著者
橋詰 直孝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1857-1861, 1997-10-10
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

患者6252名中Mg異常は1246名(19.9%)と多く,低Mg血症の最も多い臨床症状は人格の変化で,高Mg血症の最も多い臨床症状は排尿障害であった.アルコール常用者には多数の低Mg血症を認めた.アルコール離脱症候群の症候の中にはMg異常による臨床症状と類似している.また骨代謝にもMgは関連している. Mg異常は見落とす可能性があるので臨床家はMg代謝異常にもっと注意を向ける必要がある.
著者
庭本 崇史 江村 正仁 中村 敬哉 林 孝徳 小林 祐介 五十嵐 修太 野村 奈都子 太田 登博 吉岡 秀敏 西川 圭美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.1020-1025, 2016-06-10 (Released:2017-06-10)
参考文献数
10

約3年前に成人発症Still病(adult onset Still’s disease:AOSD)と診断された65歳の女性.23価肺炎球菌ワクチンを接種後に血球貪食症候群を併発した.ステロイド増量とガンマグロブリンの投与にて病勢の改善を得た.しかし,二次感染予防目的のST合剤の開始翌日から関節痛が増悪し,AOSDの再増悪を疑いシクロスポリンを投与した.その後,良好な経過を辿った.AOSDのコントロール不良例では,免疫抑制薬の併用が有用であると考えた.
著者
岡田 靖 山口 武典 田代 幹雄 峰松 一夫 緒方 絢
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1294-1299, 1987

36才,男性.頭痛,発熱,意識障害,けいれんで発症し,入院時(8病日),体温38.2°C,傾眠状態,顔貌無欲状,項部硬直あり. CT上,両側側頭葉に不整形の低吸収域を呈し,血清抗体価(CF法)も有意の上昇(4→512倍)を示し,単純ヘルペス脳炎(HSE)と診断した.昏迷状態から約4カ月間,ほとんど無言無動状態で経過した.しかし, 120病日前後より発語がみられ,経口摂取,四肢麻痺の軽減など著しい改善とともに,口唇傾向,食行動異常,性欲亢進,情緒変化がみられ, Klüver-Bucy症候群(KBS)を呈した. HSE生存患者の長期的観察および看護の重要性を強調するとともに, HSEに合併したKBSについて文献的考察を加えた.
著者
行本 敦 橋本 悠 花山 雅一 小幡 善保 谷平 哲哉 清家 裕貴 岡本 傳男 市川 幹郎 寺岡 正人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1460-1463, 2015-07-10 (Released:2016-07-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

症例は81歳,女性.呼吸困難感を主訴に来院した.来院時,舌の著明な腫大がみられた.高血圧に対し,エナラプリルマレイン酸を内服していた.同薬による血管性浮腫を疑い,同薬を中止し,入院とした.喉頭の浮腫は軽度であったため,7 Fr経鼻エアウェイを挿入し,気管切開は行わず,経過観察とした.72時間後には舌の腫大は改善し,発語も明瞭であった.同薬を中止し,経過をみているが,再燃はみられていない.

1 0 0 0 OA 11.中毒性腎症

著者
細谷 龍男 大野 岩男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.1508-1512, 2002-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
著者
向山 政志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1486-1494, 2015-07-10 (Released:2016-07-10)
参考文献数
15

腎臓は内分泌臓器の1つであり,また種々のホルモンの標的臓器として極めて重要であると同時に,多くの内分泌機能調節の鍵を握っている.したがって,腎臓の内分泌機能の異常,あるいはホルモン受容・情報伝達機構の異常に伴い,様々な疾患が生じる.一方,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に代表される腎障害の際には,他臓器におけるホルモンの産生・分泌・代謝・情報伝達のあらゆる面においてしばしば異常がもたらされる.これらの病態を理解することは,内分泌代謝学の面からも腎臓病学の面からもともに重要である.本稿では,腎疾患と内分泌異常について,代表的な疾患を中心に概説する.
著者
木嶋 祥麿 小沢 潔 桜井 俊一朗 仲山 勲 東海林 隆男 笹岡 拓雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.986-994, 1984

ビタミンKが欠乏すると,肝での血液凝固因子の活性化が阻害されるため出血症状が出てくるが,臨床的には新生児にしばしばみられる.成人においてはまれであるが,最近とくに乳児期にみられるビタミンK欠乏症が注目されている.一方,腎不全患者ではしばしば皮下や消化管などに出血がみられ,血小板機能・凝固困子活性の異常などが指摘されている.しかしビタミンK欠乏症の併発はあまり知られていない.最近われわれが経験した出血ないし凝固異常を呈した患者14例を検討したところ,慢性腎不全8例,急性腎不全(手術後4例,激症型皮膚筋炎・脳出血後感染症合併それぞれ1例)6例であり,このうち4例は検査結果から消耗性血管内凝固症候群(DIC)であつた.ほかの10例では肝機能異常はなく, DICの所見とも異つており,プロトロンビン時間・部分トロンボプラスチン時間の延長,第II, VII, IX, X因子活性の低下,異常な第II因子分子の出現などの所見が認められ,ビタミンK投与で改善を認めたことからビタミンK欠乏症と診断した.本症10例の臨床所見は高令の女性患者が多く,食事摂取は著しく不良で,重症感染症および手術後のため抗生物質が投与されており, DICの背景因子と共通点が多い.このような悪条件をもつ腎不全患者ではビタミンKが枯渇しやすいと考えられるので,非経口的に予防投与しておく必要がある.
著者
祖父江 元 渡辺 宏久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.9, pp.1804-1809, 2018-09-10 (Released:2019-09-10)
参考文献数
10
著者
朝倉 英策
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.9, pp.2010-2017, 2017-09-10 (Released:2018-09-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
岡田 浩一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.8, pp.1658-1664, 2015-08-10 (Released:2016-08-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

腎線維化は慢性腎不全に対応する尿細管の萎縮と間質の線維化を主体とした組織変化であり,末期腎不全への進行を阻止するための良い治療標的と考えられる.腎線維化の進展には蛋白尿や虚血・低酸素による尿細管上皮細胞の病的な活性化が関与しており,NFκB経路などの細胞内情報伝達系を介して,TGF-β1などの線維化促進性のメディエーターが産生・放出され,間質領域に線維芽細胞が誘導されて病巣が形成される.治療介入のポイントとしては,線維化抑制性のメディエーター産生を誘導する細胞内情報伝達系の賦活化(例:bardoxolone methylによるNrf2経路の活性化)や線維化促進性メディエーターの作用阻害(例:pirfenidoneによるTGF-β1作用の阻害)などが想定され,様々な基礎・臨床研究が進行中である.腎線維化の進展・消褪を定量的に評価するためには,現状では腎生検が必須であるが,今後はより低侵襲性の画像検査(例:機能的MRI)やバイオマーカーによる評価が期待されている.
著者
中里 雅光
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.445-450, 2020-03-10 (Released:2021-03-10)
参考文献数
16
著者
松尾 清一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.9, pp.1600-1610, 2016-09-10 (Released:2017-09-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1
著者
市橋 万知子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.822-829, 1960-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

近年高血圧の集団檢診及びその疫学的研究に関して多くの報告がみられるようになつたが,この中,労働と高血圧の関係については報告も少なく意見も一致しない.これはその集団を形成する各個人の素質,環境に著しい相違があり,また,労働の種類も複雜な爲と思われる.そこで都会の同じような生活水準の警察官という一つの集団を対象として,肉体労働の比較的強い外勤と,肉体労働の弱い室内勤務を主とする内勤の二つを選んで比較檢討し,高血圧の成因について考察を加えた.血圧平均値,高血圧出現頻度共に内勤に有意に高く,一見激務と思われる肉体労働も,労働規準法に規定する範囲内であれば高血圧の発生にはあまり影響がなく,むしろ精神的緊張を伴ないやすい室内の勤務條件の方が強い影響を與えていると考えられる.高血圧者に対しては,臨床檢査として眼底檢査,尿檢査,心電図檢査を実施したが,何れも内勤と外勤の間に有意の差が認められた.
著者
足達 寿
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.222-225, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
15

大動脈解離の疫学は,未だ不明な点が多く,参考となる調査報告も少ない.しかし,発症には季節や時間による影響が少なからず存在し,これまで明らかな危険因子と言われている高血圧に何らかの病態が絡んで発症するのではないかと考えられる.次第に増加する傾向にある大動脈解離のtriggerが明らかになれば,発症予防に繋がる可能性もあり,発症状況の把握を含めた疫学的検討が重要である.
著者
尾内 一信
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.2117-2119, 2016

<p>日本人の海外渡航者は毎年1,600万人を超え,その中でもアジアなど発展途上国への渡航者が増えている.また,発展途上国での滞在期間が延び,日本ではあまり経験しない熱帯病などの感染症に感染する機会が増えている.日本人の渡航者は,欧米人に比べて海外渡航時の体調不良には無関心であり,準備不足であるので,海外での感染症に罹患するリスクについてさらなる啓発が必要と思われる.</p>