著者
小林 貴 坂本 将吾
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_194-A_201, 2017

<p>本研究は、踏切内事故の主要因である遮断直前横断の発生要因を明らかにするために、遮断直前横断の有無と、踏切横断までに運転者が経験した交通状況の関係について、実測調査を用いた分析を行った。 その結果、遮断直前横断の発生には、待ち時間・待ち台数・待ち距離・遮断経験といった運転者の経験が影響しており、車列到着時と車列滞在中では異なる要因が遮断直前横断発生に影響している。車列到着時には待ち台数の多さや距離の長さが影響している可能性があり、車列滞在中には、待ち台数、徐行時間、遮断による停止経験が影響している。徐行時間の増加は、停止時間の増加に比べ、約3倍遮断直前横断を発生しやすくさせる。</p>
著者
中西 航 福冨 義章 布施 孝志
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.A_1-A_6, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
14

歩行空間の性能評価において歩行者流の密度-速度関係を考える場合、この関係がミクロスケールで地点依存しうる課題がある。しかし、現状の測定手法では地点依存を考慮した適切な測定箇所の設定は容易でない。これに対し、密度-速度関係の空間内での分布をも詳細に把握できれば、より精緻な設備配置や流動制御への展開が期待できる。本研究では、歩行者流の密度-速度関係に空間相関構造を組み込み、空間全域の測定データをひとつの回帰式でモデル化する方法を示す。空間フィルタリング手法である Harmonic Spatial Filtering により定式化し、横断歩道での実データに対し密度-速度関係と空間内の相関構造とを推定した。空間相関を考慮しない場合と比べて回帰精度の向上を示すとともに、推定された空間相関構造を解釈した。
著者
伊勢 昇
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.A_59-A_64, 2016

近年、運転免許を自主返納した高齢者に対して様々な特典を供与する取り組みが各地で行われている。 その一方で、運転免許返納を促進するための要因(居住地立地条件や個人属性等)も明らかになりつつある。しかしながら、運転免許自主返納特典ニーズと運転免許保有者特性との関連については明らかにされておらず、地域特性を考慮した運転免許自主返納支援事業の検討を行う上で十分な知見が得られていない。 そこで、本研究では、交通事故の減少に加えて、環境負荷の低減、公共交通の活性化につながる可能性を勘案して、幅広い年齢層の運転免許保有者に着目し、運転免許自主返納特典ニーズと運転免許保有者特性との関連分析を行うことで、地域に適した運転免許自主返納支援事業の選択や新たな支援事業の展開に資することを主たる目的とする
著者
稲垣 具志 藤澤 正一郎 高橋 和哉 池田 典弘 竹内 聖人 荻野 弘
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.A_166-A_173, 2016-02-05 (Released:2016-02-05)
参考文献数
12

市街地での移動制約が著しく高い視覚障害者の交差点横断を支援するために,視覚障害者誘導用ブロック,音響式信号機,エスコートゾーン等の施設の普及が全国各地で進んでいる.一方,横断時の方向定位の手がかりとなるこれらの支援施設や歩車道境界部の縁石等の信頼度が横断場面によって異なる状況は,当事者にとってむしろストレスを助長する要因にほかならず改善が急務の課題である. 本稿では,視覚障害者の道路横断時のより正確な方向定位を促す手法の構築を目指し,横断歩道口の視覚障害者誘導用ブロック付近へ敷設する方向定位ブロックの提案を目的として,全盲者を対象とした歩行実験を実施した.実験参加者の主観評価のヒアリングならびに歩行・方向定位状況の観察に基づき,支援性を最大限に高めるための仕様要件と敷設方法を抽出するに至った.
著者
関 達也 島津 利行 和智 誠 榊原 肇 大口 敬
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-38, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)
参考文献数
6
被引用文献数
3

東京都内に整備される約 16,000 箇所の信号機のうち、約 8,000 箇所が交通管制センターに接続されており、約 20,000 箇所に設置された車両感知器の情報を元に信号秒数を調整している。車両感知器は交通状況把握に不可欠であり、約 19 年ごとの施設更新が適当とされるが、交通安全施設の維持費用や管理労力は多大であり、更新に遅れが生じている。近年、プローブ情報の活用に関する研究開発が盛んに行われ、実用化に向けた取組みも多く提案されている。我々は、TomTom 社の協力のもと、プローブ情報と車両感知器それぞれから推定した渋滞長と旅行時間の比較を行った。更に、車両感知器が整備されていない非幹線道路の交通状況をプローブ情報で補完し、実際の信号制御へ活用することの有効性を検証した。
著者
榊原 肇 大口 敬
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.1-10, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)
参考文献数
4
被引用文献数
5

系統制御は、複数の信号制御交差点を通過する車両の停止時間及び停止回数を最小化することを目的としている。最も単純な 1 リンク 2 交差点で、青現示率が共に0.5の場合の系統効果の性質はよく知られているが、任意の青時間率の場合の性質は明確ではない。本稿では系統効果の概念を再検討し、一般化して定式化する。系統効果とサイクル長、リンク長、往復旅行時間との関係を任意の青時間率に対して定式化し、その特性を考察する。その結果、系統効果が高いとは、リンク間の往復旅行時間がサイクル長またはサイクル長のN 倍数に一致する場合、系統効果が低いとは、リンク間の往復旅行時間が青時間長またはサイクル長のN 倍数+青時間長に一致する場合であることを示す・
著者
荒木 正弘 鳩山 紀一郎 佐野 可寸志 高橋 貴生
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_185-A_192, 2021-02-01 (Released:2021-02-20)
参考文献数
6

高齢化や過疎化が進む地域では、ライドシェアが新たな地域公共交通として着目されている。本研究では、ライドシェアが地域交流を促進する効果に着目し、交流促進を考慮したライドシェアの導入可能性について検討することを目的とする。具体的には、ライドシェアサービスの利用意向や提供意向などについて、新潟県の高齢・過疎地域で自動車依存度の異なる 2 つの地域を対象にアンケート調査を実施した。結果として、自動車依存度の低い地域では、利用意向は高く、利用者を増やせれば交流に繋がる可能性があると示された。他方、自動車依存度の高い地域では、利用意向は高くないものの、イベント等と組み合わせることで交流促進に活かせる可能性が示唆された。運転手の確保は両地域における課題であり、柔軟な対策が必要である。
著者
萩田 賢司
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.B_1-B_9, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
9

交通事故統計では、縦断勾配が概ね 3%以上を坂路と定義している。本研究では、交通事故統計を活用して自転車走行道路の縦断勾配を推定し、自転車を電動アシスト自転車とその他の自転車に分類したうえで、様々な条件ごとに、自転車事故の縦断勾配別割合を比較した。その結果、電動アシスト自転車は、その他の自転車と比較すると、特に第 1 当事者で下りの構成割合が高く、下りで自転車事故を起こしやすいことが想定された。電動アシスト自転車は、第 1 当事者が若年者や男性、単路部や車道幅員が 5.5~13.0m の道路では、下りの構成割合が高い。下りでは電動アシスト自転車は高速で走行しやすいために、このような現象が起きていることも考えられる。自転車が第 2 当事者の場合、走行道路の縦断勾配を推定できないことが多く、今後の検討が必要である。
著者
佐藤 拓郎 小早川 悟 小柳 純也 田部井 優也 大谷 祐樹
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.A_108-A_113, 2022-02-01 (Released:2022-02-18)
参考文献数
7

幅員の狭い交差点の流入部では右折車線設置により自転車専用通行帯の幅員確保が困難である。本研究は単路部では自転車専用通行帯がある交差点を対象に、手引やガイドラインでも整備事例として示されている交差点流入部では右折車線が有り車道混在のタイプと、右折車線が無く自転車専用通行帯のタイプに分類した。そして、自転車の車道通行割合および停止位置、ならびに自動車の自転車通行空間への侵入等に関して自転車と自動車の両方の交通実態を把握した。その結果、自転車はどちらの整備形態においても停止位置のルールを遵守しているとは言い難く、自動車の自転車通行空間への侵入等においては、直進と左折で対応に変化が見られないことを明らかにした。
著者
渡邊 芳樹 谷口 綾子 張 詠皓
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.24-36, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
26

高齢ドライバー向け認知機能検査の結果通知の場面において、メタメッセージの存在が懸念されている。本研究では、メタメッセージを緩和させるべくデザイン・レイアウトを変更した結果通知書の効果計測の為、65歳以上の高齢ドライバー2,000名を対象として、事前アンケート/模擬認知機能検査/結果通知書の提示/事後アンケートから成るWeb調査実験を行った。第一に、メタメッセージの影響を受け易い個人属性について探索的に分析した結果、女性や年齢が高い人ほど、「運転に対する自信」や「運転の自己評価」の点数が増加していた。このことは、調査設計者の意図せぬ副作用と言える。第二に、メタメッセージ緩和策を講じた改訂案結果通知書は、旧版結果通知書と比して検査後の「運転に対する自信」を有意に減少させる効果を有していることが示された。
著者
和田 健太郎 金崎 圭吾 西田 匡志 平井 章ー
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.A_326-A_334, 2023-02-01 (Released:2023-02-24)
参考文献数
10

本研究は,小仏トンネルに渋滞対策として導入された音声注意喚起(速度回復情報提供)システムによって,なぜ渋滞発生時交通量,渋滞発生後捌け交通量等の交通性能の改善がもたらされたのかを考察する.具体的には,近年提案された最新の交通流理論(Jin, 2018; Wada et al., 2020)に枯づく実証分析をシステム導入前後のデータに対して行い比較する.そして,(i) 渋滞発生時/渋滞発生後捌け交通量の改善はボトルネック区間における「安全車間時間の短縮」という共通のメカニズムにより説明できること,(ii) 渋滞中のボトルネック下流の加速度向上は必ずしも捌け交通量の改善には繋がっておらずさらなる改善の余地があること,を示す.
著者
甲斐 慎一朗 和田 健太郎 堀口 良太 邢 健
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.A_280-A_287, 2023-02-01 (Released:2023-02-24)
参考文献数
9

本研究は,近年提案された連続体交通流理論に基づき,国内複数のサグ・トンネルにおける交通容量低下 (CD: Capacity Drop) 現象の分析を行ったものである.具体的には,高速道路会社が 2019 年の 1 年間で集計した渋滞イベントデータを参考に,渋滞区間(および渋滞イベント)を選定し,ETC2.0 プローブデータおよび車両感知器データを用いてモデルのキャリブレーションを行った上で,安全車間時間,ボトルネック下流端における加速度パラメータ等を推定する.そして,理論の汎用性を確認するとともに,推定されたパラメータの傾向を分析し,ボトルネック区間がサグのどこで顕在化するかはまちまちであること,安全車間時間の大小が概ね渋滞発生後捌け交通量 (QDF: Queue Discharge Flow rate) の絶対レベルを決めていること,を示す.
著者
西原 大樹 辰巳 浩 吉城 秀治 堤 香代子
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.A_125-A_133, 2016-02-05 (Released:2016-02-05)
参考文献数
10

本研究では、自転車専用通行帯及び車道路肩部のそれぞれ幅員の違う路線において、視点を解析することができるアイマークレコーダを用いた自転車走行実験を行い、自転車を追い越していく自動車から受ける影響に関して分析を行った。その結果、調査対象路線の中で走行空間幅員が 1m と最も狭かった路線においては、自動車の追い越し台数が増加するにつれて自らの走行場所である車道路肩を注視する時間や回数が増加していた。また、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」で望ましいとされている幅員 1.5 m以上の、幅員が 1.85 mの路線においては自転車を追い越す自動車台数が増加するほどサッカードが発生していること、それよりもさらに幅員の広い路線では注視挙動に自動車交通の影響がみられなくなることが明らかになった。
著者
坪井 志朗 三村 泰広 嶋田 喜昭 菅野 甲明
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学研究発表会論文集 第42回交通工学研究発表会 (ISSN:27583635)
巻号頁・発行日
pp.703-708, 2022 (Released:2022-11-10)
参考文献数
7

近年、自転車が身近で有用な移動手段として重要な役割を担っている。また、自転車が安全に走行するためには、自転車と自動車、自転車同士、自転車と歩行者との錯綜機会を少なくすることが重要である。本研究では、愛知県内において自転車通行空間を整備している区間を対象に、事故件数の変化やその要因分析から自転車関連事故への影響について検討した。その結果、自転車通行空間整備前後 1 年間の短期的な自転車関連事故件数の変化の面では即効的な整備効果は確認できなかったこと、車道混在や自転車専用通行帯を整備することで自転車関連事故が減少するものの、車道混在整備では自転車が第一当事者となる事故が、自転車専用通行帯整備では自転車が第二当事者かつ単路での事故や出合頭の事故が増加する恐れがあることが示唆された。
著者
石河 正寛 加藤 秀樹 有賀 敏典 金森 有子 金 炅敏 崔 文竹 松橋 啓介
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.1-10, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
17

自動車検査証の個別統計を用いて乗用車の全国市区町村別 CO2 排出量を推計した。また、同統計に含まれていない軽乗用車について考慮する簡便法として、自動車燃料消費量統計から作成した乗用車と軽乗用車の台あたり走行距離に関する一次関数式を仮定した推計を試みた。本研究を通じて、道路交通センサス OD 調査データを用いる地域別乗用車 CO2 排出量推計手法よりも、空間解像度および時間解像度の高い推計値を得ることが可能になったと考えられる。今後、道路交通センサス OD 調査データを用いた推計との比較や、軽自動車検査情報を用いる推計手法の検討を行いたい。
著者
立松 和憲 米川 英雄
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.B_65-B_74, 2019-02-01 (Released:2019-02-06)
参考文献数
11

都市間高速道路の交通集中渋滞において、渋滞先頭地点が移動することは、従前から指摘されている。 しかしながら、このような渋滞遷移現象についての研究事例は少ない。そこで、本論では、東名阪自動車道(上)鈴鹿 IC~四日市 IC の約 10km を対象に、渋滞先頭地点の遷移と交通容量の関係を、交通容量への影響要因を踏まえて分析した。ETC2.0 プローブ情報の走行履歴データにより、渋滞先頭地点の遷移現象の分析を行い 118 回の遷移を確認した。これらの遷移に対し、交通容量への影響要因のカテゴリー毎に渋滞先頭地点の遷移発生状況を整理し、交通容量との比較を行った。この結果、交通容量の大小関係のみでは説明のできない遷移を確認し、渋滞先頭地点の遷移は、交通容量とは異なるメカニズムで発生していると推察された。
著者
松尾 幸二郎 ヌッサカ・ニムマヴォン ミタル・チャクマ 宮崎 耕輔 杉木 直
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学研究発表会論文集 第42回交通工学研究発表会 (ISSN:27583635)
巻号頁・発行日
pp.7-13, 2022 (Released:2022-11-10)
参考文献数
4

本研究では,交通公園の交通安全教育への寄与に関する基礎的な研究として,児童の交通公園の利用経験が交通ルール認識に与える影響について把握を行うことを目的とし,豊橋市の児童およびその保護者を対象としたアンケート調査により,豊橋市内の交通公園の利用頻度と交通ルール認識との関係の分析を行った.結果として,児童の入学前の交通公園の利用頻度が高い児童ほど,自転車乗用時に「止まれ」の場所で一時停止をする行動が高まることや,無信号横断歩道で一時停止して横断者へ道を譲るという意識および行動が高まることなど,多くの交通ルールの認識に良い影響を与えていることが示された.一方,自転車の左側通行については,入学前の交通公園の利用頻度によって意識は向上するものの,行動までには繋がっていないことも示された.
著者
福山 大地 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.A_161-A_166, 2019-02-01 (Released:2019-02-06)
参考文献数
8

我が国では自転車の信号制御に関して議論が少ない。車道を走行する自転車は車両用信号に従うものとされているが、車両用信号のクリアランス時間は自動車の速度で決められているため、自動車よりも速度の遅い自転車には十分な時間が確保されておらず、信号切り替え時に交差点に残存するおそれがある。本研究では、信号交差点観測調査を実施し、信号切り替え時の自転車のクリアランスに関する問題の把握を行った。その結果、交差点の信号制御や幾何構造等様々な要因によって残存の起こる割合が異なることがわかった。また、交差点ごとに観測した自転車の速度で算出したクリアランス時間は現在設定されている車両用信号の値より長く必要であることが示された。以上の観測調査の結果を踏まえ、自転車を考慮した信号制御の指針作成のための知見を述べた。
著者
川崎 智也 安倍 智紀 西内 裕晶 轟 朝幸
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.A_25-A_32, 2016

都市鉄道では、朝ラッシュ時の混雑により、ホーム上の出口に通じる階段付近において歩行者の滞留が生じている。本研究では、階段付近の滞留を緩和するための一策として、混雑車両への課金を提案する。分析では、生存分析により混雑課金に対する乗客の支払意志額を把握し、適切な混雑課金額を検討した。次に、混雑課金を実施した場合を想定し、乗客を混雑車両から非混雑車両へシフトさせた。その後、シミュレーションソフト Viswalk を用いてホーム上の混雑緩和効果を計測した。分析の結果、混雑課金が 20 円と 100 円の場合、船橋日大前駅西口階段付近におけるピーク時の歩行者数は、それぞれ 27 人と 25 人減少し、一人当たり遅れ時間はそれぞれ 12.25 秒と16.81 秒短縮され、混雑車両への課金がホ ーム上における歩行者の滞留緩和効果が示された。
著者
垣田 友希 吉井 稔雄 神野 裕昭 福田 尊元
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.B_61-B_69, 2020-02-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
3

一般道の主要渋滞箇所は,プローブデータの旅行速度データを用いて,渋滞対策協議会において選定さている.主要渋滞箇所はボトルネック交差点と先詰まり交差点が区分されておらず,また,渋滞の程度も評価されていないことが,効果的・効率的に渋滞対策を推進する上での課題となっていた.本研究は,この解決策として,渋滞による遅れ時間に着目した渋滞評価手法を構築し,松山に適用して適応性を検証した.旅行速度のみでの渋滞評価では,ボトルネック交差点ではないにもかかわらず渋滞交差点と判定されていた複数の交差点が,遅れ時間による渋滞評価ではボトルネック交差点と判定されないことを確認した.また,当手法で算出できる総渋滞遅れ時間により,ボトルネック交差点毎の渋滞の程度を定量評価することができた.