡蠣の産地であるが、その一方で大量の牡蠣殻が発生するという問題も抱えている。本研究では、細骨材の一部を破砕した牡蠣殻で置換した牡蠣殻コンクリート(Oy-Con)について試験を行い、その基礎特性に及ぼす牡蠣殻細骨材の影響について検討を行った。試験結果より、牡蠣殻細骨材置換率の増加に伴い、Oy-Con中の塩化物イオン含有量は比例的に増加した。また、牡蠣殻細骨材をコンクリート中に混入することにより、ブリーディングは少なくなり凝結時間は早まる傾向を示した。Oy-Conの圧縮強度などの強度特性は材齢の経過に伴い増加するが、いずれの材齢においても置換率の増加に伴い強度特性は低下する傾向を示した。
著者
友寄 篤 野口 貴文 袖山 研一 東 和朗
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.674-681, 2018-03-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

結晶質などが混入した天然のシラスを乾式比重選別・粉砕した火山ガラス微粉末の1ヶ月間連続製造において、組成や粒度などの変動が少ないことを示した。抽出した4ロットはいずれもシリカフュームのJISの活性度指数の基準値を満たし、材齢28日ではより高置換でさらに強度増進し、流動性についても安定した実験結果が得られた。地域差の大きいシラスに含まれる火山ガラスの広範囲での物性変動の少なさを指摘し、コンクリート用混和材として火山ガラス微粉末が安定製造される可能性を示した。'
著者
三森 耀介 斎藤 豪 佐伯 竜彦 鈴木 一帆
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.2-8, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
32

本研究ではAl源や養生温度の違いがトバモライトの結晶構造に及ぼす影響に関して検討するため、出発Ca源及びSi源にゲーレナイトやγ-Al2O3を添加し、各条件下で養生を施した。その結果、Al無添加試料を比較的低温である40℃で28日間養生することで1.4nmトバモライトが生成することを確認した。また1.4nmトバモライト生成過程において、Alを添加することで60℃温度条件下でもAl置換型1.1nmトバモライトが生成する可能性が示された。加えて1.1nmトバモライト生成過程においては、低結晶質のC-(A)-S-Hが結晶化すると共にAl置換サイトがQ2bからQ3へシフトする傾向が見られ、Al源の違いはAl置換量の違いを生み出す結果となった。
著者
山路 徹 与那嶺 一秀 川端 雄一郎
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.394-401, 2018-03-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

サンゴ骨材中には空隙が多く、加圧吸水によるポンプ圧送性の低下および耐久性の低下が懸念される。本文では、まず実機プラントにおけるポンプ圧送試験を通して骨材の含水状況等がポンプ圧送性に及ぼす影響を評価した。また、この検討に用いたコンクリートを海洋環境暴露試験(3.5年間)に供し、耐久性について検討を行った。その結果、本骨材は常圧下での水中浸漬では骨材内部を飽和させることは困難であり、本特性はポンプ圧送性に大きな影響を及ぼすことが確認された。一方で、一般的な骨材と比べてコンクリートの強度特性や物質移動抵抗性に顕著な差がないことが示された。この理由としては、骨材界面の遷移帯の組織の改善が考えられた。
著者
寺本 篤史 大久保 孝昭
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.235-242, 2021

<p>本研究ではASRのペシマム現象において、反応性骨材と共存する骨材の影響を明らかにすることを目的として実験的・解析的検討を実施した。その結果、同一の反応性骨材を同量使用した場合でも、共存する骨材種類によりコンクリートのASR膨張率ならびにペシマム混合率が変化することが確認された。また、U.F.O.モデルを用いた試算の結果、共存する骨材の力学特性を考慮した場合、解析精度が向上すること、人工軽量骨材を混合したコンクリートでASR膨張率が著しく低減される理由は力学特性だけでは説明がつかず人工軽量骨材によるアルカリ消費が主な原因と考えられた。</p>
著者
松家 武樹 鈴木 康範 堺 孝司 福留 和人
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.295-302, 2011-02-25 (Released:2014-03-03)
参考文献数
14
被引用文献数
2 3

本研究は、フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末の組合せによるコンクリートの一般性能および環境性能の最適化を図るための基礎的な情報を得るために、上記の混和材の利用が土木用コンクリートと建築用コンクリートのフレッシュ性状および強度・物理特性ならびに中性化に及ぼす影響と環境負荷低減効果について明らかにすることとした。その結果、フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末の併用は、混和材無混入と比べて初期強度を低下させるが、材齢28日のコンクリートの強度やフレッシュ性状ならびに耐久性は同等程度の性能であること、および1N/mm2あたりの圧縮強度を得るために排出されるCO2量を減少させることが明らかとなった。
著者
福留 祐一 武若 耕司 山口 明伸 前薗 祐也
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.472-478, 2013-02-25 (Released:2013-12-02)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

塩害抵抗性向上を目的としてCaO・2Al2O3微粉末を混合したコンクリートについて、塩分浸透性の他、強度発現性、中性化等の基礎的特性を検討した。このうち、海洋暴露試験により検討した塩分浸透性については、塩化物イオンの固定化能力の向上ならびに、浸透抑制効果が確認された。また、普通コンクリートでは、その初期養生が短いと塩化物イオン固定化能力は大きく低下するが、CaO・2Al2O3微粉末を混合すると、養生期間に左右されず塩害抵抗性の高いことを確認した。また、中性化抵抗性については、普通コンクリートと同程度の性能が確保され、実構造物への適応は十分に可能であると考えられた。
著者
林 俊斉 齋藤 淳 宮里 心一
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.178-184, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
10

本研究はコンクリートの乾燥収縮に各種粗骨材の品質が及ぼす影響を明らかにすることを目的として、岩種および産地の異なる粗骨材を用いて実験的検討を行った。特に粗骨材の品質の内、吸水特性に着目し、一般的な吸水率に加えて、吸水・放水時の膨張・収縮ひずみや化合水についても検討した。その結果、粗骨材の吸水膨張ひずみが岩種によらずコンクリートの乾燥収縮との相関が高いことを確認した。その上で粗骨材のひずみ特性が異なる要因を化学的に分析し、骨材の化合水量が吸水膨張ひずみと相関が高いことを示した。これにより少量の試料で短時間に測定可能な化合水量により、コンクリートの乾燥収縮を推定できる可能性を新たに示した。
著者
青山 琢人 胡桃澤 清文 名和 豊春 大和田 仁
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.66-73, 2010

セメントペーストの反射電子像の画像解析から未水和セメント、水酸化カルシウム、粗大空隙の各相の自己相関関数を求め、セメントペーストの3次元イメージモデルの構築を行い、その3次元イメージモデルから塩化物イオンの拡散係数の推定を試みた。その結果、混和材を混入していないセメントペーストでは実測値に対し2分の1程度での推定を行うことができた。また、健全な試料の3次元イメージモデルからCa<sup>2+</sup>の溶脱を考慮し人工劣化試料の塩化物イオンの拡散係数の推定を行った結果、人工劣化試料の実測値に対し同一オーダーでの推定を行うことができた。
著者
清水 寛太 山田 義智 古賀 志門 平野 修也
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.265-272, 2021

<p>本研究は高流動コンクリートのスランプフロー試験を対象として、機械学習の一種であるランダムフォレストによりフレッシュ性状(スランプフロー値、500mmフロー到達時間、空気量等)の推定を試みた。ここでの学習は、使用材料、混和剤の成分、調合、練混ぜ条件、経過時間などの特徴量(説明変数)を60項目からスタートして、その重要度を評価した。その結果、重要度の高い10項目の特徴量(説明変数)でフレッシュ性状の各値が推定できることを示した。また、推定したスランプフロー値、500mmフロー到達時間より既往の研究成果を基にレオロジー定数を推定し、目視材料分離判定や数値解析による高流動コンクリートの充填シミュレーションに用いることが期待できる。</p>
著者
野中 潔 目黒 貴史 石田 征男 山田 義智
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.258-264, 2021

<p>本研究では高流動・中流動コンクリートについて、従来目視で行われる材料分離の判定をコンクリートのスランプフローの挙動と関連付け、レオロジー定数である塑性粘度、降伏値および観察状況を説明変数とし、ロジスティック回帰分析により予測する取組みを行った。p値や調整済みオッズ比の指標から全ての説明変数が材料分離判定に影響していると統計的に判定され、得られた回帰モデルで実験データの最大90.7%において材料分離の有無を正しく予測できた。また、目的に応じてより安全側の判定を行うことも可能であった。本研究の結果においては、一般的に中流動コンクリートに分類されるスランプフロー径550mm以下のコンクリートでは材料分離はほぼ起こらないと予測された。</p>
著者
羽原 俊祐 小山田 哲也 我満 俊文 中村 大樹
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.433-439, 2016-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
7
被引用文献数
3

NaCl等の凍結防止剤の使用に伴いコンクリートのスケーリング劣化が激しくなっており、この現象をソルトスケーリングという。ここではスケーリング劣化現象を解明するため、ASTM C 672法と整合性がある本研究室で開発した小片試験方法を使用し、ソルトスケーリングに及ぼす冷却最低温度(0~-40℃)及び凍結防止剤の濃度の影響(0.01-10%)を把握した。さらにモルタルの配合の影響を把握するため、砂セメント比(S/C=0-3)及び水セメント比(W/C=0.25-0.7)をかえてソルトスケーリングを評価した。ソルトスケーリングは真水では起こらず、幅広い凍結防止剤の濃度(0.1-10%)で生じる。凍結する最低温度の影響は少なく、-7℃以下の温度で生じる。砂セメント比は著しく小さい場合、水セメント比も0.35以下で抑制効果があるが、それ以上では水セメント比の影響は少なく、砂セメント比が1以下の範囲では抑制されるが、それ以上では影響は少ない。
著者
宋 玄眞 新 大軌 細川 佳史 宮川 美穂
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.59-64, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1

初期強度を改善したFAセメントの材料設計のため、初期強度増進剤として3種類のアルカノールアミンがFAセメントの初期水和反応に及ぼす影響を検討した。全てのアルカノールアミンを添加したFAセメントで強熱減量及び水和発熱量は増加した。クリンカー鉱物中のC4AFの反応率が大きく増加し、C3S及びFAの反応性に及ぼすアルカノールアミンの影響は小さいことを確認した。また、アルカノールアミンを添加したFAセメントではAFmの生成が促進された。アルカノールアミンを添加したFAセメントは水和初期からセメントの水和反応が促進され、初期強度が増加すると推察された。
著者
吉本 慎吾 新見 龍男 加藤 弘義 関 卓哉
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.208-213, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
5

近年、環境問題として地球温暖化が深刻な問題となっており、普通ポルトランドセメントに比べてCO2排出量が少ない高炉セメントの使用推進が求められる。しかしながら、高炉セメントは初期強度発現性が低いことが課題である。本検討では、高炉セメントの初期強度発現性の改善として早強ポルトランドセメントと高炉セメントB種を混合した試製混合セメントの強度性状について検討を行った。その結果、材齢28日の圧縮強度が普通ポルトランドセメントと同程度となる水セメント比において、高炉セメントB種の混合率が70%未満であれば普通ポルトランドセメントと同程度以上の材齢1日強度を確保可能であり、CO2削減効果についても試算された。