著者
高橋 啓三
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.152-165, 2006-06-25 (Released:2010-01-21)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

As for the nuclear fuel reprocessing of the spent fuel, although there was argument of pros and cons, it was decided to start Rokkasho reprocessing project further at the Japan Atomic Energy Commission of "Long-Term Program forResearch, Development and Utilization of Nuclear Energy" in year 2004. The operation of Tokai Reprocessing is goingsteadily to reprocess spent fuel more than 1, 100 tons.In this paper, history, present status and future of reprocessing technology is discussed focusing from military Puproduction, Magnox fuel reprocessing to oxide fuel reprocessing. Amount of reprocessed fuel are estimated based on fueltype.Then, history of reprocessing, US, UK, France, Germany, Russian, Belgian and Japan is presented and compared ontechnology, national character, development organization, environmental protection, and high active waste vitrification.Technical requirements are increased from Pu production fuel, Magnox fuel and oxide fuel mainly because of higherburnup.Reprocessing technology is synthetic of engineering and accumulation of operational experience. The lessonslearned from the operational experience of the world will be helpful for establishment of nuclear fuel reprocessing technology in Japan.
著者
寺田 宏明 永井 晴康 古野 朗子 掛札 豊和 原山 卓也 茅野 政道
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.257-267, 2008 (Released:2012-03-02)
参考文献数
19
被引用文献数
4 27

The second version of WSPEEDI (WSPEEDI-II) is developed. It has functions to predict the radiological impact of nuclear accident abroad on Japan by quick calculations of air concentration, surface deposition, and radiological doses. WSPEEDI-II has the following new functions for better predictions and practical use: (1) high-performance prediction of atmospheric dispersion of radionuclides from local to regional ranges with appropriate resolutions by introducing a nonhydrostatic atmospheric dynamic model, (2) source term estimation by coupling calculation results and monitoring data for the case that no source information is available from abroad, (3) on-line prediction data exchanges with major emergency response systems in the United States and Europe having similar functions to WSPEEDI-II, (4) web-based graphical user interface system for easy operations of WSPEEDI-II, and (5) preset East-Asian database for quick start against a nuclear accident in Eastern Asia.   In this paper, we describe these new functions of WSPEEDI-II.
著者
坂本 文徳 大貫 敏彦 香西 直文 山崎 信哉 吉田 善行 難波 謙二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
pp.J13.002, (Released:2013-10-10)
参考文献数
20
被引用文献数
4 5

The local area distribution and relocation of radioactive cesium deposited in trees after the 2011 tsunami-related accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FDNPP) have been studied by measuring the spatial distribution of cesium on/in trees by autoradiography analysis. Samples of trees were collected from places located between 4 and 55 km from FDNPP approximately 2, 8, 20, and 22 months after the accident. The autoradiography analyses of Cryptomeria japonica, Torreya nucifera, and Thujopsis dolabrata var. hondae samples collected approximately 2 and 8 months after the accident showed that radioactive Cs was mainly distributed as spots on the branches and leaves of the trees emerged before the accident, and was detected in negligible amounts in new branch and leaves that emerged after the accident. On the contrary, radioactive Cs was detected at the outermost tip of the branches in the trees collected 20 months after the accident. Morus alba samples collected 22 months after the accident contained radioactive Cs inside and outside their stems, even though no radioactive Cs was detected in their roots, strongly suggesting that a certain amount of radioactive Cs was translocated from the outside to the inside of stems. These results indicate that the distribution of radioactive Cs deposited on/in the trees gradually changes with time (scale: year).
著者
平山 英夫 佐波 俊哉 波戸 芳仁
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
pp.J12.043, (Released:2013-06-27)
参考文献数
4
被引用文献数
4 6

Gamma-ray pulse-height distributions from widely distributed Cs-134 and Cs-137 calculated using the EGS5 Monte Carlo code with the transformation of a system consisting of a plane isotropic source and a unit sphere detector into a system consisting of a point isotropic source and a plane detector were compared with measured ones. Results agree well in terms of both spectrum shape and absolute value. Spectra at a height of 1 m from widely distributed I-131, Cs-134 and Cs-137 were studied by EGS5 calculation. It was clarified that the contribution of scattered gamma rays is dominant within the total gamma-ray flux. The contributions of the scattered gamma rays to ambient dose equivalents and effective dose were also studied.
著者
鎌田 裕 石田 真一 小関 隆久 菊池 満
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.367-377, 1997-05-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

日本原子力研究所の大型トカマク装置JT-60は, 1996年秋,大きな目標であった臨界プラズマ条件を達成した。これは,負磁気シアモードと呼ばれる定常核融合炉に適した運転方式で得たものである。この方式は,原研が提案した動力炉概念を契機に,その後も実験および理論の両面において,原研が世界的に研究をリードしてきた定常核融合炉構想から生まれた。本稿では,これらの炉心プラズマにかかわる実験および理論の最近の進展と核融合炉開発への意義,展望を概観する。
著者
山瀬 豊
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.828-832, 2019 (Released:2020-04-02)
参考文献数
3

高エネルギー電子加速器を用いた電子線滅菌は,滅菌法では比較的新しい方法であるが,近年,医療機器,医薬品容器等の人体に対するリスクの高い医療用品の製造時の滅菌法として一般的な滅菌法となってきた。その背景には,高エネルギーの電子線は,最終梱包のまま短時間に低温で透過処理できることや,従来から主流であったエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌のEOの発がん性の問題関連の規制等,滅菌バリデーション(科学的妥当性の検証)要求,無菌性保証など品質規格要求等も厳しくなったことなどがある。さらに近年は,ガンマ線滅菌の線源高騰,環境,セキュリティ,リスク管理等も重視されEOG滅菌だけでなくガンマ線滅菌からも電子線滅菌に切り替えるケースも増えている。今後は,コンプライアンス順守やCSRの推進等の社会的な取り組みを背景に,環境,労働環境,安全,品質などの対策強化などに伴い,医療機器,医薬品等の電子線滅菌はさらに増加していくことが考えられる。
著者
堀 啓一郎
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.91-93, 2015 (Released:2020-02-19)

福島第一原子力発電所の溶融した炉心燃料は2020年頃から取り出す計画である。この取り出した燃料デブリの計量管理手法については,廃炉に関する研究開発プロジェクトの一つとして日本原子力研究開発機構と東京電力が中心となり検討を進めている。この現状について報告する。
著者
バーナード・タンチェリエ 天野 治
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.863-870, 2006 (Released:2019-04-05)
参考文献数
1

発電に占める原子力の割合が80%のフランス。石油ピークにもびくともしない, エネルギー先進国だ。しかし, そこに至るためにフランスでは, これまでさまざまな取組みを行ってきた。本稿では「2006年春の年会」で, 「世界のトップランナーに学ぶ (その4) ; 原子力発電を使いこなす―フランスでの日負荷追従運転実績とプラントに与える影響」というテーマで, タンチェリエ氏が講演した内容を対話形式に再構成。フランスの原子力のこれまでと現在, そして将来について紹介する。
著者
リカルド オルランディ 廣瀬 健太郎 矢板 毅 山上 浩志 家田 淳一 神戸 振作 石川 法人
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.280-284, 2020 (Released:2020-11-01)
参考文献数
6

東京電力福島第一原子力発電所事故対応では,燃料デブリと闘う未知の領域への挑戦が待っている。安全性の向上や廃棄物問題の解決も必須だ。さらに放射線利用にはイノベーションを誘起する先端技術も求められる。日本原子力研究開発機構の原子力科学研究部門には3つの研究センターがあり,これらの問題に対応するため先端的な研究,基礎基盤研究や応用研究を行っている。
著者
齊藤 正樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.87-89, 2016 (Released:2020-02-19)
参考文献数
9

使用済み燃料に含まれるマイナーアクチニドを軽水炉のウラン燃料や高速増殖炉のブランケット燃料に少量添加すると,燃料中に軍事転用困難な238Puの同位体割合を増加させ,高い核拡散抵抗性を有するプルトニウムを生成することが可能である。「もんじゅ」は,余剰プルトニウムを効率的に燃やしながら(Pu Eater),かつ,核拡散抵抗性の高い軍事転用困難なプルトニウムを増殖する(Pu Breeder)核不拡散上極めて重要な技術の実証に向けた国際研究開発拠点として,国内外の英知を結集して再構築し,将来のエネルギー安全保障のみならず,原子力の平和利用と核不拡散の両立の観点からも,人類史上初めての挑戦を,国は高い志を持って,揺るぎなく進めるべきである。
著者
御園生 淳 磯山 直彦 森薗 繁光 鈴木 千吉 及川 真司 藤井 誠二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2009年春の年会
巻号頁・発行日
pp.702, 2009 (Released:2009-04-15)

平成18年度から下北沖合を主に海水の安定ヨウ素及びヨウ素129濃度を測定して来た。安定ヨウ素及びヨウ素129濃度のバックグラウンド濃度は、それぞれ、52μg/l、20~30nBq/l程度である。
著者
竹内 清 関 泰
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.296-302, 1980-05-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
44

トカマク型核融合炉に焦点を合わせて,放射線遮蔽設計に関して,遮蔽設計と炉核設計との関連,遮蔽の役割,遮蔽設計基準の設定,バルク遮蔽設計の問題点,各種貫通孔中性子漏洩問題,炉建屋漏洩放射線の空気散乱問題,さらに放射線輸送計算法や核データおよび感度解析等の問題について概説する。
著者
直井 洋介 小田 哲三 富川 裕文
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.536-541, 2016 (Released:2020-02-19)
参考文献数
12

日本は1955年に制定された原子力基本法に従い,原子力の研究開発,原子力エネルギーの利用を平和目的に限って推進してきた。平和目的に限られていることを担保するため,事業者は計量管理を行い,IAEAと保障措置協定を締結する以前は二国間原子力協定(日米,日仏,日加等)に基づき報告を行い,1977年のIAEAとの保障措置協定を締結後は国内法が改定され,それに基づき計量管理及びその報告が行われてきた。1999年には追加議定書を締結して新たな義務を負うIAEAの保障措置活動に対応してきており,これまでわが国の原子力活動についての申告の正確性と完全性がIAEAによって検認されてきている。2004年には,核物質の転用や未申告の活動はないとの「拡大結論」を得て以降,これまで毎年この拡大結論を得てきている。本報告では,JAEAがこれまで取り組んできたIAEAの保障措置に必要な技術開発や人材育成への協力などIAEA保障措置活動への貢献について報告する。
著者
田邊 恵三 村上 健太
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.596-597, 2023 (Released:2023-10-10)
参考文献数
2

国内において新型燃料の導入に向けた動きがある。新型燃料の導入は燃料棒の熱的負荷の緩和等,原子力安全の向上に寄与するが,海外で十分実績のある燃料であっても,国内への展開は遅れている。 原子力安全部会では,新型燃料導入を題材に,新技術を導入する際の課題を整理するため,セミナー形式で「新型燃料の導入に向けた道筋 ―安全評価技術の継続的向上の視点から―」を開催した。新型燃料の導入に付随する新たな安全評価技術の導入や規制プロセス,安全研究,規制機関との対話などさまざまな議論が展開された。新技術の導入には産官学の連携が必要不可欠である。本シリーズでは,原子力事業者,学会,規制の各々の視点から,ハードウェアおよびソフトウェアの新技術導入に係る現状の課題を整理し,改善の方向性を示す。
著者
村上 健太 山本 章夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.606-607, 2023 (Released:2023-10-10)
参考文献数
4

新型燃料の場合,海外で実績があるとしても,メーカ毎の設計の違いが解析結果に与える影響を評価することが必要である。商業機密に留意しながらも,代表的な製品に対する試験結果を外挿するような判断の仕組みを整えることが好ましい。統計的安全評価コードは,個々の要因がパフォーマンスに与える影響を詳細に分析するためのプラットフォームの役割を果たす。その普及には,95/95値に代表される評価基準を関係者の共通理解とする必要がある。核燃料の場合,過渡・事故時の挙動の評価が特に重要である。材料試験炉という基盤インフラが危機的な状況にあるなか,安全機能と物理現象の関係を丁寧に整理し,個々の試験の意義を明確に定義する姿勢が求められる。