著者
深山 正久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.9, pp.2320-2324, 2013-09-10 (Released:2014-09-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1
著者
西川 典子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.2001-2008, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

神経障害性疼痛は神経系の損傷により発症する難治性疼痛であるが,近年相次いで治療薬が承認,適応拡大されており,治療内容が向上することが期待されている.本稿では,疼痛の伝導路と薬理作用の概略を示し,神経障害性疼痛に対する薬物治療について本邦のガイドラインに準じて使用上のポイントを述べた.完治は困難であるかもしれないが,疼痛の軽減を図り患者の生活の質を改善することができる.
著者
永武 毅 山下 広志 出川 聡
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.285-291, 1998-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

「かぜ症候群」の原因ウイルスには気道傷害性の強いものから弱いものまであり,その後の細菌感染とも深く関係してくる.しかし,かぜ症候群の原因となるウイルス感染では基本的には自然治癒がみられるものであり,注意深い経過観察か,治療としても対症療法が中心に行われている.中でもインフルエンザウイルス感染の場合にはしばしば大流行がみられると共に肺炎発症により健康成人でも重症化することがあり,早期診断と早期治療が求められる.インフルエンザ肺炎には純粋のウイルス性肺炎,ウイルスと細菌の同時感染による混合感染型肺炎あるいはウイルス感染軽快後の二次性細菌性肺炎がある.従って,適正な病型分類をすることが適切な治療に結びつくことになる.今日「かぜ症候群」の治療に細菌感染予防と称して抗菌薬が使用されることが多い.細菌混合感染の関与が明らかな場合や基礎疾患を有する場合のウイルス感染症としての重症化が予測される場合には早期から適正に抗菌化学療法を併用することに意味があるが,いずれにしても短期間投与を心掛けるべきである.
著者
佐藤 信紘 駒田 敏之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.1605-1610, 1991-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

肝硬変では,胸腹腔内血管シャントの存在や血管調節因子の変動による特殊な血行動態異常が存在することにより,肝以外の重要臓器の有効循環血液量の減少を主因とする様々な合併症を併発し,多臓器不全に陥りやすい条件下にある.肝硬変患者を診療する際には肝病変だけでなく,消化管,腎臓,造血器,呼吸器,循環器等の肝以外の臓器障害の発生機序と対策についても理解し,全身的な管理に勤めることが重要である.
著者
植木 浩二郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.959-964, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

糖尿病は慢性の高血糖を主徴とする疾患であるので,従来は,空腹時・随時の血糖測定やブドウ糖負荷試験を2回以上行い,繰り返し基準を超えていることをもって診断していた.2010年の診断基準改訂では,過去1,2カ月の血糖の状態を反映するHbA1cを血糖値と同じ高位の診断基準加え,血糖検査と組み合わせることで1回の検査で診断可能とした.このようなHbA1cを用いる診断基準は世界的にも主流となっていることもあり,これを機に我が国と海外とで約0.4%の差が認められたHbA1cを国際標準化することとなった.
著者
長谷 麻子 荒畑 喜一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.664-669, 1998-04-10
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

多発筋炎(PM),皮膚筋炎(DM)の臨床像と病理学的特徴,および疾患の病態解明に関わる免疫病理学的な研究成果を紹介した. PM/DMの病態は,自己免疫機序による筋組織の崩壊であると考えられ, Tリンパ球による筋線維の浸潤や免疫複合体による微小血管障害の関与が示唆されている.治療の第一選択薬はprednisoloneであるが難治例では免疫抑制薬等を併用する.最後に長期治療における合併症や外来診療の注意事項について述べた.
著者
荒木 信夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.502-507, 2015-03-10 (Released:2016-03-10)
参考文献数
11
著者
永田 賢治 下田 和哉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.1918-1923, 2015-09-10 (Released:2016-09-10)
参考文献数
10
著者
永野 信之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.308-325, 1966

臨床的に蛋白同化ステロイド (ASと略す), 副腎皮質ステロイド (CSと略す) 単独投与, 両薬同時併用, およびCS維持量投与中にAS追加併用の各群の, 血清蛋白成分, 血中非蛋白窒素成分, 血清電解質, 尿中窒素排泄量および体重の変動を観察し, 同時に各種ASの効果も比較検討した. 血清蛋白成分, 血中非蛋白窒素成分は4群とも正常範囲内で僅かに変動したが, 2組の併用群はAS単独群と類似の傾向をみた. 血清電解質も正常範囲内の変動をみたが, AS投与の3群はCaの上昇を観察した. 尿中窒素排泄量はAS単独群では明らかな減少をみ, この傾向は<i>Δ</i>′17MT, HMD等に顕著であつた. CS群では逆に増加した. 2組の併用群でAS単独群に匹敵する減少を認め, 投与第1週では単独群より顕著であつた. 体重増加はCS単独群以外に認め, AS別にも若干の差があつたが, 同時併用群で顕著であつた. 体重増加はまた, 窒素排泄減少と相関を示した.
著者
穂苅 量太 三浦 総一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.126-132, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
9

小腸腸管粘膜は吸収機能のみならず,バリアー機能と情報伝達機能を有している.情報伝達機構は吸収上皮細胞の受容体に加え,enteroendocrine細胞の受容体を介して個々の栄養素を認識して個別に制御されている.受容体は核内受容体のほか,膜貫通型G蛋白質結合受容体の存在も知られ,脂質や糖質がリガンドとなる.これらの異常がメタボリック症候群などの病態に関与する可能性も示唆されている.
著者
畑中 正一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.2398-2404, 2001-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

プロウイルスとはレトロウイルスの遺伝子が宿主細胞のゲノムに組み込まれた状態をいう.レトロウイルスはRNAウイルスであるが細胞内で逆転写酵素によってRNA遺伝子からDNA遺伝子に逆転写される.逆転写されたウイルス遺伝子はインテグラーゼ酵素によって宿主のDNAに組み込まれてプロウイルスとなる.プロウイルスからレトロウイルスが複製されて増殖を開始する.感染によるプロウイルス疾患として成人T細胞白血病(ATL)とエイズ(AIDS)が知られている.この他にヒトゲノムには内在的にプロウイルスを有しており,これが発現した時には自己免疫疾患となり, I型糖尿病の発生することが知られている.
著者
齋藤 寛 吉永 馨 塩路 隆治 古川 洋太郎 有川 卓 齋藤 喬雄 永井 謙一 道又 勇一 佐々木 康彦 古山 隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1371-1383, 1975
被引用文献数
4

明治初年以来高度のカドミウム環境汚染をうけてきた秋田県小坂町細越地域の35才以上の住民137人(男58人,女79人)の健康調査を行なつた.昭和47年1月から昭和49年10月にいたる期間の4回の検尿において尿蛋白,尿糖同時陽性者の検出率は常時13%以上であり,対照地域の同時陽性率2.5%に比し著しい高率であつた.この4回の検尿により尿蛋白・尿糖同時陽性者33例(男18例,女15例)を見出し,かつこのなかから腎機能検査の結果10例(男5例,女5例)の多発性近位尿細管機能異常症(multiple proximal tubular dysfunctions)を診断した.この10例についてその原因疾患を検討した.特発性,遺伝性疾患,ならびに慢性重金属中毒以外の後天性疾患はいずれも否定された.多発性近位尿細管機能異常症を含む尿蛋白・尿糖同時陽性者の大部分が尿中カドミウム排泄の異常高値(10.0~45.0&mu;g/d)を示した.小坂町細越地域の土壌,産米などにはこれまでくりかえし高濃度のカドミウムが検出されており,また同地域住民の多数が尿中カドミウムの異常高濃度(10.0&mu;g/<i>l</i>以上)を示すことが秋田県の調査により明らかにされている.すなわち同地域住民は長年にわたり異常カドミウム曝露をうけてきたことが確実であつた.以上により同地域住民の多数に認めた蛋白尿,糖尿の多発,さらには多発性近位尿細管機能異常症にまでいたる一連の腎障害は長年にわたり,主に食物を介して体内に異常大量摂取されたカドミウムによる慢性カドミウム中毒であると結論した.

1 0 0 0 OA 6. Felty症候群

著者
山田 昭夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.1924-1928, 1999-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

Felty症候群は慢性関節リウマチ,脾腫,白血球減少の3主徴を有する疾患であり,顆粒球減少などのため感染症を繰り返し,予後不良な疾患である.また血管炎を伴うことが多く,下腿潰瘍,間質性肺炎などを合併することも多い.治療は多量の副腎皮質ホルモン薬が中心であるが,脾摘の可否について論議のあるところである.

1 0 0 0 OA 2.画像診断

著者
伊豆津 宏二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, pp.1794-1800, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

悪性リンパ腫の発見,病期診断,治療効果判定,経過観察において画像検査は必要不可欠である.computed tomography(CT)が今でも最も頻用される画像検査であるが,18F-fluorodeoxyglucose(FDG)を核種として用いるpositron emission tomography(PET)の利用も一般的となってきた.PETは病期診断時に網羅的に病変を把握する際に有利であるだけでなく,治療終了時の残存腫瘤のviabilityの判断にも用いられている.
著者
小林 誠 北川 隆夫 藤下 雅敏 吉本 静雄 久保西 一郎 新谷 憲治 田口 博国 三好 勇夫 園部 宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.1384-1390, 1983
被引用文献数
2

Pneumocystis carinii(Pc)肺炎は専ら免疫不全状態にある患者に発症する.最近CMV感染あるいは麻薬の常用が,同性愛の男性の免疫不全の原因となる可能性が指摘されている.我々は異常な性習慣や麻薬歴のない健康成人女性に発症したPc肺炎の1例を報告する.症例は37才の女性で,主訴は労作時呼吸困難.両側性びまん性胸部陰影の精査のため入院した.患者は10年間縫製業に従事しており,入院5ヵ月前の胸部X線像は正常であつた.入院第10病日に高熱が出没するようになり,次第に低酸素血症と胸部陰影が増強したため,経気管支肺生検を施行した.メテナミン銀染色で肺胞腔内に充満するPcの虫体を認めたので, TMP-SMZの内服を開始した.投与後5日目に下熱し,その後8週間で胸部陰影は全く消失し, Po<sub>2</sub>も正常化した.入院後間もなく患者は腋窩部と下腹部を中心に疥癬に罹患していることが判明し,皮膚病変は成人ではまれとされる皮下トンネルの形成が著明であつた.血清学的にCMVに対する抗体は陰性で,末梢血リンパ球数, T細胞数, B細胞数, PHAとPWMに対するリンパ球幼若化反応,末梢血単球と好中球の貧食能,免疫globulin値はすべて正常であつたが, PPD皮内反応は陰性であつた.細胞性ならびに液性免疫能が正常でかつ基礎疾患のない婦人にPc肺炎が発症した理由は明らかでないが,トンネル形成が著明な疥癬が合併したことを考えると,本例に何らかの免疫不全が存在したことは否定できない.
著者
三森 経世
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.1943-1947, 1994-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
3

肥大性骨関節症は,手指および足趾のばち指,長管骨の骨膜炎,関節炎を主症状とする症候群である.本症は胸部の悪性腫瘍や感染症,心疾患,消化器疾患など様々な基礎疾患に合併して起こり,ぼち指の存在が隠れた重篤な疾患を発見するきっかけになることも少なくない.肥大性骨関節症は,隠された治療可能な疾患の診断に特徴的な症状が役に立つ最も良い例といえる.